夏場の関東学生リーグ戦に先立ち、強豪ひしめく東京六大学の中で繰り広げられる熱戦。それが東京六大学交流戦である。その決勝トーナメントが行われ、法大を8-2で下した早大は慶大との決勝に臨んだ。序盤からシーソーゲームとなったこの一戦。互いに譲らず4-4でタイムアップとなり、サドンビクトリーにもつれ込む。開始直後、先に得点を奪った早大が接戦をものにし優勝。日本一を目指す今季、1つ目の栄冠を手にした。
まず対するは法大。先制点こそ許したもののAT鈴木杏奈(スポ3=東京・日大二)のショットで同点、さらにAT佐藤南(法4=東京・早実)も続き逆転に成功。1点リードで迎えた後半は完全に早大が主導権を握る。鈴木のこの日2得点目となるゴールを皮切りに、相手ファールによるチャンスなどもものにしながら得点を重ねていく。MF西村佳那子副将(スポ4=東京・西)が4得点を挙げるなど相手を突き放し、8-2で勝利を収めた。
MF西村は2試合で7得点の活躍
そして迎えた決勝戦では慶大と対戦。4月らしからぬ厳しい日差しが照り付ける中、試合が始まった。先制は早大。相手のファールからボールを奪い返すと、西村がシュートを決める。しかし「つけこめなかった」とG水谷菫主将(スポ4=東京・青稜)が語るように、その1点で弾みをつけられず、苦しい時間帯が続く。ミスでゴールを脅かされると共に、決めきれない場面が見られる。両チーム得点を重ねて2-3となった後は、気持ちの焦りからか慶大がファールを連発。早大は相手のゴール前ファールでチャンスを獲得する。ラスト2分で西村の冷静なダイレクトショットが決まり、3-3で前半を折り返す。
優勝を決め喜ぶ選手たち
後半、均衡を破ったのは早大だった。ゴールが空いた隙を狙い、MF曲道楓(スポ2=東京・国分寺)が1点を追加する。中盤に慶大がゴールネットを揺らして4-4となると、そこからは一進一退。終盤に入ると相手のファールを誘い、何度も得点機会を演出。最後の最後まで相手にプレッシャーをかけ続けるが、惜しくもゴールまでは届かず、延長サドンデスに突入する。ドローを慶大に奪われるも、西村が厳しいディフェンスを突破。またもゴールを決めて5-4で見事優勝を果たした。
白熱した試合を制し、今季初タイトルを獲得した女子部。幸先の良いスタートを切ったが、大活躍をした西村ですら「合格点とはいかなかった」と言う。優勝にもかかわらず、選手たちは謙虚な姿勢でミスの多さを課題として挙げた。今大会で見つけた課題をどう修正し、『常勝軍団』へと成長していくのか。まずは来月に控える伝統の早慶戦に向けて、早大は躍進し続ける。
(記事 荒巻美奈、田中みずき 写真 荒巻美奈)
集合写真
結果
▽準決勝
○8-2法大(得点者:西村4、鈴木3、佐藤)
▽決勝
○5-4慶大(得点者:西村3、岡、曲道)
コメント
G水谷菫主将(スポ4=東京・青稜)
――優勝おめでとうございます!今のお気持ちは
優勝したことに関しては素直に嬉しいです。早慶戦にもつながる勝利だと思います。
――まず8-2で勝った法大戦について
勝ったのですが、内容としてはあまり良くなくて、自分たちがやりたいことができませんでした。そういう意味ではしっかり修正していこうという話をみんなでしました。気持ちの面でも入りがあまり良くなかったので、そういうところはピシッとやろうということでした。
――慶大との決勝戦を振り返って
もっと楽に勝てた試合だと思います。日本代表やU-21の代表でこちらも2人いませんでしたが、相手もメンバーが揃っていませんでした。そういう中で誰が出ても勝てるチームにしていくにはまだまだだと思いました。
――慶大の印象は
小技が上手いという印象はありましたが、思ったよりもミスが多かったので逆に私たちはそこをついていけなかった、つけこめなかった部分があったなと感じています。
――この試合で良かった点は
最後はショットが決まったら終わりという状況でしたが、プレッシャーがかかる中で勝ち切れたところが本当に良かったです。
――来月の早慶戦までに強化したい部分はありますか
まず個々の実力をもっと上げるべきだと思います。試合の中でもまだまだミスが多いです。そのミスが失点に繋がり、負けに繋がるということを各々が自覚を持ってやっていきたいです。
――今後への意気込みを
他大学からも「ワセダは強い」と言ってもらえるような、しっかりとした良いチームを作っていきたいです。
MF西村佳那子副将(スポ4=東京・西)
――優勝おめでとうございます
今季初タイトルということで、すごく嬉しいです。ミスが多くて苦しんだ場面もありましたが、着実に点を重ねた結果だったので。合格点とはいかなかったですが、そこそこだったと思います。
――どの辺りが合格点に達しませんでしたか
ミスが多すぎて流れがつかめなかったところです。ぽんぽんいけば2、3点離せたと思います。
