サマーステージ、ウィンターステージと悔し涙を流し続けていた早大。次こそはと強い決意を抱き、新人戦最後の大会であるあすなろカップに臨んだ。予選を順当に勝ち抜くと、準々決勝では慶大と対戦。サドンビクトリーまでもつれ込む熱戦を見事に制した。準決勝では立大αを3-1でかわし、いよいよ決勝の舞台へ。しかし、新人戦2冠の王者である東海大に対し、攻め切ることができず。悲願の優勝まであと一歩というところで、今大会は終幕した。
予選2回戦を勝ち抜くと、宿敵・慶大との一戦が繰り広げられた。AT山田美帆(社2=米国・サウスブランズウィック)がドローを奪うと、試合開始早々、MF亀井佑紀(スポ2=東京・日大豊山女)が先制点を決める。その後ディフェンスの隙を突かれ、2連続失点を喫するが、ラスト2分でMF鈴木利奈(スポ2=神奈川・川和)が相手ファウルを好機に確実にシュート収め、試合は振り出しへ。運命はサドンビクトリーへと託された。「勝てる自信はありました」(AT吉田なつ湖、スポ2=東京・明星学園)。早大は落ち着いた様子で、フリーシュート対決に挑む。1本目を山田が決めると、相手のショットをG向山雛乃(スポ2=東京・小山台)が防ぎ、響き渡る喜びの声。互いに譲らぬ宿敵との激闘を早大がものにした。
今大会攻撃の要として無双した山田。準々決勝のサドンビクトリーも決めた
準々決勝の立大α戦では、ゴール前でのパスワークがうまくはまり、リードを広げる。危なげなく3-1で勝利を収め、決勝への切符を手に入れた。決勝の相手の東海大は、夏、冬とこれまでの新人戦を制してきた強豪チーム。早大にとっては、ウィンターステージ準決勝で敗北を喫した因縁の相手でもある。試合は開始1分でゴールを許してしまうと、勢いに押され、なかなか攻めの姿勢に持っていくことができなかった。「どこか守りに入ってしまいました」(MF永廣めぐみ、スポ2=米国・ラファイエット)。後半で山田がゴール裏から相手を振り切り、1点を返すものの、その後早大らしいプレーで攻め切ることができない。さらに追加点を許し、ビハインドの展開が続いてしまう。残り時間わずかとなったところで、チャンスが訪れ、ボールは山田のもとに。ノータイムで放ったショットはゴールネットを揺らすことなく、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
あと一歩東海大に及ばず、肩を落とす選手たち
あと一歩のところで、またも悔し涙を流すこととなった早大。「学年全員で最後は笑顔で終わりたい」と吉田が語ったように、いままでの雪辱を果たすためにも、学年でやる最後の試合で勝利をつかみ取りたかった。しかし、願いはかなわなかったものの、ラクロスを始めてからの一年間で選手たちは大きなものを手に入れた。チーム競技をやる上で、チーム全員で戦いに挑むという団結力は欠かせない。今大会はその団結力が高まったことで、相乗効果として、パスワークやグラウンドボールなど技術的な面でも、どのチームにも劣らないパフォーマンスを見せた。「きょうの悔しい気持ちをバネにして、前に進んでいけるように努力します」(山田)。一年間で著しい成長を遂げたこの学年が、早大の核として活躍できる日が楽しみでならない。
(記事 後藤あやめ、写真 高橋弘樹、後藤あやめ)
閉会式後の集合写真
結果
1回戦
○3-1法大・国士舘大(得点者:永廣3)
2回戦
○6-0実践女大・一橋大(得点者:山田3、吉田2、鈴木)
準々決勝
○2-2(サドンデス1-0)慶大(得点者:山田、鈴木)
準決勝
○2-2立大α(得点者:亀井、永廣、山田)
決勝
●1-2東海大(得点者:山田)
