ついに全日本学生選手権(インカレ)の幕が上がった。宮城・仙台の地で大学ハンドボールの日本一が決まるのだ。初戦を迎えた早大は中京大と対戦。前半戦は立ち上がりから弾みをつけることができた早大だったが、途中テンポを崩されてしまった。1点を争う拮抗した試合展開が続いたものの、前半戦は14-12と2点リードで試合を折り返す。後半戦は前半戦とは打って変わり立ち上がりに失敗するとあっという間に前半のリードを奪われ逆転されてしまった。しかし、それをそのままにしないのがワセダセブン。しっかりと点の取れない時間帯を終わらせ、着々と点差を埋めていった。前半戦同様、後半戦も同点や1点差の展開が続いたが、粘り勝ちしたのは早大だった。試合終了まで攻撃の手を緩めず、3点差をつけ29-26というスコアで勝利。初戦を白星発進とした。
前半戦、CB宮國義志(社4=沖縄・浦添)のシュートで先制し、序盤の立ち上がりを良いものにしたワセダセブン。GK羽諸大雅(スポ4=千葉・市川)の圧倒的な守備力で相手のシュートを弾き切り、セットオフェンスで攻めこみ点差をあけていった。相手のシュートミスとRB山本慶(スポ3=長野・屋代)のカットインやPV中村祐貴(スポ3=北海道・札幌西)のポストシュート、宮國のワンバウンドシュートなどが次々と決まったことで3点をリード。このまま早大ペースで試合が進められていくように見られたが、さすがインカレというべきか、相手もそう為すがままとはしなかった。10分を過ぎるとじわじわと反撃をされ、空いた点差は埋められてしまうと、そこからは1点を争う試合展開に。RW清原秀介(商4=東京・早実)が試合後「速攻のつなぎのミスがすごく目立ってあっちの試合のペースになってしまった」と振り返るように、ここぞというときのミスが失点につながっていったのだ。だが残り時間4分を過ぎたところで勝負強さを見せた早大は、LB青沼健太(社2=千葉・昭和学院)のミドルシュートや羽諸のキーピングを生かした清原の速攻で2点リードまで盛り返す。そして、試合終了3秒前に決まったLW前田理玖(スポ3=福井・高志)のシュートが決まり、早大は14-12と2点リードで前半戦を折り返した。
鉄壁の守りを見せた羽諸
しかし、後半戦は前半戦と打って変わって立ち上がりはうまくはいかなかった。序盤から4失点を食らうと前半につけた点差は埋められ、6分までには2点ビハインドまでもつれ込んでしまう。しかし、宮國のディスタンスがこの流れの突破口となった。宮國のこのシュートを皮切りに、前田や清原の速攻や青沼のカットイン、中村のポストシュートが決まっていく。そして15分の青沼のカットインで24-20とリードを4点にまで広がった。後半戦中盤から前半戦同様に相手の追い上げを食らい再び接戦を強いられた早大だったが、得た7メートルスローを宮國が着実に決め、2点のリードを維持。競った試合展開の中で意地を見せつけたことが点差に現れたのだ。そして、残り時間1分。宮國のカットインと前田の速攻が立て続けに決まり、スコアを29-26と3点差としたところで試合の終了のブザーが鳴った。
パスをだす青沼
インカレ初戦でしっかりと勝利を収めたワセダセブン。「また明日もこのチームでプレーできることに感謝したい」と試合後、岡本隼(商3=滋賀・彦根東)も振り返ったが、この思いは早大ハンド部全員が持ったことだろう。そして、そんな彼らを待ち受けているのは、関東学生秋季リーグ王者・日体大だ。インカレ直前特集でもどの選手も口をそろえて、日体大戦が一番の山場と答えていた。強豪・日体大の壁は厚く、高い。しかし、その壁は打ち壊せないものではないのだ。今までの経験を生かし、一丸となって大きな一勝を目指していく。
(記事 栗林真子、写真 稲葉侑也、杉原優人)
全日本学生選手権 | ||||
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早大 | 29 | 14−12 15−14 |
26 | 中京大 |
GK 羽諸大雅(スポ4=千葉・市川) LW 前田理玖(スポ3=福井・高志) LB 青沼健太(社2=千葉・昭和学院) CB 宮國義志(社4=沖縄・浦添) PV 中村祐貴(スポ3=北海道・札幌西) RB 山本慶(スポ3=長野・屋代) RW 清原秀介(商4=東京・早実) |
コメント
清原秀介主将 (商4=東京・早実)
――勝利を収めました。今の心境をお願いします
素直にインカレで今のチームで明日も戦えることが、すごく嬉しいです。
――試合が始まる前はチームでどのような話をしましたか
去年のインカレを経験したメンバーは少ないんですけど、今年は春リーグや東日本インカレ、秋リーグもやってきてるので。そこは経験値の差はないと思うし、戦ってきたという自信もあるので、序盤からチーム全員で盛り上げて、一丸となれば乗り切れるという話をしてました。
――中京大戦に向けてどのような対策をしてこられましたか
