伝統の一戦で宿敵相手にまさかの大敗

女子ラクロス
    前半 後半
    早大
    慶大
    ▽得点者
    永廣2

     「まさかあんな大差で負けるなんて誰も予想していなかった」(MF永廣めぐみ主将、スポ4=米国・ラファイエット)。今年で26回目となった宿敵・慶大との一戦。「やりたいことや練習してきたことが出せなかった試合」(MF鈴木利奈副将、スポ4=神奈川・川和)と振り返るように不完全燃焼の試合となった。前半から基礎的な技術面で上回る慶大相手に、早大は守備に回る展開に。今大会優秀選手賞を獲得したG稲田初絵(スポ3=東京・国分寺)を中心に必死の守りを見せるも、前半だけで6失点。後半に入り、早大は永廣主将の意地のショットで2点を返すも2-9で敗北を喫し、昨年、全日本選手権を制した慶大相手に悔しさだけが残る結果となった。

      試合開始のドローを奪ったのは慶大。その直後からボールを確実に回され、前半1分、早々に先取点を奪われてしまう。また、その2分後には早大のクリアミスから失点。その後も「向こうのスピードに圧倒されてしまった」とMF小野夏実(スポ4=東京・吉祥女子)が振り返るように昨年、『日本一』の慶大相手に、完全に後手に回り、前半6点のリードを許す展開となる。一方の攻撃陣も、ボールを奪ってからパスミスが目立ち、攻撃のかたちを組み立てることができない。また、ボールを落としてからのグラウンドボールも、ことごとく慶大に奪われ、前半は無得点で折り返した。

    突破を試みる永廣主将

      気持ちを切り替えて迎えた後半。開始直後に7点目を奪われてしまうも、その後早大はパスを確実に回し、反撃のチャンスをうかがう。すると、後半5分、フリーシュートを獲得すると、鈴木副将のアシストから、永廣主将が決め切り、早大の初得点が生まれる。この得点を機に早大は徐々にペースをつかみ、果敢にゴールに向かう。しかし、ショットを放つも慶大ディフェンス陣に阻まれ、なかなか追加点を奪うことはできない。早大は14分に永廣主将が1点を返したものの、終盤に2点を追加され2-9で敗戦。六大学交流戦(六大戦)で引き分けた宿敵に大差での敗北となった。

    詰め掛けた観客に挨拶をする早大のメンバー

      試合後、選手たちの多くが口にした言葉は「悔しい」の一言であった。覇者・ワセダとしてのプライドを懸けて戦った今大会。2月のシーズンインからこの日まで宿敵を倒すことを目標に掲げ、練習を重ねてきたが、達成することはできなかった。それでも「戦術や考え方は間違っていない」と永廣主将が強く語るように、ここから、個々の基礎技術やチームとしての戦術の精度をどこまで磨いていけるかが、今後の戦いのカギになっていくだろう。「この負けをただの負けではなくて、次につなげる」(小野)。覇者として、ワセダの意地を持つ選手たちの実力はこんなものではないはずだ。

    (記事 岡田静穂、写真 村上萌々子、加藤千咲)

    コメント

    MF永廣めぐみ主将(スポ4=米国・ラファイエット)

    ――今のお気持ちをお願いします

    本当に悔しいです。キックオフしてから、通過点とはいっていたんですけど、ずっとこの日を目標にやってきたので、悔しい気持ちでいっぱいです。

    ――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

    予想もしない試合で、まさか前半に0点であんなに大差で負けるなんて誰も予想していなかっただろうし、その流れを変えられなかった自分たちの弱さも出ていたなというのと、後半のあの流れを前半で出せていたらなという後悔があります。

    ――後半は慶大と互角に渡り合っていました

    ここで諦めたら本当に終わりだと思ったので、絶対に諦めないでやろうといいました。

    ――後半はご自身が2得点決められました

    1点目は喜ぶ暇もなく、正直全然うれしくなくて、2点目も同じで、時間がないからすぐにセットしなきゃという感じで、思い描いていたシュートとか試合展開じゃなかったです。

    ――秋に日本一を勝ち取るために、今日の試合をどのように生かしていきたいですか

    例えば一番最初のドローを取って、そこからワセダのブレイクというイメージをしていたんですけど、思い通りにいかないということがちゃんと分かりました。自分たちが2月からやってきたことが、戦術とか考え方は間違っていないんですけど、その精度がまだまだだったというのを気付かされたので、あとは精度を上げて、後輩たちもちゃんと付いてきてくれて、チームの雰囲気は本当に良かったと思うので、これをずっと継続していきたいです。

    MF鈴木利奈副将(スポ4=神奈川・川和)、MF小野夏実(スポ4=東京・吉祥女子)

    ――試合を終えた今の気持ちはいかがですか

    鈴木 悔しいの一言です。ワセダがやりたかったことや練習してきたことが出せなかった試合で、ケイオーに完敗してしまいました。

    小野 同じく悔しいんですけど、前半は空気にのまれてしまって、自分が試合に出た時間帯でそれを変えられなかったのも悔しいですし、自分たちが今までやってきたことが発揮できなくて、負けたことが悔しいです。

    ――お二人ともやってきたことが発揮できなかったとおっしゃっていましたが、どの部分が足りなかったとお考えですか

    鈴木 ケイオーはプレッシャーの強いディフェンスをしてくるので、そこにパスを細かくつないでクリアを運んだり、脚を止めずにやろうというのは意識していたんですけど、実際試合をやってみて個人個人がケイオーを抜くなど、基本的なことなんですけど、強い気持ちが足りなかったかなと思います。そこで、相手に流れがいってしまったので、反省点です。

