秋も深まる早稲田キャンパス・大隈講堂にて、「チアリーディングステージ2020」(チアステ)が開催された。ことしはコロナウイルスという大きな壁が立ちはだかる中、無事開催に漕ぎ着けるどころか、いつも以上に輝くステージを成功させた。あるリーダー部員はチアステの会場でこう語った。「チアステの日って、1年で一番同期のチアが遠い存在に感じる日なんだよね。」それほどまでに彼女らが輝き、普段とは違う一面も見せる。新しい衣装も登場し、ステージテーマである「BEARS魂(プライド)」を見事体現した。
ステージの幕開けは黒を基調にえんじ色が映える新衣装に身を包み、1年生から4年生全員がアップテンポな曲で登場する。新衣装は早慶戦初日で着用した以降ではチアステで初披露された。全員が着ることのできる衣装は少ないというが、この衣装は応援部創部80周年に合わせて作られ、新時代のBIG BEARSの象徴となった。演目の間に差し込まれる司会と映像もチアステの見どころだ。ことしは入学式の中止に伴って披露する機会がなかった新歓演技の様子や他団体とのコラボレーションも工夫を凝らした動画で観客に届けられた。ジャズ・アイドル・セクシーのテーマごとに披露されたダンスメドレーや、『チャンス法政』 『不死鳥の如く』など六大学それぞれのチャンスパターンに合わせた六大学メドレーなどのステージではBIG BEARSの多彩な表現力を見せた。
新衣装で登場したオープニング
後半は応援活動にフォーカスしたステージを中心に披露される。箱根駅伝をモチーフにした演技では大手町で選手を送り出すシーンを再現。ニュージーランドの「ハカ」を取り入れたラグビー応援やことし初披露となったハーフタイム演技ではステージをダイナミックに使い、観客の心を掴んだ。続く応援ドリルステージには吹奏楽団・リーダーも加わり、ステージに華を添える。野球部10季ぶりの優勝を導いた応援曲『コンバットマーチ』は苦楽を共にした3パート4年生で披露され、『紺碧の空』はリーダー4年生に加えて12名のチアリーダーズ新人がフレッシュにステージを彩る。そしてステージの最後は、家族以上の時間を過ごしてきた大切な同期と共につくる、学年構成。これがラストステージとなる4年生は最後にスタンツを組み、「打倒コロナ」のパネルを高らかに掲げた。
23人の4年生による学年構成
フィナーレではGReeeeNの『U R not alone』に乗せて力強くBEARS魂を表現した。4学年全員が一人ひとりの想いを形にし、歌詞中にあるように「全てをかけて 笑えるように」全力のパフォーマンス、全力の笑顔を見せた。ことし、応援部のイベントで実際に観客を入れるのはこのチアステが初めてだった。逆境の中で工夫と努力を重ね、オンラインでは伝わらない魅力を余すことなく届けることができ、引退する4年生にとっても悔いのないステージとなっただろう。このBEARS魂を引き継ぐ後輩たちが作る、これからのBIG BEARSにも注目だ。
(記事 市原健 写真 中原彩乃、吉田美結)
コメント
小暮芽生実ステージ運営責任者(国教4=東京・早実)
――今の気持ちを教えてください
本当に2日前くらいまで開催できるかわからなかったので、開催できてほっとしています。
――ステージ上からの景色はいかがでしたか
今まで満席の大隈講堂を見てきたので、少ないな、と感じましたが、目と目が合うとやっぱりうれしいなと思いました。
――一番印象に残っている場面はどこですか
4年生なので余裕があって、舞台袖から下級生が演技しているところを見る機会があったのですが、努力が報われて、皆が舞台でキラキラ輝く姿を見た瞬間が一番幸せな瞬間でした。
――オンラインではなく大隈講堂で開催することを決めた理由は何ですか
やはり、オンライン開催も初めは考えていたのですが、お客さんとコミュニケーションをとりたいと考えていて、反応を生で見て、達成感を感じたかったですし、下級生にもその感覚を味わってほしかったので、観客ありでの開催にこだわってきました。
――開催にあたっての苦労はどんなところでしたか
