4年生、現役生活最後の応援 甲子園で応援部人生をやり切った

応援

 「チアリーディングステージ2022」(チアステ)を終えた翌日。応援部の姿は早稲田ではなく阪神甲子園球場(甲子園)にあった。3年ぶりの甲子園ボウルへの出場を果たした米式蹴球部「BIG BEARS」を応援すべく甲子園に乗り込むと、この日も全力の応援活動を行った。応援活動は試合前の応援合戦からスタート。試合中はプレーが完了するたび、フィールドの選手へ向けエールを送った。4年生にとっては最後の応援、そして最後の活動日。最後の魂を振り絞って応援を全うし、4年間の応援部人生をやり切った。

 時刻が正午に差しかかる頃、レフト側ポール付近で校旗が掲揚され、応援合戦が幕を開けた。三塁側を陣取った応援部はグラウンドにチアリーダーズとリーダーが立ち、吹奏楽団が応援席で座奏する構成で関学大と交互に披露。日本一をかけた戦いを前に観客と応援練習を行った。1曲目は『暴れん坊早稲田』。応援曲メドレーでは『大進撃』をはじめ応援曲の前に接続することも多いこの応援曲だが、ワンプレーが終了するたびに選手を励ますため、今回は単独での演奏が行われた。続く『GUTS!』は第1クォーターと第3クォーター開始時に演奏される曲。チアリーダーズ総勢39名がチアステの疲れを感じさせない力強いダンスを見せれば、吹奏楽団は力強く音色を甲子園の空に響かせた。3曲目の『Viva Waseda』に突入すると髙橋幸太リーダー練習責任者(教4=茨城・竜ヶ崎一)がセンターリーダーに。続く『バンビーナ』でもセンターリーダーを務めた髙橋。自身にとって最後となるテクを終始丁寧に振る姿が印象的であった。応援合戦も終盤に差しかかると、おなじみの『コンバットマーチ』。リーダー4年生5名と背後のチアリーダーズによる渾身の突きは、試合開始を前に早大の闘志を呼び起こす。最後は『紺碧の空』と『得点校歌』を演奏し、早大の得点を祝う準備を整えた。試合前の応援活動の最後を飾るのは、校歌斉唱によるエール交換。江渕太朗代表委員主務(文4=東京・海城)を中心に拳を振り、「王者を占むるは覇者早稲田」の文字切りで早大の勝利を願った。

センターリーダーを務めた髙橋

『紺碧の空』を振るリーダー4年生と背後のチアリーダーズ

司会を務めたリーダー3年生・永井武尊(文3=熊本・済々黌)

 試合開始を迎えると、早大の選手を全面でバックアップする。チアリーダーズが花道をつくり、『紺碧の空』とともに選手を送り出す。試合中は好プレー時には『Viva Waseda』で選手を讃え、苦しい場面では『ダイナマイトマーチ』や『健児コール』で選手を励ました。前半の早大の得点はFG(フィールドゴール)1つのみで『紺碧の空』を歌うことができないまま後半へ突入。劣勢の展開の中、一人一人が声を出し、巻き返しを狙う選手たちを心から後押しした。リーダーは木部昌平応援企画責任者(教4=埼玉・昌平)らが力強く太鼓をたたき、吹奏楽団は富山智恵理応援企画責任者(政経4=埼玉・早大本庄)、チアリーダーズは横田奈々応援企画責任者(教4=東京・明治)がサインを出し、演奏やダンスを全うする。全員が応援に全力を尽くした。そしてついにその思いは実を結ぶ。最終クォーター、2つのTD(タッチダウン)。甲子園のグラウンドに西日が差し込む中、『紺碧の空』『得点校歌』がとどろく。絶対王者・関学大には敵わなかったが、最後まで応援部の諦めない姿勢が体現された瞬間だった。

ダンスを披露し続けたチアリーダーズ

 そして、試合後はエール交換で互いの健闘をねぎらう。江渕を中心に校歌を斉唱。スタンドでは部員と観客が拳を振る。そして送った最後のエール、「フレフレ早稲田」「フレフレ関学」。彼らの声がこだますると、拍手が鳴り響き、一塁側関学大スタンドへ一礼。4年生、そして令和4年度の応援活動が幕を閉じた瞬間であった。

 応援部が令和4年度も継続してきた全力の応援活動。選手に寄り添い、観客と一体となってエールを送り続ける姿は甲子園ボウルでも健在であった。今年は対面での活動も増え、選手の間近で応援することができた『原点』回帰の年。観客と交流を深め、最後まで応援し続ける甲子園での彼らの姿はこの1年を象徴するものとなった。また、4年生にとって現役生活最後の応援であったことも忘れてはいけない。アメフト応援に積極的に励んできた部員を中心に、3年ぶりの甲子園ボウル応援で成長した姿を見せる機会となったことだろう。そして何より、彼らは4年間の応援部人生で培ってきた闘志と熱意をこの日の応援にぶつけ、応援部員を最後まで務めあげた。4年生は翌日の代交代式をもって引退を迎えたが、早稲田大学応援部はこれからも続いていく。代々引き継いできた歴史と伝統。そしてそこに織り込まれるオリジナリティ。令和5年度も応援部員は継承と刷新でもって、全力の応援活動を体現していってくれることだろう。

※掲載が遅くなり、申し訳ございません。

※役職は当時のものです。

(記事 横山勝興、写真 小澤慶大、田部井駿平)

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