平成29年度東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)最終試合は、強敵中大との1部2部入れ替え戦(入れ替え戦)を賭けた一騎打ち。両校ともに3勝で迎えたこの試合。緊迫した空気のなか、早大は136-134と大接戦で勝負を制す。2部リーグ戦全勝で入れ替え戦への切符を手にした。
リーグ戦開始時から見据えてきた中大戦。勝ちたいという強い思いは1立目から現れた。幸明千尋(スポ2=東京・城北)をはじめ4人が皆中を出し、32射27中の好スタートを切る。続く2立目も流れを維持するが、中大は5人が皆中を出し本差は2に縮まる。逆転が危ぶまれる3立目、選手たちは圧巻の引きをみせた。初立は15中、弐ノ立では全員が皆中をたたき出す。合計的中は84-78と6本差で前半を終えた。
チームを支える中村主将
そのまま勢いに乗りリードを広げたい4立目。安定した射を披露し28中、対する中大は早大を上回る29中の高的中を出す。なかなか試合の主導権をにぎれない。そして迎えた最終5立目、部員が祈るように見つめるなか、初立では大前の牧山千莉(スポ1=千葉)と落前の鈴木智貴(法3=東京・早実)が20射皆中を達成。部員たちの歓声が場内に響き渡った。最後は大落の倉持洵(スポ3=東京・国学院久我山)が留め矢を詰め13中。勝利の望みは弐ノ立に託された。弐ノ立は2本目終えた時点で8射7中。一気に勝利に突き進むかのように思われた。しかし、3本目を落前の志岐伊織(スポ2=群馬・前橋西)が抜くと全員が中てられないという波乱の展開に。なんとか持ち直し的中数を11に留めるが、中大が15中以上を出せば早大の敗北が決まる。勝負の行方を全員が見守るなか、中大の大落が放った2本目は惜しくも的をそれる。その瞬間、早大の勝利が決まった。熱戦を繰り広げた中大との一戦は136-134で幕をとじた。
20射皆中を達成した鈴木
今季リーグ戦では最高の的中数となった中大戦だが、目標とする140台まではわずかに届かなかった。中村主将は「緊張した場面でも練習通りの射をどれだけ出せるかが課題」と試合を振り返る。早大弓道部は着実に力をつけてきている。「ここまで来たら勝つしかない」(鈴木)。2週間後には入れ替え戦が控えている。8年ぶりの1部リーグ昇格を目指し、選手たちは慶大に挑む。
(記事 秦絵里香、写真 田々楽智理 )
※平成29年度リーグ戦は平成28年度に行われます。
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結果
初立
大前 牧山千莉(スポ1=千葉) 20射皆中
弐的 小澤竜介(教1=静岡・韮山) 20射15中
落前 鈴木智貴(法3=東京・早実) 20射皆中
大落 清水雄貴(人4=東京・早稲田) 8射3中
倉持洵(スポ3=東京・国学院久我山) 12射8中
弐ノ立
大前 幸明千尋(スポ2=東京・城北) 20射17中
弐的 大貫真央(教2=東京・帝京大高) 20射18中
落前 志岐伊織(スポ2=群馬・前橋西) 20射17中
大落 中村浩太郎(創理4=東京・芝浦工大高)20射18中
○早大136―134中大
コメント
中村浩太郎主将 (創理4=東京・芝浦工大高)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
中大とは毎年せった試合になるので、意識はしていました。そのなかでも、4立目まではしっかり練習通りのことができたので良かったです。ですが、最後の5立目という緊張した場面で、気持ち的にも体力的にも疲れがあり甘くなってしまったので、来週以降はそこを直せればいいです。
――5立目が終わり、中大の結果を待っている時はどのようなお気持ちでしたか
最後はどうなるか分からなかったので、絶対に競射になると自分自身に言い聞かせて、しっかりと競射に備えて心と技術面を整えました。
――リーグ戦を通して、1年生の活躍も多くありましたがいかがですか
右も左も分からない状態の4月から、だんだんと、技術面や的中面でも頼りがいのある存在になってきました。顔つきも変わってきて、しっかりと一人前のワセダの部員になってくれたので素直に嬉しいです。
――目標としている140台までもう一歩ですが課題はどこにあると思いますか
序盤から崩れずに、まずは28中という140ペースで始めるというのと、終盤です。まだ140台を出したことがないので、140を出すということに対するプレッシャーを感じる部分があり、そこをいかに乗り越えていくかです。緊張した場面でも練習通りの射がどれだけ出せるかというのが課題だと思います。