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コメント
1回戦(5月4日)
MF亀井佑紀学年キャプテン(スポ2=東京・日大豊山女)
――今大会は同学年で戦う最後の大会となりますが、あすなろカップにはどのような意気込みで臨まれましたか
絶対に優勝するという気持ちで臨んでいます。
――きょうの試合を終えての感想を聞かせていただけますか
前半を0-1で折り返して、自分たちの気持ちはもちろん自分が思っていたよりも相手の気迫も大きくて、サマー(ステージ)とかウィンター(ステージ)でも厳しい場面を経験してきましたし、まだ1回戦ですけど、それをはるかに超えるくらい気持ちが激しくぶつかり合って。想像以上でみんなも緊張していたかなって思うんですけど、ハーフタイムで気合を入れ直して、そこから永廣めぐみ(MF、スポ2=米国・ラファイエット)がシュートを3本決めてくれて、盛り上がって勝ち切れて良かったです。
――最初は硬かったけれどもだんだん調子が上がってきたということでしょうか
そうですね、だんだんもうやるしかないという気持ちで。硬さは自然と取れたのか取れなかったのかも分からないくらい集中していましたね。
――先ほどおっしゃられたように、先制点を許してしまうなど序盤の動きが硬い部分はありましたが、あすに向けて修正していきたい点は何かありますか
きょうは夕日がまぶしくて、その中でパス回しとかも思ったよりできなくて慌ててしまったので、そこを普段通りの練習みたいに攻められるようにもう一回みんなですり合わせて攻めたいのと、ディフェンスもきちんとディフェンスセットを組んでやれば勝てる自信があるんですけど、きょうはきちんとセットを組めないままブレークみたいにやられるシーンが多かったので、そこをしっかり止めて自分たちのディフェンスセットで相手のボールを落とせるように攻めたいです。
――あす以降も厳しい戦いが続きますが、今大会のヤマ場はどこだと思いますか
やっぱり決勝の東海大ですね、(決勝の相手が)東海大かまだ分からないですけど。
――東海大はウィンターステージで一度対戦していますね
準決勝で当たって、前半は勝っていたんですけど、巻き返されて1点差で負けてしまったので、そこ(決勝)まで行くために頑張ります。でも決勝までにリッキョーとかケイオーとかの強豪にも当たるのでそこをしっかり勝って優勝したいです。
――あすへの意気込みを聞かせてください
あしたも全員で元気を出して、ワセダらしくウチの学年のパワーを最後に見せつけて圧倒して勝ちたいと思います。
MF永廣めぐみ(スポ2=米国・ラファイエット)
――1回戦突破おめでとうございます。今の率直な気持ちは
もう少し余裕のあるプレーをしたかったです。
――前半苦しい展開で攻めることができていない印象でした
前半先制されてまさかこんな展開になると思わず焦ってしまった部分がありました。後半は立て直さなければいけないなと思いました。
――後半は一転して立て続けに3得点を決めました。チーム内で、個人で何か変えた部分がありましたか
負けていたので自分が決めなければいけない、積極的にプレーしていこうと気持ちを入れ直しました。
――ウィンターステージからこのあすなろまで時間がありました。チーム、そして個人的に成長した部分がありましたか
ウィンターステージで負けて、このあすなろカップにみんな懸けていました。試合に出られないメンバーもいる中でどうやったらチームに貢献できるのかを自分たちで考えられるようになったところが成長できた部分だと思います。
――最後に明日の試合、このあすなろカップに向けて意気込みをお願いします
このあすなろカップは絶対優勝します!