――慶大にどの部分の違いで勝てたと思いますか
気持ちの部分です。六大学交流戦の予選でも慶大に当たってそこでも勝っていて、実力的にも勝てると思っていたので、気合いの部分で勝ち切れたと思います。
――ゲームプランはありましたか
先制点を取ると流れに乗れるチームなので、先制点を取ることを意識してやりました。先制点は取ったのですが、そこからミスが原因でなかなか流れに乗れませんでした。
――先日の法大戦から、どんな練習をしましたか
戦術的な部分というよりは、連携の部分を練習しました。一人一人がプレーを出し切れるかたちというのを擦り合わせていきました。
――延長戦の前にどのような話がありましたか
勝てるよ、という話でした。競った試合展開になる予定ではなかったというのが正直なところで。きちんと自分たちの実力を出し切れれば勝てると思っていたので、そこをもう一度確認しました。
――きょうは3点挙げられましたが、攻撃面で意識したことはありますか
きのうの練習試合で、わたしのミスでチームの流れが悪くなってしまった部分がかなりあったので、自分の所で良い流れに持って行こうと意識してやりました。そこが実際に良い流れに繋がって、良かったかなと思います。
――今後の意気込み
ことしは全勝、常勝軍団というのを掲げています。いま初タイトルをようやく取りました。次の早慶戦も取って、リーグ戦も取って、タイトルを総占めしていきたいと思います。
AT鈴木杏奈(スポ3=東京・日大二)
――優勝おめでとうございます!今のお気持ちは
なんとか勝ち切れて良かったですが、内容的には苦しかったです。U-21日本代表に選ばれている選手が2人いない中で、そこの穴を埋めて試合ができたとは思わないので、そこはつめていきたいです。
――慶大との決勝戦を振り返って
シュートまでいけても決めきれず、相手ボールになることが多くて、ボールを落ち着けることができなかったです。自分たちが攻めている時間を長くして勝ち切るということが目標だったので、そこまでは到達できなかったという印象です。
――ご自身としては法大戦で3得点を挙げる活躍でしたが、攻撃面で意識していることは
私は1on1が得意で、いつもボールを持ったらゴールをという意識でいます。法大戦のときは結構それができて上手く決まったときもあったのですが、きょうは相手がゾーンディフェンスをしてきて、あまりゴールまで向かえなかったなと感じています。
――来月の早慶戦までに強化していきたい点は
細かいパスミスはなくすために基礎練習を怠らないことと悪い体勢でうつショットは極力なくして、良い体勢でうてるようにしたいです。あとはゴールに向かっていく姿勢をもっと徹底的にやっていきたいです。
――チームとしては今シーズン初タイトルとなりましたが
「ことしのタイトルは全部取ろう」とチームで言っていて、本当にきのうから気合いが入っていたので優勝できたことは素直に嬉しいです。
――今後への意気込みを
今ATはリーダーのらいさん(西村)を中心にまわっているのですが、中心選手がひとりだけというのは苦しいと思うので、私も中心に入って、中心選手としてやっていけるように頑張っていきたいです。
MF曲道楓(スポ2=東京・国分寺)
――優勝おめでとうございます
きょうはU-21日本代表の先輩がいない状態で、試合前は不安もありましたが、他の先輩達がサポートしてくれたので、自信を持って試合に臨むことが出来ました。個人的にはたくさんミスもあって課題が残る試合だったのですが、良い経験が出来たと思います。
――課題は見つかりましたか
チーム全体としては、中心選手が欠けたときにパスミス、連携ミスが起こり、安定したプレーが出来ないことが課題だと思います。個人としては、大事なポジションを任されたときに、思い切ったプレーをすることや、ミスを恐れたプレーをしないことが個人としての課題だと思うので、頑張ります。
――慶大に勝つことが出来た要因はなんでしょうか
チームとしては気持ちの部分が大きかったと思います。下級生でしたが、先輩達が励ましてくれたり、盛り上げてくれたので私もとてもやりやすかったです。
――2年生で活躍していくことに関して
きょねんファイナル4までいったメンバーが揃っていて、サポートしてくれるし、思い切ったプレーがしやすいので、チームのプラスになることが出来るように頑張っていきたいと思います。
――あすなろカップに向けて調子はいかがですか
成蹊大と合同チームなので、連携を取って練習を詰めていくことが、いまとても大変だなと感じています。再来週に控えているので、練習を頑張っていきたいです。
――早慶戦への意気込み
伝統のある試合なので、普通の試合とは違った緊張感などを感じます。早慶戦に集中してがんばっていきたいと思います。