最後の新人戦で最高の結果に

男子ラクロス

 
 新人戦あすなろカップ。ラクロス歴一年目の学生のみに出場資格が与えられるこの大会は、大学2年生の選手たちの晴れ舞台であると同時に、最後の学年試合でもある。MF今井海斗学年主将(教2=東京・早実)率いる今井組は、昨年の新人戦サマーステージ(サマーステージ)で優勝を果たすものの、新人戦ウィンターカップ(ウィンターカップ)は準優勝と、悔し涙を流した。ウィンターカップの屈辱を晴らすべく臨んだ今大会、早大は予選ブロックを2連勝で勝ち抜け、決勝トーナメントに進出すると、準々決勝の明大・横国大合同チーム、準決勝の一橋大、決勝の中大・東経大合同チームを下し、見事優勝を果たした。では、予選から5連勝と快進撃を見せた今井組の活躍を振り返っていこう。

 予選ブロックは、偶然にも新人戦サマーステージで実績のある大学がひしめく激戦区となった。「試合独特の雰囲気にのまれた」と今井。ウィンターカップ以来となる久々の公式戦の緊張もあったのか、初戦の東洋大・武蔵大合同チーム戦は2−1、次戦の独協大・埼玉大・成蹊大戦も2−1、それも後半途中までリードを許すという苦しい展開が続いた。しかし、結果的に予選を2連勝で終え、決勝トーナメントへの進出を決めた早大。少しずつ試合感覚を戻していき、翌日の決勝トーナメントに臨んだ。

チームを率いた今井学年主将

 負けたら即敗退の決勝トーナメント。準々決勝の相手は明大・横浜国大合同チームだ。序盤から互いに攻撃のかたちを作るも、両者無得点で前半を終える。しかし後半3分、ゴール前左サイドでパスを受けたMF森久優太(商2=埼玉・早大本庄)がうまく流し込み、均衡を破ると、直後にはAT星井鉄男(法2=東京・早大学院)が追加点を決め、2−0で勝利を収めた。この勝利で勢いに乗った早大は、準決勝の一橋大戦で5−1と快勝。昨年のウィンターカップで苦渋をなめた新人戦決勝の舞台へ駒を進めた。

 満を持して臨んだ決勝、中大・東経大合同チーム戦。「しっかりスカウティングしてきた」と話すAT白井康(文構2=東京・早実)の言葉通り、相手の隙を突くオフェンスで相手をかき乱すと、前半2分、その言葉を体現するかのような白井の技ありのゴールで先制する。「先に点を取れたことで、自分たちにいい流れを持ってこれた」と今井が話すように、その後も追加点を奪うと、前半7分にはDF大見紳太郎(教2=愛知・名東)のロングショットが炸裂(さくれつ)。早大ペースの試合運びで、前半を3−0とリードして終える。後半に守備の乱れから2点を失うも、なんとか逃げ切り勝利。見事優勝し、ウィンターカップのリベンジを果たした選手たちの顔には、満面の笑みがあふれた。

優勝し笑顔で集合写真に映る選手たち

 学年試合はあすなろカップにてすべて終了し、これからは上級生の混じる『青木組』で戦うことになる。言うまでもないことであろうが、上級生と渡り合うためには、さらなるレベルアップは必須だ。だが、今大会を制した今井組は、昨年のサマーステージと合わせて二冠。新人戦で確かな実力を証明して見せた。『青木組』が掲げる真の『日本一』達成に向けて、今井組の選手たちはどこまで上級生をおびやかせる存在になれるか。激しい競争は必至だが、再びグラウンドで選手たちが活躍する姿を想像すると、楽しみでならない。

(記事 中島和哉、写真 中島和哉、石井尚紀)

結果

予選ブロックE

○2-1東洋大・武蔵大合同チーム

○2-1独協大・埼玉大・成蹊大合同チーム

準々決勝

○2-0明大・横浜国大合同チーム

準決勝

○5-1一橋大

決勝

○3-2中大・東経大合同チーム

コメント

MF今井海斗学年主将(教2=東京・早実)

――試合を終えた今の気持ちを教えてください

想像の何倍も厳しい試合で、ほんとにメンタル的にきつい試合でした。

――相手は実績のある相手でした。どのようなことを意識して臨みましたか

今までの相手の戦績はあまり気にせずに、とりあえずブロックを勝ち抜こうということで、一戦必勝で、スターティングもしっかりしてたんですけど、試合独特の雰囲気にのまれたり、試合序盤はいつもしないようなミスをしてしまって、久しぶりの公式戦で、公式戦特有の怖さがけっこうでてしまったかなと思います。

