【連載】ファイナル4直前特集『Break Through』 男子・第4回 DF矢野博主将×MF佐藤大副将×DF山岡光太郎

男子ラクロス

 関東学生リーグ戦(リーグ戦)でAブロック1位通過を決めた早大。開幕戦で昨年の学生日本一・日体大を撃破してからリーグ戦5連勝を飾ったチームをけん引するのがDF矢野博主将(商4=神奈川・逗子開成)、MF佐藤大副将(スポ4=東京・調布北)、DFリーダーの山岡光太郎(社4=神奈川・サレジオ学院)だ。4年生が少ない中でチームをまとめ上げる3選手に、今シーズンの振り返りとともに今後への意気込みを伺った。

※この取材は10月25日に行われたものです。

「4年生が先に点を取って楽にする」(佐藤)

4年生同士、語り合いました!(左から山岡、矢野、佐藤)

――まずリーグ5戦の結果を振り返っていかがですか

矢野 リーグ戦は本当に結果が全てだと思っていたので、全勝できたことは良かったかなと思います。ただ内容の面で言うとまだまだ足りない部分が多くあるので、しっかり反省してファイナル4に向けて準備していきたいと思います。

佐藤 博も言っていましたが、全勝で来て良かったと思います。3年ぶりの全勝だったので。

山岡 全部言われちゃいましたね(笑)。でもケイオー、東大、日体大は勝ち上がりを決めた段階で後輩を使ったりして結局1敗している中で、ワセダはしっかり全勝してファイナル4に向けてやっていこうとしていたので、全勝というのは1つの強みかなと思います。

――最初の2試合(日体大戦、明大戦)は1点差での勝利(〇7-6、〇5-4)と厳しい試合でした

矢野 僕たちもその2試合がヤマ場かなと思っていて、苦しい展開でした。リーグ戦前の練習試合で接戦をものにできず2連敗していて、終盤の粘り強さや内容が悪くても勝ち切るということを練習から取り組んできたので、2試合とも1点差ですが勝てたというところは収穫だったかなと思います 。

佐藤 僕はリーグ戦前に手術をするような大けがをしてしまい、リーグ開幕戦が復帰戦だったので、そこで得点できてチームに貢献できたところは良かったと思います 。

山岡 ディフェンスが大崩れすることはないっていうくらい自信があるので、オフェンスが7点以上とってくれれば絶対勝てるという自信があるのがすごい強みだと思います。

――力強い言葉を頂いて非常に嬉しいです

一同 (笑)。

――後半3試合は格下相手との試合でした

矢野 自分たちとしてはもっと圧倒できたかなと思います。点差もそんなについてないですし、もっとできたと思います。後半3試合は自分たちがこだわってきたグラボが取れなくて、そこが原因でなかなか圧倒できなかったかなと思うので、そこは反省して改善したいですね。

佐藤 圧倒するには点をたくさん取らなければいけなくて、ディフェンス陣が安定していたのでオフェンス陣がキーになってくる中で、下級生が多く得点することができていたので、その点は良かったかなと思います。

山岡 毎試合何失点以内に抑えようという目標を決めてやっていて。その目標を達成できなかった試合があり、ヘッドコーチにもそのことを言われている中で、千葉大戦では達成できたので、そういう風に負荷をかけてきた中で課題をつぶしていけたのは良かったと思いますね。

けがから完全復活を遂げ、堅実なプレーでチームを引っ張る佐藤

――5月に行われた早慶戦では最後残り1分での逆転負けでしたが、今改めて振り返っていかがですか

矢野 今でも思い出しますね 。本当に悔しかったです。でもリーグ戦で厳しい試合を勝ち切ろうと意識するようになった試合になりました。終盤の粘りが僕たちの甘さだったんだなと思えたので、より気が引き締まったというか、最後まできちんと勝つことが大事なんだなと思いました。

佐藤 個人的には早慶戦で得点を決めることができず活躍できなかったのですごく悔しかったですが、試合での1つの小さなミスが命取りになると感じましたし、そういう意味ではいいターニングポイントになったかなと思います。

山岡 なんか雰囲気としてはワセダが確実に勝てる雰囲気だったみたいですね(笑)。そのときは最後に勝ちきる力がなかったですが、日体大戦、明大戦と厳しい試合を勝つことができているので、今はその力があると思います。次やったときは絶対勝てると思います。

