劇的勝利で予選ブロックを突破するも、準々決勝ではドロー率に泣く

女子ラクロス

 2年生にとって最後の新人戦となる、あすなろカップが開催された。早大は日本女子大との連合チームで出場し、5月3日に行われた予選ブロックを1位で通過。5月7日に行われた準々決勝では、立大αを追い詰めるも、ドローでボールを獲得した割合を示すドロー率であと一歩及ばず敗退した。

 予選ブロックは3チームの総当たりで行われ、各ブロックの1位のチームのみが決勝トーナメントに進む。試合は1Q10分の2Q制で行われた。早大・日本女子大連合チームが最初に対戦したのは東農大・東大・一橋大連合チーム。第1Q、開始2分にMF水野文萌(創理2=埼玉・早大本庄)が相手の反則で得たフリーシュートを確実に決め、1点を先制する。直後に同点とされるが、6分にゴール前でこぼれ球をMF水野が拾い、MF増田明香(法2=東京・国学院久我山)にパス。これをMF増田が落ち着いてゴールを決め、勝ち越しに成功。第1Qを1点リードで終える。第2Q開始直後にも、MF五十嵐杏子(文2=神奈川・相模原)がゴール裏から自ら仕掛けて、追加点を挙げた。しかし第2Q中盤、相手に追撃の2点目を許すと、試合終了間際にもフリーシュートから得点を決められ3ー3の同点に。大事な初戦を取ることはできず、決勝トーナメント進出のためには第二試合での勝利が必須条件となった。

第一試合でゴールを決めたMF増田

 迎えた第二試合の対戦相手は日大。第1Qの前半は攻め込まれる時間が続いたが、これをしのぐと、4分にMF増田がフリーシュートを決め先制点を挙げる。ところが8分に相手の1on1を止められずゴールを許し、1ー1の同点で試合を折り返すと第2Q開始早々、フリーシュートで勝ち越されてしまう。このまま終われば予選ブロックを勝ち抜くことは出来ず、選手たちには焦りの色が見え始める。なかなか得点を奪えない重い空気が漂う中、迎えた第2Q6分。ここでMF三浦未来(日本女子大)がゴール裏から1on1を仕掛けると、相手ディフェンスを交わして放ったシュートはゴールに吸い込まれた。チームを救う同点ゴールに早大・日本女子大の両大学の選手、関係者が沸いた。さらに8分、MF五十嵐が積極的に攻め込むと、相手ディフェンスの反則を誘う。直後のフリーシュートを決めてこれが決勝点に。苦しみながらも、土壇場で執念の逆転劇を見せ、決勝トーナメント進出を決めた。

決勝トーナメント進出を決め、喜ぶ選手たち

 劇的な勝利から4日後、迎えた運命の決勝トーナメント。準々決勝は立大のαチームとの対戦になった。開始2分に相手のゴール裏からの侵入を防ぎきれず、大事な先制点を献上する。すぐさま、MF五十嵐が自ら切り込みシュートを放つも、これは相手ゴーリーの守備範囲。しかし再びボールを奪って攻撃体制を整えると、MF水野からゴール前にいたMF三浦(日本女子大)へのパスが通り、確実に決め1ー1の同点に追いついた。その後、勝ち越しを許すものの、9分にAT八澤百子(スポ2=東京女学院)がゴール裏から持ち込んで得点を奪い、引き離されずに食らいつく。そして第2Qの序盤、MF水野が「いけると思った」と果敢に1on1を仕掛けてゴールを決め、ついに勝ち越しに成功する。準決勝進出が近づいたかに思われたが、立大αも底力を見せ3点目を奪い、またも同点に。以降、両チームとも勝負を決めることはできず、試合は4分間のサドンデスに突入した。ここでも両者はお互いに一歩も譲らないまま、同点でサドンデスは終了。本来は予選ブロックの成績で勝敗を決めるが、勝ち点、得失点差、総得点が全て同じだったため準々決勝のドロー率で決めることに。その結果、ドロー率で優勢だった立大αが準決勝に進出。早大・日本女子大連合はここで無念の敗退となった。

準々決勝で一時勝ち越しとなるゴールを決めたMF水野

 2年生は、昨年の新人戦サマーステージ、ウインターステージで目標にあと一歩届かず悔しい思いをしてきた。「みんなこのチームで優勝したい、ということを口に出してやってきた」とMF増田が語るように、2年生があすなろカップにかける思いには強いものがあった。結果的には、得点には結びつかないわずかな差でその思いを叶えることはできなかった。しかし昨年の春に入部して以来、積み重ねてきた努力と経験は、必ずや『金井組』そして来年以降のチームにとって欠かせないものになるだろう。来週に迫った早慶定期戦の出場メンバーにも、あすなろを経験した2年生が複数名含まれている。下級生ながらも、チームの柱となりつつある2年生の今後の飛躍に注目したい。

(記事 廣野一眞、写真 飯田諒、沼澤泰平)

 ※ドロー:試合開始時や得点後のプレー再開時に行う。フィールドの中央にクロスの裏側を向け合い、間にボールを挟み、審判の合図でボールを奪い合う。

東京六大学交流戦でドローに臨むMF齊藤莉果子(先理3=東京・小山台)

