前回大会、13年ぶりのアベック優勝を果たした早大ラクロス部。「自分たちの代で勝ちたい」と意気込む主軸の4人、AT倉田瑠々主将(文構4=東京・早実)、AT今井可菜子副将(社4=県立千葉)、MF山邊 七菜子(基理4=神奈川・日本女子大附)、DF鈴木明日葉(スポ4=埼玉・浦和一女)に2年ぶりの早慶戦にかける思いを伺った。
※この取材は5月5日にオンラインで行われたものです。
「勝利で関わってくれた人に感謝の気持ちを示したい」(鈴木)
相手の攻撃を食い止める鈴木選手
――ここまでのシーズンを振り返っていかがですか
倉田 『突破』というスローガンを掲げ、今シーズンスタートしました。正直、年々戦力が減っている中で、個々がレベルアップしないといけないという課題があると感じています。それらの課題を克服するという意味での『突破』というスローガンでやってきました。まだまだなのですが、最初に比べたら一人一人の技術はレベルアップしているのかなと思います。練習試合を重ねていく中でも、チームとして、勝ちを体現できているし、練習内での声かけや雰囲気づくりに関しても、チームとして目指すものに近づいているのかなと思います。ただやはり、今日の練習試合でもレベルの高い相手に技術で劣っていて、詰めが甘い部分があると実感したので、成長している部分は認めながらも、さらなる高みを目指してやっていけたらと思います。
今井 シーズン初め、キックオフしてから緊急事態宣言などで思うようなスタートが切れずに、当初は「このチームどうなってしまうんだろう」というような技術レベルや雰囲気だったので、自分たちが目指すチームをこれからつくっていけるか不安でした。六大学交流戦やこれまでの練習試合を通じて、4年生はもちろん、3年生、2年生も自分たちが求めるレベルに頑張って食らいついていこうという姿が見えてきています。早慶戦は、日本一に向けて、通過点ではあると思うんですけど、今は不安以上に楽しみな気持ちの方が大きいので、シーズン初めと比べると、個々が自分と向き合って成長しないといけないという気持ちで練習に取り組めていると思います。
山邊 コロナの影響や部員の人数が少ないということで思うように練習ができなかったり、自分たちのスケジュール通りに練習ができなかったりすることもあったんですけど、チームとしては日に日に、一体感や表現したいことの共通認識がとれ始めているなと感じています。練習試合で同じミスを続けてしまったり、相手に同じ攻め方でやられてしまったりすることが課題として挙げられるので、残り2週間(5月5日の取材時点では、5月16日開催予定だった)で修正力を詰めていかないといけないなと思います。個人としては、これまで練習できなかった分、今は思う存分練習できているので、チームとして厳しくしつつも上手くいったプレーがあれば盛り上げて、活気をつけながら早慶戦までやっていけたらと思います。
鈴木 今年は例年に比べて、チームとして目指している像が明確にあります。キックオフの時から幹部で話し合って、こういうチームに、こういうプレーをしていこうという目標に向けて一体感を持って取り組めています。その点では、六大戦や練習試合でできることが増えていると感じます。それでも、早稲田同士のチーム内の練習ではできていることが、他の学校が相手になるとできなくなるという課題があるので、 自分たちが目指しているものに向かって、どれだけ自分たちがやりたいプレーを表現できるようになるかというところを詰めていけると思います。試合に向けて、チームとしての雰囲気も上がってきていると思うので。
――昨年度、早慶戦は中止になりました。1年空いての開催になりますが、その点どのような思いですか
倉田 自分たちは3回目の早慶戦で、前回大会も試合に出させてもらって勝ったので、「来年も」と思っていました。コロナの影響で早慶戦ができなくなったことに関しては、悔しかったです。一つ上の先輩と早慶戦をしたかったというのは当初あったんですけど、今年いろんな人に支えられて開催予定であることはありがたいと思っています。どんな形であれ、開催できることに感謝して、支えてくださっている人や先輩たちに結果で恩返しできるように最善の準備をして試合に臨みます。