コロナの状況によって、出来るかも、と思ったり、やっぱり無理かも、と思ったりしましたが、開催できるか確信が持てない中で部全体73人を引っ張っていくのが大変でした。
――他大応援部とどのようなやりとりをしましたか
いつもはここでみんなで演技をするのですが、六大学のみんなもそれを楽しみにしてくれています。その中でできなくなってしまったのですが、皆の中でもこの早稲田のチアステの存在が大きかったからこそ、応援してもらえたし、あのようにメッセージをもらえたという感じです。
――学年構成について下級生の演技へのコメントと4年生の演技を振り返ってどうですか
1,2年生が最初『さくらんぼ』で演技をしましたが、本当にかわいい構成になっていたと思います。サークルと違って4学年で活動する中で、やはり4年生から見るとまだまだ小さいなと思うことが多いのですが、曲に合っていて、まだまだかわいい大学一年生だな、という感じです。3年生は『無責任ヒーロー』という曲を使っていて、まず、元気な3年生にすごく合っているな、というのと、今まで3年間、一緒に活動してきているからこそ、いろいろな失敗も見てきています。その中で、「無責任」という言葉を重ねるのは少し違うのですが、そういったところもあって、あのときはまだ責任なかったよな(笑)、と思いながら、ある意味『無責任ヒーロー』というのがぴったりで、3年生も大きく成長したなというのを感じました。4年生構成の前半は今まで4年間で踊った振りを1年生から詰め込んでいて、皆で踊りながら、1年生からの思い出を振り返って踊っていました。2曲目は私たちが入部したときに当時の4年生が新歓で踊っていた曲なので、それを4年生である今、チアステで踊っているということがとても感慨深いです。
――何か所か小さめのスタンツを組まれていましたね
昨年まではどちらかというとスタンツメインで練習してきたので、1つでもいいのでスタンツをやりたいという風にずっとコーチの方とも話してきて、やっと射止めた2か所という感じで。ダンスもよくできあがってはいましたが、少しでも私たちの魅力を伝えることができたのがうれしかったです。
――新しい衣装について
たくさんの衣装があり、毎年新しい衣装が出るのですが、それはOGの方々の寄付によって提供してくださっているので、衣装が新しく出るたびにOGの方々がいてこその今のBIG BEARSなのだな、と思っています。
――同期の皆さんへ一言お願いします
今年は悔しい思いをたくさんしてきましたが、皆が一番輝いていて、さすが4年生だったよ、と伝えたいです。
――下級生への想いをお願いいたします
重なりますが、今年はたくさん悔しい思いをしてきたと思いますが、この1年間を助走に変えて、来年以降も輝いてほしいなと思います。
吉田奈央ステージ企画責任者(商4=早稲田佐賀)
――昼公演を終えてみて今のお気持ちを教えて下さい
ホッとしました。昼公演と夜公演で2部公演ということが初だったので、とりあえずその昼公演が終わったということで今はホッとしているというのが率直な感想です。
――有観客でのステージでしたが、ステージからの景色はいかがでしたか
懐かしいなというように思えていて、年に一度しかないのでまた大隈講堂に戻ってこれたなということを実感することができました。
――構成で一番印象に残っている場面はありますか
本日一番印象に残っているのは、フィナーレで私たちステージ部門(のメンバー)が斜めで演技したところで、アイコンタクトをとったことが一番印象に残っています。
――オンラインではなく、大隈講堂で開催することを決めた理由はなんでしょうか
やはり1年間活動が減ってしまった中で直接関係者の方に感謝の気持ちを伝えるにはオンラインではなくて、実際に開催してお客さんもありでステージを行うことが大切だというふうに考えたので(有観客での開催に)踏み切りました。
――企画を担当していたと思いますが、苦労されたことはありますか
やはりBIG BEARSが1番強みとして持っているスタンツができなくなってしまって、全て平場でのダンスのみで行ったことが一番苦労しました。
