優勝を掲げていた早大にとってあまりにも早すぎる幕切れであった。決勝トーナメント初戦の青学大戦は、2本のフリーシュートを確実にものにし、勝利を収める。しかし、東大戦では前半に2点のリードを許すと、後半も立て続けに失点を喫し、0−5で敗戦。準決勝にすら進めず、悔し涙をのむ結果となった。
決勝トーナメント第1試合の青学大戦は、幸先よく得点を重ねることに成功する。前半1分、MF丸田敦司学年キャプテン(商1=埼玉・早大本庄)がファウルをもらいフリーシュートを獲得し、AT片山浩平(スポ1=長野・上田西)がこれを冷静に沈めると、6分にも片山がフリーシュートを決め、前半を折り返す。「展開してからの点が取れないというのはATの準備不足、力がつけられなかったところだと思う」とAT塚田慶河(商1=東京・早大学院)が振り返るように、後半に入り追加点を奪うことができない時間が続くが、DF奈須由樹(文1=東京・早実)やDF平塚弘喜(政経1=東京・早大学院)を中心に相手の攻撃をシャットアウト。早大は初戦を2−0で飾る。
フリーシュートを決め仲間と喜びを分かち合う片山(背番号7)
準決勝進出のためには勝利が絶対条件となる東大戦。しかし、前半1分に先制されてしまう。その直後、塚田がフリーシュートを獲得し、すぐさま同点に追い付きたい早大であったが、片山のパスを受けた丸田のショットは防がれ、このチャンスを決め切れない。奈須が「前半失点することが今までなかったので、先制されて焦った」と語るように、攻勢に出る東大に対して後手に回る展開に。6分にも得点を決められ、2点ビハインドで前半を終える。迎えた後半、フェイスオフをポゼッションしたものの、東大に傾いている流れをなかなか引き寄せられない。すると、3分、5分、8分に得点を許し、勝負あり。0−5で完敗し、サマーステージのリベンジは果たせなかった。
グラウンドボールを拾いオフェンスへとつなげる奈須
「自分たちで徹底しようといっていたことを徹底できなかったことが敗因」(丸田)。劣勢の状況下において、慌てることなくやるべきことを遂行する力は、現段階のチームには不足していた。だが、下級生の底上げがなければ、早大ラクロス部が目指す『日本一』は達成できないだろう。今大会の経験を糧に、各々で、そしてチームで鍛錬を重ね、あすなろカップでは一回り成長した姿を披露してくれることを期待したい。
(記事 石井尚紀 写真 村上萌々子、今山和々子、加藤千咲)
結果
▽決勝トーナメント
1回戦
○2-0 青学大(得点者:片山2)
2回戦
●0-5 東大
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コメント
奥崚学生コーチ(教4=東京・城北)
――大会を終えた今の気持ちはいかがですか
勝たせてあげたかったというのが全てですね。2カ月間しか関わっていなかったんですけど、彼らの成長を見るのが楽しかったので。自分の采配ミスなどもあったので、勝たせてあげたかったというのが一番大きいです。
――初戦の青学大戦を振り返っていかがですか
オフェンスが最初に1点取ってくれたので、展開としてはすごく楽に進められました。ディフェンスとしても2試合目に向けた課題も見えて、今後の戦いに向けて収穫のある試合でした。
――今おっしゃっていたディフェンスの課題というのはどのようなものでしたか
いつも言ってはいたんですけど、みんなクリアの部分で焦ってしまうところがあって。そこはずっと言ってきた部分だったので、修正しようと思っていました。
――2試合目の東大戦に関してはいかがですか
1点目は仕方ない失点で、2点目を取られたときもそこまではいけると思っていたんですけど、3点目を取られたときはずっと言ってきたことを東大にやられてしまいました。やることが徹底できず、そこを東大に突かれてしまった感じです。悔しいですね。
――1試合目で出た課題を克服し切れなかった部分が大きかったのでしょうか
1試合目で出た課題はある程度克服できたのですが、普段できているはずのことが徹底できなかった部分が大きいです。課題は修正できたので、良かったと思います。
――オフェンスの話になってしまうのですが、きょうの2試合でパス回しから得点が生まれなかったことについてはいかがですか
僕はディフェンス中心に見ているのですが、彼ら自身が一番分かっている課題といいますか、練習試合などでもそのかたちがなかなか見れなかったので、それをあすなろカップ、3年後に向けてつなげてほしいです。