今井 昨年開催できなかったということで、一つ上の先輩は早慶戦で勝つという目標が無くなってしまったことを考えると、 先輩の分も頑張らなくてはいけないという責任感も試合が近づくにつれて感じています。また、自分たちの代は1年の時から、自分たちが4年になった年に早慶戦で勝つこと、日本一になることを目標にし続けてきたので、その舞台に立てることを純粋に楽しみたいというのが一番です。できる限り4年生が活躍してチームを引っ張り、早慶戦を見たことがない1、2年生にとって「早稲田の体育会に入って、女ラクに入ってよかったな。こういう経験を自分たちも来年、再来年したいな」というモチベーションになる試合を展開できたらと思っています。
山邊 昨年早慶戦が行われなかったのは残念で、特に昨年のリーグ戦は最後の立教戦で大敗してしまったので、個人としてもチームとしても今回の早慶戦にかける思いというのは、すごく強いです。自分たちが大学2年の時の早慶戦で久しぶりに慶應に勝って、アベック優勝という歴史的快挙をベンチメンバーで成すことができて、自信がつきました。そしてその次のリーグ戦に臨むこともできたので、早慶戦はすごく大きな存在だと感じています。リーグ戦の前哨戦とよく言われるんですけど、個人としてもチームとしても早慶戦に勝って、各々が自信をつけることができたら、リーグ戦にもいい形で臨めると感じています。多くのOB、OGさんが応援してくれているし、早慶戦は他大学の選手も観る大きな試合になので、早稲田の強さをそこで証明したいです。キックオフしてから今まで自分たちがやってきたことをフィールド上で証明できたらと思います。
鈴木 自分たちが2年の時、慶應に勝った早慶戦は自分自身はベンチメンバーには入れたけど、試合には出られなくて。チームとして勝ったけれど自分としては100パーセント喜べなかった、悔いの残る試合でした。だからこそ来年こそはと思っていたところで早慶戦が開催できなかったので、個人としては「今年こそは」という思いは強いです。チームとしては、自分たちが2年生の時勝利した際に、OG OBさんや関わってくれている人への影響力の大きさを感じました。早慶戦前ということで、コロナの状況下でも卒業生が練習に来てくださっていて、応援されて早稲田女子ラクロス部があるというのを感じているので、2年前に味わった勝利の感動や勝利という形で関わってくれた人に感謝の気持ちを示したいです、また、同期の中で一年の時から勝ちたいと思ってやってきたので、4年が引っ張って早慶戦を勝利で収めたいです。
――みなさんにとって早慶戦はどのような舞台ですか
倉田 1年になって初めて早慶戦を見て、ずっと憧れの舞台でした。2年になってその憧れの舞台に立つことができて、その時は気持ちが舞い上がっちゃって、プレーはしていたけれど地に足ついている感じがしませんでした。正直記憶もあまりありません。(笑)人がいっぱい入って、大勢の中でプレーすることって人生の中でなかなかないと思っています。今年は残念なことに無観客で行われるので、その舞台を体感することはできないのですが、オンラインで今まで以上の方が観戦してくださることを考えると、楽しみでもありつつ、緊張感やプレッシャーを感じられる試合なのかなと思います。その中でも自分たちがやってきたことや、自分たちが目指す勝利を掴むことによって大きな達成感を感じることができる試合だと思います。憧れであり、大きな舞台であるからこそ、自分のやりたいことやチームで目指すものを体現して、悔いの残らないよう、4年間の中で一番記憶に残る試合にしたいと思います。
