第2回に迎えるのはAT上野美桜(国教4=東京・立川国際中教校)、AT拝原花歩(政経4=東京・早実)の2人。ともに攻撃の最前線であるATとしてチームに得点をもたらしている。リーグ戦を前に最終学年として迎えた今シーズンについて伺った。
※この取材は6月30日に行われたものです。
(拝原は)真逆だけどいい塩梅の相手(上野)
対談に臨む2選手
――お互いに他己紹介をお願いします
上野 彼女の名前は拝原花歩です。自分と同じポジションであるAT(アタック)を1年生の頃からずっと一緒にやってきました。性格は真反対というか私は感覚派なのですが、ばら(拝原)は頭を使って考えるタイプなのでハッとさせられることもあります。プレーもお互いに真逆ですが、コンビとしていい塩梅の相手だと思います。
拝原 彼女の名前は上野美桜で、コードネームは「じーな」です。中学生からラクロスをやってきて今年で10年目になります。私が入部した時点で7年目だったので、ポジションこそ同じでしたが、チームは一緒にはならなくて本当に雲の上の存在でした。私はそんなじーなと同じレベルでラクロスをできることを目標にやってきました。ラクロスが大好きで、いつもラクロス愛を叫んでいます。
――第一印象と今の印象を教えてください
拝原 最初の頃は明るくてイケイケな子だな(笑)と思っていました。あまり絡まないままチームが分かれてしまったので、ラクロスが上手い子というのが最初の印象です。今はとにかくラクロスが大好きという印象ですが、明るいという部分は変わってないです。
上野 ばらは私が入部した後に入った子だったのであまり関わりがなかったですが、風の便りで「あの子は女子テニスのキャプテンだったんだよ」と聞いて、どちらかというと怖いというか身構えてたのが最初の印象です。今となっては、後輩にいじられるソフトな一面を見せるようになりました。負けず嫌いなところがある中で、そういうお茶目なところも見せてくれて印象が変わりました。
――ラクロス部に入った経緯を教えください
拝原 私は中高、軟式テニスでずっと個人スポーツをやっていたので、(大学では)団体スポーツをやりたかったです。初心者ができる団体スポーツとなると、ホッケーかラクロスかという中でラクロスの方が人数が圧倒的に多く同期もたくさんいて、競争も激しいという部分で迷わず選びました。
上野 私は正直、大学でラクロスを続ける気はなかったのですが、高3で部活の引退が決まって顧問の先生にお礼を言いに行った時に、副顧問の先生から「やりきった?」と聞かれて、そこで「やり切りました」と言えなくて。本当は辞めるつもりだったのですが、そのときに初めて自分の中で「あ、自分ラクロスやりたいんだ」と感じました。そこから志望校も、大学ラクロスの1部リーグに所属している大学だけに絞って決めました。
――ATになった理由は何ですか
上野 実は中高ではMFをやっていました。ですが大学のラクロスでは競技の質が上がって、MFも体力やフィジカルが全く違いました。1年生の夏からトップチームに上がってたのですが、体も全然できていない状況で当時のコーチに「ゴール前で点決めてくれればええから」みたいな感じで言われて(笑)、自分も「走らなくていいならいいや(笑)」と思ってATになりました。
拝原 1年生の年明けくらいに完全にATに絞りました。その理由が3つあって、一つ目は1年生の時から本当にケガが多くて、当時やっていたMFは一番走るポジションなのですが、この体でそこまでできるのかという不安がありました。二つ目は、ケガの影響でアタックの練習はしていたのですがディフェンス面で他の人たちよりも遅れをとっていました。自分の中でもディフェンスよりもアタックの方が楽しく自信もあったのでATにしようと思いました。三つ目は、同期のじーなが絶対に活躍することはわかっていたので、他の同期よりも早くATになって「じーな・ばら」でコンビを組めば今後、試合に出ていけるのではないかというところもあって、ATになりました。
――早大ラクロス部で3年間過ごしてみていかがですか
拝原 テニスは個人の技量にかかってくる部分も多いですが、ラクロスは団体スポーツということで、みんなでいろんなことを話し合いながらチームをつくりあげて、いろいろな人と関わり合いながら練習や試合を行っていくので、団体スポーツならではの楽しさを味わえました。入って良かったなと思います。
上野 中学校でラクロス部を選んだことも、大学で続けようと受験勉強を頑張ったことも全部間違っていなかったと思いますし、必然だったのかなと感じます。結果的に、家も近くて自転車で通えるし、チームの雰囲気やコーチ、OGの方々も含めてアットホームで本当に選んで良かったですし間違ったと思ったことはないです。
私は泥くさくやる方(拝原)
――4年生になって迎えた六大学交流戦(六大戦)はいかがでしたか
拝原 個人としての成長はすごく感じた試合でした。3年生の時の六大戦と比べても自分が主軸としてやっていかなければならない、というところは感じました。自分個人としてはチームへの貢献度に成長を感じた試合でしたが、チームとしては上手くいかない部分も多くて正直不安なスタートでした。
上野 私はユースの遠征でケガしてしまって出場できなくて。
拝原 じーながいなくて、ATの中で私が一番上でやっていかなければいけなくて不安で大変でした。
六大戦の明大戦で攻撃を仕掛ける拝原。上野が不在の中、攻撃陣をけん引した
――早慶戦についても振り返っていただけますか
