ライバル相手に悔しいドロー

男子ラクロス
1Q 2Q 3Q 4Q
早大 10
慶大 10
▽得点者
岸本2、畑田2、伊藤2、有村、高橋、岩野、谷嶋

 4月に行われた東京六大学交流戦(六大戦)決勝。そこには慶大に8-15と完敗を喫し、打ちひしがれる男たちの姿があった。あの日から三週間。宿敵にリベンジを果たすべく早慶定期戦に挑んだ。試合は伝統の一戦にふさわしい一進一退の攻防が繰り広げられる。終盤は早大が追う展開になったが、土壇場でなんとか追いつきタイムアップ。早慶戦は3年連続の引き分けに終わった。

 早大は先制点こそ許すものの、AT岸本僚介(政経4=東京・早実)のショットですぐさま振り出しに戻す。お互いに2点ずつ追加して迎えた終盤には、六大戦で活躍を見せたAT伊藤大貴(教4=東京・早実)がゴール裏から回り込んでネットに突き刺し、リードして第1クォーター(Q)を終えた。第2Qは一変してワセダペースになる。同点とされた直後の5分にAT高橋哲(政経4=東京・早稲田)がゴール正面からしっかり決めると、岸本や伊藤がこれに続き、第2Qだけで計4得点。敵を寄せ付けず8-4で前半を折り返した。

2得点を挙げた畑田

 しかし、このまま終わるほど早慶戦は甘くない。「我慢しきれなかった」と平山直ヘッドコーチ(平19人卒=東京・桐朋)が語るように、慶大の猛攻を前にディフェンス網が崩壊。第3Qに4点を奪われ追いつかれると、第4Q開始早々には逆転を許してしまった。それでも意地を見せるワセダは、7分に伊藤のパスからMF畑田峻希(スポ3=福井・若狭)がチームとして30分ぶりの得点を挙げ同点に。1点を争う熱戦に、4000人を超える観客のボルテージは最高潮に達する。会場が熱気に包まれる中、4年ぶりの勝利へ是が非でも勝ち越したいところだったが、17分に隙を突かれまさかの失点。残り2分で9-10、万事休すか――。そう思われたときのことだった。DF谷嶋悠大(政経4=神奈川・桐蔭学園)が「思いっ切り打った」と話すボールが全員の思いを乗せゴールに吸い込まれた。この劇的な1点でなんとか引き分けに持ち込み試合終了。昨年の早慶戦と同じく10-10で熱闘の幕は閉じた。

攻守にわたる活躍で、最優秀選手に選ばれた谷嶋

 谷嶋が「チームとして勝てなかったのはやはり悔しい」と口にしたように、試合後の選手に笑顔はなかった。『全タイトル制覇』という目標を掲げてきたチームにとって、2戦連続でライバルに勝利できなかったことを考えると当然のことだろう。だが、最大の大会である関東学生リーグ戦(リーグ戦)や全日本選手権が始まるのはこれから。昨季はこの早慶定期戦で引き分けながら、8月に行われたリーグ戦では慶大相手に快勝を収め、学生日本一まで駆け上がった。ここからの努力がシーズンの命運を握るのは言うまでもない。今季こそ社会人を倒して日本一になるために、どこよりも熱いラクロス部の夏が、いま始まる。

(記事 菅原拓人、写真 田島光一郎)

コメント

平山直ヘッドコーチ(平19人卒=東京・桐朋)

――この試合を振り返って感想をお願いします

昨年も同点で、ことし六大戦の決勝で負けて、今回こそリベンジという気持ちで向かったのですが、結果は残念だったなというのが正直なところです。

――東大戦と打って変わり10失点を喫しましたが、どのようなところが原因でしょうか

慶大のオフェンスのレベルもやはり東大より高かったですし、ディフェンスも頑張っていたのですが、やはりこういう大舞台でいつも通りのディフェンスをきっちりやり切れないということが、3Qのように、経験不足というか、我慢しきれなかったという感じですね。

――一方のアタックでは10得点しましたが、どのように映りましたか

アタックは10点取れるレベルは持っていると思っていたので、別に10点取ったことは不思議ではないです。もっときっちり点を取れるところは取れたはずなので、もっといけたと悔しいところがあります。

――失点を重ねた3Qから4Qの間で何を話しましたか

3Qが終わって同点だったので、選手たちには「別に同点だから、いまのペースでやれば大丈夫だ」ということを話したのですが、その後の4Qの20分はどうなるか分からなかったので、ベンチとしてはオプションを考えつつ準備はしていました。

