リードを生かせず、慶大撃破はリーグ戦へ持ち越し

男子ラクロス
1Q 2Q 3Q 4Q
早大
慶大
▽得点者
菊地2、鈴木潤2、秋山2、田口

ことしで25回目を迎えた早慶定期戦(早慶戦)。「早慶戦は特別な試合」(G高杉昂生、文構4=東京・桐朋)と語るように選手たちは宿敵・慶大撃破に向けて闘志を燃やしていた。序盤からオフェンス陣が積極的にゴールに攻め込み、試合を支配。ショットの数でも相手を上回り、前半を4-1で折り返す。しかし、第3クオーター(Q)に3連続得点を決められ、1点差まで詰め寄られると、第4Q、残り5分で同点とされてしまう。試合終了間際まで果敢に攻め続けるも得点は生まれず。結果は7-7で大会の規定により、両校優勝となった。

 相手の反則により、試合はワセダボールから始まった。第1Q開始直後、AT菊地智貴(政経3=東京・早大学院)のゴール裏から回り込んだショットが決まり、先制。2分後に同点とされるも同10分にはAT鈴木潤一(教4=東京・城北)が強靭なフィジカルを生かし中央を突破。見事ショットを決め切り2-1とリードを奪う。第2Qはショットの数で相手を圧倒。2得点を追加する。またディフェンス面でもしっかりとプレッシャーをかけ、スペースをつくらせない。攻守がかみ合った早大は3点リードで前半を折り返した。

この日2得点を決めた菊地は最優秀選手賞を獲得

 迎えた後半。序盤は守備からリズムをつくり、1点を追加する。このまま前半同様、順調に得点を重ねていきたかったが、慶大も黙ってはいない。「守りに入ってしまった」(DF丸山将史、政経4=東京・早大学院)と振り返るように相手の勢いに押されミスが増えてしまう。立て続けに3連続失点を喫すると、悪い流れを断ち切るためにここで早大はチームタイムアウトを取った。AT秋山拓哉主将(スポ4=兵庫・豊岡)が「絶対に気持ちで負けるな」とチームを鼓舞。その後は高杉が好セーブを見せるなどディフェンス陣が粘り、1点差で最終Qに突入した。第4Q、多彩なパスワークで2得点を奪い、点差を3点とする。しかし直後に一瞬の隙を突かれ失点。疲れからかパスミスなども目立つようになる。チーム全体で身体を張り、必死でゴールを守るも同16分にはついに追い付かれてしまう。早大は最大4点差あったリードを生かせず。悔しさと課題の残る結果となった。

第4Q同点に追い付かれ、うなだれる選手たち

 引き分けに終わったものの、「自分たちのやってきたことは間違っていなかった」(菊地)と選手たちは前を向いている。2か月前、東京六大学交流戦(六大戦)で敗れた慶大に対し、積極的にディフェンスを崩しながら攻撃できたことは大きな自信になったことだろう。一方、エキストラマンオフェンスの機会を生かしきれなかったことは今後の課題だ。ディフェンスに関しては、疲れが出始めた時間帯のパスの精度、グラウンドボール(グラボ)を着実に拾っていくことが求められるだろう。きょうのような連続失点は防いでいきたいところだ。8月に開幕する関東学生リーグ戦(リーグ戦)では再び慶大と対戦する。「しっかり勝ちに行く」と高杉が語るように今回の結果をうけて選手たちの宿敵・撃破への思いはさらに強くなった。悲願の全日本選手権(全日)制覇へ。エンジの戦士たちの戦いは始まったばかりだ。

(記事 岡田静穂、写真 小川由梨香)

コメント

石渡祐介ヘッドコーチ(平18商卒)

――試合全体を振り返っていかがですか

正直悔しいですね。前半あれだけ勝っていたので、後半に流れを持って行かれて最終的に追い付かれたというのは悔しいです。

――前半のオフェンス陣の活躍を振り返っていかがですか

戦い方としては凄く良かったです。オフェンスは準備してきたことができていたのかなと思います。

――具体的には何を準備されてきましたか

緩急をつけて行くところは行くなど、あとは対慶大のスカウティングなどもできていたのかなと思います。

――第3Q(クオーター)に入り、流れが慶大に傾く場面がありました

点を取られるのは仕方ない部分もあるのですが、連続失点してしまうのは緩みがあったというか。そういうところで、何かしら切れてしまったものがあったのかなと思います。そこに対してどう立て直すかが今後の課題です。

――この試合で見えてきた今後の課題を具体的に教えていただけますか

きょうに関してはアタックのところで点を取られているので、そこに対しての守り方であったりだとか、ディフェンス自体がごたついてしまった部分があるので、先手を取って相手が嫌なことができれば失点は防げたと思います。

――リーグ戦(関東学生リーグ戦)ではまた慶大と対決する機会があります

やってきたことは間違っていなかったので。見せる先は慶大とその先にある全日本選手権(全日)があるので、まずは標準を2か月後の開幕戦に合わせて、必ず勝ちに行きたいと思います。

