新体制が発足して間もない早大は、慶大との定期戦に臨んだ。慶大と言えば、東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)の入れ替え戦で毎年のように黒星を喫している相手。昨年の早慶戦でも敗れており一矢報いたいところであったが、試合は一方的な展開に。中盤で大きく開いた本差を埋めることはできず、最終的中116-141で完敗。またしても、宿敵の後塵を拝する結果に終わった。
序盤、中村浩太郎主将(創理4=東京・芝浦工大高)ら上級生が伸び悩む中、若い力が光る。特に存在感を示したのは、牧山千莉(スポ1=千葉)と溝渕雅(先理1=東京・早大学院)の新戦力コンビ。大一番での先発出場を果たした二人が、ルーキーらしからぬ堂々とした射で的中を重ねた。追う展開は続くが、2立目を終えた時点でその差は6本。逆転勝利はまだ射程圏内にあった。しかし、3立目で慶大の30中に対し早大が21中とつまずき、69-84と引き離される。試合の主導権を、完全に相手に受け渡してしまった。
高的中を出した幸明
4立目、好調を維持する溝渕がこの日2度目の皆中をたたき出す中、大落を務める中村と清水雄貴副将(人4=東京・早稲田)が留矢を詰めることができない。弐ノ立ではこの試合最高の14中を出したが、最終立で再び失速。最終的に25本差をつけられ、1部校との格の違いを見せつけられるかたちとなった。一方、明るい材料もあったのは確かだ。フル出場の溝渕は20射17中の好成績。「1年生ですが引っ張っていけるように頑張っていきたい」と、頼もしい言葉を残した。また、昨季は的中の安定しなかった幸明千尋(スポ2=東京・城北)も大奮闘を見せる。20射皆中にあと一歩まで迫る、チームトップの19中。「1、2年生は去年以上にやりやすい環境になっている」(幸明)。実力が拮抗(きっこう)している下級生同士が、その相乗効果を結果で示している。
真剣な眼差しで的を見る中村主将
6月の全関東学生選手権や秋からのリーグ戦へ向け、「まだまだ力が足りない」と振り返った中村。昨季チームの中心で戦っていた4年生、そして上級生となった3年生が復調できれば、目標とする140点台も届かない数字ではない。今季のチームスローガンである、『覇者』の称号をつかむため――。戦力の厚みが増した早大は、一意専心の思いで高みを目指す。
(記事 川浪康太郎、写真 田々楽智理)
結果
初立
大前 牧山千莉(スポ1=千葉) 12射8中
渡邊顕士(社2=東京・日体荏原) 8射4中
弐的 竹沢剛(社2=北海道・札幌第一) 20射17中
落前 中谷透(基理2=東京・早実) 20射15中
大落 清水雄貴(人4=東京・早稲田) 20射13中
弐ノ立
大前 幸明千尋(スポ2=東京・城北) 20射19中
弐的 溝渕雅(先理1=東京・早大学院) 20射17中
落前 久保木宣喬(創理3=東京・早大学院) 8射4中
倉持洵(スポ3=東京・国学院久我山) 4射1中
新津亮太朗(法3=東京・早大学院) 8射6中
大落 中村浩太郎(創理4=東京・芝浦工大高)20射12中
コメント
中村浩太郎主将(創理4=東京・芝浦工大高)
――今日の大会を振り返るとどうですか
今週練習をしていてあまり調子が良くはなかったので、きのうの練習の的中からも練習通りの実力が出せたと思います。相手が慶應だから緊張しすぎるというのもなく、そういう点が、去年より一歩成長したところだと思います。ですが、今の的中だと全関やインカレ、リーグ戦を見通すとまだまだ力が足りないので、普段の練習からもっと力を付けていきたいです
――主将としてのプレッシャーはありましたか
最近やっと慣れてきたと思ってはいたのですが、慶應と一騎などの重要な試合だと意識してしまう場面はあったので、だんだんと克服していかなければいけないかなと感じました
――主将という立場で臨む試合は、今まで感じる雰囲気とは違いましたか
なるべくワセダの雰囲気を自分から作っていかなければと感じているので、そういうところで、去年より意識する場面が多かったです
――きょうの大会にこのメンバーで臨んだ理由はありますか
普段の練習を見ていて中たるなというメンバーを選んだので、特にきょうだからというのではなく、上から8人をスタメンとして自信を持って出していきました
――新体制になり、チームに変化はありましたか
去年に比べるとだいぶ1、2年生の活気があるのでいいかなと思います。ですが、3、4年生がその活気にあまりに乗れていないという感じがあります。4年生は就活や研究室などで練習があまりできないと思うのですが、3年間の経験があるので、その矢数の中でしっかり調整していきたいなと思います。3年生に関してもしっかり練習はしているのですが、どこか少し集中しきれない部分が見受けられます。1、2年生が仕事をして3、4年生が部の運営をするとなっていて、そこがまだなりきっていない感じがするので、もう少し堂々としてほしいなと思います
