ついに関東学生春季リーグ(春季リーグ)が開幕した。初戦の勝敗が今後のリーグ戦に大きく影響することをわかっていたワセダセブンにとって、この対日大戦は大切なものだった。試合開始早々、先制点を奪ったワセダではあったが相手も勢いを落とすことなく着々と点差を詰める展開が続き、相手に4点差をつけて前半戦を終えた。点差を大きく広げてワセダの流れにつなげたい後半。しかし前半よりも勢いづいた日大の攻撃により試合は拮抗した。一時は1点差ともなり危うい展開にもなったが何とか逃げ切り30-28で勝利をつかんだ。
前半開始1分、前田理玖(スポ3=福井・高志)が相手キーパーの意表をついたシュートや宮國義志(社4=沖縄・浦添)のカットインが決まり2点を先取。「相手が高めでディフェンスしてくることはわかっていたので、練習からその対策をしていました」と宮國が振り返るように、相手のディフェンス陣系にうろたえることなく、7分すぎには相手のシュートをうまくセーブした羽諸大雅(スポ4=千葉・市川)のパスを受けた清原秀介(商4=東京・早実)が速攻をきめるなど、攻めの姿勢を貫いていた。しかし、開始10分をすぎてもなかなか試合の流れを大きくつかむことができない。13分には相手にミドルシュートを決められ同点に追いつかれてしまった。何とか逆転の機会を相手に与えまいと、清原の速攻、山本慶(スポ3=長野・屋代)のカットインなどで着々と点数を重ね奮闘した。その甲斐もあり、16-12と4点リードのまま前半を終えた。
シュートが決まり、メンバーとタッチを交わす宮國
前半で作り上げた4点差を生かし相手に大きく差をつけたい後半戦。先制点は相手チームに決められてしまったものの、開始4分には阿南遼星(スポ3=大阪・大体大浪商)のミドルシュート、前田の速攻が決まり7分には7点差まで広げることができた。このままワセダの流れを作れるか、そう思われたが日大も黙ってはいない。相手チームも反撃と言わんばかりに連続で5点を奪った。「相手のプレスの高いディフェンスに対して少しミスが多くなってしまった」と宮國が振り返るように、パスミスやシュートミスなどによりワセダのプレーがやや乱れ始めた。前田のスカイプレーが決まり会場が沸く場面も見られたが、なかなか得点につなげられない。1点を入れれば1点を奪い返される展開の中、22分すぎには1点差にまで追い詰められてしまった。ピンチを迎えた後半戦終盤であったが、エラーによって相手選手が2分退場となるチャンスが降ってきた。このチャンスを生かし相手を引き離そうと最後まで手を抜かず、着実に得点を重ねたワセダ。28分、中村祐貴(スポ3=北海道・札幌西)のポストシュートも決まり、30-28と2点差で春季リーグ戦初戦に白星を飾った。
速攻が決まる清原
大事な初戦で勝利を挙げることができたワセダ。パスミスやシュートミスなど課題は残ったものの、新体制の不安の中で得た初戦での白星は大きな自信になったことだろう。「ディフェンスから速攻のチームにしようというのをみんなで意識していた」と清原が語っていたように、速攻が決まるシーンは前半に限らず試合を通して多く見られたため、新制ワセダセブンの持ち味がよく発揮されていた。着実に歩みを進めるワセダセブンの活躍に期待が高まるばかりだ。
(記事 栗林真子、写真 宅森咲子)
関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 30 | 16−12 14−16 |
28 | 日大 |
GK 羽諸大雅(スポ4=千葉・市川) CP 清原秀介(商4=東京・早実) CP 宮國義志(社4=沖縄・浦添) CP 前田理玖(スポ3=福井・高志) CP 中村祐貴(スポ3=北海道・札幌西) CP 山本慶(スポ3=長野・屋代) CP 青沼健太(社2=千葉・昭和学院) |
コメント
清原秀介(商4=東京・早実)
――試合を終えた今の気持ちをお願いします
最後は追いつかれそうになりましたが、とても大事だった初戦を粘り勝てたのはよかったと思います
――今回の試合を振り返ってみていかがですか
最初の出だしはみんなで意識しようと言っていたので、速攻につなげる自分たちのスタイルではじめられたのはすごくよかったなと思います
――全体を通して速攻が決まった場面が多かった印象ですが、いかがでしょうか
ことしは(全体の)背が小さく、フィジカルがない分自分たちの脚力には自信があるチームだと思うので、新チームができたときからディフェンスから速攻のチームにしようというのをみんなで意識していたのでそういう形ができたのはよかったんじゃないでしょうか
――今回の試合を通してのオフェンスの動きはどうでしたか
前半は3-3に対しては練習してきたのでよかったとは思うんですけど、後半相手がディフェンスシステムを2-4とかに変えてきたときにあまり対応できなかったのは課題かなと思います
――初戦を終えて見えた反省点などはありますか