今井 私にとって早慶戦とは、「憧れの舞台」というのが一番的確な答えだと思っています。自分は公立の学校で部活動をやってきたので、早慶戦を見た時に、こんなにも直接繋がりのない OBさん、OGさんが応援に来てくださったり、他大の選手からの注目度が厚かったり、とにかく大きな舞台で自分がプレーをするということが衝撃と感動でした。早稲田の体育会としてこの舞台を味わえるのは、女ラクに入った醍醐味だなと思いました。初めて見た時、衝撃だったので、部活に入ったからには4年間の中で自分がこのフィールドに立って、活躍できたらいいなと初めて見た時から思い描いていました。それがモチベーションにもなっていたので、私にとって早慶戦は憧れの舞台という一言に落ち着くのかなと思います。
山邊 私にとって早慶戦とは、今考えていて、被ってしまうのですが、憧れの舞台というのはみんなと変わらないのかなと思います。早稲田ラクロス部と慶應ラクロス部でしか味わえないですし、日本のラクロスの試合の中で、一番観客が集まるというところで、多くの観客の方に自分自身のプレーを観てもらえる、それだけ注目してもらえるというのは、嬉しいことだったり、その場で活躍したら観客も沸いて、自分の自信にもつながりますし、魅力的な場だと感じています。一昨年、自分自身が早慶戦の場に立って、実際に得点を決めることによって、自分の自信もつきましたし、多くの方に活躍している姿を見せることができたのは、恩返しというか支えてくださった方々に実際に姿でみせることができたのは、すごく大切な機会だったなと思います。自分自身がこれまで築きあげたものを発揮する場として、思う存分暴れたいと思います。また、自分が1年生だった時の4年生が活躍している姿は印象に残るので、入部したばかりの1年生にもそのような思いを持って、今後やっていってもらえるような、自分自身がその憧れの場でプレーできたらいいなと思っています。
鈴木 早慶戦は、早稲田と慶應の学生しか経験できない、一回きりの試合ですが、その分各校の意地というか強い気持ちを持って早稲田の選手も慶應の選手も挑む試合だと思っています。早慶の試合ではありますが、他大学のラクロッサーや卒業生も注目する、いろんな人に大きな影響を与える試合なので、一年に一度しかない、他とは違う特別な試合だからこそ、この試合にかける強い思いがあると思うので、気持ちは負けないように、楽しみたいです。
「ゆっくりでも一歩ずつ前に進めている」(山邊)
ドローを担当する山邊選手
――現在のチームやポジションごとの状態を教えてください
倉田 先ほど、早慶戦に向けて目標を設定して、それに向けてやっている中で、順調といえば言い過ぎかもしれないんですけど、自分たちなりに目標に近づいていると思います。ただ、早慶戦は通過点で、ゴールではないからこそ、私たちにはまだまだ目指すべき、高いところがあるので、その高い部分には全然到達できていないのかなと思います。そこに到達するために、一人一人の技術はもちろんですが、見て分かるくらいの熱量、表現力が欠けています。今日コーチから頂いた言葉そのままなんですけど、「うまさじゃなくて強さをみせる」というところで、今の早稲田は劣っている部分があると思います。個々のスキルは一人一人が向き合って考えていると思うので、特に自分や幹部中心に強さを見せるというところに関して、執着して全員で体現力を上げていきたいと思っています。ポジションとしては、私は攻めの部分のAT(アタック)をやっているんですけど、慶應がゾーンディフェンスなのでその対策を中心に行っています。例年、MF(ミッドフィルダー)の得点が多くて、得点する役割のアタックの活躍は乏しいんですけど、今年はATを中心に得点するシーンも増えてきたと思います。その部分に関してはさらにシュート決定率を上げて、チームの点を重ねることに繋げていけたらと思っています。例年に比べて練習内外で選手同士でプレーに関して話す機会が増えているおかげか、戦術理解や練習の中でのコミュニケーションがプラスにつながっています。これからの練習でも選手同士でコミュニケーションをとって、点につなげていこうと思っています。