    小野 想定はしてきていて、今までケイオーと練習試合などをしてきて分かっていたことではあるんですけど最初の入りの部分でケイオーのスピードに付いていけなかったというか、向こうのスピードに圧倒されてしまった部分があるので、自分たちの流れにできず、心に余裕がなくなってしまったのが課題かなと思います。

    ――きょうのご自身のプレー振り返っていかがですか

    鈴木 流れが向こうにいってしまったときに、何とか自分が流れを変えたかったんですけど、それもできずにのまれてしまったのが、敗因につながったと思います。自分は去年もこのフィールドに立って何もできなかったので、ことしこそは自分が引っ張ろうという気持ちはあったのですが、そこをプレーにもう少しつなげていきたかったです。

    小野 私は途中から入ることが多くて。みんなが疲れていたり流れが悪いとき、自分がフレッシュな選手として流れを変えていきたかったんですけど、気持ちの部分でフィールドに立つとき、強気でいかなければいけなかったと思います。結構圧倒されてしまう部分が多くて必死になりすぎたかなと思います。もう少し自分のプレーをする余裕があればといった感じです。

    ――2-9という結果に対してはいかがですか

    鈴木 この早慶戦で勝つために2月からやってきたので、こういう展開でこのような負け方をしてしまったのが悔しいです。基礎の部分でケイオーの方が圧倒的に強いなと感じたので、そこは自分たちの課題でもあるので、次に生かしていきたいです。

    小野 同じ感じなんですけど、早慶戦を一つの目標、区切りとしてやってきて、たくさんシュミレーションや分析もして、自分たちのやりたいプレーやいいかたちが分かった段階で、これを出せれば勝てるというのはイメージできていたんですけど、結局基礎の部分や流れを持っていく、自分たちのプレーを出す段階の前のところでうまくいかなくて圧倒されてしまったので、リーグ戦でもあたる可能性はあるので、この大差で負けてしまったのはふがいないなと思います。

    ――今後への意気込みをお願いします

    鈴木 この敗戦はリーグ戦(関東学生リーグ戦)につなげていかないといけないと思うので、チームで反省してこれからどういう練習をしていくべきなのか、ケイオーとまた当たることもあると思うので、どう勝ちにいくかというのを話し合って基礎から詰めていきたいと思います。

    小野 この負けをただの負けではなくて、次につなげるためにも今回の結果を考えて今後に生かせることがたくさんある試合だったので、そこは生かしていきたいです。ただ自分たちのやってきたことは間違っていなかったとは思うので、それを試合で出し切れるように、流れを持っていくこと、基礎の部分の強化をして、リーグ戦までに改善できればと思います。

    AT山田美帆(社4=米国・サウスブランズウィック)

    ――試合を振り返って率直な気持ちをお願いします

    苦しかったなという感じです。試合ずっと苦しい場面が多かったです。

    ――試合展開を振り返っていかがですか

    前半、全然グラボもクリアもつなげられなくて、ディフェンスセットばかりでアタックセットがほとんどなくて、ゴールにも行く機会がなくて。後半になってからはグラボとかも取れるようになってワセダの流れになってきたなって思ったんですけど、時間が足りなくて点差も前半で結構開いてしまったので、巻き返せなかったという感じです。

    ――後半は盛り返しましたが、ハーフタイムではどんなことを話しましたか

    ハーフタイムの時に一回みんなでスタンドの方、応援してくださる方々を見ようって言って、気持ちを落ち着かせて切り替えようということをしたり、前半の反省とかを言って、次は前半のミスを絶対やらないようにしようっていう声かけをして、本当に切り替えようってみんなで言ってたので、前半よりだいぶアタックセットも増えたのかなって思います。

    ――ドローの後の展開では苦戦していた場面もありました

    予測していたことなんですけど、ドローが上がって自分が取って、周りの慶大の選手がすごい寄ってきて、やっぱりすぐパスを出したい場面とかあったけど出し切れなかったとか、プレッシャーがすごい強いのでそこでキープしきれずに相手ボールになったりっていう場面が多かったです。

    ――最後の早慶戦でしたが、この経験を今後どのように生かしていきたいですか

    この悔しさを、もう失うものはないのでここから上げていくしかないので、気持ちを切り替えてチーム全体で上げていって、基礎の面もグラボとかパスキャッチとか自分の技術もどんどん上げていって、ここからばかみたいに練習して、みんなで盛り上げて日本一に向かいます。

    G稲田初絵(スポ3=東京・国分寺)

    ――今の率直な気持ちを聞かせてください

    練習でやってきたことがチームとしては全然できなかったという感じで、悔しいです。

    ――きょうの試合振り返っていかがですか

    前半はワセダが全然ボール持てなくて、流れを全て持っていかれてしまいました。そこから立て直すのも遅くなってしまったし、全然やることができなくて完敗してしまったなという感じです。

    ――後半に入ると2得点でしたが、ハーフタイムにどのようなことを話しましたか

    結構点差は開いてたのですが、最後まで諦めないで、点をより多く取って勝つしかないので、みんなの目をしっかり見てテンションあげてやっていこうという感じでした。

    ――3年生ながら優秀選手に選出されていました

    自分的にもいいセーブはあったのですが、止められるショットも結構ありました。セーブというよりは、自分からの指示での連携という場面がまだまだだと思ったので、そこはもっと改善していきたいと思いました。

    ――これからの意気込みをお願いします

    早慶戦に負けてしまってすごく悔しいですが、意味のない試合ではなかったので、リーグ戦に向けて切り替えて、チーム全員で頑張っていきたいです。