男女とも入賞ならず

弓道

 全関東学生選手権(全関)2日目。団体予選を好成績で突破した早大のさらなる快進撃に期待がかかる。迎えた決勝トーナメント2回戦。予選で12射皆中と完璧な射をみせていた女子が筑波大に敗戦を喫する波乱の展開に。全関2連覇中の女王は2回戦で姿を消すこととなった。男子は2回戦を突破し、鬼門の3回戦へと駒を進める。中大との一戦は1手(2射)競射までもつれる熱戦となるも、集中力を見せた早大が勝利を収め準決勝へ。しかし準決勝、3位決定戦はともに一歩及ばず惜敗。4位という悔しい結果に終わった。

 決勝トーナメントではその力を出し切れなかった。早大は2回戦で筑波大と対戦。「試合前の雰囲気がきのうときょうとで違った」と吉田友理子(スポ2=石川・小松)が語るように、トーナメント独特の緊張感からか思い切りの良い射ができない。12射7中と的中を伸ばせなかった早大は7-8で筑波大に敗戦。全関は2連覇中だっただけに、悔しい敗退となった。一方、団体の後に行われた個人の決勝射詰では吉田が順調に勝ち残る。5本目を抜いてしまい優勝とはいかなかったものの、続く4位決定の遠近競射。通常の尺二的よりもさらに小さい八寸的の的心から2センチ近くに的中させ、勝利。吉田は早大勢で唯一の4位入賞を果たした。

残心を取る吉田

 男子は2回戦を17―12で勝利して迎えた3回戦。中大との一戦は息を呑む熱戦となる。互いに3射目までを終えて16-16の同中に。4射目の落前を終えても20-20となり、勝負の行方は大落の的中に委ねられる。ここで両校ともに大落が抜き、同中。一手競射で決着をつけることになる。早大はこの一手競射で集中力を見せ、全員が皆中。12-9で中大に勝利する。続く準決勝・桜美林大戦でも24射21中と高的中を残したが、桜美林大が23中でこれを上回ったために決勝進出はかなわず。3位決定戦は慶大との早慶戦となるが、的中を落とした早大は19-22で敗戦。4位で大会を終え、表彰台には一歩届かなかった。

18射17中と活躍した橋本

 男女ともに好調を維持していただけに悔しい結果となった今大会。遠山雄人主将(スポ4=奈良・橿原)は今大会の結果を「いまのワセダの現状」と捉えている。月末には全国大学選抜大会も控えており、さらなるレベルアップが求められる。今大会で見えてきた課題を一つ一つ改善し、夏にはさらに進化した射を披露してくれるに違いない。

(記事 市川祐樹、写真 手塚悠、松田萌花)

尺二…近的競技で使用される直径36センチメートルの的。一尺二寸に相当することから尺二と呼ばれている。

八寸…直径24センチメートルの的。より的中しにくいため、順位決定の射詰競射などで使われる。

結果

▽男子団体 大久保侑(スポ2=岩手・福岡)、橋本和久(先理3=東京・早実)、永山豪朋(文構3=東京・早実)、手塚達也(政経2=東京・早大学院)、平山雄大(創理4=東京・早実)、遠山
2回戦 
○早大17―12宇都宮大
3回戦  
早大20―20中大
一手競射
○早大12-9中大
準決勝 
●早大21―23桜美林大
3位決定戦
●早大19―22慶大
▽女子団体 吉田友理子、鈴木麻理(文2=東京・早実)、熊田ゆい(教3=長野・下諏訪向陽)
2回戦 
●早大7―8筑波大
▽男子個人 
大久保侑
○○○ ○×
島村達哉  
×
川島大和  
○×
野田祥吾  
○×
▽女子個人
吉田友理子 
○○○ ○× ○
皆川彩
○○○ ×
村田あすか
○○×

コメント

遠山雄人主将(スポ4=奈良・橿原)