今井 4年を中心にA、Bチーム、1年生全員が早慶戦に向かって、実感が湧かない立場の人もいる中で、各々がどうやって貢献するか考えて、行動に移すということを大切にしたいと思っています。それができているかと言われれば、まだまだのところもあるんですけど、Bチームを引っ張ってくれている4年や新入生を見てくれている4年生を中心に4年の中の意識は統一されていると思います。早慶戦に向けて全体でまとまるという部分に関しては、同じ方向を向けるような行動や話し合いができているので、下級生が置いてきぼりにならないようなチーム作りは進められています。ポジションに関しては、私もATなのですが、4年生が多いポジションなので4年を中心に引っ張りつつも、いい意味で先輩後輩関係なく、互いに要求しあったり、気づいたことを気づいたことを言い合ったり、下級生も遠慮せずにいってくれる環境です。そのおかげでお互い分からないことを分からないままにしないというところで、戦術理解の部分も深められていると思うので、そこは今年のチームのいいところかなと思います。早慶戦に向けて、4年中心で引っ張りつつ、3年生にも2年生にも高いレベルの要求をし合ってやっていけたらと思います。
山邊 チームの状況としては、自分たちがやりたいプレーが表現できないことも多々あるんですけど、二人が順調と言っていたように、ゆっくりでも一歩ずつ前に進めていると感じています。例年はMFの得点数が多かった中で、今年はいろんな選手が得点に絡めています。ATだけではなくてDF(ディフェンス)も一人一人特徴を持った選手が多いと思うので、その特徴を生かしたプレーができていると感じています。その中でもまだまだ課題は多くて。チームの流れが悪くなった時にそれをうまく断ち切れなかったり、そこから自分たちの流れを作り出せないというのは課題でもあるので、 早慶戦に向けて4年生を中心にチームとして切り替えだったり、流れがない中で自分たちのプレーをみせていけたらと思います。MFは4年が少なくて一緒にプレーするのも下級生が多いんですけど、MFはアタックもディフェンスもやって走り続けるポジションなので、それぞれがやるべきところでみせるということをやっていかなくてはならないと感じています。またMFはドローでうまくいけば早稲田の流れが作れるので、そこに注力していかなくてはいけないと感じています。ドローのところはうまさだけでなく強さをみせるというのが大切になってくると思うので、そこを早慶戦の場でみせていければと思っています。
鈴木 チームの状況は、例年に比べて人数が少なくて、選手の層が薄くなっている中で、個々の力を伸ばさないといけなくて。人数が少ないことで練習がうまく回らないこともあるんですけど、その分チームとしてコミュニケーションを密にとって、例年に比べてチーム関係なく話す機会をつくっています。一人一人がチームのために何ができるかというのを考えられているので、一体感を持ってやっていけていると思います。ポジションはDFについてですが、先ほどから「強さを見せる」ということがよく挙がっています。今年は特に守りのディフェンスではなくて、積極的にプレッシャーをかけて攻めのディフェンスをしていこうとやってきています。普段の早稲田同士の練習だとそれができる場面が増えてきている一方で、練習試合など普段と違う相手になると守りになってしまいます。自分たちが強気で攻めのディフェンスができていない時に失点することがあるので、相手に合わせて守るのではなくて、自分たちがやりたいことを表現していくことはこれから詰めていけるところですし、大事な部分かなと思います。もう一つは、落ちたボールを自分たちのものにしようというのをDFに限らずやっています。積極的にボールを取りに行っても、それを取れずに自分たちのボールにできないというシーンがまだ多いので、そこをしっかり取りきってATに繋いでいくということを今後伸ばしていきます。自分たちがボールを取りきれて、長くボールを保持している試合は勝てている印象が強いので、ボールに対する執着心においても強さを見せたいです。
「あとはやり切るだけだという練習量をこなす」(今井)
セットプレーからゴールを狙う今井副将
――それでは、お一人ずつ質問していきます。まずは倉田選手です。今年のチームの強みを教えてください。