結果

予選ブロック

▽第一試合 △3ー3 東農大・東大・一橋大連合(早大得点者:五十嵐杏子、水野文萌、増田明香)

▽第二試合 ◯3ー2 日大(早大得点者:五十嵐杏子、増田明香)

決勝トーナメント

▽準々決勝 ●3ー3 立大α(早大得点者:八澤百子、水野文萌)※ドロー率により敗退

コメント

予選ブロック

MF増田明香(法2=東京・国学院久我山)

――今日の2試合を振り返っていかがですか

 どちらも接戦で、私たちは接戦に弱いので、相手のゴールが決まったときにお互いに鼓舞し合った場面もありましたが、最後の最後で勝ち切れて嬉しいです。

――チームで意識したことはありますか

 毎回の練習で必ず絶対にやることを決めて、練習に臨んでいて今日の試合の前もそれをしっかりみんなで確認し、共有しながら試合中もできたので、今までの積み重ねが結果につながったのかなと思います。

――2試合とも得点をあげましたが、ご自身の攻撃はいかがでしたか

 自分で1on1を仕掛けて決めたというよりは、味方がいいところでパスしてくれて私はただターンをして決めただけなので、仲間に助けられた点だったなと思います。

――昨年12月の新人戦から成長したと感じる部分はありますか

 個人個人の1on1での強さを、早大・日女大合同チームはみんなそれぞれ持っていて、誰が仕掛けてもいけるのはすごい強みになったと思います。

――決勝トーナメントに向けて意気込みをお願いします

 同期と(ともに)戦う本当に最後の試合ということで、みんなサマー(ステージ)のときから、このチームで優勝したいということを口に出してやってきたのでチーム一丸となって最後まで諦めずにできたらいいなと思います。

MF五十嵐杏子(文2=神奈川・相模原)

――今日の2試合を振り返っていかがですか

 接戦で油断できない時間が続いて、気持ちも切れそうな場面もあったのですが、コートの中で声を出し合いながら最後に勝ち切れたのは良かったです。

――第二試合では決勝点をあげられましたが、ご自身の攻撃はいかがでしたか

 あの時間帯は空気が悪くて、なんとか点を決めたいと思って1on1を仕掛け始めたところ、たまたまフリスペ(フリースペース・トゥ・ゴールの侵害)を取ってもらえて、フリシュー(フリーシュート)を決められたのは本当に良かったです。

――昨年12月の新人戦から成長したと感じる部分はありますか

 サマー(ステージ)、ウインター(ステージ)と違うところで言うと、あすなろは選手だけでチームを作って戦術を考えてやるので、ベンチに助けを求めずに、コートの中で自分たちでゲームをコントロールできたところは成長できた部分だと思います。

――決勝トーナメントに向けて意気込みをお願いします

 サマー、ウインターで悔しい思いをしてきたので、あすなろは絶対優勝で終われるように頑張ります。

決勝トーナメント

MF水野文萌(創理2=埼玉・早大本庄)

――準々決勝の結果についてはいかがですか

 1年間何も知らないところからラクロスを始めた仲間との最後の試合で、勝ち切ることが目標だったので次に進めなかったことに、すごい悔しさが残ります。

――ご自身の得点シーンについて振り返っていただけますか

 今日はあまり1on1を仕掛けるタイミングが無かったのですが、2Qの入りで相手も準備できていない中で、いけると思ってかけ始めました。チェックとかされて、ちょっとコースも微妙だったのですが、結果として入ることはできたのでチームに貢献できて良かったです。

――サドンデス前にチーム内で話したことはありますか

 今までやってきた中で初めてのサドンデスだったので、サドンデスがどうなるかも分からなかったですし、2Qが終わってからのサドンデスだったのであまり覚えてない状態です。1回経験ができたので、今後リーグ戦とかでもチームに還元できるようにしていきたいです。

――あすなろカップ向けてどのような準備をしてきましたか

 1週間後の早慶戦に向けて、チームが動いていく中で、2年生の中でも早慶戦のメンバーに入っているメンバーと、入っていなくてサブで練習してるメンバーとバラバラだったりして、上手くみんなの気持ちを一つにまとめて練習する時間は少なかったです。実際心はバラバラな状態ではあったのですが、いざ明日があすなろとかなったときに、自然と一致団結して「最後頑張ろう」みたいになって。練習時間は少なかったのですが、その中でも自分たちの目標は見失わずに、一人一人がしっかり自覚をしながらやってきたかなと思います。

――このチームでサマー、ウインター、あすなろを戦ってみていかがでしたか

 全部優勝を目指してやってきて、準優勝、ベスト8、ベスト8という結果に終わってしまったのですが1年間みんなと一緒にやってきたので、(2年生が)14人いるんですけど14人を信じて戦うことを1年間やってこれました。新人戦は1年の集大成を見せる場で、勝負はこれからなので、3回新人戦を戦って34期で培ったものを今後に生かして、リーグ戦や早慶戦の勝利につなげていきたいと思います。

――早慶戦も含めてこれからの意気込みをお聞かせください

 私は早慶戦のメンバーにも入っているのでしっかり、自分の役割をいつも通りの気持ちで実力を出し切ります。また慶大は強いですけど早大のみんな一人一人が役割を持ってやれば、勝てない相手ではないと思うので、しっかり勝つ気持ちで準備します。