まさかの4位 ウインターステージ5連覇を逃す

男子ラクロス

 準優勝という悔しい結果に終わったサマーステージから早3カ月。この日はその雪辱を果たすべく、2度目の新人戦となるウインターステージに臨んだ。予選ブロック2戦は苦しみながらも勝利を収めると、準々決勝の東大戦では攻守がかみ合い相手を圧倒。準決勝では前半をリードで折り返して試合の主導権こそ握るも、終盤に相手オフェンスの勢いを止められず、まさかの逆転負けを喫する。そして悪い流れを断ち切れないまま、3位決定戦ではサドンデスの末に東海大に敗れ、4位で大会を終えた。

 予選第1試合の明治学院大・日体大β合同チーム戦は、緊張からか動きの硬さが見られたものの、2ー1で勝利。第2試合では法大と対戦し、互いに決定打を欠き一進一退の攻防戦となるが、G勝本勇人(社1=東京・早大学院)が好セーブを連発して相手に流れを渡さない。そして同点で試合終了かと思われた残り3秒、AT青木俊汰(法1=東京・早大学院)がゴール裏から巧みに回り込んで放ったショットが見事成功。劇的勝利を収め、予選全勝で決勝トーナメントに駒を進めた。準々決勝の東大戦はワセダ優位で試合が進む。ショットの数で相手を圧倒し、試合を完全に支配。相手ディフェンスの激しいプレッシャーを物ともせず、フィジカルの強さでも格の違いを見せつけた。結果は3-0の完封勝利。流れを引き寄せ、準決勝進出を決めた。

好セーブを連発し、チームを支えた勝本

 そして準決勝の一橋大戦。前半は東大戦からの良い流れを受け継ぎ、リズムを作る。前半3分、相手のファールからフリーシュートを得るとAT大村雄太郎(政経1=東京・早大学院)がこれを決め先制。その後もワセダのポゼッションの時間が続き、このまま決勝進出かと思われた。しかし、終盤に差し掛かるにつれ、一橋大のオフェンス陣がワセダに襲い掛かる。「集中力が続かなかった。」(MF岡田康平、教1=東京・早実)と振り返るように、一瞬の気の緩みから後半6分に同点に追いつかれると、後半9分には逆転を許し、まさかの敗北。直後の3位決定戦は、先制を許し、東海大を追い掛ける展開に。試合終了間際に岡田の意地のショットで追いつくも、サドンデスでは早々と勝負を決められ、万事休す。サマーステージでの雪辱を果たせぬまま大会を終えた。

一橋大戦で逆転負けを喫し、うなだれる選手たち

 試合後、選手たちは涙を流し、悔しさをあらわにした。同大会5連覇を逃し、ワセダの伝統を引き継げなかった責任を感じていたのだろう。しかし、この経験は決して無駄にはならない。ルーキーはさらに強くなってあすなろカップに帰ってくるはずだ。「無冠の代は恥」(青木俊)、「自分たちにはあすなろしか残されていない」(勝本)と語るように、自覚は十分。サマーステージ、ウインターステージでの悔しさを胸に最後の新人戦では何としてでもタイトルをつかみに行く。

(記事 岡田静穂、写真 高橋弘樹、後藤あやめ)

結果


予選Gブロック

○2-1明治学院大・日体大β合同チーム(得点者:永井、清水)

○1-0法大(得点者:青木俊)


決勝トーナメント1回戦

○3-0東大(得点者:大村2、永井)


準決勝

●1-2一橋大(得点者:大村)


3位決定戦

●1-1(サドンデス0-1)東海大(得点者:岡田)

コメント

小瀬敦也学生コーチ(文構4=千葉・渋谷教育幕張)

――このウインターステージを終えての感想を聞かせていただけますか

結果が全てなので負けてしまって悔しいですし、コーチの自分としても1年生を勝たせてあげられずに申し訳ないという気持ちです。

――試合前、何か選手を鼓舞する言葉を掛けられたりしましたか

昨日もミーティングで言って今日もずっと言っていたんですけど、ウインター(ステージ)に関してはどこよりも練習してきた自信があって、絶対に負けるわけがないと思っていたので、今までやってきたことをやれば絶対に勝てるからと言っていました。

