最後の新人戦で予選敗退

女子ラクロス

 新2年生にとって、最後の新人戦が開催された。例年であれば、新人戦は1年夏、冬、2年になった春と3度あるが、今年度は新型コロナウィルス感染拡大のため、プレウィンターリーグという練習試合と今大会のみの開催となった。大人数の練習ができなかったこともあり、鈴木利奈新人コーチは今大会を「個々が伸ばしてきた技術を発揮する場として迎えた」と話した。予選は3試合、10分×3クォーター(Q)という時間で行われた。早大は、第1試合で日体大とあたり、まさかの敗北。続く、駒大、専大の合同チーム、明大との2試合は点差をつけて勝利を収めた。早大は、惜しくも決勝に駒を進めることができず、ブロック2位で大会を終えた。  日体大との第1試合、第1Q、開始早々に連続で得点を決められ、いきなり苦しい展開となる。しかし、第1Q終了間際、AT上野美桜(国教2=東京・立川国際中教校)のショットが決まり、1点を返してこのQを終えた。第2Qは早大に流れが傾き、3対3の同点まで追いつく。追加点が欲しい最終Qだったが、日体大のショットが立て続けに決まり、3対7で初戦を終えた。「最終Qは、気持ちの面で焦ってしまい、細かなミスが出てしまった」とDF阿部美幸(国教2=米国・The Winchendon School)は振り返った。予選全勝で決勝進出を目指していた早大だったが、初戦を落としてしまったことで、決勝進出が遠くなる。残された2試合に向けて、DF阿部は「1試合目で負けてしまったからこそ『次からは絶対に負けない』という気持ちが大きくなった」と意気込んでいた。

 

Q開始直前、声を掛け合う選手たち

 

 鈴木新人コーチは、「決勝進出の可能性も残っていたので、とにかく点差をつけて勝つように」と伝えたという。第1試合から切り替えて試合に臨んだ。続く駒大と専大の合同チームとの第2試合、予選ブロック最終戦である明大戦は、攻守がかみ合った試合となった。試合序盤から立て続けにショットが決まり、早大ペースで進む2試合となった。G金井美穂(教2=東京・神田女学園)のナイスセーブはじめ、DF陣のプレーも光り、両試合7—1という結果で勝利を収めた。2、3試合目を振り返って、MF渡邊海菜恵(スポ2=神奈川・山手学院)は「ボールを持つ時間が長かった。ドローをものにできた」と語った。

 

ドローに向かう茅野

 

 今大会を終えて、皆が課題としてあげたのは「基礎力の低さ」だ。実戦の機会を通じて、他大学のレベルを確認できたという。DF阿部は「技術的な部分に加え、マイナスな状況に置かれた時の勝ちを見据えて戦う力や勝ちにこだわる姿勢が足りないと気付かされた」とメンタル面での課題についても語った。 ブロック2位で終えた今大会。決勝に進むことは出来なかったが、プレウィンターからの成長も実感でき、収穫もあった。同期で優勝という一つの目標を目指して練習してきた過程は、今後も忘れられない経験になるはずだ。

(記事 後藤泉稀、写真 早稲田大学女子ラクロス部提供)

 

結果

 

▽1回戦 ●7—3 日体大 (得点者:上野2、茅野)

 

▽2回戦 ○7—1 専大・駒大合同チーム (得点者:上野4、拝原2、森田)

 

▽3回戦 ○7−1 明大 (得点者:山口2、片岡、渡邊、茅野、拝原、上野)

 

 

コメント

鈴木利奈新人コーチ(平30スポ卒)

――緊急事態宣言で練習が制限されていたと思いますが、具体的にどのような取り組みをして新人戦を迎えましたか

緊急事態宣言中ということで、部全体としてもAチームやBチームというようにチーム分けをしている状態でした。今回の新人戦においても、新2年生は分かれてしまっていたので、なかなか学年練習をする時間はなかったです。新人戦が開幕する週から学年全体で練習を始めたということで、回数としては2回という少ない回数で試合を迎えることになってしまいました。今回の新人戦の目標は優勝でしたが、組織としてプレーを合わせて試合に臨むというより、個々人が伸ばしてきた技術を発揮する場として新人戦を迎えました。