倉田 人数が少ないことは、弱みだと思っていたのですが、今はそれが強みなのではないかと思っていて。コミュニケーションのとりやすさはもちろんですが、人数が多いと当事者意識が薄くなってしまいます。今のチームは考えさせる機会を増やしていますし、チームに対して自分がやらなくてはならないという意識が一人一人に芽生えていると思っています。ラクロスの面でも、組織の面でも、一人一人がチームの中での役割について考えることで、成長に繋がっていて、それが強みになっていると思います。
――早慶戦ではどのような点が勝敗を分けると思いますか
倉田 早稲田といえば、「泥臭さ」が代々引き継がれている強みなので、そこをいかに体現できるかというところに懸かっています。先日慶應と練習試合をさせていただいた時に、レベルはそんなに変わらないのかなと思いました。ただやっぱり、ボールに対する寄せや、ボールを取り切る力、気持ちを慶應は体現できていました。早稲田はやっぱり強さを見せる、その体現力の点で劣っていると感じるので、そこをいかに一人一人が、このボールは絶対取るとか、ここは決め切るという意思を持って勝ち切るというところが、小さなところではありますが、最後大きな差になるのかなと思います。
――続いて今井選手に質問させていただきます。現在AT陣の課題となっているところはどの点ですか
今井 今年のAT陣は自分含め、昨年に比べると試合に出ているメンバーが少なく、トップチームレベルの試合慣れをしていないので、安定感に欠けていたり、調子に波があったりします。ATとして、試合の流れをつくらないといけない場面で自らミスをしてしまうところがあるので、経験のなさからくる技術や気持ちの面での不安定さが課題だと思っています。一方で、AT陣は4年生が中心ということもあって、コミュニケーションのとりやすさは感じています。そこを強みに変えられるようにしていきます。
――それらの課題はどのように修正していますか
今井 とにかく量をこなすことですね。今日の練習試合でも感じたことなのですが、相手が強い、うまいというところから入ってしまうと、普段できていることができなくなってしまうので、そこは一人一人の気持ちの持ちようというか、メンタルコントロールの部分なのかなと思います。試合の時にその不安がプレーに出ないよう、自分たちはこれだけやってきた、あとはやり切るだけだという練習量をこなすところ。あとは4年が中心で、自分がやらないといけないという覚悟を持ちやすいと思うので、気持ちの部分で最後遠慮せずに改善していこうと思います。
――続いて山邊選手に質問します。戦術統括リーダーという立場から、ドローを含め戦術面で課題があれば教えてください。
山邊 ドローに関しては、自分たちのボールにできたら攻撃する時間が増えるので、重要なところだと感じています。今はドローがうまくいかなかった時の練習に注力していて、選手一人一人が得意なことが違うので、ある選手がはまらなかったら他の選手で試しています。ドローは自分自身、すごく深いと思っていて、相手のドロワーがどのように飛ばしてくるかを読んで、分析して、どのように対策すれば相手に思うように飛ばせないかというのを選手同士で話し合っています。ドロワーの一対一の対決だけでなく、囲みも相手を含めて4人選手がいるので、配置次第で、ボールが落ちた時に自分たちのボールにできるかできないか変わってきます。配置を工夫したり、ドロー練でどこに飛ばしたい、どこにいてほしいというのを積極的に声かけしています。
――声かけの部分は練習中から改善しているのですか
山邊 ドローを飛ばす時にコールがあって、それを判断材料に囲みの配置を変えているんですけど、はまらなかった時に囲みの出方は重要になってくるのかなと思っていて。ボールに早く到達するということも大事だと思うんですけど、いかに自分たちのスペースを作るかということもポイントとしてやっていて。スペースをつくることでボールが取りやすくなるので、うまく飛ばなかった時にどのように囲みを選手を配置すればいいかということを声かけしています。
