ア式と共に闘う 早慶クラシコ応援

応援

 駒沢オリンピック公園にて、早慶サッカー定期戦、通称早慶クラシコが開催された。雨が降り、気温が下がる中、選手たちは熱闘を繰り広げ、応援部も飛び跳ね、手を叩き、熱い応援で選手を後押しした。結果は1−1で早慶戦13年ぶりの引き分けとなり、両校共に悔しい結果となった。

 

 この早慶サッカー定期戦は関東大学リーグ戦の一節として行われたが、その中でもこの伝統の一戦を尊重し、特別な試合として開催された。その裏には開催までも、そして当日の運営にもア式蹴球部の部員たちの大きな努力があった。応援部が応援活動を行うことが可能になったのも、ア式蹴球部員が近隣へのポスティング活動などで理解を得て、実現したものであった。会場には学生団体「ULTRAS WASEDA」をはじめサポーターが作成した旗や横断幕が掲げられており、応援部が作成した「荒れ狂え早稲田」の横断幕もSNSで募集した応援のメッセージを乗せ、掲げられた。試合開始前にはア式蹴球部の外池大亮監督(平9社卒=東京・早実)も応援部員の元を訪れた。

試合開始前の外池監督と応援部

 

 試合開始前、雨で気温も下がる中、吹奏楽団の音出しが行われた。選手入場の際に演奏した『FIFA アンセム』はW杯でも使用される耳馴染みのある曲で、ア式蹴球部の強い要望に吹奏楽団も応じ、会場を盛り上げた。13時、試合開始の合図と共に、応援が始まる。サッカー応援では、普段の応援曲ではなくサッカー特有のチャントに合わせてULTRAS WASEDAと協力して応援する。会場の広さと人数の多さを生かした早稲田はフィールドを囲むように大きく展開し、内側にはチアリーダーズ、外周にはリーダーが並んだ。リーダーは3年生が中心に指示出し、鼓手を務め、4年生は2年生・新人と並んで応援に入った。前半、オフサイド判定となったものの一度ゴールネットを揺らすなど、何度か訪れたチャンスでは大きく盛り上がった。

チアリーダーズのハーフタイム演技

 

 ハーフタイムには、チアリーダーズによるハーフタイム演技が、チアリーディングステージ以外では初の披露となった。観客に笑顔で手を振りながら登場し、広い会場いっぱいに展開すると、華やかな演技で会場を魅了した。演技の最後にはスタンツも組み、圧巻のパフォーマンスであった。後半、先制点となるゴールを決めたのは慶應であった。響き渡る『若き血』に負けじと、「ここからここから!」と応援席を奮い立たせる部員たち。その思いが届いたか、攻撃を加速させゴールを奪い、同点に追いつく。『紺碧の空』を合図に反撃を開始した早稲田はペースを取り戻す。ロスタイムに突入してからも何度かチャンスを作ったが、ゴールには繋がらず、試合終了。両サイドで悔しさを分け合う形となった。

エール交換をする宮川隼代表委員主将(人4=千葉・稲毛)

 

 4年生の部員の大半にとっては、この早慶サッカー応援が最後の応援活動となった。下級生、特に新人にとってみれば、4年生の応援する背中を見る最後の機会であった。様々な制限と悪天候も重なり、全員が納得の行く応援ができたとは言えなかったかもしれない。しかしそれは同時に、部員にとっての気付きも多かったのではないだろうか。「応援」という活動自体が大幅に制限されるこの状況下で、今回の応援を実現した。新しい応援方法を模索しなくてはいけないこれからの応援部、活躍に期待する。

 

(記事 市原健 写真 渡邉彩織)

 

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

 

コメント

宮川隼代表委員主将(人4=千葉・稲毛)

――早慶サッカーの応援ができたことについてどう思いますか

そうですね。個人的な思いとしては昨年雲見さん(=恭光氏、令2スポ卒)という方が、サッカーに思い入れがありまして、自分は雲見さんに相当お世話になりまして、3年時代雲見さんに恩返ししたいということで当番をつとめさせていただいたので、そういう意味で早慶サッカーすごい思い入れがあったので個人的には開催できたこと自体がすごく良かったなということと応援部全体としてはこのご時世の中で数少ない早慶戦というものを応援させていただくそういった意味で喜びはありました。

