課題見つかるも学生日本一に王手

男子ラクロス
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q
早大 14
北大
▽得点者
伊藤5、畑田3、忠平2、大場、高橋、須賀、倉田

 3カ月にわたり行われた関東学生リーグ戦が閉幕し一週間。戦いの舞台は早くも次へと移り、早大は全日本大学選手権(インカレ)に乗り込んだ。まず迎えた準決勝では第1クオーター(Q)からリードを奪うとシュートシーンを多くつくり得点を重ねる。試合を優勢に進める一方でミスから失点する場面も見られたが、ディフェンスも要所を締め、14-6で北大を一蹴。順当に決勝へと駒を進めた。

チームトップの5得点の挙げたMF伊藤

 関東王者の貫禄を見せつけたい早大だったが、序盤はなかなか流れを引き寄せられなかった。DF左官佑樹主将(スポ4=千葉・市川)は「ディフェンスで一発目のクリアをミスした」ことをその要因に挙げる。そこからパスミスやグラウンドボールを取りきれずにチャンスを逸し、重苦しい雰囲気に。「初めからトップギアで入っていかないとと痛感しました」(左官主将)とスタートの重要性を再認識した。それでも9分にMF忠平裕司(スポ4=埼玉・松山)の狙いすましたような強烈なミドルショットで先制。さらにDF中林惇(スポ3=東京・城北)のパスカットからクリアに成功し、ディフェンスからリズムをつくっていく。オフェンスへとつなげ、忠平からパスを受けたMF伊藤大貴(教3=東京・早実)のゴールで2点目。さらに2点を追加し第2Qに突入するが、早大は2人がマンダウンになっている間に初失点を喫すると第2Qは3失点。AT高橋哲(政経3=東京・早稲田)が加点したものの、その後はオフェンス陣がシュートをたたみかけるも得点には至らず。5-3と点差を縮められ前半を終える。

 しかし、後半に入ると徐々にエンジンがかかり出す。相手のオフサイドで早大ボールになると伊藤と忠平が個人技でも魅せ追加点。1点は返されたが、AT須賀航平(先理4=宮城・仙台二)、MF倉田將史(スポ4=愛知・明和)、AT畑田峻希(スポ2=福井・若狭)の3連続得点でリードを6点に広げ、最終Qへ。さらに相手を突き放すため早大は果敢にゴールへ迫った。なかでも終始積極性を見せた伊藤はここでも2ゴールを奪い、最終的にチームトップの5得点をマーク。この日幾度となく好機を演出したAT柳田諒(社4=東京・早実)のアシストで畑田がフェイント気味に下から流し込み会場を沸かせるなど、終盤にかけては見せ場もつくり、最終スコア14-6。全日本選手権への出場権利を得るとともに学生日本一に王手をかけた。

ディフェンスの柱としてチームをけん引するDF左官主将

 下級生主体のメンバーで臨んだ時間帯もあったこの試合。課題と収穫を得ただろう。反省を口にした選手も多かったが、「今シーズンが始まってから一つ一つの課題をクリアしてきた」(中林)と、成長を続けてきたチームはここでの反省も今後へとつなげてくれるはずだ。「個々のレベルを上げてほしい」と嶋田雄二ヘッドコーチ(平7政経卒=神奈川・桐光学園)が言うようにワセダの売りである個の力を磨き、全日本選手権での社会人クラブチームとの対戦に向けてさらに完成度を高めていけるか。最終目標である日本一への決戦を前に、次戦のインカレ決勝戦では大阪会場勝者の神戸大と相まみえる。内容にもこだわり、まずは2年ぶりの学生王者へ――。覇権は絶対に譲らない。

(記事 荒巻美奈、写真 久保田有紀、浦井拓也)

関連記事

明大下し、無敗の関東制覇達成!/第26回関東学生リーグ戦(11/18)

驚異の逆転劇!東大を下しファイナル進出/第26回関東学生リーグ戦(11/05)

コメント

嶋田雄二ヘッドコーチ(平7政経卒=神奈川・桐光学園)

――試合を終えての感想をお願いします

全体的に状態が良くなかったため、課題は結構ありますが、勝てたので良かったと思います。

――最終スコア14‐6というゲームでした

我々としてはもっと点を取れましたし、ディフェンスの方のもっと失点を抑えられるゲームだったと思います。そういう意味では前半の点差から考えると後半はエンジンがかかってきた印象はありましたが、入りのところは若干普段のワセダの入り方ではなかったので、大舞台になったときにちゃんと4年生というよりは3年生以下の下級生が気持ちを入れてあたってくれないとこれから先も苦しい試合になってしまうのでそこは課題ですね。