――チーム全体としてはどのようなことを意識していこうと話していましたか

試合は本当は2試合とも最初に先制点をとって、最初に流れをこちら側に引き寄せたかったんですけど、簡単にそう行かなくて、プランニング通りにもいかなかったんですけど、点取られてもすぐ切り替えて、次行こう次行こうといことで、どんどんいいメンタルの状態で向かおうということを意識してました。

――最後に明日の決勝トーナメントに向けて一言お願いします

明日も厳しい戦いが続くと思うんですけど、最後に勝って、今までお世話になった人に恩返しする気持ちと、下級生に早稲田のあるべき姿を示せたらいいなと思います。

AT平野義大(社2=東京・早大学院)

――ウィンターステージを2位で終えて、チーム、個人としてどのように今大会に臨まれましたか

自分たちの目標はグランドスラムで、ウィンター(ステージ)でその夢が途絶えてしまったこともあって、モチベーションを維持するのが大変だったんですけど、みんな自分に厳しくやっていたので、自分も自分のことはしっかりとできたかなと思っています。

――ウィンターステージ後、上のチームに同行されてみていかがでしたか

自分はずっと怪我をしていて、復帰したのが3月の終わり頃で、なかなか結果が出なくて調子が良くなかったんですけど、そこは気にせずに自分の出せるものを出そうという気持ちでした。

――1試合目の2-1という結果はどのように受け止めていらっしゃいますか

完全に負け試合で、運が良かっただけなので、武蔵大さんと東洋大さんの分まで勝たなければいけないなと思いました。

――ご自身の1点目を振り返っていかがですか

1点目を決められて良かったんですけど、もっとチャンスはありましたし、一回ゴーリーとのシーンで外してしまって、自分が決めていれば試合を楽に進めることができたので、反省しています。

――2試合目は後半の途中までリードを許しましたが、平野選手の得点で逆転しました

自分が最初にチャンスを一回つぶしてしまったんですけど、絶対にもう一回チャンスはくると思っていたので、そこはいい準備をして待つことができました。

――最後に決勝トーナメントに向けて意気込みをお願いします

優勝しなければ意味がないんですけど、一戦一戦厳しい試合になると思うので、みんなの力で勝ちたいです。

AT白井康(文構2=東京・早実)

――優勝した今の気持ちを教えてください

一番思うのは、ホッとしているという気持ちです。ウィンター準優勝で、負けて悔しい思いして、そこからあすなろ(新人戦あすなろカップ)で見返そうと言っていて、(あすなろカップは)新人戦で唯一学生コーチが卒業して、いない大会で、自分たちでやっていくのが難しかったんですけど、けっこう練習したりして、それで勝てたのが良かったです。

――きょう1日で3得点と大活躍でした。特に決勝でのゴールを振り返っていただけますか

試合前にゴールの裏のスペースで、二人でかけ合うのをやろうって言ってて、そこからスペースができて、得点ができたので、しっかりと戦術に乗っ取って、点を取れたのが良かったです。

――きょうはどのように攻めていきたいと話していましたか

それぞれ特徴が違って、相手のディフェンスの守り方が違って、それをけっこうしっかりスカウティングしてきたので、それに合わせたオフェンスをしようと話していて、平野(平野義大、社2=東京・早大学院)とかはしっかり周りが見れてて、対角にすぐ出したりだとか、ホットの裏を狙ったりだとか、相手のディフェンスに合わせてできたので、きょうのオフェンスは良かったなと思います。

MF今井海斗学年主将(教2=東京・早実)

――優勝した今の気持ちを教えてください

1年間お世話になった先輩にやっと恩返しできたなという安心の気持ちです。

――決勝トーナメントを振り返ってどのような試合ができましたか

昨日の予選に比べて、自分たちのやろうとしてたことがしっかりやれて、終始自分たちのペーズでやれたので、内容としてはすごい良かったと思います。

――準々決勝はまだ緊張しているように見受けられました。どのように振り返っていますか

負けたら終わりなので、どうしても硬くなってしまう部分があって、敵も割と強いところで、昨日と一緒で硬くなってしまう部分が出たかなと思います。

――準決勝と決勝は自分たちらしさが出た試合のように思えました。どのように振り返っていますか

この2試合は早めに先制して、オフェンス陣がしっかりと最後まで出し切ってくれて、先に点を取れたことが、自分たちにいい流れを持ってきてくれたと思います。

――今後に向けて課題はありますか

今回優勝はしたんですけど、技術的にはまだまだ及ばないと思いますし、これから先は相手は2年生だけじゃなく、上級生も混じってくるので、その中で早稲田が掲げている真の日本一に対して、技術、精神面ともにレベルアップしていけたらと思います。