――試合を通して見えてきた課題は

合計で3試合やりましたが、初戦の日体大戦で多く課題が見つかったと思っています。相手も個の技術がとても高く、走力やクロスワーク、パスキャッチなど全てがこちらよりも上回っていたという印象でした。まだ、クロスを始めて1年も経っていない選手が多い中で、そのような個の技術をこれからどう伸ばしていくかという点において、他大のレベルを知ることができたのは今回の大きな収穫です。これを経験した選手たちがそれらの問題に対してどう向き合っていくか学べる機会だったのではないかと思います。

――1試合目の敗戦から修正した点は何ですか

目指していたのは全勝だったのですが、負けてしまったのが1試合目だったので、他の大学の結果によっては決勝に進める可能性が残っていました。そのため、1試合目以降はとにかく大きく点差をつけて勝つようにということは伝えましたね。あとは、「何がなんでも勝つ」という気持ちの部分です。落ちたボールを拾い切ることや自分で点を決めきるというところの強さをプレーに出していくようにと指示したと思います。

――課題を改善していくためには何が必要だと思われますか

ラクロスという競技は道具を使わなければいけません。初めてラクロスをやる選手にとってはそこが課題になっています。とにかくそのスティックを触る機会を増やすということが重要で、練習時間もそうですが、練習外の時間でどれだけクロスに慣れることができるかということが重要だと思っています。そこはやればやるほど上手くなっていく部分だと思うので、個々人がお互いにライバル意識を持って伸ばしていくことが大事かなと思います。

――反対に、手応えを感じた部分はありますか

限られた時間しか練習ができなかったものの、個人としては1対1で抜ききったり守りきったりするところをAチームとBチームのどちらもが練習してきました。12月に練習試合という形で他校と試合をする機会があったのですが、そこと比べると一人一人の突破力や守備力は伸びてきたかなと思います。あとはそこのレベルをさらに上げていくことと、先ほどもお話した通り、個人技のクロスワークを向上させていくことが必要です。しかし、1対1という部分では強くなったと感じました。

――この学年の強みは何でしょうか

今回の緊急事態宣言もそうですが、入部した時から彼女たちはそのような環境にいたので、組織的な結束力を高めるということが難しかったと思います。しかし、一人一人が仲間と共に勝利を目指していくという結束力は選手同士で高められていました。ここは組織的な部分です。技術的な部分では、まだまだ走力や筋力など体づくりに関しての課題は多いのですが、それらを高めるという意味では全員が意識を高く持っているのではないかと思います。あとは、まだまだ課題がたくさんあるので、パスキャッチなど技術的な部分をもっと伸ばしていってほしいとです

MF茅野汐莉学年キャプテン(教2=東京・早実)

――今大会を振り返っていかがですか

決勝に進めなかった悔しさはもちろんあるのですが、12月に行われたプレウィンターからの成長や今回行われた3試合の中での成長を感じられました。それぞれの状況下で、自分たちが成長できているということを感じられたので、そこはこれからの自分たちの成長に関わってくると思います。もちろん悔しさはありますが、そのようなプラスの部分も感じることができたのでよかったとも感じています。

――このイレギュラーな1年を振り返るといかがでしょう

入部してから思うように部活ができず、本来であれば先輩方との交流もできたと思いますが、今年はなかなか技術のある先輩方との交流も少なく、上手いプレーなどを吸収する場面が少なかったかもしれません。しかし、そのような状況でも自分たちで先輩方に質問しに行ったり、先輩方からのアプローチもあったりもしました。そのおかげで、時間が経つにつれて、コミュニケーションをどんどんとっていく力を身につけることができました。本来であれば早慶戦などもあったと思いますが、そのようなイベントもない中で、色々な試合や練習を見てきて、それぞれが自分たちなりに研究や自己分析をして伸びてきたのではないかと思います。結果的には、このイレギュラーな1年間は無駄になっていないのではないかと思っています。