――コーチとしてきょうのディフェンス陣の動きはどう評価されますか
ゴーリー入れてロングは7人いるんですけど、僕は彼らのことを信じるだけで強いディフェンス陣を作った自信があったので、自分の作戦ミスの部分で失点した要素が強いです。彼らの残り3年間の思いは託したので、苦しい結果だとは思いますけど、やっていることは間違っていないので、自信を持ってやってほしいです。
MF丸田敦司学年キャプテン(商1=埼玉・早大本庄)
――今の率直な気持ちを聞かせてください
本当に悔しいです。サマーステージが終わってからキャプテンも変わって、学生コーチも変わって、チームで変わろうとやってきたんですけど、東大との力の差を見せつけられて、全員が悔しいと思っています。
――1試合目の青学大戦は2本のフリーシュートが決まり、試合を優位に進めました
いいかたちでオフェンスができていて、相手が焦ってファウルをして、フリーシュートで得点を取れました。欲をいうと、もう少ししっかりとオフェンスをして、点を取りたかったです。
――2試合目は東大の攻めに翻弄(ほんろう)されました
ディフェンスであったら、上で1on1をされないように、MFが張ろうといっていたんですけど、できなかったです。オフェンスでは、ギリギリ通るか通らないかのところにパスを出して、通らないで相手ボールになってしまって、自分たちで徹底しようといっていたことを徹底できなかったことが敗因だと思います。
――修正すべき点は自分たちの中にあるということですか
そうですね。それに加えて、パス精度やシュート精度といった個人の技術や相手との体格の差がありました。
――キャプテンとして今までチームを引っ張ってきました
途中からキャプテンになったということで遠慮してしまい、チームをガツガツ引っ張れず、もっといい方向にレベルアップさせることができなかったなと思います。
――最後に今後に向けての意気込みをお願いします
2年生になったときに最後の新人戦のあすなろカップがあるので、そこで今回の悔しさを晴らすためにも優勝。そして、3年後、自分たちの代になったときに、ことしの4年生が掲げていた全日本選手権での優勝を達成したいです。
AT片山浩平(スポ1=長野・上田西)
――試合を終えた今の気持ちをお願いします
率直に言うと完敗すぎて何とも言えない状況というか、自分たちの実力のなさを痛感した試合です。
――1戦目の青学大との試合を振り返っていかがですか
思ったよりリラックスした感じで試合に臨めて、雰囲気としても良くて、多少ミスはありましたが、全体的にはオフェンス陣としては良かったかなと思います。
――青学大戦ではフリーシュートを2点決めていました
あれはATなら決めなきゃいけないものなので、それはいつもの練習通りかなと思います。
――2試合目の東大戦を振り返っていかがですか
最初の1点2点取られたところでオフェンス陣が1点盛り返せばこんなに大差にはならなかったと思うので、こういうウインターのような短い試合時間の中で、先制点取られた後、点を取れなかったオフェンス陣がいけなかったかなと思います。
――パス回しなどの連係からは得点に結びつきませんでした
最近、オフェンス陣ではパスを回して崩して得点するというかたちがそもそもできていなくて、コーチ陣からもパス回しの際にどこにボールが欲しいのか、そういう徹底ごとがあったのですが、試合でもできなかったのが反省点です。
――5月のあすなろカップに向けて改善していきたいところなどはありますか
これでチームは分かれるんですけど、分かれたチームで実力のある先輩方から一人一人がしっかり吸収して、また一人一人の意識を変えてあすなろにしっかり臨みたいと思います。
――今後への意気込みをお願いします
こういう悔しい結果になってしまったので、変わるとは言っているんですけど、人は簡単にそう変われるものではないと思うので、そこはやっぱり上級生のチームに揉まれながら、自分としても個々のレベルアップを図っていきたいと思います。
AT塚田慶河(商1=東京・早大学院)
――今の率直な気持ちを教えてください
負けて悔しいです。
――きょうの試合どのような意気込みで臨まれましたか
東大は強いと聞いていて、東大に勝てれば優勝までいけると考えていたので、東大には勝ちたかったのですが負けたのは悔しいです。