――追い上げられていた時の選手の様子はヘッドコーチから見てどのように感じたか教えてください

やはり同点にされる前後というのは、若干浮き足立ってしまったというか、どうやって修正しようか誰も明確なものを出せなかったことが、反省すべき点かなと思います。焦りがなかったと言えばうそになってしまうのですが、もっと明確な改善策が出せればなと。

――東大戦の後に『勝つための戦い方』とおっしゃっていましたが、この試合に関してはいかがでしょうか

この試合も勝ちに徹する戦い方をと思ったのですが、3Qで追いつかれてしまい点を取るしかなかったので、勝ちに徹するというよりは必死に追いついて、4Q最後で逆転できればいいかなという気持ちでいました。

――試合後に選手に話したことがあれば教えてください

結果は非常に残念だったけど、2014年の早大ラクロス部は『全タイトル制覇』というのが当初の目標で、もうそれができなくなってしまったのは事実なのですが、ここからBチームのプレシーズンマッチとか、1年生のサマーステージとかもすぐ始まりますし、一番の目標であるリーグ戦も全日本選手権もこれからあるので、そこに向けて新たなスタートを切ろうということを話しました。

――夏に一番力を入れたいところはどこですか

爆発的な得点力とディフェンスの経験値を上げることです。

DF中林惇主将(スポ4=東京・城北)

――きょうの試合振り返っていかがですか

やっぱり、勝ちたかったという気持ちがいま一番強いです。

――キャプテンとして臨まれた早慶定期戦、感想をお聞かせください

きのう、東大には圧勝したんですけど、きのうみたいな試合にはならないと思っていて、苦しい時間や厳しいときに、自分の力で流れを止めたいという気持ちはあったのですが、結果的にはなかなかうまくいかなくて、個人としてもチームとしても悔しかったです。

――終盤、両校点の取り合いになり、とても集中していたと思いますが、チームにどんな声をかけましたか

前半第2Qが終わって、点差がついていて、きのうもそうだったんですけど、自分たちは気を抜いてしまうところがあったと思うので、第3Qからは仕切り直そうということは皆に言っていました。

――次のリーグ戦まで時間があると思いますが、チームとしてどのような準備をしていきたいですか

練習から一つのグラウンドボールをしっかりと取りきるだとか、また、ひとつのクリアに対してもっと執着心を持って、必ず成功させるなど、一つ一つのプレーでもっと全員が求めていかなくてはならないので、ワセダの強みを見つけて試合で発揮できたらいいと思っています。

MF堤光一副将(商4=東京・国分寺)

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

最初、4点離していい流れできたんですけど、途中で追いつかれてしまって、その後一心でがんばったんですけど、勝ち越せなかったっていうのもいまの実力ですし、勝ち越せる実力を次のリーグ戦までにつけなければいけないなと思います。

――本日は前期の集大成の試合だったと思いますが、どのような意気込みで試合に臨まれましたか

昨年までは下級生ということもあって、チームとしての主力ではあってもどうしても活躍できていなかったこともあり、自分が点を取って勝ちたいという思いがありました。

――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

要所要所できめなければいけないシーンがあったんですけど、そこできめられなかったのは正直悔しいですし、そこを改善していきたいと思っています。

――最後に、夏のリーグ戦に向けてこれからどのよう高めていかれますか

チームとしては、本当に個人の技術が大事になっていくと思うので、個人の技術を高めつつ、チーム全体を高めて行きたいと思います。

AT畑田峻希副将(スポ3=福井・若狭)

――きょうの試合を振り返って、4月の早慶戦とチームとして何か変えたところは

前回は試合の途中までリードしてたのに敗れてしまいました。なので、チームのリズムが悪くなったときにどう立て直していくかを重点に置いてやりました。きょうの試合ではワセダの売りである個人の強さが発揮され、前回よりはオフェンスが機能しましたね。

――前半リードしていながらも引き分けという結果に終わりましたが、どう捉えていますか

後半に失速するのがいまのチームの課題であることは分かっています。少しずつ修正できていますが、オフェンス陣の押しがもう少し欲しいですね。

――きょうの試合で得点を決めましたが、ご自身のプレーを振り返って

一本決めることができましたが、後1~2本決めないといけなかったです。そうすれば流れがワセダにきていたと思います。自分の課題はシュートなのでこれから練習していきたいです。

――次のリーグ戦まで期間が空きますが、チームとしてどのような準備をしていきたいですか

デイフェンス陣は頑張っているので、オフェンス陣、特に右サイドからの攻撃を磨いていきたいです。

G服部俊介(スポ4=東京・早稲田)