――まずはきょうの団体の結果を率直に振り返っていかがですか

きょねんの結果は超えられたんですけれど、やっぱり入賞を逃してしまったというのがいまのワセダの現状という事で、この現状で甘えることなくしっかりもっと上の方を目指していきたいと思うので、インカレ(全日本学生選手権)の方ではしっかりと日本一を目指していけるチームにしていきたいと思います。

――きのうの予選は非常に結果が良くて、その後練習をされたという事ですが何か改善すべきところなどがあったのでしょうか

しっかり予選から練習通りの的中が出ていたので、一旦道場に戻ってから練習したのも、もう一度しっかり出来ているかとか、自分自身で改善する点がないかを確認してもらっただけなので。僕自身から何か改善しろとかいうのではなくてしっかり自主性に任せてきょうの試合に臨んでもらいました。

――その中で迎えた団体決勝の射でしたが、皆さんとても気合が入っていたように感じたのですが

そうですね。みんな大事な試合だという事を自覚してくれていて、朝から気合の入った射をしてくれたのは各自が日頃の練習からしっかり心がけてくれていたからだと思います。

――3回戦の中大戦では一手競射までもつれる試合となりました。競射では全員が皆中という事で1本への集中力を感じたのですがいかがですか

練習の時点から一手競射があることは想定して練習していたので。ノルマとかいろいろ工夫して練習していたのでその結果が身に付いてきたかなと思います。

――準決勝の桜美林大戦は非常に相手もいい射をしていて強かったと思いますが、勝つために何か足りなかったという部分は感じましたか

そうですね、気持ち的な面では桜美林にも勝っていたと思うので、本当に純粋に技術力の方がワセダはあと一歩足りなかったというところですね。

――3位決定戦では定期戦では勝利していた慶大とでしたが、19中という事で少し疲れも見えていたのかなという印象を受けたのですが

多少疲れは見えていたのですけれど、やっぱりこういう的中も練習では出ていたので、そういう点では練習通りの的中が出ていたかなと思います。スタミナという面でもやっぱり技術力のところに入ってくるのでそういう点でもワセダはあと1歩届かなかったのかなという感じですね。

――今後に向けての課題などがありましたら教えてください

しっかり引けてきているので、あとはもう少し細かいところの技術的なところをしっかりやって、皆でもっと一丸となって勝利を掴み取る気持ちを固めていくという感じですかね。

吉田友理子(スポ2=石川・小松)

――きょうの試合までに、どのような準備をしてきましたか

本番の試合の雰囲気を出すために、練習方法を変えたり、練習から全員で雰囲気を盛り上げたりしました。

――具体的にどのような練習方法を取り入れましたか

何中以上中てるというノルマを設定したり、全関(全関東学生選手権)は応援の声が大きいので、きょねんのビデオの音を流して雰囲気をつくって練習していました。

――予選は12射皆中、決勝トーナメント2回戦は7中でした。結果を振り返っていかがですか

団体の3人のメンバーがなかなか決まっていなかったので、誰になるのか自分自身も気になっていました。予選は1発しかないので、全力でしようと思いましたが、決勝は気が抜けてしまった部分もあって、自分自身の力も出ていなかったなと思いました。

――個人では、4位に入賞し、ガッツポーズもされていましたがいかがですか

嬉しいですが、優勝を密かに狙っていたので悔しさもあります。的が八寸になってからも、練習はしっかりしていたのでいけるかなと思っていました。

――今大会を通して、何か課題は感じていますか

会が短いので会を充実させることが一番の目標です。あとは、チームの雰囲気、気持ちの持って行き方が足りないなと思っています。

――その雰囲気をどのように変えていきたいですか

団体の試合前の雰囲気がきのうときょうとで違ったので、自分で雰囲気をつくっていきたいと思います。

――個人4位という結果を受け、次への抱負、意気込みを聞かせてください

次が選抜(全国大学選抜大会)なのですが、選抜は他のメンバーが入っているので、日本一になってもらうことと、インカレ(全日本学生選手権)で個人も団体も優勝できるように頑張りたいです。