1勝1敗で迎えた平成28年度東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)3戦目。負ければ優勝の可能性が消滅する早大は、ライバル中大との背水の陣に挑んだ。中盤までは徐々に点差を広げられる苦しい展開に。それでも最終立で本領を発揮し、最終的中119-117で勝利。大逆転劇で優勝へ望みをつないだ。
「この試合だけは絶対に勝ちたい」(手塚達也副将、政経4=東京・早大学院)。並々ならぬ思いで臨んだ一戦は、互角の立ち上がりとなった。1立目は中大の22中に対し早大が23中。わずか1本差ではあるがリードを奪う。2立目の初立では中大が全員皆中し16中をたたき出すが、集中力を切らすことなく25中とし接戦状態を保った。しかし勝負の行方を左右する3立目。中村浩太郎(創理3=東京・芝浦工大高)が4射1中と珍しく苦戦するなど、初立が8中に終わる。弐ノ立では大久保侑主将(スポ4=岩手・福岡)が意地の皆中を出すも11中。一方で安定した的中を重ねる中大に67-73と突き放され、前半を終え試合の雲行きが怪しくなってきた。
上級生としてチームを引っ張る廣瀬智紀(人3=静岡・清水東)
それでも、誰一人として諦めてはいなかった。4立目の初立では、「任されたからには絶対に詰めていく」と意気込んだ途中出場の手塚副将が皆中を出しチームを鼓舞する。弐ノ立も13中と高的中を出し、わずかながら点差を縮めることに成功した。独特の緊張感に包まれた最終5立目。中大は初立で10中と崩れ、流れは早大に傾きだす。初立は大前の渡邊顕士(社1=東京・日体荏原)が皆中を決めるなど全員が持ち味を発揮し14中。この時点で追いつき、全ては弐ノ立の結果で決まることとなった。中大の弐ノ立は11中。12中以上が求められる緊迫した展開の中、全員が3射目を終えた時点で10中とし逆転勝利が現実味を帯びてきた。途中から大前に起用された竹沢剛(社1=北海道・札幌第一)が留矢を詰め勝利に王手をかける。さらに、倉持洵(スポ2=東京・国学院久我山)が「自分がやることをやるだけ」と決死の覚悟で放った矢が的を射抜き、この瞬間早大に軍配が上がった。最後は大久保主将がこの日3度目の皆中を決め、歓喜の逆転劇に花を添えた。
好調を保ち続けた倉持
普段からチームに流れをもたらす選手が本調子でない中、20射18中の高的中を残した倉持や途中出場の選手が奮起し見事逆境を乗り越えた。絶大なプレッシャーをはねのけての白星は、チームを勢いづける価値ある1勝となったことだろう。2部優勝、そして待望の1部昇格へ。倉持が「大事な、勝たなくてはならない一戦」と表現した次週の東工大戦に向け、鍛錬の日々は続く。
(記事 川浪康太郎、写真 黒田菜々子)
※平成28年度リーグ戦は平成27年度に行われます。
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結果
初立
大前 渡邊顕士(社1=東京・日体荏原) 20射15中
弐的 島村達哉(スポ4=独協埼玉) 8射4中
手塚達也(政経4=東京・早大学院) 12射9中
落前 清水雄貴(人3=東京・早稲田) 20射18中
大落 中村浩太郎(創理3=東京・芝浦工大高) 20射14中
弐ノ立
大前 髙橋真人(先理2=東京・早大学院) 8射5中
竹沢剛(社1=北海道・札幌第一) 12射7中
弐的 倉持洵(スポ2=東京・国学院久我山) 20射18中
落前 廣瀬智紀(人3=静岡・清水東) 20射12中
大落 大久保侑(スポ4=岩手・福岡) 20射17中
コメント
手塚達也副将(政経4=東京・早大学院)
――見事な逆転勝利となりましたが、率直な感想を聞かせてください
本当に勝ててホッとしたというか、良かったなと思っています。
――大久保侑主将(スポ4=岩手・福岡)が「因縁の相手」と表現した中大相手でしたが
大久保が言っていた通り、中大は2部リーグの中でもライバル視しているので、この試合だけは絶対に勝ちたいという思いで挑みました。
――先週の東大戦では敗れましたが、修正したことはありますか
個人的なところはともかくとして、部全体の練習に取り組む姿勢を見直して、緊張感を持って全員が試合を想定して練習するというところに力を入れて取り組んだ結果がきょうの競り勝ちにつながったのだと思います。
――きょうは途中出場となりましたが、どんな気持ちで臨みましたか
正直言うと調子は全然良くなかったのですけど、任されたからには絶対に詰めていくという思いを持って臨みました。
――4立目では皆中を出しましたが手応えはありましたか
最初に出た3回目の感触がかなり悪かったのですけど、そこで感じた悪い感覚を引きずらないように割り切って4回目は臨めたので、手応えは悪くないなと思いました。
――最終立はプレッシャーを感じましたか
ものすごく感じました。
――最後の場面はどのような気持ちで試合を見ていましたか
数字の細かいところまでは見ていなかったので、的中が拮抗(きっこう)しているんだろうなという思いしかなかったのですが、彼らなら大丈夫だと思って全力で応援していました。
――次戦への意気込みを聞かせてください
来週の試合を絶対に勝って、次の順位決定戦でも勝ち、最終的には1部リーグ入れ替え戦に臨めるように絶対に勝ちたいと思います。
倉持洵(スポ2=東京・国学院久我山)
――東京都学生連盟リーグ戦(リーグ戦)も3戦目となりました。初戦と比べて精神面の変化はありますか
最初の方はあまり的中も伸びずにどうしようと迷っていました。先週もスタメンだったのに崩れてしまって、試合慣れをしていない部分が大きく目立ってしまって自分の力が出せなかったのですが今週は練習からきちんと中てられるようになって、きのうの試合を模した形式の練習でも立で中てられるようになったのでだいぶ自分のなかで自信ができたというか、やることをやれば活躍できるという風には思えるようにはなりました。
――終始、接戦となりましたがきょうの試合の展開をどのように捉えられていますか
自分自身があまり的中を見てしまうと意識してしまうのでできるだけ見ないようにしていました。最初は1本差で勝っていたのを見てたぶん大丈夫だなと考えていて最後も初立が14(中)というのを見て、いまの流れならいけると思って最後に臨めたので中盤は崩れてしまったのですが全体としてはワセダを持っていけたのかなと思います。
――倉持選手の留め矢で勝利が確定したと思いますが、プレッシャーなどは感じられましたか
そうですね。自分としても初立の的中は知っていたのですが相手の的中は全く自分の頭の中には入っていなくて、とりあえず自分がやることをやるだけっていうのが最後の立に臨んだときの目標だったので、やるべきことはできたのかなと思います。
――高的中を出されていましたが、ご自身の調子はいかがですか
最初の付け矢のときはどうしようという部分があったのですが途中から中村さん(浩太郎、創理3=東京・芝浦工大高)からの指導もあってだいぶ落ち着くことができたので、良かったと思います。
――次戦までに修正したい点はございますか
2本抜いてしまったのですが、どちらもひどい抜き方をしてしまったので抜いたときも邪念というか中てなければという部分が大きくなってしまったので常に同じことを繰り返して同じ精神状態で臨むということが次戦までの目標です。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
最後は順位決定戦に向けての大事な、勝たなくてはならない一戦なので絶対に勝ちきって入れ替え戦までつないで、1部昇格に臨めるようなステップとして考えています。