――予選は2戦2勝、準々決勝でも東大に3-0で勝利しました

予選は勝ったとはいえ、結果だけ良くて内容はあまり良くなくて。どの試合でもそうなんですけどやってきたことをしっかり出せれば勝てると思っていて、それが東大戦ではオフェンス、ディフェンスともにできていたからしっかり勝ち切れたのかなと思います。

――準決勝と3位決定戦については

正直全然覚えていなくて。ビデオを見て反省したいと思います。

――試合後のミーティングではどのようなお話をされましたか

自分と矢治はここで引退なんですけど、1年生はあと1回5月に新人戦があります。それ以降はチーム内で競争があって、4年生の時は日本一を目指さなければいけないということで、ここで終わりじゃないし、ここからがスタートだから、しっかりそこに向けてやって行けよということは伝えました。

――学生コーチとしての1年を振り返っていかがですか

コーチという立場になって結果を出すことの難しさを感じました。ウィンターに関してはやることを全部やって臨んだので負けないと思ったんですけど、それでも負けてしまったので今は何も考えられないです。申し訳なさしかないですね。

――最後に、1年生に向けて一言お願いします

さっきも言ったんですけど、ここで終わりじゃなくてここからがスタートだと思っています。時間が経つと薄れてしまうのでそこが1番難しいと思うんですけど、悔しさを忘れないで努力し続けたチームが勝つと思うので、あすなろでは二度とこんなことにならないように、悔しさを忘れずに絶対に優勝してほしいと思います。

矢治雅基学生コーチ(人4=東京・聖学院)

――きょうのウインターステージを終えられての感想を聞かせていただけますか

1年生を優勝させてあげられなかったのが本当に悔しいです。

――予選では2試合とも勝利し、次の東大戦でも見事勝利を収めました。前半の戦いぶりについてはいかがですか

予選は勝ったけれども内容としてはまだまだの部分がありました。でも東大戦では自分たちの実力を出し切ることができて、それが3-0での勝利につながったんじゃないかと思います。

――準決勝と3位決定戦では惜しくも敗れてしまいました

(準決勝、3位決定戦ともに)攻めてはいたんですけど、シュートを決め切ることができませんでした。シュート精度はずっと課題として挙がっていて、それを最後まで修正することができなかったのはコーチとしても申し訳ないなと思っています。

――学生コーチを務められたこの1年間を振り返ってみていかがですか

自分はもともとチームを引っ張るような性格ではなくて、コーチとして頼りない部分もたくさんあったと思います。それでもここまで付いてきてくれて本当に感謝しています。

――最後に、1年生に向けてのメッセージをお願いします

今回このような結果に終わって1年生は本当に悔しい思いをしているはずです。あすなろではこの悔しさを晴らして絶対に優勝してほしいと思います。

AT青木俊汰学年キャプテン(法1=東京・早大学院)

――今の率直な気持ちを教えてください

サマー(ステージ)で負けてしまったので、ウインター(ステージ)こそは(勝ちたい)という気持ちはもちろんですが、学年キャプテンとして、先輩たちが4連覇している中で、絶対に負けてはいけない大会だと思っていました。そういう気持ちで一生懸命練習して臨んだのですが勝てなかったので、コーチは「(負けたのは)コーチの責任」と言っていたのですが、まとめる立場としては、自分がもっと練習していればと思ってしまいます。本当に悔しいです。

――予選から接戦となりましたが、今大会振り返っていかがですか

どの相手も簡単には勝たせてくれなかったです。ウインターの前の練習試合だと大差で勝てていたのですが、やはり大会になるとこのような接戦になってしまいます。新人戦はあとあすなろカップしかありません。予選から厳しい戦いになるんだということを再認識してやれば、もう少し楽に勝てると思います。(今回は)予選から厳しい戦いをしてしまったのが最後に響いたと思うので、予選で楽に勝てるような実力を付けて、あすなろは臨みたいと思います。

――準々決勝の東大戦は勢いに乗っていましたが

そうですね。予選で厳しい戦いをしてしまったので、もう一度気を引き締め直して臨みました。(勝ったことで)良い流れに乗っていければ良かったのですが、この結果になってしまったというのはそこで気の緩みがあったのだと思います。そのような甘さが優勝できない一因なのかなと思います。