2回戦~決勝(5月5日)
MF亀井佑紀学年キャプテン(スポ2=東京・日大豊山女)
――準優勝おめでとうございます
ありがとうございます。
――惜しくも準優勝という結果でした。今の心境はどうですか
とりあえずむちゃくちゃ悔しいです。でもみんなと最後は準優勝おめでとうとなったので良かったです。
――決勝でのチームの雰囲気はどうでしたか
もう優勝しかないという雰囲気でした。学年試合はこれが最後だったのでみんなで優勝しにいこうという最高の雰囲気でした。
――攻守に献身的なプレーが光りました。この大会を振り返って個人のプレーについていかがですか
MFというポジションでありながらショットまでもっていけず、ショットを決めるという大事な仕事ができていませんでしたが慶大戦、立大戦で決めることができ、流れを持ってくることができたので良かったです。しかしまだまだ課題がディフェンス、オフェンス面で多くあるので改善していきたいです。
――サマーステージ、ウィンターステージ、あすなろカップとチームが大きく成長したと思います。学年キャプテンの亀井選手から見てどこが一番大きく変わった、成長したと思いますか
サマーの時は2チームに分けて出場して、別れても団結してやっていこうとしていたのですが上手く団結することができませんでした。ウィンターでようやく団結力が深まり、そして今回ではウィンターよりも準備期間が短い中でみんなで集まれる時間を増やして団結力をより高めました。またウィンターよりも相手のスカウティングを強化して、備えられるところは備えるという準備ができていました。また朝会場に着いた時からチーム全員で試合に向かうという雰囲気をつくることができていたところが成長できたところだと思います。
――そういった雰囲気づくりは亀井選手が率先してやっているのですか
いや、私が言ったとかではなく本当にチーム全員でやっていました。
――今後もチームを引っ張っていく立場になると思います。今後の目標は
ずっと学年キャプテンをやらしていただきましたがワセダ全体の中ではまだ第一線で活躍できてはいませんし、同期で活躍しているメンバーはいます。この経験を通して私も上手くなって、みんなを巻き込んでみんなで上手くなって、早く第一線で活躍できるように頑張りたいです。
AT山田美帆(社2=米国・サウスブランズウィック)
――あすなろカップを戦い終えての今の率直な気持ちを聞かせてください
第一は悔しいという気持ちです。ウィンター(ステージ)も東海大に負けて3位という結果になってしまって、今回一個上がって2位という結果で嬉しい面もあるんですけど、勝ち切れたかなと思う面もあるので本当に悔しいです。
――今回、決勝の東海大だけではなく立大や慶大といった強豪とも対戦し、その2校には見事に勝利を収めました。手応えを感じる部分もあったのではないでしょうか
きのうの一試合はみんな初戦ということで緊張もあって自分のプレーができていなくて。でもきょうはアップのときからみんなすごく良い雰囲気で、試合も自分たちのペースで持って行けたので気持ち良い勝ち方だったなと思います。
――慶大戦のサドンビクトリーを見事に決められましたが、そのときの心境を覚えていらっしゃいますか
ウィンターも立大とのサドン(ビクトリー)で、ウィンターのとき私は一本目を外してしまって、二本目で決めてくれて勝つことができたんですけど、きょうはなぜか緊張していなくていけるなっていう感じでした。相手も焦っていて、相手の気持ちを気にしながらやったら全然緊張しなくて。とにかく決められて良かったです。
――ドローも務められていましたが、ドローで何か気を付けていたことはありますか
自分のボールを相手にキャッチさせるのを阻止して、逆に自分が取る側のときはしっかり取ろうというのを意識していて、ちょっと合わないなと思ったら少し違う飛ばし方をしたりして調整して。まあまあだったかなと思います(笑)。
――3つの新人戦を通して何か得られたことはありますか
同期愛というか(笑)。スタメンになれなかったベンチの子とか試合に出られない子もいる中で、その子たちもいないと同期は成り立たないなと思って。その子たちのおかげで2位という結果で終えられたという部分もあって、仲がどんどん深まってうれしいですね。
――ご自身の次の目標はもう決まっていらっしゃいますか
もうすぐ早慶戦があって、私はメンバーに選ばれたので、スタートメンバーになれるように、きょうの悔しい気持ちもばねにして、前に進んでいけるように日々努力します。
――具体的にここを直したら個人としてもっと強くなれると思うところはありますか
視野を広げることですかね。最後の東海大との試合も最後の最後のところで中が空いていたのに(パスを)出さなかったり見えていないところがあったので、視野を広げて周りをもっとよく見てプレーしたいと思います。
――早慶戦への意気込みを聞かせてください