――12月まで引退される4年生が残って指導を続けていたそうですが、どのような影響がありましたか

トップチームで活躍していた先輩たちなので、最初はプレーで圧倒されたという記憶があります。その中でプレウィンターに向けて特訓をしてきて、そのようなところで先輩方の強みを学年で感じ、その先輩たちの強みが自分たちの中でどのように生きているのかということを感じながらプレウィンターまで刺激をもらい続けました。そのプレウィンターが初めての試合だったのですが、そこで先輩たちや同期のために勝ちたいという気持ちが芽生え始めました。

――1試合目とそれ以降の試合で試合に向かう気持ちに変化はありましたか

私たち32期は負けず嫌いな人が多いので、1試合目で負けてしまったことへの悔しい気持ちが大きく、それ以降の試合では絶対に勝ってやるという気持ちが、試合を重ねていくうちに強くなったのではないかと思います。その中で、AT、MF、DF、Gのどのポジションでも、同じような試合をするのではなく、相手の様子によってどんなプレーをすればよいのかをプレーをしながら改善しているということを私は感じていました。個人的には最初の1試合目ではドロー周りの寄せやキープ力がすごく悪かったので、そこを2、3試合目は意識していこうと思いました。個々人の試合ごとの改善によって、2、3試合目は大差をつけて勝利することができたと思います。

――ほとんどのドローを茅野選手が上げていました

技術的なドローはできていないのですが、自分の身長を生かして真上に上げて自分でキャッチしてスピードに乗ってブレイクを狙うという型が自分にはあると思っています。それが実際にできたのが2、3試合目なので、1試合目で自分がうまくいかない時にどのようにドローをあげるべきなのか、どうすれば自分の味方にドローを取ってもらえるのかというような部分で、考えが追いついていない部分がありますが、そこを突き詰めて練習していきたいと思います。

――得点シーンを振り返っていかがでしょうか

ATにスピードをもって抜いてくる選手がいるので、その選手がディフェンスを引きつけてくれた時に、自分の強みとしてパスキャッチというものを持っているので、そこでパスをもらってそのままの勢いで決めるというシーンでした。味方が作ってくれたチャンスは必ず自分がショットまで決め切るということを意識していました。自分の1対1というよりも味方の強みを生かしたプレーというのを心がけていましたね。

――今後の意気込みをお願いします

2年生はフレッシュさや明るさがあるので、その強みを生かして、先輩や後輩を巻き込んで、どんどん雰囲気を変えていくというところを意識したいです。個人的にはベンチメンバーではなく、トップチームのスタメンとして出させていただけるように、誰が見ても応援できるような選手になれるように頑張っていきたいです。

DF阿部美幸(国教2=米国・The Winchendon School)

――今大会を終えていかがですか

日体大戦での悔しさは残りますが、その後の2試合では今まで練習してきたことが生かせていたからこそ、終盤になって勝利へのイメージができていたと思います。だからこそ、初戦の日体大戦、最後の10分間というのが技術的にも精神的にも私たちの課題になります。その10分間をどのように改善していくことができるかということが、課題です。

――DFとして力を入れて練習してきたことはありますか

今回の練習で大変だったこととして、私たちの学年は人数が少ないということがあります。ライドやクリアの練習には人数が必要なので、先輩たちに協力してもらうことが必要でした。しかし、緊急事態宣言中ということで、AチームとBチームが一緒に練習できなかったり、マスク着用での練習を強いられたり、大人数での練習やコート全面を使用した練習ができませんでした。従って、ライドやクリアの練習はできずに試合に臨んだという状況があります。しかし、組織的な練習ができていないからこそ、1対1や個々人の力を伸ばすということを考えて練習しました。

――1試合目の3Qは苦しい時間が続きましたが、振り返っていかがでしょうか

振り返ってみると、相手のボールキープの時間が長く、全てのQで自陣での守る時間が長かった印象です。組織的な面では、3Qになって相手が点を入れ始めた時間から気持ちの面で焦ってしまい、細かなミスが出てしまったと思います。しかし、DF陣の中でも盛り上げの声や最後まで諦めない気持ちというのがあったことも確かです。