――きょうの試合ではサブメンバーの選手も多く出場され、得点を決めた選手もいました。そういった選手の方たちの動きを見ていかがでしたか

点を取ってくれたのは良かったですが、そこに至るまでの過程で結構ミスもしていましたし、実際練習している内容が出せなかったので、そこは実際の試合で使えるようにしていかないともったいないなと感じました。

――来週に決勝戦を控えますが、ここに向けてはどういった調整をしていくべきでしょうか

相手の神戸大学自体はいろいろなバリエーションのディフェンススタイルを持っていますし、オフェンスにはキープレーヤーもいますので、かなり厳しい試合になると思います。もう一度ここから意識を高めていきたいですね。

――全日本選手権出場が決まり、日本一までまだ試合は続きます。選手の皆さんに期待することはありますか

まだ伸びしろはあると思います。4年生もですし、下級生は特にそうです。ここからもう一段、二段上げて、どちらかというとチームの戦術よりも個々のレベルを上げてほしいなと思います。

DF左官佑樹主将(スポ4=千葉・市川)

――きょうの試合を振り返って

最初からトップギアでやろうという中で、自分としては1Qのディフェンスで一発目のクリアをミスして、そういう雰囲気にしたと思っています。相手が格下であるという意識でいたことが雰囲気的に難しい試合にしたかなと思います。

――試合展開は想定通りでしたか

もっと楽にいくと思っていました。全然手を抜いてるわけではないのですが、どうしても一発目のクリアをミスしてしまうと雰囲気が良くならないので。どんな相手に対しても初めからトップギアで入っていかないとと痛感しました。

――試合後のチームの雰囲気は決して明るくはありませんでしたが

みんな満足していなくて、このままだと学生の日本一も取れないし自分達の目標の社会人に対しての日本一も取れないと思っています。このチームでやるのもあと数試合しかないのですが、それをいかに全員が意識できるかが大事だと思います。またあしたも練習試合がありますし、まだ自分達はなにも成し得ていないのでやるしかないです。

――下級生も試合に出られていましたが、その点については

3年生に関してはあんまり上手くいかなかったのではないかと。ディフェンスはもう少し出してあげたかったのですが、チームとしてそういうわけにはいかなくなった中で4Qでは2年生が出てそれなりのプレーをしてくれたので、そこは別に思い出作りではなくて来年へつながるきっかけになばと思って幹部は使っています。試合でしか起きえない状況っていうのが多々あると思うので、練習の中で試合をいかに意識できるかが大切だと思うので良い経験にはなったのかなとは思います。

――神戸戦に向けての対策は

神戸は関東にいても強いチームだと思うのでこれから一週間対策を練ってその上で1Qからトップギアでいけば勝てる相手なのでいかに今週一週間練習できるかが大切だと思っています。

――学生日本一への意気込みは

学生相手に『奪うディフェンス』を掲げているので、そういうところをやっていかないと意味がないですし、プレーでチームを引っ張りたいと思います。

MF伊藤大貴(教3=東京・早実)

――きょうの試合を振り返って

終始全体的にミスが多かったかなという印象ですね。

――どのような意気込みで臨みましたか

あと4試合あって、その中の一試合って考えるんじゃなくて、北海道戦は北海道戦で、全力でぶつかるという気持ちでした。

――ご自身は5得点という活躍でしたが、いかがですか

結果的に点を決められたというのは、正直言って嬉しいですが、その中でももっと決められたシーンはあったのかなと思います。

――チームの攻撃としてはいかがですか

第2Qとかでは2、3年生が中心になって出ていたんですけど、いつものプレーができなかったというか、そこで力を発揮できなくて、ミスして雰囲気も悪くなってしまいました。気持ちが入っていなかったのかは分からないですけど、少し準備不足だったかなというのはあります。

――きょうは多くの選手に出場機会がありましたが、連携は上手くできましたか

フィールドに入って、ATとMFで何をやるかということを共有する前に、1on1をかけてしまったり、そういうのは多少ありました。

――全日本選手権出場が決まりましたね

全日本学生選手権も優勝して、全日本選手権に行くのが、自分たちのやるべきことであり目標なので、次の試合もしっかり勝って、全日本選手権に準備していきたいと思います。

――決勝の相手は神戸大です。意気込みをお願いします。

次に勝てば学生王者ということになるので、やっぱり負けてはいけない戦いになると思います。一週間しっかり準備して、100パーセントを出せるようにやっていきたいと思います。

DF中林惇(スポ3=東京・城北)

――試合を終えての感想をお願いします

この試合での目標はオフェンスは20得点以上して、ディフェンスは4失点以内に抑えたいという感じだったのですが、それに全然達しませんでした。応援してくれた方たちに対しても申し訳ない試合をしてしまったなという思いです。