――早慶戦がターミングポイントと捉えている選手が多くいる中で、ここが変わった、成長したと感じる部分はありますか

矢野 ディフェンスに関して言えば、あれくらい大きな試合になると雰囲気に飲み込まれて、そのまま流れを持っていかれてケイオーに負けたと思います。そういった流れに流されない、自分たちの軸、自分たちのディフェンスを作るということを考えたときに何が必要かというと、コミュニケーションだと思いました。どんなに厳しい状況でもコミュニケーションをしっかり取っていれば守り切れると思いながら自分はリーグ戦を戦ってきたので、そういった自分たちがやるべきことをやろうという意識が高まってきたと思います。

佐藤 オフェンスはいかにボールを奪われないかが特に大事だなと思いました。試合をつくるのはオフェンスだと思うので、オフェンスがボールを奪われなければチェイスというルールでずっと攻撃できて、試合をうまくつくることができるので 。早慶戦は相手が負けている中でどんどんボールを奪いに来るディフェンスをしてきたのに対してうまく対応できなかったと思います。開幕から2試合厳しい試合を通して奪われないオフェンスができたところは良かったですね。

山岡 早慶戦がターニングポイントかは分かりませんが、ディフェンスが大崩れしないっていう自信がある中で、序盤は負けていてもオフェンスが点を取ってくれる、ディフェンスがやるべきことをやって5失点未満に抑えれば試合は勝ち切れると思うので、そういうオフェンスとの信頼関係が強くなりましたね。

――Aチームの特徴、チームカラーはどうですか

矢野 去年まではAチームは4年生のチームという感じがありましたが、今年はそもそも(4年生の)人数が少ないというのもあって、2,3年生それぞれがチームを引っ張る意識を持っていると思います。下級生主体というわけではないですが、下級生の力が大きいですね。

佐藤 オフェンスは例年に比べて突出した選手がいませんが、下級生などいろいろな選手から得点ができる、まんべんなく得点できるところが特徴ですかね。

山岡 ディフェンスは半分は4年生ですが3年生の力は絶大なので、下級生が引っ張っていることがいい意味で働いていると思います。

――下級生とのコミュニケーションはどうしていますか

矢野 プライベートとかではあまり関わりませんが、普通です(笑)。

――下級生からいじられたりとかは

山岡 練習中はないですよ(笑)。飲み会はこんなに下級生主体の飲み会があるのかというくらい下級生主体です(笑)。

矢野 飲み会は3年生が強いですね(笑)。ノリについていく感じです(笑)。

――下級生が多い中で、このリーグ戦でキーマンになった選手、期待していた選手はどなたですか

矢野 まあ1番は、ボトムの丸山(将史、DF、政経3=東京・早大学院)と黒瀬(聡志、DF、政経3=東京・錦城)ですかね。彼らは個の力が本当に素晴らしい選手なので。彼らの助けられた試合もありましたし、期待通りの活躍でしたね。

佐藤 注目しているのは3年生の池田選手(侑大郎、MF、商3=東京・早実)ですね。同じポジションで、能力も高く点も決められる選手ですが調子にムラがある選手で。リーグ戦は不調でしたが調子を上げてきていて、彼が得点を決めることでチームも楽になるので、ファイナル4以降も彼に期待したいですね。

山岡 自分は下級生ではないのですが、4年生の大橋選手(祐次郎、DF、法4=東京・早大学院)に期待しています。彼は去年Aチームにいたんですけどことしはずっといなくて。調子を上げてきてAチームに復帰してきて、最後はやはり4年生の力が必要になると思うので。

――リーグ戦振り返って、自身のプレーについてどうですか

矢野 僕はフェイスオフのパーセンテージがまだまだ落ち着かないというか。いいときと悪いときがあって、それについては相手や審判に合わせる力を高めて、その一瞬の間に合わせていかないと安定しないと思うので。ディフェンスのボトムに関しては、1対1は丸山、黒瀬に任せている部分があって、自分が1対1で落とせるシーンがなかったので、1対1での力、一人で止める力をつけていかないとプレーオフでは駄目かなと思います。

佐藤 個人的にはもっと点を取らなければいけなかったと思います。オフェンス陣は下級生が多く、リーグ戦を経験していない選手が多い中で経験のある4年生が先に点を取って楽にすることが大切だと思うので、そこは反省点ですね。

山岡 ことしはロングでの得点がなかったことが反省点ですかね。リーグ戦の中でロングで1点は絶対取ろうと話していて、去年はすごく取れていたのですが、ことしは取ることができなくて。ロングでの得点があると流れが良くなりますし、そこは反省ですね。

――ロングの方は普段からシュートの練習をされているのですか

山岡 シュートの練習はしませんが、オフェンスの練習にディフェンスが入ったりします。

「自然体でいられるように」(山岡)

