TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 計 | |||||
早大 | 4 | 2 | 2 | 1 | 9 | |||||
慶大 | 0 | 0 | 1 | 2 | 3 | |||||
▽得点者 柳田3、畑田2、岸本、忠平、倉田、堤 |
---|
うだるような暑さの中、ことしも関東学生リーグ戦が開幕した。早大の初戦の相手は慶大。昨年の学生王者にして5月の早慶定期戦では終了間際に悔しい同点ゴールを喫した宿敵だが、序盤からゴールを重ねた早大が終始試合を優位に進め9-3で完勝。学生王者奪還にむけ好スタートを切った。
先制点を決めガッツポーズをするAT柳田(左)
第1Q、開始当初からボールを保持した早大は3分でAT柳田諒(社4=東京・早実)がゴールし幸先よく先制、さらにその直後AT畑田峻希(スポ2=福井・若狭)が鮮やかな個人技でショットを決めた。その後攻守が目まぐるしく入れ替わる中で慶大DF陣にゴールを阻まれる一方、早大DF陣はそれ以上の粘りを見せ相手に得点を許さない。すると17分にAT岸本僚介(政経3=東京・早実)がショットを沈めて膠(こう)着を破り、前半終了間際にも相手ファウルのチャンスで速攻を決めMF忠平裕司副将(スポ4=埼玉・松山)がゴール。第2Qでも早大の勢いは止まらない。柳田がまたも開始早々得点を挙げて攻勢を強めると中盤には岸本のパスを受けたMF倉田將史(スポ4=愛知・明和)が鋭いショットを突き刺し6-0。ディフェンスでも慶大を零封し、前半だけで早大が6点のリードを奪う。
リードを広げたい第3Q、早大は序盤の猛攻をしのいだが、ファウルを機に慶大にゴールを許し初失点。しかしその後は立ち直り柳田がこの試合3得点目を挙げるとG服部俊介(スポ3=東京・早稲田)も好セーブを披露し、終了間際にはMF堤光一(商3=東京・国分寺)が追加点を挙げた。第4Qにもファウルから慶大に2得点を献上するものの、MF岩野岳(政経3=東京・三鷹)のパスから畑田がとどめのショット。最終スコアでも9-3と慶大を圧倒した。
パワフルな突破からショットを放つMF忠平
5点を先制したのは引き分けた5月の早慶戦と同じ展開。しかしそこからリードを保てたことで「明らかに成長したとは言える」(DF左官佑樹主将、スポ4=千葉・市川)との言葉も頼もしく響く。ゴールを重ねたオフェンスも然ることながら、特に慶大を3失点に抑えたディフェンスの成長には目を見張るものがある。これは「元から(慶大の攻撃を)スカウティングをしていた」(服部)などの合宿での周到な準備の成果だろう。開幕戦に見事に勝利した早大だが、油断することなく連勝を目指してほしい。
(記事 鈴木泰介、写真 佐藤匠、久保田有紀)
コメント
嶋田雄二ヘッドコーチ(平7政経卒=神奈川・桐光学園)
――久々の開幕戦勝利となりました。ゲームを終えての感想をお願いします
綿密に準備をしてきたので心配はしていませんでした。開幕戦は例年鬼門でいつも負けているので、ことしは良いスタートが切れましたね。ディフェンスは3点に抑えられましたし、オフェンスでは2年生が得点してくれたので、そういった点が収穫だったと思います。
――春に10失点を喫した慶大を3点に抑える素晴らしい守備でしたが、上手くいった要因はどういったところでしょうか
慶大の1対1の強さに対して負けていなかったですし、速攻もほとんどやられませんでした。相手の攻めどころをしっかり抑えられたと思います。辛抱できるようになりましたね。
――DF陣のスタメンは春と比べて若干変更がありましたが、狙いはどのような点ですか
DFの3枚は4年生を中心に考えているのですが、オフェンス力のあるディフェンスをするということ、オフェンスを強くすることを狙いとして考えています。また一人ひとりのレベルが上がって底上げができたことで、よりオフェンス側にもディフェンシブな選手を使うことができるようになった点が進歩したと思います。
――その他に春と比べてチームが修正、成長をした点はありますか
幹部を中心に4年生がしっかり引っ張っていけるようになったことです。またゲームの中で自分たちがやりたいことは、春の早慶定期戦と比べてだいぶ浸透してきたと思います。チームとしてだいぶまとまってきましたね。
――きょうは嶋田HCとしても合格点を付けられるようなゲームだったのではないでしょうか
そうですね。でき過ぎなくらいだと思います。課題としては後半にクオーターの最初に点を取られてしまったところですが、あとは100点に近いと思います。
――早くもリーグ戦最大のヤマ場を乗り越えましたが、今後どのようなチーム作りを考えていますか
今回は勝って始まりましたので、サブの選手も含め経験を積ませて底上げを図りながら、ファイナルでもう一度慶大と戦うことを考えています。底上げをしながら改めてチームを作っていきます。とにかくきょうは勝てて良かったですね(笑)。
DF左官佑樹主将(スポ4=千葉・市川)
――初戦を勝利で飾りました。いまのお気持ちはいかがですか