――1試合目を振り返っていかがですか
相手のファウルによるフリーシュートで点が入って、展開をつくって点が取れていなかったので、それはATの責任だと思います。展開してからの点が取れないというのはATの準備不足、力がつけられなかったところだと思うので、あすなろではATの展開で点が取れるようにしたいです。
――2試合目のオフェンスを振り返っていかがですか
あまりきれいに回っていなくて、相手のディフェンスがやりたいようにやられてしまいました。自分たちが思うようになかなかできず1点も取れない中、相手にはたくさん点を取られて負けてしまったので、もう少し自分たちのプレーができれば変わっていたのかなと思います。
――きょうのご自身のプレーを振り返っていかがですか
1試合目にミスが多くて、2試合目しっかり切り替えて臨もうと思ったのですが、結局あまりチャンスに絡めなかったです。ATとしての仕事ができなかったという感じです。
――あすなろカップへの意気込みをお願いします
サマーも準優勝でウインターも負けてしまったので、あすなろでは優勝したいです。
MF清水俊貴(政経1=東京・早実)
――準決勝進出を逃してしまった率直な気持ちをお願いします
まず一番最初にやってきたのは悔しかったという感情ですけど、笛に対してボールを取るだけでも、もっとチームに貢献できたはずだと思いますし、自分がやれることはもっとあったはずだと思います。
――チーム全体通して何が一番足りませんでしたか
ミーティングでも出た話ですけど、相手に対してこう立ち向かって行こうっていうプランを共有しても徹底できなかったことですね。
――敗北してしまった東大戦でもフェイスオフでのポゼッション率は高かったように思えましたが
相手がロングだったので、自分としては必ず(フェイスオフで)勝ってオフェンスにつなげるのが僕の仕事なので、高い確率で勝ちはしましたが、100%ではなくミスもあったので少し悔しいですね。
――サマーステージからウインターステージにかけて取り組んできたこととは
サマーでもフェイスオフで試合に出させてもらっていましたが、フェイスオフだけじゃなく、右としてフィールドのプレーも良くないと、ボールを取ったあとつなげられないというのもあったので、主にフィールドでの練習に力を入れていました。
――あすなろカップへの意気込みを
フェイスオフは必ず勝たないといけませんが、それよりもまずチームが勝てるように僕も貢献していきたいです。
DF奈須由樹(文1=東京・早実)
――青学大戦を振り返っていかがでしたか
試合前に、スカウティングという相手の偵察みたいなものをしているのですが、それがうまくはまって良いディフェンスができました。
――青学大戦を無失点に抑えられたのはやはりそのスカウティングのおかげですか
そうですね。あと、ゴーリーの上條(怜、法1=東京・早大学院)が、最初みんなが浮足立っていた時に結構止めてくれていて、それが大きかったと思います。
――青学大戦後にチームメイトと何か話しましたか
東大も同じようにスカウティングをしていたので、その確認をしていました。
――東大戦を振り返っていかがでしたか
東大戦はそれ(スカウティング)が逆に裏目に出てしまい、相手が見せていなかったのだと思うのですが、利き手しか使えないと思っていた相手が左手も使えたり、予想外のことがたくさん起きてみんな慌ててしまいました。
――東大戦のディフェンスを振り返っていかがでしたか
みんな慌ててましたね。自分はロングでみんなを落ち着かせる立場だったのですが、あんまりそれができなくて、慌てたまま第2Qに入ってしまいました。前半失点することが今までなかったので、先制されて焦ってしまいました。
――前半2点取られてしまいましたが、ハーフタイムで何か話しましたか
取られた経験が今までなかったので、みんな慌ててしまって。それでもオフェンスを信じてオフェンスコートにボールを共有しようという感じでした。
――次の試合は5月のあすなろカップになりますが、そこに向けた修正点や課題点はありますか
ディフェンスだけでいうと、ディフェンスのやり方というのが何個かあってその1つを選んでやったのですが、それが最後まで徹底出来ていなかったので、特に東大戦では。それをどういうやり方でやっていくのかというのを全員しっかり共有して、あすなろ(カップ)に臨みたいと思います。