ルーキーたちが初めて臨む公式戦となるサマーステージ。1年生がクロスを握り始めてから約4カ月のいま、自分たちの実力を測り、実戦経験を積む、貴重な大会である。早大からはα、β、γの3チームが出場。全チームが予選ブロックを勝ち抜き、22日に行われる決勝トーナメントへ駒を進めた。
先陣を切ったのは早大α。予選Оブロックは一橋大や東大など強豪チームが集っているため、厳しい戦いになることが予想された。初戦の法大戦はAT菊地智貴(政経1=東京・早大学院)を中心にゴールネットを揺らし、5-1で危なげなく1勝目をつかむ。しかし、その後の試合では「自分たちのしたいラクロスはできなかった」とMF後藤功輝(政経1=東京・早実)が語るように、相手のペースにのまれてしまう展開が続く。それでも一橋大α戦は3-2、東大α戦は同点の3-3と、なんとか強敵相手にブロック予選通過を果たした。
果敢にシュートを狙った菊地
続いて予選を突破したのは予選ブロックBの早大γ。1試合目の大東大戦は圧倒的な強さを見せつけた。いきなり2点を連続で失点するも、焦らず落ち着いたプレーを見せ、前半のうちに逆転に成功。後半も勢いそのままに4連続得点で7-2と勝利を決めた。2試合目の東大β戦でも、シュート数で相手を圧倒。MF井上翼(文構1=東京・攻玉社)がゴール裏から相手をかわしてショットを決めるなど、3-1で早大αに続き予選を突破した。
積極的に仕掛け、勝利を引き寄せた井上
早大全チームの勝ち残りが期待される中、最後に早大βがブロック予選Nを勝ち抜いた。序盤から積極的にゴールを狙い、MF近藤潤(商1=東京・早大学院)が相手ディフェンスをすり抜けショットを決めるなど、見事なクロスワークを披露。2試合目の筑波大戦でも攻める気持ちを持ち続け、得点を重ねる。相手に連続でゴールを狙われる場面もあったが、ディフェンス陣の好守も光り、5-2で勝利。これで早大全3チームが決勝トーナメント進出を決めた。
相手をかわすクロスさばきを見せた近藤
「ワセダは勝つことで伝統がつくられる」(後藤)。早大ラクロス部の一員として、1年生ながら勝利への強いこだわりを皆が持っている。決勝トーナメントでは1回戦から早大同士の戦いが実現。チームとして、ライバルとして、熱い火花が散ることであろう。ルーキーたちの初めてのタイトル獲得、そして早大の大会連覇に向け、全力でフィールドを駆け抜ける。
(記事 後藤あやめ、写真 佐藤諒、久保田有紀)
☆2チーム出場の女子部は、まずは早大βが予選突破
ことし女子部はα、βの2チームが大会に出場。この日βチームの予選が行われた。予選Dブロックでは、大妻女大、中大と対戦。初戦の大妻女大との試合では緊張からかミスが目立ち、前半に3点を連続で失点してしまう。逆転を許すものの、後半残り40秒でなんとか同点に追いつき、3-3。予選突破へ希望をつないだ。そして、気持ちを切り替え臨んだ2試合目の中大戦は、初戦の反省を生かし、グラウンドボールにもしっかりと反応を見せた。ディフェンスも堅い守りを貫き、1失点。後半3分確実にボールをゴールに収めると、勝ち越しに成功し、2-1で勝利を収める。予選を通過し、決勝トーナメント出場権を手に入れた。
男子部と同じくして、大会連覇がかかっている女子部は大きな期待がかかる。22日は早大αのブロック予選が控えており、まずは女子部両チームの決勝トーナメント進出の達成が求められる。予選を突破し、同日行われる決勝トーナメントでどれだけ勝利への気持ちを出していけるか。いま、真夏の太陽の下、熱い戦いの火ぶたが切られようとしている。
予選突破を果たし喜ぶ選手たち
結果
予選Oブロック(早大α)
○5-1法大(得点者:菊地3、後藤、奥町)
○3-2一橋大α(得点者:後藤2、太田)
△3-3東大α(得点者:嶋田、及川、福永)
予選Nブロック(早大β)
○5-2茨城大(得点者:近藤2、高橋、石関、菅原)
○5-2筑波大(得点者:近藤2、吉原、石坂、菅原)
予選Bブロック(早大γ)
○7-2大東大(得点者:柳沢2、荘田2、井上、安東、柳)
○3-1東大β(得点者:柳、井上、茅本)
コメント
男子部
前野起輝学生コーチ(スポ4=広島・修道)
――αの試合を振り返っていかがでしたか
後半が弱いというのを感じました。前半良くても、後半で気持ちが切れたのかわかりませんが、自分たちのプレーが出来ずに相手に流れを持っていかれることが多かったので、次の試合は自分達がやらなければいけないことを徹底したいと思います。
――β、γは2勝しました、振り返って
γに関しては自分たちのやらなければいけないことが自分たちでわかっています。それを流れの中で出来ていたので、質の良い勝ちだったと思います。
――3チームが決勝トーナメントに進みましたが、その点は
決勝トーナメントの早い段階で早稲田同士で戦うことになってしまいます。今まではチーム一丸となって戦っていましたが、そこはライバルになってしまうので、妥協なしでつぶしに行かなければと思います。
――1年生の人数も多いですが、苦労などは感じますか
大変ですが、小菅と2人でやっています。1人1人しっかり見られているかはまだわかりませんが、2人で回してできているかなと思います。
――2日後に向けてどのような調整をしますか
きょう出た反省を、明後日は同じ反省が出ないようにしっかり課題をつぶして、気持ちを切り替えて明後日良い状態で臨みたいと思います。
MF後藤功輝(政経1=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
αは決勝トーナメントに進めましたが、自分たちのしたいラクロスはできなかったので、22日に調整して、ワセダらしいラクロスをやっていきたいと思います。
――相手は強豪チームが多かったですね