――続いて鈴木選手に質問します。現在DF陣の課題となっているのはどの点ですか
鈴木 先ほども言ったように、積極的にプレッシャーをかけていくディフェンスを目標にしているのですが、それが他校との試合になると守りのディフェンスになってしまって、失点することが課題だと思っています。また、DFは自分が引っ張っているのですが、ATとは逆で3年生が多くて。ちょうど私が先週けがをしてしまって、練習に入れていないんですけど、その間中心になって指示を出して引っ張っていく人がいないことも課題だと思っています。チームで守っている以上、コミュニケーションは大事になってくると思うので、3年生のDFの中でも中心となって引っ張る、コミュニケーションが取れる力をDFとして上げていきたいと思っています。
――今出していただいた課題をどのように修正していますか
鈴木 プレッシャーをかけるディフェンスをどんな相手に対してもできるようにするという点は、早稲田以外の大学と試合ができる機会は限られているので、その中で自分たちができることを明確にして試合に臨み、表現できるようにしていくことです。また早稲田同士の練習の中でも、自分たちのやりたいことは変わらないので、いかに徹底してできるかという意識や全員が共通認識を持って強度を上げることをやっています。コミュニケーションの点では、DFはいろんなところを見ながら判断しなければならないので、やることが多いんですけど、まずはうまくいった時、いかなかった時のプレーを振り返って話し合う時に、この時はこういう声かけをしようとか、プレー以外のところでまずはコミュニケーションが取れるようにやっています。
「どれだけ強さをフィールドで表現できるか」(倉田)
自身のゴールを喜ぶ倉田主将
――早慶戦でキーマンとなる人はいますか
倉田 自分でありたいというのがまず一つですね。試合に出ている4年生は正直みんなキーマンになると思っています。自分は早慶戦に選手として出るのは2回目なんですけど、最初で最後になる選手もいるので、だからこそフィールドで大きな力を発揮してくれると思っています。全員が活躍するというのは下級生の時から目指していたので、全員がキーマンになって慶應を脅かせられたらいいなと思います。
今井 私は、キーマンと試合の勝敗を左右する人は少し違うと思っていて。個人的には早稲田の今の強みは各ポジションのキーマンが4年生であることだと思います。どこかのポジションは下級生主体という年が多い中で、今年はプレーでも練習中の行動でも引っ張っていくのが4年だということは強さだと思っています。このキーマンというのは他大にも知られているので、勝敗を分けるのはそれ以外の選手だと思います。試合経験がない選手が今年はたくさん出ている分、相手が強くなると気持ちの面で負けてしまったり、自分に自信がなくなって普段できていることができなくなったりするのでそこが越えられたらいい試合展開ができると思います。一方で、それ以外の選手が課題を克服できずに、弱気な状態で出てしまうと勝利を掴むのが難しくなると思います。キーマンは今までトップを走ってきた選手たちで、勝敗を左右するのはそれ以外の選手だと思います。
山邊 一人に絞れないですね。一人一人がキーマンになり得るかなと思います。それぞれが得意なプレーを持っているチームだと思っていて、グラボが得意な選手だったり、シュートが得意な選手だったり、1on1が得意な選手だったり。他の大学から見てキーマンと挙げられる選手は何人かいますが、その選手を厚くディフェンスしてきたり、それ以外のところから攻めてきたりするので、その中で、他の選手が強みを見せられれば脅威になると思います。全員がキーマンでありたいなという思いも込めてこのような答えにさせてください。