迫力あふれるディフェンスで相手の突破を阻む山岡

――今までは少し硬い質問が多かったですが、ここからはプライベートなことなどをお伺いします。まずお互いの第一印象はどうでしたか

矢野 今更ですか(笑)。大(佐藤)は後から入ってきたんですけど、すごくうまかったです。即スタメンで、「あいつやばい」みたいになりました(笑)。光太郎はとにかくやばかったですね(笑)。髪の毛とかも今よりもっとやばかったです。これでも落ち着きました(笑)。

山岡 僕はやばかったですね(笑)。(学生証の写真を見せながら)このやばい髪型で体験会行きました。丸くなりましたね(笑)。

佐藤 僕は遅れて入ったのでみんなのキャラが固まっていました。博は真面目でしたね。ハキハキしていてキャプテンぽいというか。光太郎はまず髪型がやばいというか(笑)。でも練習中に声を出していて一番熱血ですね。ギャップがあります(笑)。

山岡 博はお互い中高男子校で、お互い知っている学校っていうのもあり仲良くなりましたね。この通りの人です(笑)。大の印象は、うまかったなって印象です(笑)。

――4年生の雰囲気はどうですか

矢野 キャラ的に騒がしい人がいないというか、よく言えば真面目、悪く言えば地味ですね(笑)。学年で飲んでも盛り上がらないですよ(笑)。でも仲はいいです。

山岡 博は仲いいやつ少ないですよ(笑)。

矢野 そんなことはないって!え、そうなのかな〜(笑)。

一同 (笑)。

――矢野選手から遊びに行こうという呼びかけなどは

山岡 こいつはないです、そういうキャプテンシーないので(笑) 。フィールド内だけです(笑)。

矢野 僕は無理ですね、苦手です(笑)。

――みなさんの趣味や息抜き、オフの過ごし方は

矢野 ないんですよね(笑)。オフ前は飲みに行ったりしますけど、オフの日に授業あるので。

山岡 オフに遊びたいんですけど、次の日は練習で結局1日遊べないので。結果昼まで寝ちゃいますね(笑)。趣味がないですね(笑)。

――試合前に行っているルーティーンはありますか

矢野 僕はないですね(笑)。試合前のアップの時間はフリーなので、そこではいつもと同じことをするようにしています。でも特に験は担がないタイプですね。

佐藤 僕は結構気にしますね。試合前はいつもイヤフォンを使っているところをヘッドホンにしていますし、ポロシャツのボタンは1番上までしめる(笑)。

山岡 それルーティーンっていうか趣味じゃん(笑)。

一同 (笑)。

――山岡選手はいかがですか

山岡 僕もないですね(笑)。気にしすぎちゃうので、逆にやらないようにしています。自然体でいられるようにしています。

「ファイナル4はあくまで通過点」(矢野)

頼れるチームの大黒柱、矢野

――ではここからファイナル4に関した質問に移りたいと思います。まずは東大の印象についてお伺いします

矢野 全体的な印象としては、やることが徹底されているチームですね。波に乗らせて、それがはまってしまうときついなという感じです。

佐藤 ワセダは4年生が少ないんですけど、東大は4年生が多いなと感じていて。試合も4年生主体でやっているのですごく安定感があると思います。安定して強いなっていう印象です。

山岡 一個上とか二個上の先輩たちは五月祭とかで東大に負けたことが全然なくて、自分たちもそうなるかと思っていました。でも3月あたりから自分たちの代が始まって、ことしは4戦して2勝2敗なんですよ。互角で、2敗もしてしまっていて。4年生主体ということもあるのかチームもまとまってきていて、最初の印象と違ってきているという風に感じます。チームとしてまとまると強いなという印象です。

――キーマンになる選手、注目したい選手は

山岡 博と被りそう(笑)。

矢野 これ後輩も見るやつだよな(笑)。先言っていいよ。

山岡 僕は林選手(祐希、MF、人3=奈良・智辯学園)ですね。元々オフェンスが強かったんですけど、最近ディフェンス専門みたいな感じでやっていて。「お前、絶対これだけはやれよ」って1つのことに集中させるとめちゃくちゃ強いんですよ(笑)。身体能力が高いので、グラボとかルーズボールのときにアイツが相手を圧倒してくれたら試合もいい感じに進むんじゃないかと思うので、自分は林がキーマンかなと思います。