上野 早慶戦は、前半折り返した時点で7対2くらいに点差つけられて「もうこれは歴史的大敗だ、先輩たちいるのにやばいな」という感じになってしまったのですが、その時に片岡咲季(文構4=埼玉・早大本庄)が「あと何点取る?何点取る?」って聞いてきて「さ、3点」と答えてそこからギアチェンジして入ったので、そこは咲季に「本当にありがとう」という感じでした。そこからゾーン入って、交代なしでずっとフルで出て正直身体的には疲弊してきつかったです。気づいたらMFの子たちがボール取ってくれて、パスくれて打つみたいな怒涛(どとう)の4Qだったので、楽しさを感じる間もないぐらい大変でした。
拝原 私はまず、早慶戦で緊張しない自分に成長したと感じました。3Qの時点では無理だとは考えてなかったですが、4Qで5対10くらいになって「もう無理だから、この試合楽しもう」ってみんなに言おうと思っていたら、怒涛(どとう)のじーなの得点ラッシュが始まって。先程も言った通り自分はみんなやるというのがすごい楽しいので、自分は諦めかけたけど、他の人たちはまだ諦めていなくてみんなでボールをつないで点数を重ねて結果的に1点差まで追い詰めたというところで、「やっぱり団体スポーツっていいな」と思いながらやってました。楽しかったです。
早慶戦でボールを運ぶ上野。最終4Qでは3得点とゴールラッシュを見せた
――早慶戦が終わってからの練習で意識したことはありますか
上野 早慶戦で最後、怒涛(どとう)の得点ラッシュの時に出場していたMFが全員下級生の2、3年生だったところから、下の子たちの力を感じました。チームの力も大事ですが最終的に求められるのは個人の力になってくるので、下級生をいかに育てるかを重視して、基礎に立ち返る練習メニューもたくさんこなしました。
拝原 この期間の練習は、試合直前の練習に比べてトップチームの人数を増やすので、トップチームに上がってきた子たちに声をかけてあげて、より育てようという意識がありました。個人としては早慶戦でほぼフル出場をして、リーグ戦でもこういう可能性があるんだなと思いました。4年生の意地として、リーグ戦では暑い中きつくても何があっても走り切って頑張る、ということを意識しながらやっていました。
――お二人の攻撃の特徴はどのようなところですか
拝原 私は足でいろいろかき回すと言いますか
、1on1でディフェンスに対してステップを踏んで(ディフェンスとの)ズレをつくることで攻撃の起点になる役割です。その後にずれたところに(上野に)パスを出して決めてもらうかたちです。あとは相手がボールをクリアしようとするところを、走り回ってついていくみたいに私は泥くさくやる方です。
上野 ばらがつくってくれたずれを生かして、(自分が)おいしいところをもらう(笑)という感じです。
――初戦は強豪・日体大との対戦ですがいかがですか
上野 私は一切緊張しないので、相手が日体大だろうとどこだろうと一緒だと思ってます。時期的にも、まだ日体大に向けた特別な戦術を固めてるわけでもないので、今までやってきたことをブラッシュアップする感じです。個人的に日体大は、中高の知り合いも多くいる強豪校なので、そこと初戦で当たれるのは逆に楽しみです。
拝原 初戦に強い日体大と当たるのは別に悪いと捉えてなくて逆にいい力試しというか、いい感じでその後につなげていくという感じでみんないいように捉えていると思います
みんなを楽しませながら自分も楽しむ(上野)
正解にたどりついたことを証明したい(拝原)
――リーグ戦ではどのようなかたちでチームに貢献したいですか
上野 早慶戦は最後にゴールポストに阻まれて入らなかったので、決め切るというところは自分の仕事だと自覚していますし、チームから求められていることだと思います。チームとしてはラクロスを好きでいてくれるリーグ戦にできればいいかなと。今年もすでに後輩たちが「ラクロス楽しいですね」みたいに言ってくれることが多くて、勝利はマストですが勝利の過程で楽しむこともできたらと思います。連戦になるので、もしかしたらメンタル的にも成績的にも苦しくなるかもしれないですが、みんなが楽しみながら戦っていけるリーグ戦にしたいです。
拝原 ざっくりとした目標ですが、精神的にも技術的にも4年生として安心感のある安定したプレーヤーでいたいです。加えて先程も言った通り、4年生だからこそ私が一番走り回って、こけながらも潰されながらも一番泥くさくプレーしてみんなにいい影響を与えられる選手でいたいです。
――最後にリーグ戦に向けて意気込みをお願いします
上野 モットーとしては、リーグ戦を通して考え続けたいなと。試合を通じて、考えて戦術や指示を出す役割があるので、どんな状況であろうと考えることをやめないことが、諦めないことや勝ちにつながると思います。最後はみんなを楽しませながら、10年目、ラストイヤーということで自分も楽しみたいです。
拝原 後輩の2、3年生が成長してきていますが、自分も負けないように最後まで成長し続けてチームに貢献したいです。私たちの代はコロナの影響を受けて、入部時期が遅かったり基礎固めができなかったりしたのですが、それでもやるべきことをやって最終的には正解にたどりついたことを証明したいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 廣野一眞 写真 飯田諒、廣野一眞)
リーグ戦に向けて意気込みを書いていただきました!
◆AT上野美桜(うえの・みおう)(※写真左)
2001(平13)年5月22日生まれ。東京・立川国際中教校出身。国際教養学部4年。コードネームである「じーな」の由来は、中学生の時に大学生と対戦した際、相手選手が「GINA」をコードネームにしていて、そこから拝借したそうです!
◆AT拝原花歩(はいばら・かほ)
2002(平14)年1月19日生まれ。東京・早実高出身。政治経済学部4年。乳酸菌が大好きだという拝原選手。乳酸菌を摂取するために、毎食ヨーグルトを食べて、飲料も牛乳かカルピスを飲むようにしているそうです!