鈴木 この流れで誰か一人をキーマンに挙げるのは難しいんですけど。(笑)DFの選手をキーマンに挙げたいです。自分が特にコミュニケーションをとってきた選手たちで、3年生が多い中でも向上心を持ってやってくれています。自分たちがいない中でも、何ができていて何が課題なのか、どうしたらもっと良くしていけるかというのを考えている選手たちなので、その強い気持ちをフィールドでも表現してくれたら相手にとって脅威のディフェンスができると思います。私が下級生の時に見ていた早稲田はディフェンスが強くて、そこからチームを支えているというプレースタイルでした。厳しい場面で耐えて、積極的にプレーする場面ではボールを奪いにいって、ATにつなげるといういい流れができたらチームとしても盛り上がっていけると思います。DFがいかに強気でいい流れを持っていけるかをかぎとしたいです。
――最後に早慶戦への意気込みをお願いします
倉田 チームが始まって一番大きな試合で、4、5ヶ月早慶戦に向けてやってきたので、2週間詰められるところを詰めて、さっきみんなが課題として挙げてくれた「どれだけ強さをフィールドで表現できるか」というところを一人一人が体現すれば勝利できると思います。やらなければいけないことは一人一人が分かっているので、今まで通り向き合って突破してくれたらと思います。自分がやってきたことを自信につなげて表現し、全員で勝ちたいです。
今井 1年の時から自分たちが4年になった時に勝ちたいとずっと言ってきました。それが果たせる最初で最後のチャンスなので、絶対勝ちたいというのがあります。また、私たちの代は同期試合である新人戦で結果を残せなかったので、私たちを育ててくださった学生コーチたちに成長を見せて、感謝の気持ちを結果で返したいです。自分たちが4年生なので、先輩たちの引退がかかっていることもなく、4年に関しては各々の強みを発揮できたねと言い合えるように、まずはラクロスを楽しみたいです。
山邊 一番強いのは結果を残したい、その中で自分は攻撃に関わる選手なので、自分自身が得点して、勝利に貢献したいと考えています。最後の早慶戦というところで、同期が引っ張って勝ちたいですし、この早慶戦を持って1年生の育成に回る選手が2人いて、その選手とフィールドに立って戦える最後の試合なので、笑って終わりたいというのを強く思っています。
鈴木 先ほども言ったように、早慶戦で勝つことは周りに大きな影響力があると感じているので、まずは勝利という結果を残したいです。個人としては、早慶戦で悔しい思いをしてきたので、今年は自分が活躍したいという思いがあります。DFは一人では守ることができないポジションなので、みんなの強さを引き出すというか、自分が引っ張っていきたいです。まずは自分自身が強気な姿勢で、最後まで諦めないでボールを追いかける姿を見せてチーム全体で気持ちの強さをフィールド内で表現して、最終的に強い早稲田を体現し、勝てたらと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 後藤泉稀・山本泰新)
取材に協力いただいた女子ラクロス部の皆さん
◆倉田瑠々(くらた・るる)(※写真左上)
1999(平11)年8月20日生まれ。158センチ。東京・早実高出身。文化構想学部4年。前回大会は、気持ちが舞い上がってしまい、地に足がついている感じがしなかったと振り返ってくれた倉田選手。主将として迎える早慶戦、チームを引っ張るプレーに注目です!
◆今井可菜子(いまい・かなこ)(※写真右下)
1999(平11)年5月5日生まれ。155センチ。県立千葉高出身。社会科学部4年。初めて見た早慶戦での感動と衝撃がこれまでのモチベーションになっていたという今井選手。攻撃の要として、得点を量産します!
◆山邊七菜子(やまべ・ななこ)(※写真右上)
2000(平12)年1月17日生まれ。158センチ。神奈川・日本女子大附出身。基幹理工学部4年。試合の流れを決めるドロワー、MFとしてフィールドを駆ける山邊選手。これまで築きあげたものを発揮する場として、思う存分暴れたいと意気込みます!
◆鈴木明日葉(すずき・あすは)(※写真左下)
1999(平11)年9月16日生まれ。163センチ。埼玉・浦和一女高出身。スポーツ科学部4年。前回大会の悔しさゆえ、人一倍「今年こそは」という思いが強いと語ってくれました。鈴木選手を中心とする攻めのディフェンスに期待です!