――準決勝の一橋大戦の敗戦は気持ちの面での影響が大きかったのでしょうか

その時は気付きませんでしたが、結果を見るとそう思えてしまいますね。リードしていたのに、ラスト3分くらいで2点決められてしまうところも含めて、気の緩みと言うしかないですね。

――3位決定戦はサドンデスゲームとなりました

(準決勝で)負けた直後の試合ということで切り替えるしかないのに、そこで切り替えられないところが、自分も含めて、チームの弱みです。

――あすなろカップに向けて改善していきたい点はありますか

もっと練習しないといけませんし、そこでケガをしないためのリスク管理やオフの過ごし方を考えていきたいです。今まで先輩たちが勝てていたのに、自分たちは勝てなかったという責任を、自分たち一人一人が感じないといけません。これだけ自分たちはやってきたという気持ちがあれば絶対勝てると思います。無冠の代は恥なので、自分が気持ちを一番強く持ったうえで、みんなにも強く持ってもらいたいです。

――入部してから一年間、学生コーチのお二人にお世話になったと思いますが、伝えたいことはありますか

毎日自分たちのことを考えていてくれました。学生コーチになるということは、自分のプレーヤーとしての道を閉ざされたわけですが、その分のラスト一年の時間を自分たちに使ってくれたので、サマーで勝ってなかった時に、「恩返しとして結果を残したい」とみんなで固い決意をして、言っていたのですが…。ずっとラクロスのこと、自分たちのことを考えていてくれたのに、優勝という結果を二人に残してあげられなくて、本当に申し訳ない、その言葉に尽きます。

――あすなろカップに向けて意気込みをお願いします

今までやってきた努力だけじゃできないということは、サマー、ウインターを通して悔しい思いをして分かっているので、それ以上の練習量と気持ちで、あすなろカップでの優勝を死に物狂いで取りにいきます。

G勝本勇人(社1=東京・早大学院)

――本日のウインターステージはどのような意気込みで臨まれましたか

自分たちはサマー(ステージ)で負けてしまい、先輩方の伝統を受け継ぐ者としてウインター(ステージ)は優勝するぞという意気込みで臨みました。それなのに5連覇のかかった大会でこんなふがいない結果となり申し訳ないです。

――予選ブロックの2戦を振り返っていかがですか

やはり、予選は難しくて。サマーも予選で一敗しており絶対苦しい試合になるだろうと思っていたので、入りからしっかりやろうという意識でした。自分が(ショットを)止めれば負けないので、絶対止めるという気持ちでやっていました。

――準々決勝の東大戦までチームの失点が明治学院大戦の1点のみでした。好調の要因というものは

やはりショットに関しては普段から意識を高めて練習していて。コーチの方からも指導していただいた結果が出たのだと思います。

――準決勝の一橋大戦では後半にかけて相手のオフェンスが勢い付いてきましたが、それに関しては

失点した原因として自分が必ず絡んでくるんですけど。最後の得点も自分の指示の声が甘く、自分の責任で逆転を許してしまい、同期、先輩、コーチに本当に申し訳ないです。

――3位決定戦ではサドンデスの末敗れてしました

やはりフリーシュート対決になると、運が左右してしまうのですが、自分はゴーリーを任されている以上、あの場面は絶対に止めなくてはいけなくて。入れられてしまったことは本当に申し訳ないです。まず、フリーシュート対決にまでなったことがダメだと思うので、これから同期一丸となってディフェンスもオフェンスも相手を圧倒できるようになりたいです。

――最後にあすなろに向けて意気込みをお願いします

1つ上の2年生の先輩方は新人戦3冠を達成していて、そんな伝統のある部活なのに、自分たちはまだ一度も優勝していなくて。あすなろしかもう残されていないので、絶対に優勝します。

AT大村雄太郎(政経1=東京・早大学院)

――きょう1日を振り返っていかがですか

ウインターではサマーの時よりもチーム状態がよく、自分たちのプレーがしっかりできれば優勝することができるなと思っていました。東大戦までは自分たちの流れを作ることができていましたが、一橋大戦で1つファールがあり、そこからズルズル相手に流れがいってしまい、自滅というか、流れを引き戻すことができませんでした。同点になってからは自分がフリーシュートで逆転できる場面があったのですが、モノにすることができず自分のふがいなさを感じました。あそこで決めていたら負けることはなかったので、悔しいです。