AT秋山拓哉主将(スポ4=兵庫・豊岡)

――前半戦の山場と位置付けていた早慶戦でした。どのような気持ちで臨まれましたか

割と雰囲気も良くて、みんなの気持ちが全面に出ていたのですが、後半にかけて弱さが出たかなと思います。

――前半のオフェンス陣の動きは主将から見ていかがでしたか

点は取れていたのですが、いわゆるセットプレーや、エキストラマンオフェンスで点が取れなかったのが想定外というか。かなり練習して詰めてきたので、そこで点が取れなかったのが、痛かったかなと思っています。

――第3Qに入り慶大が勢いづいてきましたが、それに関してはいかがですき

毎回第3Qでやられてしまうのが、慶大は粘り強いけれど、早大は練習も含めて最後まできっちりやらなかったことが、後半の弱さにつながっていると思います。向こうがエンジンをかけてきたときにそれを止めることができませんでした。

――第3Qで連続得点を奪われた後にタイムアウトを取られました

この試合に勝ちたいという気持ちが全面に出てこないメンバーなので、まずは声を出して、あとは絶対に気持ちで負けるなと言っていて。常にケイオーを押し倒していこうということを話していました。

――第4Qが始まる前にオフェンス陣が集まって何か話されていました

攻め方についてなんですけど、ケイオーのディフェンスが前から守っていたので、ゴール裏を使って枚数をかけて勝負しようという話をしていました。

――今後の目標について聞かせていただけますか

僕たちが入学する前の左官さん(佑樹、平26スポ卒)の代は早慶戦を引き分け、リーグ戦の開幕戦がケイオーできっちり勝ってそのまま全日本選手権まで行かれました。そういった先輩方がいらっしゃるので、僕たちもそうなれるようにしっかりと反省してまた頑張りたいです。

DF丸山将史(政経4=東京・早大学院)

――本日の試合、どのような意気込みで臨まれましたか

今までやってきたことを出そうと思っていました。目標としては全日(全日本選手権)優勝ということを掲げているのですが、ここ(早慶戦)をしっかり勝とうと思っていました。勝つためにいろいろやってきたんですけど、結果的に課題が残ったかなと感じています。

――試合全体を振り返っていかがですか

前半までは1失点で守れていたので、全員の意識が高くやろうとしていたことはできていたのですが、後半にかけて向こうが力を入れてきたというわけではないですけど、本気で点を取りにきたときにワセダが守りに入ってしまったところで、失点が生まれてしまったのかなと感じています。

――ディフェンス面で何か戦術はありましたか

特に戦術は決めていなかったのですが、今までやってきたことや当たり前のことをやれば個々のスキルは(慶大と)ほとんど同じだと思っていたので、今までなってきたことをしっかり意識してやろうということは言っていました。それがうまくはまらなかった感じはします。

――ディフェンスリーダーとして、きょうのディフェンス陣の動きをどう評価されますか

前半までは凄く良かったと思います。押されてはいたもののやるべきことをしっかりやっていたから1失点抑えられていたと感じています。後半はやろうとしていたことが、疲れなどで最後までこだわれなくて引き分けになってしまいました。最後のところでパスをしっかり受けるだとか、グラボ(グラウンドボール)を拾うだとか当たり前のことができていれば、このような結果にならなかったと思います。

――最後に今後の目標について聞かせていただけますか

目標としては全日を目標にしているので、リーグ戦の開幕戦は慶大とあたるという意味では大事な試合になると思うのですが、あくまで通過点だと思っています。六大戦(東京六大学交流戦)で負けた相手に引き分けたということは、今までやってきたことや方向性は間違っていなかったと思うので、全員がその精度を高めることを意識して、開幕戦まで残り2か月やっていきたいです。

G髙杉昂生(文構4=東京・桐朋)

――きょうの早慶戦に懸ける思いはどのようなものでしたか

自分は入部してからこの早慶戦を特別な試合だと考えていて。この舞台で自分が出場してケイオーに勝って、みんなで紺碧の空を歌いたいという思いがすごく強かったので、そういった意味ではきょうの4年間で最後の早慶戦できっちり勝って終わりたいという思いでいました。

――昨年は悔しい敗戦となりました。その意味ではことしに懸ける思いはやはり強いものがありましたか

そうですね。きょねんは最後の最後で逆転されて負けてしまって、そこから自分としてもゴールを守ることの責任を持ってリーグ戦(関東学生リーグ戦)とかもずっとやってきたつもりですし、全てはこの4年目の早慶戦で勝つためにやってきたところもあったので、きょうの引き分けという結果にはすごく悔しくて、まだ踏ん切りがつかない感じですね。

――きょうに関してディフェンスメンバーで共有していたことや、慶大への対策は何かありましたか

ことしはスカウティングにも力を入れていて、相手のオフェンスがどういう風に攻めてくるとか狙いもはっきり共有できていたので、スカウティングで学んだことをしっかりみんなでやって守るということを話していました。それに関してはディフェンスとしては対応できていたのかなという感じはあったので、最後の詰めの甘さというわけではないですけど、最後のひと踏ん張りが足りなくて失点してしまった場面が多かったですね。ディフェンスとしてきょうは対策通りにやれたのでその点は良かったと思います。