チームとしては良かったと思います。ここで負けると自分たちがやってきたことが合っているのか合っていないのか分からなくなり、チームがいまいち良い方向へ向いていかないかなと思っていたので、勝てたことでオフェンスもディフェンスもいまやっていることを信じてやっていけば成果が出るのかなと思えたことが1番良かったです。
――具体的に試合展開を振り返って
最初は早慶戦のような形でポンポン点が入って、若干不安にも感じましたが、ディフェンスもセットディフェンスはあまり崩されることはなく第2Qまで0点で締められました。それがこのままやっていけば大丈夫だという自信にもなったので試合運びとしては良かったと思います。
――第2Q終了時のスコアが6-0。後半に向けてハーフタイムにチームで話したことは
もう一度0-0のときの気持ちでやろうということと、相手のライドにはまっていて、パーセンテージとしては高いとはいえうまくクリアができていない雰囲気があったのでそれをうまく修正していこうという話はしました。
――例年開幕戦で慶大と対戦することも多かったですが、そこではなかなか勝つことはできませんでした。ことしの早慶戦も引き分けと、この慶大戦を特に意識していたのでしょうか
そうですね。慶大は慶應義塾高からやっている人も多いですし、すごくうまいチームですが、自分たちもことし合宿でも筋力トレーニングなども強制的にして練習量では負けないと信じていました。個人的にはきょうに向けての思いが違うと思っていたので、相手も良いチームですが負けるわけはないと思っていました。
――リーグ戦に向けて夏合宿などを通して強化してきた部分は
夏合宿の前に一橋大と試合をしてまったくクリアができませんでした。そのクリアをフォーカスしてやっていたのと、慶大対策としてオフェンスもディフェンスもまねてやっていたことが成果につながったのかなと思います。
――きょうの試合での自分のプレーはいかがでしたか
自分はミスをしてはいけないと思っているのですが、個人的に2回マンダウンしてしまいました。1回は納得いかないのですが、チームに迷惑かけてしまったかなと思います。他の部分では、相手の1on1に負けないとかそういうところは出していけたかなと思っています。
――一試合を終えて、主将としてチーム状況をどのように捉えていますか
早慶戦引き分けで、きょう9-3で明らかに成長したことは言えると思います。そこは良いように捉えていきたいです。現時点では早慶戦からここまでの期間に関してはワセダの方がうまく成長できましたが、ここからは慶大もどのように成長してくるか分からないですし、自分たちもこれで満足しては終わりなのでしっかり上を見据えてきょねんの慶大のように全日本選手権まで突っ走っていきたいです。
――ご自身としては最後のリーグ戦が始まりましたが、どのような思いですか
楽しいです。2年生のときは緊張して、3年生になったら自分のことを考えてやっていて、4年生になるとそうはいきませんが、緊張とかはしないので楽しんで良い雰囲気でやれたらいいなと思っていましたが、楽しめました。
――今後に向けて
開幕戦に勝つことが例年なかったので個人的にも不思議な感覚ですが、これからも課題を見つけて一つ一つクリアしていければ学生相手には負けるはずないと思っています。これからも学生のファイナル突破を目指し、しっかり幹部が中心になってやっていきたいです。
MF忠平裕司副将(スポ4=埼玉・松山)
――きょうの試合を振り返って
オフェンス、ディフェンスともにマッチングしたプレーができて、非常に良い試合ができました。
――昨年は慶大を指名して対戦し今回は指名されての対戦となりましたが
ことしは早慶戦で引き分けという結果に終わりふがいない戦いをしてしまいましたが、実力では絶対にワセダの方が上だと思っていたので、指名されて強さを見せつけられたことは良かったと思います。
――同点に終わった早慶戦では後半に追い上げられての引き分けでしたが、どのように修正されて臨まれましたか
きょうの試合に関しても1Qに4点差をつけて、5、6点差とつけていく上で相手の巻き返しは必ず来ると思っていました。その中で自分たちの流れを崩さず大きな流れが来た時には決めきると思い、冷静に試合運びができました。このような点が大きく成長できた点かなと思います。
――得点を挙げられたシーンについてはいかがでしたか
ラッキーな部分が非常に大きかったのですが、相手の隙をついて得点できたことは良かったと思います。また、プレーでは相手のロングディフェンスにマークをつけられていたのであまり何もできませんでしたが、相手のディフェンスを引き付けられたかなと思います。
――合宿ではどのようなことを行って初戦に合わせてきましたか
いつもの練習とは大きくは変わらないのですが、一番焦点を当てて行ったのが、オフェンスで挙げるとディフェンスからオフェンスに変わるときのブレイクを取ろうということです。その成功率を上げることでオフェンスにつなげようということを目的にやっていました。
――次戦に向けて
次に当たるのはメイジだと思うのですが、同じブロックでは次に強いのはメイジだと思うので、メイジに対してもおごらず必ず勝ち切るプレーをしたいと思います。