――若手にはどのような印象を受けましたか
1年生に関しては牧山(千莉、スポ1=千葉)と溝渕(雅、先理1=東京・早大学院)もともと実力を持って入ってきているというのもあるのですが、頑張っているなという印象を持っています。他の1年生も、大学生活に慣れていないなかで、しっかりと自分ができる範囲で頑張っているなと感じているので今後の活躍に期待をしています
――今後の課題は、部としても自身としてもみつかりましたか
部全体として良い時もあれば悪い時もあるというように、波が大きいので、上の方で安定できるようにするというのが課題です。僕自身も研究室があり、最近練習が満足のいくようにできていないのですが、その中でもしっかりと安定して成果を残していければいいと思います
――チームや自身の目標はなんですか
きょうと同じ形式の中大との定期戦で135が出たので、うまくいけば135は出るという実力があるので140台を出したいです。練習試合からコツコツと力を付けていけば、全関でしっかりと優勝が狙えるチームだと思うので優勝を目指しています。個人としては、団体でしっかり優勝できるように部のトップとしてけん引し、ワセダのエースになれるように頑張っていきたいです
幸明千尋(スポ2=東京・城北)
――早慶戦ということで、特別な意識はありましたか
ありました。いつも試合となると意識はするのですが、特に早大生ということで早慶戦はきのうの時点から意識していました。
――きょうはチームトップの19中を残しましたが、振り返って
4回目の3本目まで詰めていたので20射皆中を視野に入れていたのですが1本抜いてしまって、相手に20射皆中が出ているのでそこの面ではうれしくはなく、逆に悔しいです。
――一方でチームは大差での敗北となりました
いまはワセダ全体として調子がよくなくて、そこは仕方ないという部分もあります。ですが1部校はそういった場面でも気持ちで中ててきたりしているので、今回のワセダは早慶戦ということもあって気持ちの面で押されていたのかなと思います。
――チームの116点という得点についてはどうお考えですか
個人の的中としてはいつもの試合と比べると上出来な方だったのですが、チーム合計となると全然ですね。ことしの最初の方はよかったので、そう考えると早慶戦で116点というのはかなり悔しい結果にはなりました。
――新体制となって変わった部分はありますか
いまの主将の中村さん(浩太郎、創理4=東京・芝浦工大高)が僕たち1、2年生の意見を聞いてくださったりして、1、2年生は去年以上にやりやすい環境になっていると思います。
――今後チームとして具体的に改善していきたい部分はどのような部分ですか
毎週日曜日に試合があるのですが、個人個人が日曜日までに射を完成させるという目標をもってやれば的中も伸びるし練習の意義も見出せるので、そのあたりを大事にしていきたいと思っています。
――最後に、今後に向けた意気込みをお聞かせください
もうすぐ全関東学生選手権があるので、その選手に選ばれたらそこで活躍したいと思っています。
溝渕雅(先理1=東京・早大学院)
――早慶戦ということで、特別な意識はありましたか
もちろんライバル校ということで意識はしていました。3年前から入れ替え戦で毎年慶大と戦っていて、毎年負けているのですが、リーグ戦と形式も一緒なので今回は絶対に勝ってやろうという気持ちでした。ですが、結果的には負けてしまったのでとても悔しいです。
――きょう試合に起用されることが決まった時の心境は
半分中たるかなという不安もありましたが、やってやるぞという気持ちの方が強かったです。
――17中という成績についてはいかがですか
自分本来の力は出せたかなと思います。
――まだ入部されたばかりですが、チームの雰囲気はどう感じていますか
いま沈んでいる部分はありますが、まだまだ今シーズンは始まったばかりなので、これからどんどん上げていって2部優勝と1部昇格を果たせるように頑張っていきたいです。
――先輩や同期の印象は
同期とは和気あいあいと、臨機応変にやっていて、先輩もしっかりと厳しく指導してくれている面もあるので、すごくいい雰囲気でやれているとは思います。
――最後に、今後に向けた意気込みをお聞かせください
今後試合に出ることも多くなると思うのですが、ワセダの名を背負っていくので自分は1年生ですが引っ張っていけるように、頑張っていきたいと思います。