――次の試合である入れ替え戦は2週間後ですが、入れ替え戦に向けて何をしていきますか
2週間あるのでしっかりと計画を立てていきたいです。来週は自分自身の今の問題点を洗い出して調整し、その調整したものを再来週はやりきり、入れ替え戦に臨みたいです。
――最後になりますが、慶大との勝負となる、入れ替え戦への意気込みをお願いします
1年に入った時からずっと入れ替え戦で負けているので、今年こそは絶対に1部リーグに上がるんだという気持ちで臨みたいです。
鈴木智貴(法3=東京・早実)
――20射皆中おめでとうございます。どんなことを意識して引きましたか
きのう崩れてしまって、本当はすごく不安で眠れなかったです。ですが、きょう負けてしまったら中村さんたちと一緒に引けるのが最後になってしまうと思ったので、(中大に)技術的な面では劣っていたのですが、自分がワセダを勝たせるという強い気持ちで引きました。
――試合を振り返っていかがですか
常に、中大に勝たなければと相手を意識していました。いつもは四ツ矢をはじめに引き切ってしまえば緊張はほぐれたのですが、きょうは本当に一本一本緊張しながら引けたので、ある意味よかったと思います。
――最後まで気が抜けない試合でしたが、中大の最終立を待っている間の気持ちはいかがでしたか
今までの努力が実ってくれとずっと祈っていました。
――リーグ戦全勝で入れ替え戦に臨むことになりましたが、率直な今のお気持ちは
ここまで来たら勝つしかないと思うので、きょう皆中したということは忘れて、次も新しい気持ちで臨みたいと思います。
――最後に慶大戦への意気込みをお願いします
次も一本一本大切にして、甘い矢を出さないように引いていきたいと思います。
志岐伊織(スポ2=群馬・前橋西)
――試合を振り返っていかがでしたか
まだ甘い部分があります。2週間後はまた試合なので、きょう出た甘い部分を詰めていきたいと思います。
――最終立では悪い流れの中留矢を詰めましたが、意識したことは
直前の3本目を抜いてしまったのですが、いつも通りに意識していることをやれば中たる自信はあったので普段通りに引くことを意識しました。
――リーグ戦最終戦で負けられない中大が相手でしたが緊張は大きかったですか
そこまで特別緊張したわけではありませんでしたが、リーグ戦独特のいつもの練習試合とは違う緊張感はありました。
――入れ替え戦の相手は慶大ですが、緊張はありますか
毎年負けているので、緊張するかなという思いはありますが、できるだけ普段通りのことを意識して臨みたいと思います。
――最後に入れ替え戦の意気込みをお願いします
リーグ戦ではまだあまり良い的中ができていないので、次は9割以上を目標に頑張りたいです。
牧山千莉(スポ1=千葉)
――見事に20射皆中でしたがどのような引きを意識しましたか
普段とやることは変わらないんだという気持ちで引こうと思っていました。毎週19中ということで、なかなか皆中が出なかったのは、20射同じことができなかったということです。きょうはしっかり20本、自分が初めに決めたことをやり遂げようと考えて引きました。
――負けられない相手である中大との試合、緊張はありましたか
すごくありました。ですが、緊張したなかでもリラックスする気持ちを持って集中して引くことができたので良かったです。
――試合全体を振り返るといかがですか
きょうは要所、要所で厳しい場面もありましたが、立全体で大きく崩れた部分がなかったので、全員が集中して弓を引くことができていたのかなと思います。136中というのも練習通りの的中ということで、しっかり引けたと思います。
――チームとして目標にしている140台まではもう一歩ですが、どんなところに課題があると思いますか
140台に乗るには、あとは気持ちの部分だと思います。練習でも、140中ペースで途中まできていても、最後に崩れてしまうので、もっと気持ちを強く持ち続けることが大事だと思います。
――最後はギリギリの戦いでしたが、待っている間はどのようなお気持ちでしたか
リーグ戦の今までの3戦では本当に味わったことのないような緊張感でした。
――入れ替え戦は慶大との勝負になりますが、どのような意気込みで臨みますか
きょうの優勝はあくまでも通過点でしかないので、しっかり再来週の入れ替え戦で140以上を出したいです。自分たちのやるべきことを2週間、ぶらさずにやり通していきたいです。