MF倉田將史(スポ4=愛知・明和)
――きょうの試合を振り返って
序盤、オフェンスがしっかりと点を取り、ディフェンスも0点に抑えてくれたので、総合的に最高の入り方でした。
――得点シーンについて
ことしの早慶戦後の課題になっていた、フルフィールドでの得点をしっかりと周りを使って得点できたので、大きな収穫だった思います。
――先週の合宿での練習について
フルフィールドに特化したり、ロングからMFにつなぐ練習を行いました。
――今後の課題は
今回の試合ではフェイスオフがあまり奪えなかったので、次回は100パーセントを目指して頑張りたいです。
――最後のリーグ戦への意気込みを
きょねんはファイナル4で負けてしまったが、ことしは大学選手権(全日本大学選手権)での優勝は通過点とし、そこを通り越して社会人を倒して日本一になりたいと思います。
DF藤岡憲二(政経4=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
前回の早慶戦のときに後半、ディフェンスで大量失点してしまったので、きょうは試合の運び方を意識してできたのが良かったと思います。
――試合の運び方というのは具体的にはどのようなものですか
今までの練習とは違って、シチュエーション別、例えば第2Qで何点リードしている場合はこう守る、というようなことをやっています。それがチームとして統一していたことが良かったと思います。
――きょうはどのような意気込みで臨みましたか
早慶戦ということで、普通のリーグ戦より気合を入れました。
――試合の運び方以外で、合宿で力をいれたことは
慶大は個々人にうまい選手がいっぱいいるので、スカウティングなどで一人ひとりどう対応していくかを合宿で詰めていきました。
――ディフェンス面での出来は具体的にどうでしたか
全体が1対1に対してカバーできるようにしつつ、カットインでの失点が多かったのでそこを第一優先にして頑張りました。
――個人としての出来はいかがでしたか
合宿の10日目でケガしてしまいチームに迷惑をかけていたのですが、きょうは動けたので良かったです。
――今後の意気込みは
きょうの試合も通過点だと思っているので日本一に向けて頑張っていきたいと思います。
AT柳田諒(社4=東京・早実)
――開幕戦、強豪の慶大相手にいきなり完勝となりました
前回の早慶戦の結果を踏まえて、オフェンス・ディフェンス共に課題を洗い出し、その部分を合宿を通して潰せたということがこの結果につながったのかなという思いがあります。チームを作っていく立場としては嬉しい結果です。
――「課題」とは具体的に
ラクロスには6対6のハーフフィールドという局面があるのですが、その前に10対10の局面があります。そのフルフィールドのオフェンスというのをロングスティック、ショートスティック関わらずしっかりやっていくというのが課題だったので、その部分がクリアできたというのは良かった面です。
――今節ではご自身3得点を挙げられました
絶好調でした(笑)。
――先日の早慶戦に引き続き、今節でもチームの中で様々な選手が得点を決めています。オフェンスリーダーとしていかがですか
シーズンが始まってから、下級生に対して例年には無く厳しい言葉を掛けてきたので、みんな腐らずに言葉を噛みしめて理解してくれて、行動に移してくれたのがこういった結果に表れていると思います。個人的にも嬉しい結果でした。
――早慶戦では終盤追い上げられての同点、今節では3失点に抑えましたが、
守備面の改善についてはどのように取り組まれてきましたか
これまではオフェンスとディフェンスに分かれての反省が多かったのですが、僕たちオフェンスからも意見を出せたので、それが結果に出たのかなという思いもあります。それと同時にやっぱり左官(DF左官佑樹主将、スポ4=千葉・市川)や藤岡(DF藤岡憲二、政経4=東京・早大学院)を中心にディフェンスの4年生が中心となってまとめてくれたのが大きいかなと思います。
――早慶戦では連続失点が痛手となりましたが、その点については
そこもすごく課題として挙がっていて、試合運びという部分で、現状を把握する能力というのはすごく大事だなと思っています。例えば残り時間は何分、相手より何点リードしている、というところを個人個人に意識付けられたというのが練習の中でやってきたことなので、それが試合の中でコミュニケーションを取れた要因だと思います。意識共有が取れたというのがチームとして良かったと思います。
――菅平合宿に向けてはどのような目標を持っていましたか
他のオフェンスの下級生たちとどれだけコミュニケーションを取れるかという点です。親身にラクロスの話ができる機会というのは最初で最後だと思っていたので、そういう機会を設けてみんなの雰囲気を促すということを目標に掲げていました。
――今季のチームの強みは
穴が無いということや、さっきも言ったフルフィールドでのオフェンスによって点数が欲しいときに取れるというのが強みだと思っています。
――最後のリーグとなります、抱負をお願いします
得点王になります!!