――何箇所か小さめのスタンツを組まれていました
四年生のみで組んでいるので、やっとスタンツを組むことができた喜びを感じられました。
――一緒にステージを作り上げた4年生の同期に一言お願いします
ここまでついてきてくれて、本当にありがとうという思いでいっぱいです。普段なかなか厳しいことばかり言って、感謝の気持ちとかを直接伝える場面がなかったので、ステージが終わったときには、みんなにありがとうって言いたいです。
――下級生への思いを
下級生には当たり前のことも当たり前ではないということをこの一年を通して実感できたと思うので、来年もチアリーディングステージが開催される際には開催されることが奇跡だということをしっかりと受け止めて来年以降も引き継いでもらっていければいいなと思います。
中川萌々ステージ広報責任者(国教4=愛知・南山国際)
――公演を終えた今の気持ちを教えて下さい
ギリギリまで開催できるか心配だった。無事開催できてお客さんの前で披露出来て感慨深いです。夜公演も残ってはいますが、演技しながら涙が出るくらい、できたことが嬉しかったです。
――ステージ上からの景色はいかがでしたか
中学時代からダンスをしていて、今後人前で踊ることは少なくなると思いながら踊りました。今年はオンライン配信での活動が多くて、お客さんのいない会場が多く、お客さんの前で踊る楽しさを改めて感じました。家族や友達など、大切な人に見てもらえるのが嬉しかったです。
――一番印象に残っている場面はありますか
自分が出ていないときに、同期や下級生の様子を見れたのが嬉しかったです。練習もマスク着用で顔も見れなかったので、特に笑って楽しそうに踊っているのが見えて嬉しかったです。
――オンラインではなく、大隈講堂で開催することを決めた理由はなんでしょうか
対面での実施は、オンラインに比べ制約があるのはわかっていましたが、対面でしか伝えられないものがあると思い、直接お見せしたかったので少人数でも直接お見せしたかったので大隈講堂での実施を決めました。
――開催にあたって苦労されたことはありますか
まずは例年行っているスタンツができなくて、準備していた演技ができずに一から作り直したというところで、不慣れな、全てダンスのステージを準備したところだったり、あとは感染対策、という部分で練習中もマスクをしたままで本番想定の練習がしづらい、ということがすごく大変でした。コーチや関係者の方々にも助けていただいて会場での感染対策という面でも例年はやっていないことなので、やるべきことが多く大変ではあったんですが、そんなコロナ禍でもできた、っていうことは幸せが倍増になったかな、と思います。
――最後にスタンツを組まれていました
スタンツは今回4年生のみが組んでいて。私たち同期が1年生の時のチアステはスタンツがあったのですがジェネラルスポッターという落ちた人を受ける人員ばっかりで全然組んでいなかったんですね、それが4年目になって少しではありますが、成長した姿を見せることができたのかな、と思っています。
――新しい衣装も登場しました
OG・OBの方々のご寄付で頂いた衣装で、人数が多いので全員がお揃いで着れる衣装というのが少ない中で寄付していただいたということと、珍しい黒基調の衣装で、今までにない衣装で、オープニングの曲のEDMで今までにないかっこいい感じにしていたのでそれにぴったり合うような衣装でした。本当にたくさんの方のサポートで成り立っているステージだな、と実感することができました。
――4年間駆け抜けた同期の方々への想いを教えてください
本当に同期がいなかったら続けられなかったので、4年間本当に、みんなのおかげで頑張れたと思って、本当にありがとう、しかないです。
――下級生への想いを教えて下さい
ステージ部門でも3年生のサブステージプロデューサーの4人を筆頭に下級生をまとめて引っ張っていってくれたので、きっと来年も大丈夫だと思っています。今回のテーマの「BEARS魂」というのは私たちが応援部を4年間続けてきた中で身につけたものだと思うのでそれを継承していって欲しいな、頑張って欲しいな、と思います。