――きょうのご自身のプレーに関しては

去年と同じでところどころでいいプレーができたかなという感じはあるんですけど、やっぱり最後のところで守り切れないということに対しては、1年間で成長し切れていない部分があるのかなと感じました。まだまだ自分の成長の余地というものを感じましたし、成長していかなければいけないことを強く感じることができたので、そういった意味では勉強になったと思っています。

――慶大とはリーグ戦初戦で戦うことが決まっていますが、きょう引き分けたことでリーグ戦に懸ける思いはさらに強くなりましたか

そうですね。去年の早慶戦で負けて、きょうも引き分けで、自分が出た試合(公式戦)でケイオーに勝ったことがまだ一度もなくて。ケイオー相手にしっかり勝てた試合がないのは自分の中でも満足が得られていないことなので、開幕戦ではしっかり勝って、大きな自信につなげたいと思います。

――最後に、今後の目標や今後に向けての意気込みをお願いします

ワセダのゴーリーを任せてもらっている身なので、その責任をしっかり果たしたいという思いはあります。ラクロスの試合は結局ゴーリーが止めるかどうかが勝負だと思うので、ことしは『全日本選手権優勝』という目標に向けてチームも1つになっているし、秋山(AT秋山拓哉主将、スポ4=兵庫・豊岡)のその思いにみんなも付いていっていると思うので、自分が最後のところで踏ん張れるプレーヤーになれるように、あと1年も残っていないですけど、できるところまで成長していきたいと思います。

AT鈴木潤一(教4=東京・城北)

――きょうの試合を迎えるにあったっての意気込みをお願いします

 4年間、最後の早慶戦ということで勝たなければいけないし、勝つのが当たり前、必ず勝つという気持ちで臨みました。

――試合を終えての感想をお聞かせください

 率直に悔しいです。やはり、7点取ってあと1点取れば勝てたので取りきれなかったのはまだ自分たちの実力が足りないのかなと思います。

――自身、2得点決められたと思いますがそちらはいかがですか

 2得点では足りなかったかなというのが、率直な意見で3点4点と得点しなければいけなかったですし、途中足がつってしまって自分としてはふがいなかったので、体力面での強化もそうですが、今後につながる2点だったかなと思います。

――第4Qが始まる前にお話をされていましたがどんなことを話されていましたか

 ここで楽しんでいこうということをコーチから言われて、5-4で展開としては面白い試合だったので、逃げ切るではないですけど受けの姿勢では負けると思ったので、攻めの姿勢でどれだけ挑めるか気持ちを高ぶらせていました。

――今後の目標をお聞かせください

 開幕戦、また慶大と当たるんですけど負けられない試合で、開幕戦勝って全日本選手権でも勝って日本一に突き進んでいきたいと思います。

AT菊地智貴(政経3=東京・早大学院)

――きょうはどのような意気込みでこの早慶戦に臨まれましたか

今シーズンの前期の締めが早慶戦だったので、その早慶戦を勝って前期を終えたいのと、やっぱり早慶戦は格別なものなので、絶対に勝たなければいけない試合だし、4年生にとっては最後の早慶戦の舞台なので、4年生が有終の美を飾れるようにしたかったですね。

――オフェンスメンバーで共有していたことや、話し合っていたことはありましたか

基本的にはフリーオフェンスで、ことし取り入れている2つの戦術をフリーでオフェンスをしながら自分たちで機転を利かせてやっていこうという感じで、「ここから仕掛けよう」とか「ここから勝負しよう」にはこだわらず、フリーでいつもやっていた通りに攻めていこうと話し合っていました。

――きょうの自身のプレーに関してはいかがですか

日頃4年生のAT陣には迷惑を掛けていますし、自分のやりたいようにやらせてもらっているので。自分のやりたいことをやれて、少しは恩返しができたのかなと思います。

――前半は4-1とリードしていましたが、後半に追い付かれる展開となりました

前半はオフェンスしながら守りに行くのではなく、積極的に相手のディフェンスを崩していくオフェンスを心掛けて、それがうまくいったのかなと思います。逆に後半は自分たちがリードしている中でその点差を守ろうというオフェンスになってしまって、相手のディフェンスを崩して点を取ってやろうという気があまり持てずに攻めてしまったのかなと思います。

――引き分けという結果についてはどのように感じていらっしゃいますか

六大戦はケイオーに負けてしまいましたけど、きょうは引き分けということで、六大戦で負けてから自分たちがやってきたことが間違ってはいなかったことは確認できました。8月の開幕戦の相手がケイオーなので、今度は勝てるように、幹部やコーチ陣を信じてやっていきたいです。

――今後への意気込みや目標を聞かせてください

このチームでの目標は全日本選手権で優勝することなので、そのために自分がチームに何かしらでも貢献できたらいいと思っています。自分はATというポジションなので、点を取ることだけを考えてこれから頑張っていきたいと思います。