――今大会チームで最多得点を決められました。ご自身のプレーを振り返っていかがですか

自主練習でやってきたかたちで得点することができたので、そこはサマーからやってきたことができたので良かったですが、肝心なところで点が取れないということはATとしての弱さかなと。劣勢になってから個人の力で打開していくプレーヤーになれていないと感じました。

――大事な場面で決められなかったとおっしゃっていましたが、3位決定戦での最後のフリーシュートが決まらなかった場面を振り返っていかがですか

特にどこか狙って打とうは思っていなくて、ゴールに向かって思いっきり打とうと細かいことは考えていなかったです。打つときのための部分が長すぎてディフェンスが入ってきている状態でシュートを打ってしまっていたので、実力がなかったです。最後自分のミスで負けてしまい学生コーチや、スタッフに申し訳ない気持ちです。

今大会でたくさんの課題が見つかったと思います、チーム面、個人面でどうですか

チームとしては劣勢になった時に自分たちの攻撃ができていない、攻め急いでシュートが入らなかったり、些細なミスをしたりと、時間がない中で落ち着いてプレーすることが課題でしたがそれができなくて悔しいです。自分の課題としては、ここぞというところで決めることができず決定力不足があると思うので、次のあすなろまでの5ヶ月間しっかり練習したいです。

――-逆にサマーステージから成長したと感じる部分はありましたか

自分の視野が広がったところです。1on1を仕掛けるときに、今まではゴールしか見えていなかったですが、周りの選手も見えるようになりました。あと自分は左利きなので左でしかシュートを撃っていませんでしたが、右でも相手を引きつけてパスをしたりとある程度使えるようになってきたのは成長したと思います。

MF岡田康平(教1=東京・早実)

――いまの率直なお気持ちは

負けてしまったことに対してすごく悔しいという気持ちです。

――接戦が2戦続いてからの東大戦は納得の試合内容だったと思いますが

予選は難しいとは分かっていたのですが、ギリギリ勝てました。一回時間が空いたのでそこで皆で切り替えて試合に臨めて、しかも自分たちが練習したかたちで勝てたのでそこは良かったと思います。

――一橋大戦の逆転負けはほとんど予想外だったと思いますが、勝負の分かれ目はどこだと思いますか

一つの要因は、サマーステージのときも同じでしたが、東大に勝てて気が緩んだ部分があったところだと思います。先制点を取ろうといつもやっているのですが、先制点を取れたことで勝てると思ってしまい、集中が続いていなかったなというのはあります。

――岡田選手自身は常に得点に絡む活躍を見せていました。ご自身のプレーはどう評価しますか

あまり記憶にないのですが、(一橋大戦の)2点目の逆転された点が、自分が最初(ピンチを)迎えてそこからの得点だったので、そこは自分のせいだと思いました。

――3位決定戦の東海大戦では同点となるゴールを挙げました

自分が特にそうなのですが、ものすごく優勝を目指していて。試合間も短かったのであまり切り替えられなかったので、絶対に点を取らないとというのはありました。パスを回すという決め事はあったのですが、あの場面は自分で行ってやるというのを最初から決めていて、それでねじ込んだという感じです。

――やはり「切り替え」が今後の課題となってきますか

切り替えも大事ですが、集中力が最初から最後まで続かなかったというのがあると思うので、いま振り返ると練習中でそれが出ていると思います。あすなろカップでは学生コーチの方もいないので、自分たちでいかに集中力と切り替えという部分を修正していきたいです。

――この試合をもって引退となる学生コーチにどんな言葉を掛けたいですか

一番の思いはやはり申し訳ないという気持ちです。正直ここまでやる必要があるのかというほどミーティングも長いし練習中もいろんなことを言われたりして、本当にそう思っていたのですが、それをやれてなかったというのは負けてから分かったという思いがすごくあるので申し訳ないです。(学生コーチは)ミーティングのときに自分たちのせいだと言っていたのですけども、選手がもっとやっていれば勝てたと思います。

――今後のラクロス部生活での目標と意気込みをお聞かせください

まずはこのチームで必ずあすなろカップに勝つというのが目標です。そのあと必ずAチームに入って、必ず戦力として戦えるようになって、ワセダの日本一に貢献していきたいです。