G服部俊介(スポ3=東京・早稲田)
――試合を振り返っていかがですか
きょねんの開幕戦では自分の調子があまり良くなくて、それが原因の一つとなって負けてしまいました。またことしの早慶戦は引き分けで(今回は)なんとしても勝ちたい試合だったので、勝ててよかったです。
――第2Qまでは完封でした
慶大の攻撃陣があまり強くゴールに向かってこなかったというか、そこまで怖いオフェンスをしてこなかったので、自分のディフェンスが良かったから0点だったのではなく、慶大の攻撃が強くきていなかったのかなと思いました。
――そのような慶大の攻撃の出方は予想外だったのでしょうか
元からスカウティングをしていて、どういう攻撃をしてくるか分かっていたので、その辺りは計算通りでした。上手くいって良かったなと思います。
――ディフェンスプランなどは立てられていましたか
最初は上からシュートを打たれてもいいからやってみるということで、第2Qまで失点せずに済んだので、そのまま継続して最後までそのディフェンスが貫けました。
――きょうは猛暑でしたが対策などはなさいましたか
普段から暑いところから練習しているので、暑くて大変でしたが、そこは大丈夫でした。
――夏の合宿ではどんな練習をなさったのですか
夏の合宿では普通のセットはもちろん、クリアの練習でボールを奪ってからどう前につなげていくかという部分をやってきたのですが、試合で上手くやることができなかったので、そこはまた練習をしなければならないかなと思います。
――他に反省点などはありますか
展開的にもう少し点差を開くことのできた試合だったので、それができればもっともっと楽にこなしていけると思うので、そうやっていきたいです。
――点数的には9-3で完勝でしたが、まだまだ納得できる試合ではなかったということでしょうか
100パーセントではなかったですが、自分たちがやりたいことができたということで、これを積み重ねていけば目標である日本一を達成できると思うので、今後も精進してやっていきたいです。
AT畑田峻希(スポ2=福井・若狭)
――開幕戦勝利おめでとうございます!初めに、きょうの試合の良かったところ悪かったところを教えてください
きょうの試合は入りから完全に勢いをもって入れて、試合の序盤から有利に戦うことができて良かったです。また、みんなで冷静になれたというか一つの目的をもってプレーできたことがきょうの結果につながったと思います。反省は、9点だったのですができればオフェンスで2ケタとりたいと思っていたので1対1になった時に決めきる力とか、途中で何回かミスが出たのですが、そういう集中力を欠いたミスをしているとこれから先やっていく中でネックになるかなと思います。
――ご自身の得点シーンを振り返って
最初の1点は裏から1on1をかけて得意な形だったのでチェイス後で自由にいけました。もう1点は相手にちょっとカットされて崩れた状況だったのですが、上手くボールに反応できたかなと思います。
――きょうの試合は2年生唯一のスタメンでしたが
評価していただいているのでその期待に応えないといけないと思いますし、4年生最後の大会で2年生の僕が足を引っ張ってチームを悪くしてしまうのは嫌なので。先輩がやりやすいような環境をどんどん僕からも作れるようにというのはいつも心がけていました。きょうの試合に至っては他の2年生の思いもありましたし、頑張れたと思います。
――続いて、このあいだまでの夏合宿について教えてください
夏合宿までに課題に挙がっていたところを克服できるように幹部の方がメニューを作ってくれて、それを反復練習というか何回もしました。特別なことは特に何にもしていません。欠点を克服しつつ良いところを伸ばせるような練習をしてきました。
――次の明大戦に向けて意気込みを聞かせてください
きょうと同じように、僕はどんどん攻めてなるべく変なミスはなくしてチームを盛り上げられるように100%で頑張りたいと思います。