――きょうの試合を振り返って

自分が入部してから、負け、引き分け、引き分けときてて、最後勝って花添えてやろうと思ったんですけどまた引き分けってことで、ちょっとモヤモヤしてるところはあるんですけど、やっぱり悔しいです。

――ご自身の調子は

この期間は大して絶好調ではなくて、でもゴーリーが調子悪くてシュート止められなかったって言うとチームに迷惑がかかってしまうので、試合になったらがむしゃらに止めるだけっていう意識はありました。

――試合全体の雰囲気は

序盤はこっちが押してていい雰囲気でしたが、ディフェンス自体は防げた失点が多かったので、雰囲気は全然悪くなかったんですが、ディフェンスに関しては細かい所をもっと詰めてかないといけないですね。

――前回の敗戦からの反省は

前回の敗因は戦術云々というよりも、一つ一つのプレーに対して個人個人ががっついていってしっかり細かいミスをなくしていくっていう部分で、それはその後の練習から意識できて、改善はされてましたが、完璧ではなかった分、同点で終わってしまったんではないかと思います。

――ワセダの守備陣の印象は

言い方は悪いですが、浮ついてた部分もあっただろうし、もちろん僕がそこを言って変えていかなければいけない部分でもあったと思うしそこは自分の反省点なんですけど、もっとディフェンスできたのではと思います。

――最後の早慶戦にかける想いは

自分自身は中学の頃からワセダと名のつく学校に通っていて、大学に入ってから早慶戦というのを意識し始めて、1年生のときに負けたのを見て、こんなに早慶戦に負けるのが悔しいのかと感じて、それで絶対に勝って終わってやろうという強い意気込みだったんですけど、引き分けで残念です。

――慶大アタック陣の印象は

やっぱり他の大学とは1つ2つぐらいレベルが上で、パス1つのスピードだったりとかレベルが高いので、誰1人をどうこうするというよりかは、全員に注意してやっていかなければいけないなと思います。

――次のリーグ戦に向けての練習や目標は

基本的なディフェンスのイメージというのは結構できてると思うので、バリエーションを増やしたり、精度を上げたり、細かいところまで詰めていって、大学生だけじゃなく社会人にも勝てるようなディフェンスにしていきたいと思ってます。

DF谷嶋悠大(政経4=神奈川・桐蔭学園)

――最優秀選手に選出されたいまのお気持ちは

MVPをもらったのはもちろん嬉しいのですが、やっぱり勝ちたいという気持ちがあったので、チームとして勝てなかったのはやはり悔しいです。

――試合全体を振り返っていかがですか

オフェンスに4点差つけてもらって、そこから徐々に追いつかれていったので、きょうはディフェンスが崩れてしまって引き分けになったのだと思います。

――終盤で勝ち越しを許してから土壇場での同点ゴールを挙げましたが、いかがでしたか

どこかコースを狙ったというより、思いっきり打ったという感じだったので、入ったときはすごく嬉しかったです。

――全体で10失点を許しましたが、ディフェンスとして何か感じたことはありましたか

主将からも試合後反省があったのですが、きょねんのディフェンス陣と比べると、現段階では全体的にプレースピードが遅いということを感じていて、チーム全体として上げていかなければならないと感じています。

――次の8月のリーグ戦まで時間がありますが、どのようにすごしていきたいと思いますか

チームの最終的な目標は社会人チームを倒すことなので、慶大に引き分けているようでは社会人チームは倒せないと思います。しかし目標はあくまでも打倒社会人なので、そこに向けて頑張っていきたいと思います。

AT岸本僚介(政経4=東京・早実)

――きょうの試合振り返っていかがですか

結果として引き分けたのは、勝ちを目指している以上悔しいので、この仮を必ずリーグ戦で返したいと思っています

――前期の試合の集大成としての大切な試合だったと思うのですが、どういう意気込みで試合に挑んだのですか

本当に勝たないと意味がない試合だったので、もっともっと勝ちにこだわって、もっともっと上手くならないと、慶大というレベルの高い壁は乗り越えられないと思ったのでこれからもっと頑張りたいです。

――自身のプレイについてはどう振り返りましたか

大事なところで決めれるシュートを外してしまったので、終盤の大事なところで自分の点が取れなかったというところは、悔しさしかないです。

――夏のリーグ戦まで、時間があると思うのですがどういうところを強くしていきたいと思いますか

ワセダでいる以上、個の強さというのが必ず必要で、さっき下級生にも言ったんですけどオフェンス人はとにかく個にこだわって1人でも点が取れるようにもっともっと全員がならないといけないなと思い、とにかくそこにこだわって頑張りたいと思います。