佐藤 僕はMFの下級生の池田君と後藤君(功輝、MF、政経2=東京・早実)と阿部君(翼、MF、スポ3=東京・小山台)ですかね。その3人が得点できればいい展開になってくるかなと思います。4年生はAT陣も含めて安定して得点できる自信があって、プラスアルファで(下級生が)どれだけ点を取れるかというところがキーになってくると思うので、MFの下級生に期待したいです。

矢野 僕は3年生のATの秋山(拓哉副将、スポ3=兵庫・豊岡)と田口(一希、法3=東京・早大学院)ですね。特に秋山に関してはリーグ戦にずっと出ているんですけど、自分の思い通りの結果を出せていないと思います。でも最近の練習でいいプレーを連発しているので、ファイナル4に向けてさらに相手の脅威となるような選手になってほしいですね。田口に関しては、早慶戦にもスタメンで出場していて中心選手だったんですけど、そのあと怪我で苦しい思いをしていて。復帰してから期間は短いですが、彼ならうまく合わせてやってくれると思います。彼の持ち前の泥臭さというのを発揮してくれれば、チームの勝ちが見えてくると思っています。

――逆に自分のここを見てほしいといったプレーはありますか

矢野 僕はやはりグラボですかね。自分が自陣でグラボを毎回しっかり取ってつなげることができれば、大分楽になると思います。リーグ戦での自分自身のグラボはあまり良くなくて、取ったあとのプロテクションであったり、素早く展開する力というところを見直してやっているので、自分がグラボをしっかり取って勝ち切りたいと思います。

――佐藤選手はいかがですか

矢野 ゴールパフォーマンス(笑)?

山岡 (点を)決めたあとの話かよ(笑)。

佐藤 まあゴールパフォーマンスは言わずもがなって感じです(笑)。僕はフィジカルのコンタクトの部分ですかね。クリアとかライドで相手にぶつかっていくところを狙っていて、そこで相手を倒すのが個人的に得意だと思っているので。相手にぶつかりに行って、ボールを落とすところは注目されにくいので、そこに注目してほしいです。

山岡 僕は接触プレーで相手をはじき飛ばすというのを1試合に必ず1回はやるって決めていて。そうするとそのあとのグラボとかで相手の寄りが悪くなるんですよ。それをファイナル4でも2、3回見せられたらいいと思います。

――最後に締めとしてファイナル4に向けてラストイヤーに懸ける思いや意気込みをお願いします

矢野 あっという間でしたね。楽しかったことも苦しかったことも多かったですが、自分たちは頑張ってそれを乗り越えてきたので、最後は何としても日本一を取って終わりたいと思っています。ファイナル4はあくまで通過点でしかないので、必ず勝ち切って、まずファイナルに進みたいと思います。

佐藤 僕が1年の時に先輩が全日(全日本大学選手権)で優勝して全日本選手権の決勝まで行っているんですけど、そこから2年(関東で)負けていて全日本大学選手権にも出場できていないので、ファイナル4、ファイナルを必ず突破して、僕が1年生の時に見た景色をフィールドで見たいと思います。

山岡 人数が少ないことは言い訳にならないんですけど、自分たちの代は先輩たちが何連覇かしてきた伝統を崩してきてしまっているのではざまみたいに思われていて。でも今回は下級生の力を借りながら、日本一を達成しなければいけないと思うし、できるとも思うので、強い思いで頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋弘樹、小川由梨香)

力強く意気込みを書いていただきました!

◆山岡光太郎(やまおか・こうたろう)(※写真左)

1993(平5)年11月5日生まれ。身長175センチ。体重85キロ。神奈川・サレジオ学院高出身。社会科学部4年。最近筋トレブームがきている山岡選手。佐藤選手らと筋トレを行うこともあるそうで。本人いわく、いい感じに体ができあがってきているそうです(笑)。フィジカルを生かしたパワープレーに注目です!

◆矢野博(やの・ひろし)(※写真中央)

1994(平6)年4月7日生まれ。身長176センチ。体重70キロ。神奈川・逗子開成高出身。商学部4年。最近、アプリを使って家計簿をつけることにはまっているらしい矢野選手。三日坊主で終わると思いきや、意外と長続きしているそうです(笑)。悲願の『日本一』へ、全力でチームを率いていきます!

◆佐藤大(さとう・だい)(※写真右)

1994(平6)年9月8日生まれ。身長179センチ。体重76キロ。東京・調布北高出身。スポーツ科学部4年。試合前にはFamily Martで買ったオレンジジュースとカロリーメイトを食べるという佐藤選手。いつも決まってFamily Martで買うとのことです(笑)。試合では、佐藤選手の巧みなシュートから目が離せません!