――2、3試合目は点差をつけての勝利になりましたが、何か修正した点はありますか

DF陣は普段からやっているホットセカンドの連携や声出しなどの基本的なところを修正できたと思います。また、1試合目で負けてしまったという部分は大きかったのですが、だからこそ、「次からは絶対に負けない」というような勝ちたい気持ちが大きくなっていました。

――今大会で見えてきた課題は何ですか

私たちにとってマイナスな場面になった時に、それでも勝ちを見据えて戦う力や勝ちにこだわる姿勢がまだ足りないと感じました。個人的には、自分のディフェンスとしてみんなを動かしていく力やグラボ、奪っていく力、積極的なディフェンスなど基礎的な面も練習していけたらいいと思います。

――今後の意気込みをお願いします

これが最後の同期練だったのですが、これからは2年生としてチームにどう貢献していけるかということを第一に考えていきたいです。個人の力を伸ばすことはもちろんですが、自分はこの早稲田大学女子ラクロス部にとってどのような強みになれるのかということを模索しながら頑張っていきたいです。

AT拝原花歩(政経2=東京・早実)

――試合を終えて感じたことはありますか

決勝に進んで優勝することが目標だったので、1戦目の日体大戦で勝ち切れなかったことが悔しいです。また、日体大戦時で私は2本もフリーでパスを受けていたのにも関わらず外してしまったので、そこを決め切る力はATとして絶対に必要でしたし、そこを決め切るために、意識して練習していかなければいけないと思いました。

――1対1からのショットからが目立ちましたが、振り返っていかがですか

1対1から自分で攻め切るということは意識して練習してきた部分だったので、点を決められた場面があったことは良かったと思います。しかし、試合で焦ってしまい練習通りやってきたことができない部分もあったので、そこはこれからまた練習することで高めていきたいです。

――ATとしてどのようなことを準備していたのでしょうか

1年生の12月の試合では、自分はボールから逃げてしまって不甲斐ない気持ちで終わりました。そこで今回はボールから逃げないために、パスキャッチでの自信を持つために、基礎のところをしっかり練習しました。また、1対1で攻め切る自信を持てるように、何度も練習を重ねてきました。

――今大会を終えて見えてきた課題は何でしょう

チームとして流れが悪くなってきた時に、その雰囲気を上げていくということができませんでした。また個人としても、その場面で声出ししなくてはならなかったので、それは課題です。また、日体大には基礎的なところで負けてしまったので、しっかり基礎のところから固めていかなくてはなりません。

――今後の意気込みを教えてください

少し前まではMFとしてディフェンスにも力をつけていこうと思ったのですが、先日ATで4年間やっていくと決めたました。ATに絞ったからには、しっかりと試合で点を決め切ることが私の役割だと思います。

MF渡邊海菜恵(スポ2=神奈川・山手学院)

――試合を終えての感想を教えてください

決勝に進むことができずに、予選リーグで敗退してしまったことをとても悔しく思っています

――2、3試合目では早稲田がボールを持つ時間が長かったように思います

2、3試合目ではドローでマイボールにできる場面が多かったので、DFとしての仕事もあまり多くはなかったですが、しっかりと後ろから声を出すことによって、ドローのところを取り切れるような流れにできたと思います。

――MFとして準備してきたことは何でしょうか

MFはコートを駆け回って、ディフェンスもオフェンスもやるポジションなので、どちらの状況であってもしっかりと仕事ができるように練習してきました。全員で練習できる時間が短い中で、連携というのは難しいかもしれませんが、そこでコミュニケーションを取れるようにしっかりと声を出すことは意識していました。

――今大会を経て見えてきた課題は

一番は基礎力の部分です。パスキャッチでのミスや地面に落ちたボールを取りきれないことなど、基礎的なところが日体大戦の敗因なので、しっかりとクロスに触る時間を増やして基礎力を上げていけたらなと思っています。

――今後の意気込みを教えてください

個人の目標としてはAチームに上がって、チームの勝利に貢献していけるような選手になりたいです。チームとしては日本一を目指します。このような状況でもコミュニケーションがうまく取れるようにしていきたいと思います。