相手の14番と17番がすごくフェイントとかがキレたりして良いプレーヤーだったので、まずはそこを徹底的に行って、あとポストの3番もボールをもらってからの回転が強い選手だったので、そこは特にあつくやっていきました。東海大のようにすぐ攻めてこない独特なペースのチームだったので、そこは自分たちのペースでやれるようにと話はしてました。
――試合前後半ともに振り返ってみていかがですか
前半は特にポストにスライドでやられてしまったし、自分たちの速攻のつなぎのミスがすごく目立ってあっちの試合のペースになってしまいました。後半も正直試合内容としては、自分たちのペースでやれなかったと思うんですけど、最後はディフェンスで粘ったり羽諸も良いところでキーピングしてくれたので、ギリギリでしたけど勝てて良かったです。
――オフェンス陣の動きについては
前半とかは1人で持ち込んで突っ込んでチャージとか、ロングを止められたりとかが多かったんですけど、もっと寄せて捌いたりするプレーを心がければ良かったなと思います。
――次戦への意気込み
次は秋リーグ王者の日体大なので、そこを勝ったらチームとしても流れに乗れますし、自分たちとしてはやることをやれば食らいついていける相手だと思ってます。日体大を倒してチームとしての団結力を高めて戦っていきたいと思います。
羽諸大雅副将(スポ4=千葉・市川)
――試合を終えた今の心境を教えてください
勝てて良かったです。勝たないと次はないので、勝てて安心しています。
――大会初戦でしたが、何か意識したことはありましたか
インカレに出場するのは4回目なので緊張はしなかったんですけど、どれだけ自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるか、という部分に注力しました。
――試合前、チームでどのようなことを話しましたか
弱くはない相手だったのですが、まずは相手関係なく自分たちのハンドボールをしようというのと、みんなで盛り上げようと話していました。
――前半をリードで折り返しましたが、チームの出来はいかがでしたか
どこのチームも初戦は動きが硬くなるので、点差は気にせずにプレーしていました。
――試合を通して1点を争う厳しい展開でしたが
もっと楽な展開にできた試合だったのですが、それでも勝てたのは大きいと思います。
――次の相手の日体大の印象を教えてください
速攻はとても速いので、どれだけ対応できるかが鍵になると思います。
――次戦への意気込みをお願いします
インカレを戦っていくごとに、調子を上げていきたいと思います。
岡本隼 (商3=滋賀・彦根東)
――勝利を収めました。いまの心境をお願いします
とても嬉しいです。また明日もこのチームでプレーできることに感謝したいです。
――中京大戦ということでしたが、何か対策はしてこられましたか
ライン攻撃することもわかってましたし、独特のリズムで攻めてくることもわかってたので、ディフェンスの横と喋りながらやってました。オフェンスは多分、勢いで行こうという部分があったと思います。
――前後半、ともに試合を振り返ってみていかがでしょうか
相手の流れになったり、こっちの流れになったりしてたんですけど、終始、羽諸さんが止めてくれてたので、それに応えようと周りも動けてたんじゃないかなと思います。
――ディフェンス陣の動きについてはいかがでしょうか
ミドルは羽諸さんが止めてくれてたので、ミドルを打たせながら守ってたんですけど、やっぱり最後の詰めが甘いところがあったので明日は修正していきたいです。
――次戦への意気込みをお願いします
明日の日体大戦は大きな山だと思うので、全力で戦っていきたいと思います。
青沼健太(社2=千葉・昭和学院)
――きょうの試合を振り返って
中々自分たちのペースで試合は運べなかったんですけど、その中でも一人一人が役割をしっかり果たしたことがこの結果に結びついたのかなと思います。
――ご自身のプレーを振り返って
得点という面では、7点取ったということでいいとは思うんですけど、DFであったり、もっとチームとしてどう攻めていくかというのがまだまだ足りていないなと思って、それは自分から働きかけることができると思うので、そこを少し修正していきたいなと思っています。
――後半途中、4点差をつける2連続得点がありましたが、その時の心境は
ベンチで監督さん(荒木進監督 平5人卒=熊本市立商)に間合いが近くなって、自分はチームのリズムを大事にしていたんですけど、点差を詰められたこともあって、点を取りに行こうという気持ちがああいう形に表れたんだと思います。
――インカレ初戦でしたが、チームの雰囲気はいかがでしたか
アップだったり、ハーフタイムの時は結構盛り上がっていたんですけど、どうしても会場が大きくなって声が届かないということで気持ち的には乗れていなかった部分があったと思います。
――明日の日体大戦に向けた意気込みをお願いします
走ってくるチームなので、きょう以上に運動量が増えるというのもあるんですけど、まずは自分たちのやりたいことをしっかりやって、自分たちのペースで上手く運んでいってようやく五分という相手だと思うので、そこをまず自分たちで意識してやっていきたいと思います。