【連載】『令和4年度卒業記念特集』第45回 齋藤励/男子ラクロス

男子ラクロス

ラクロスから学び続ける

 「ラクロス部で勝利へのこだわりと心技体の重要性を学びました」。ラクロス部に入り、自分のなかで変わったことを聞くと彼は力強く答えてくれた。2022年の早稲田大学RED BATSである齋藤組を率いた齋藤励(創理=東京・早大学院)だ。大学で出会ったラクロスと4年間向き合い続け、日本一を目指した齋藤の思いに迫った。

大学でラクロス部に入っていた高校の先輩やラクロス部に友人がいた姉の影響でラクロス部の存在を知った。「高校でやっていたラグビーを引退してから、部活というものが恋しくなっていた」という思いを持っていた斎藤。高校の友人を何人か誘い体験会でラクロスの魅力に惹かれ入部を決めた。自分自身のことを「不器用で負けず嫌い」と分析する斎藤は、1年生から多忙である理系のスケジュールの合間をぬって、練習以外でもウエイトトレーニングや自主練に時間を割いた。その成果もあり斎藤は夏以降、1年生のMFのなかで1番手の存在になった。その当時を斎藤は「3名いた学生コーチのおかげでラクロスの楽しさを知り、熱中することができた」と振り返る。そんな風に入部以降、順調に思えた齋藤のラクロス人生であったが2年生になり悔しい出来事を体験する。新チームでのA、B、Cチームの振り分けで齋藤はA、Bチームを日替わりで行き来するという結果だったのに対し、同期の佐藤幹太(法4=埼玉・早大本庄)と井原優太(商4=東京・早大学院)がAチームへの参加が決まったのだ。のちに齋藤もAチームへ昇格したが、それ以降も「2人へのライバル心を持ち続けたおかげで成長できた」という。

リーグ戦初戦の大活躍でチームを勝利に導いた齋藤

 3年次、リーグ戦初戦でまさかの敗戦によって尊敬する4年生が引退。10年以上続いていたファイナル4への連続進出もストップしてしまった。同期との話し合いを経て、新チームの主将に就任。「強い早稲田を復活させる」という使命感に燃えた。それは早大が最後に学生日本一を成し遂げた姿を見た最後の代の自分たちが、この伝統を残すためやるしかないという思いからであった。しかし、極度のプレッシャーからか、初めて試合前に寝付けなくなることを経験。「チームの責任を背負うこと」について知り、それをはね返しながら自身のプレーでチームを引っ張った。

 主将として過ごした1年を「周りの人に支えられて、なんとか主将をこなせた1年間だった」と語った齋藤であったが、最後の試合となったファイナル4での明大戦は「忘れることのできない」ものとなった。日本一を目指して練習し、リーグ戦では学生日本一に輝いた慶大と引き分けるなど、チームとしての完成度は悪くないものだった。しかし、チームは明大にまさかの逆転負けで日本一への夢は閉ざされてしまった。齋藤自身も「(明大に)勝てる可能性は全然あった」と現在も悔しさをにじませる。

慶大との試合では試合終了直前に劇的同点弾を放った齋藤

 齋藤はラクロス部の4年間を「勝負の厳しさと楽しさを知った4年間」と総括してくれた。早大ラクロス部に入ったことで考えて練習すること。それが失敗したとしてもトライ&エラーで繰り返せるかの重要性を学んだという。卒業後は働きながら、社会人のクラブチームで競技を継続するという齋藤。「まだまだ成長できると思う」と語る齋藤の目はやる気に満ちている。大学ではつかみ取ることができなかった日本一にたどり着くまで、早大で学んだすべてを糧にチャレンジし続けていくだろう。

(記事 田部井駿平、写真 田部井駿平、飯田諒)