――どういったところが足りなかったと思われますか

決して北海道大学をなめていたわけではありませんでしたが、ファイナルに勝ってから気を抜いていた部分はあって、一つ一つのボールの寄りやパスキャッチのミスなど、そういった部分の精度の面で一人ひとりもっと意識できたのではないかと思います。

――今季は「圧倒したい」とおっしゃる選手の方も多いですが、そういった意味では少し達しなかったということになりますか

そうですね。きょうの相手は圧倒しなければならなかったと思うのですが、不安が残る結果になってしまいました。

――14-6というスコアで終えたゲームでした。ディフェンスとして振り返っていかがですか

自分としては今シーズンが始まってから一つ一つの課題をクリアしていって、一段一段階段を上っていかなければならないと思ってきました。それぞれ解決してきたつもりでしたが、試合になるとまだ解決できていない状態が出てしまいました。リスクを冒してディフェンスをするなど、もっとさらに上のレベルのことがしたかったのですが、そこには至らなかったのでもっと考えていかなければならないですね。

――サブメンバーの出場機会も多い試合でしたが、連携などの面ではいかがでしたか

他の大学は新チームが始まっていて、どんどんチーム力も上がってきていると思います。自分たちも来年のことを考えてやっていかなければならないと思うので、そういう意味でこの前までBチームにいたメンバーが少しでも試合に出れたことは良かったと思います。

――ディフェンスながら前線に上がり得点機をうかがうようなシーンも何度か見受けられましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

(ゴールを)狙ってはいたんですが、スペースの使い方であったり、ATの人とのタイミングがまだ合っていないと感じました。ビデオを見たり、ATの人と話したりしてコミュ二ケーションを取れば自分も点を決められるのではないかなと…。自分のことを信じています(笑)。

――次は学生日本一を懸けた一戦です。どんな試合にしたいですか

神戸大学はU-22日本代表の選手もいて、チーム力も個も強いチームだということはビデオなどを見てわかっています。そこでしっかり勝ってFALCONSやACLという社会人チームを倒せるような良い試合にしたいです。

――きょうの勝利で全日本選手権出場が決まりましたが、社会人チームと対戦する前の試合としてどんなポイントを持って臨みたいですか

社会人だとフルフィールドで得点をどんどん狙ってくると思います。それに対して今シーズンはやられている部分も多いので、神戸大学戦でもフルフィールドでの失点は避けたいです。

――個人的な目標はありますか

ディフェンスとしては4、5失点以内には抑えたいですし、それで得点にも関われたら幸せです。

――最後に次戦に向けて一言お願いします

神戸大学に対して良い試合をして応援してもらっている人たちに盛り上がってもらえるようなプレーをしたいと思います。これからも応援の程よろしくお願いします!

AT畑田峻希(スポ2=福井・若狭)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

毎回同じことで勝ったことはいいのですが、内容が全然良くなくて。途中下級生中心にやらせていただいたシーンもあったのですが、そのようなときに相手の形をもっと見て、自分自身がコントロールできたら良かったなと思います。その時、もっとうまくやればよかったなと悔しい気持ちでいっぱいです。

――自身のプレーと得点を振り返ってみていかがですか

得点に関してすべて柳田選手からアシストをもらって決めるだけだったので、決めきれたことは良かったのですが、自分がもう少し柳田選手のようにラストパスを供給できるようになれたらいいなと思います。

――2Qでは攻撃陣が停滞する時間が続きましたが

そのような時に自分はATなので、攻撃は自分や岸本選手を中心に組み立てればよかったのですが、自分自身がプレーすることにいっぱいいっぱいで、余裕が生まれなかったのも自分の実力不足で、そのようなところであまりすっきりしない気持ちです。

――大学選手権の決勝に進み、相手が神戸大に決まりましたが

神戸はここまで勝ち抜いてきて強い相手だと思うので、きょうみたいな試合をすれば負ける相手だと思っているので、あと一週間チームで内容をつめて全力でぶつかっていきたいと思います。

――きょうの勝ちで全日本選手権への出場権を獲得しましたが

自分たちの目標は全日本選手権の決勝で社会人最強のチームを倒すことだと思っているので、次への切符を手に入れたことは良かったですが、きょうみたいな試合をすれば、通用する相手では絶対にないので、きょうの反省を生かしていきたいと思います。

――勝ち進んだことで4年生との時間もまた増えましたが

自分的には本当にうれしいことで、4年生はプレーがうまいので、自分自身習うことが多くて、あと一緒にできる期間は短いですけど、すばらしい技術などを盗んで自分のものにできればいいと思います。