――大人数の応援は久々でしたが、人数が活かせたところは

声が出せない分、その分拍手やハリセンの音になると思うのですが、物量と申しますか、そういったことが生かせたのかなと思えます。一方で、人数の割にはまだまだ出せる部分があったのかなと思います。

――新人や下級生と並んで応援というのはなかなか無いと思いますが、近くで見ていていかがでしたか

やはり新鮮で楽しかったなという思いがあるのですけど、2年生は昨年の場内応援とかやっているので、お客さんに対しての巻き込みをうまくやってくれたなというのはあります。新人に関しては頑張ってお客さんにとっつこうとして前に出てアプローチするんですけど、まだ反応というものがあまり得られていなくて、そういった意味で成長段階というのをしみじみと思ったというか、来年に生かせればと思います。

大久保友博学生誘導対策責任者(政経4=千葉南)

――「荒れ狂え」の横断幕はどのような思いで作成されましたか

観客の方が満足な形で参加できないんで、そういう人たちの気持ちっていうのを何かしらの形で表現したいと思って作成しました。

――外池監督をはじめア式蹴球部の方々との繋がりを大切にされていたと思います。

俺の中では外池監督の組織作り、組織マネジメントを、完全に参考にしていて今年の2月からずっと連絡とっていて、たまに話聞いてもらっているんですけど、とにかくア式から盗んだのは「みんなが同じこと言う」「みんなが同じ気持ち持って戦ってる」そのチームづくりは盗みました。

石島航輔副将兼吹奏楽団責任者(教4=東京・都市大等々力)

――普段の応援曲以外の演奏が大半だったと思います

例年サッカー応援は年間何回かあるのですが、今年は二回目ぐらいで。もうないかな、と思っていたのですが、四年間の最後にサッカーで使う曲も応援で吹くことができてよかったなと思います。

――観客と離れた位置での応援でした。その中で吹奏楽団の音で「届ける」という点で意識されたことはありますか

会場が広いので、もちろんマイクとかも使ってもらっていたんですけれども、寒い中でも、乱暴に吹くのではなくて、丁寧に会場全体に響くような音は意識していました。

――『FIFAアンセム』はア式蹴球部の強い希望だったそうですが

詳しくは把握していないのですが、ア式蹴球部の方から譜面も用意してもらって、吹いて欲しいということでいただいて、サッカーではよく演奏される有名な曲だったので入場の際に使用するということで、責任持って吹きたいな、というふうには思っていました。

――今年一年でほとんど最後の応援だったと思います

一年を通して(目標を)「届ける」としていたので、もちろん応援のマインドというか気持ちも大事だと思うのですが、音楽の方への意識というのは一年前よりは大分上がったと思っているので良かったなと思っています。やっぱりみんなが試合の雰囲気というかそこに乗っかるというか、出すべき時に出せる、そういったところはまとまったのかな、と思っています。

蘆野茉柚副将兼チアリーダーズ責任者(教4=東京・早実)

――今回のハーフタイム演技は今年ほとんど初披露だったと思いますが、いかがでしたか

いつもの早慶サッカーは合同演技とかハーフタイム演技を新人が出ることは少なかったんですが、今年はこの12月という新人が慣れた時期ですし、新人含めて全員で演技できたというのは、4年生最後の応援でもあったので、すごい感慨深いものになったかなと思います。チアステでちゃんと練習してきた曲ではあったので、チアステで練習した分、みんな結構細かい部分まで詰めて披露できたかなと思います。

――新人の成長についてはいかがですか

最初入ったときは右も左も分からない、何をすれば良いのか分からない新人だったのに、応援していく中で部活のルールだけに縛られずに心から応援を楽しんでいるのが伝わってきたのが良かったのかなと思います。

――人数が多く、場所を広くとっての応援だったと思いますが、手応えはありましたか

横一列で応援して、視覚的にパネルとかフラッグとかを使ってできたのが良かったかなと思いました。曲がかかっている時は声が出せなかったんですけど、それ以外の声援とかでは一人一人の思いが選手に近いところで応援させてもらったので、伝えることがいつもよりできたのかなと思います。

――ア式蹴球部に一言お願いします

まずは早慶戦お疲れ様でした。去年は早慶戦以外でもたくさんサッカーの応援に行かせてもらっていて今年はそれができなくて、直接声を届けられる応援が今回の早慶戦だけで、私花道メンツだったんですけど、その時からア式の人たちの熱い思いとかがすごい伝わってきて、そういうのを見て、この代のア式蹴球部を応援することができて良かったなと思いました。