ことし負けると10年(連続で)負けることになるので、それは絶対に阻止したいと思って。きょうも(準々決勝で)早慶戦があって勝てたので、その流れで勝ちにいこうと思います。
AT吉田なつ湖(スポ2=東京・明星学園)
――準優勝となりましたが、いまのお気持ちを教えてください
ウインターステージでも東海大に負けていて、ずっと東海大に勝とうという気持ちでやってきたので、2位がうれしいというよりは負けが悔しいです。
――準々決勝は早慶戦となりました
ケイオーとは来週早慶定期戦があるので、それに向けてワセダに良い流れを持ってこようと2年生なりに頑張りました。得意なサドンデスのフリーシュートに持ち込めたので、勝てるという自信はありました。
――準決勝はウインターステージで戦った相手でもありました
立大の試合の様子を見ていても、前とそれほど変わっていない印象がありました。私たちはすごく成長してきたと思っていたので、これなら前より楽に勝てるかなという気持ちでやっていました。
――決勝は悔しい結果となりましたが、振り返っていかがですか
東海大にはキーマン的な存在の人がいるので、その人を抑えようとしました。ディフェンスは自分たちの攻めを信じてやれば勝てると思っていましたが、その攻めに持ち込める回数が少なくて、なかなか思うように攻められませんでした。でも、グラウンドボールなどは全員気持ちを乗せていけたかなと思います。すごい悔しいです。
――いままでの課題はそのような基本的な部分だったと思いますが、今回その点に関してはいかがでしたか
グラボの寄りは大会の最初の方は、全然いつもの方が寄れていました。流れに乗っていくにつれてみんなの気持ちが入っていって寄れるようになりました。パスキャッチは冬春で鍛えてきたところでもあるので、前の大会よりも成長したかなと感じています。
――学年で戦う試合は最後になりましたが、いままで三大会戦ってきていかがでしたか
サマーステージは本当に一瞬で終わってしまいました。相手のことを調べたりは全然していなくて、変な自信があったんですが、負けてしまって。その思いをウインターステージに乗せてやりましたが、同じ東海大に負けてしまい、今度は優勝しかないと思っていました。あすなろでは一個(順位が)上がったんですが、2位という結果に終わりました。学年全員で最後は笑顔で終わりたいという気持ちがありましたが、2位という成績は他大からすればうらやましい成績でもあると思うので、先輩やコーチの方に多少は恩返しができたかなと思います。
――今後の目標は
自分はまだ一本目の実力にはまだないと思うので、個人としてはそこに追い付いて、自分が勝利に導くくらいの気持ちでやっていきたいと思います。2年生としては、この学年がワセダを強みになれるように、学年としてワセダを支えていける存在になりたいと思っています。
MF永廣めぐみ(スポ2=米国・ラファイエット)
――準優勝となりましたが、いまの率直な気持ちを教えてください
ワセダは優勝を目指していままでやってきたので、とっても悔しいです。
――準々決勝は早慶戦となり、サドンビクトリーまで持っていきました
早慶定期戦が来週に迫っていて、私たちが勝って勢いづけていこうという気持ちで試合に臨みました。結果的に勝てて良かったです。
――準決勝はウインターステージの3位決定戦で戦った立大が相手でした
前はサドンデスでぎりぎり勝てたチームでしたが、今回は点差を広げて勝つことができました。スカウティングで攻め方や守り方を研究して準備していたことを、きょうしっかり出せたのではないかと思います。
――決勝はおっしゃっていた通り悔しい結果だったと思いますが、振り返っていかがですか
試合が始まる前からディフェンスセットが多いんじゃないかという話があって、どこか守りに入ってしまっていました。もっともっと自分らしいプレーをしていたら、この試合勝てたのではないかと思います。前も東海大に勝てなくて、すごく悔しくて、リーグ戦では絶対に東海大に勝ちたいという気持ちが、負けた瞬間からこみ上げてきました。
――新人戦三大会を振り返って
最初サマーステージの時は、ワセダは勝てるんだから上位までいけると言われていた中で、決勝リーグ1回戦目で敗退という、私たちも考えていなかった結果に終わりました。そこから絶対にウインターステージでは勝とうとなったのですが、ウインターでも3位で…。今回もウインターの後であすなろで勝とうと言っていたのに、最終的に2位という結果になってしまいました。ふがいない結果にはなりましたが、これまでの一年間で、自分も含め、チームメイトの成長している姿を見ることができて、実感することもできて、常に充実していたと思います。これで学年試合が最後というのが寂しいです。
――今後の目標を教えてください
今回早慶戦のメンバーに入れさせてもらえたので、自分のできることをプレーしたいです。絶対にケイオーの10連勝を阻止して、 必ず勝ちたいと思います。リーグ戦もワセダは日本一を掲げているので、今年こそ日本一になれるように1プレーヤーとして貢献していきたいです。