そうですね。予選を突破するのが一番厳しいと思っていたので、まずは予選を突破できて一安心です。
――ラクロスを始めてまだ3ヶ月ほどだと思いますが、1年生の雰囲気はいかがですか
みんな初心者なので、気持ちでどこの大学にも負けないように頑張っていきたいと思っています。
――人数が多いですが、まとめるのは大変ですか
そうですね。50人ほどいるので、まとめるのは大変ですが、一人一人が自覚を持ってやってくれています。
――決勝トーナメントに向けて意気込みをお願いします
ワセダは勝つことで伝統が作らつくられるので、絶対に勝って優勝したいと思います。
女子部
田代美生子学生コーチ(教4=東京・戸山)
――初戦は引き分けに終わりましたが、いかがですか
出だしで2点取れて士気も上がりましたが、納得いかない形で1点取られてしまいました。そこから流れが悪い方にいってしまって、ビハインドで折り返す形になってしまいました。しかし、最後にいつもケガで抜けていた子がラスト2分で入って、攻める気を見せて1点決めてくれたので良かったです。
――2試合目はなんとか逃げ切りました
チーム内の雰囲気は良くて、グラボにも反応していて良い試合ができていました。Gの子が良く止めてくれたと思います。1試合目はフォローがしきれていなかったのですが、2試合目はそこができていて、1失点につながったと思います。
――きょう全体を振り返って良かったところは
点を取られて気持ちが落ちるところもあったと思います。ファウルなども取ってもらえなくて納得いかないところもあったかと思いますが、諦めずに走り切れました。いつもなら下向きになってしまう子も最後まで走り切れたところが良かったです。
――修正したいところはありますか
ディフェンスは焦ってしまうとコミュニケーションが減ってしまうので、そこをもっと強化したいです。ATは攻め気を持てば最後まで抜けると思うので、しっかり持ってほしいです。
――2連覇のかかる決勝トーナメントとなりますが、意気込みをお願いします
早稲田にとってはきょねん優勝したのが初めてでしたし、2連覇というのはすごく重要なことだと思います。それを抜きにしても頑張っているのはずっと見てきました。絶対勝たせてあげたいです。
細木咲帆学生コーチ(教4=埼玉・越谷北)
――1試合目を振り返って
1試合目は緊張しているというのがありました。グラボの腰が少し高くなっていたりだとか、いつも取れているパスがミスになってしまったりして、あまり自分たちの流れに持って行けなかったです。1試合目の最後の得点を決めた子というのは、入部してすぐケガをしてしまい、ずっとリハビリで抜けていた子でした。最近ようやく練習に入れるようになってきて、その子が最後の1点を決めたというのが、チーム的にもとても盛り上がりましたし、いまケガしている子にも希望が与えられたと思います。試合的にもチームの雰囲気的にも、悪いところはあれど、終わり方は良かったという印象があります。
――2試合目を振り返って
1戦目がそのような試合だったので、終わった後のみんなのテンションが下がり気味だったので、次勝てば予選通過できると、雰囲気を切り替えさせて、2試合目に臨めたというのは大きかったと思います。特に2試合目については中大の試合を戦う前に見られたので、注意すべき選手や対応の仕方などを試合前に言っていました。それをうまく体現してくれたと思います。自分たちの納得のいかないファウルを取られたり、取ってほしいところで取られなかったという場面もあったので、そういう中でうまくチャンスをもぎ取ってくれました。最後もゴーリーがファウルしてくれてラッキーな1点でしたが、その1点を最後まで守り抜けたというのは財産になると思います。この2チームで出て、βのチームは複雑な思いもあったと思いますが、しっかり予選を抜けてくれて、αとしても負けていられないなという空気になりました。気持ちが前面に出た試合で2試合目はとても良かったと思います。
――チームの雰囲気は良さそうですね
素直で一生懸命な子ばかりです。いまは2チームに分かれていますが、そのチーム間のコミュニケーションも惜しみません。みんなでうまくなろうという雰囲気があります。その点については良いチームになったといま見ていて思います。
――いままでは1チームでの出場でしたが
2チームに分けるということで一番ネックになるということが、下のチームに入った子のモチベーションだったり、分ける際の葛藤やあつれきが生まれるということでした。サマーステージという公式戦の舞台を全員に経験させたいという思いがありました。単純に2チームになれば出場経験も増えます。2チームでの出場というのは本人たちに決めさせましたが、全員一致で2チームで出たいと返してくれました。
――コーチとして指導に当たっていかがですか
私も3月まで選手としてラクロスをやっていた中で、新たにコーチを選んだという点では正直不安もありましたし、プレッシャーもありました。どうせ私が関われるのはこの1年間だけなので、いかにラクロスというスポーツを理解して自分たちで考えられるような選手を育てるかということに尽力してきました。逆に私もラクロスに対する姿勢や始めたばかりのころの気持ちを思い出して、私自身も教えてもらったことが多かったです。一緒に成長できて、幸せ者です。
――22日にαチームの予選と決勝トーナメントが控えていますが、意気込みをお願いしします
優勝、準優勝を目指していきたいです。αチームの方は決勝まで行くと7試合こなすことになるので、その中でいかにバランスを取って勝ち切るかというのがカギになってくると思います。そこは私がしっかり管理しなければなりません。βチームに関してはここから強敵に当たってくるので、臆せず立ち向かっていくかにかかっていると思います。1年生のうちは技術というよりも気持ちが大事だと思うので、それは伝えていこうと思います。