流れが悪いときに自分たちのミスが増えているという印象なので、流れが悪くなったりミスが出始めたときに自分たちでいかに切り替えられるのかが春リーグ通して大事なのかなと思います
――あしたの試合への意気込みをお願いします
大事な初戦を勝つことはできましたが、あしたの試合に負けたら意味がないので2連勝して来週、再来週につなげることができたらと思います
宮國義志(社4=沖縄・浦添)
――大事な初戦、勝利の感想をお願いします
リーグ戦は最初が一番肝心だと1年生の時から感じていたので、自分が点を取ってチームを引っ張るぞという気持ちで挑んでいました。内容はすごく良いと言えるものではなかったですが、結果として勝利というかたちで勝ち点2を取ることができたのは、チームにとってすごく大きいかなと思います。
――競った試合展開を振り返っていかがですか
相手が高めでディフェンスしてくることはわかっていたので、練習からその対策をしていました。けど後半相手のプレスの高いディフェンスに対して少しミスが多くなり、速攻も止められず流れが悪くなってしまいました。最終的には60分で何とか逃げ切ることができましたけど、あと10分長かったら相手にやられていたというのが正直なところです。僕からみんなに反省として指摘して、あした修正して切り替えてやっていければいいかなと思います。
――ディフェンスでは何度かミドルシュートを決められることがあったと思います
そうですね。最初に僕がマッチしていた左利きの子に良いシュートを何本も決められました。あれは相手が上手かったですし、仕方がないと割り切っていました。けど最後の方、相手のエースである川﨑駿(4年)選手に上からバカバカ打たれて全然守れていない状況でした。それを修正しないと勝っていくのが難しいので、チームで修正していきたいと思います。
――ワセダの攻守で昨年と変えたり意識したりしていることはありますか
昨年と違ってみんな身長が小さいので、カットインを多めにしようとは僕からみんなに言ってあります。けどきょうは慶(山本、スポ3=長野・屋代)の間を割ってくれるプレーや理玖(前田、スポ3=福井・高志)の個人技で比較的簡単に得点できていたのでありがたかったです。ただやはり強い相手になってくると個人技が相手に劣るので、チームでどうやって点を取っていくかが今後も課題だと思っています。
――7メートルスローを何本も決めたと思います
慶などが何本も取ってくれて、自分は取ってくれた人の分まで決めるという気持ちでやっていました。相手のキーパーが少し動くのが早かったので、そこは決めることができて良かったと思います。
――最後にあしたの中大戦に向けて意気込みをお願いします
中大も強いチームなのできつい試合になると思いますが、きょうの雰囲気をあしたまで継続し、チーム一丸となって戦って今週2連勝で終われるように頑張っていきたいです。
前田理玖(スポ3=福井・高志)
――勝利の感想をお願いします
昨年からメンバー含めてチームがガラッと変わったので『新生ワセダ』みたいな感じでスタートした春リーグでした。初戦はどうなるか不安の方が大きかったんですけど、みんな楽しみながらやれている感じがして、勝てたのは純粋にうれしく思います
――試合前に意識していたことはありましたか
日大も昨年とチーム編成が変わっていて、練習試合数的にもデータが少なかったんですけど、試合前のミーティングとかで約束事を決めて、共通意識が持てていたのは良かったと思います
――具体的にどのような約束があったのでしょうか
ディフェンスが高めだったので、その対策を先週や今週で練習していました。あと、フローター3枚が強いので、ディフェンスも守り方を意識していました。それが作戦通りにできたと思います
――きょう1点目の前田選手の得点は大きかったのではないでしょうか
僕自身も大学ではレギュラーで出場するのが初だったので、緊張はそんなにしていなかったんですけど、不安はあって。なので、1点目を決められたのはだいぶ気持ち的に楽になりました。
――試合展開を振り返っていかがでしょうか
後半途中で7点差になった場面があったんですけど、そこでもう少し簡単に勝ちきれるようにしていかなきゃいけないなと思いました。
――ご自身のプレーについてはいかがですか
ディフェンス面ではあまり貢献できない部分が多いので、オフェンス面で貢献したいとはいつも思っているんですけど、要所でそれが裏目に出てしまってシュートミスも多かったです。良かったプレーを常に出せるようにしていきたいなと思います。
――あすに向けての修正点はありますか
シュートミスなどのミスが全体的に多かったのでそういうミスを減らして、相手の戦い方も変わってくるので、それに対応して戦っていきたいです。
――次戦への意気込みをお願いします
あしたは相手のディフェンス体系も変わりますし層も厚いので、きょうの勝ちというのは一旦忘れてしっかり切り替えたいです。開幕2連勝できたら大きいので、どんなかたちでも勝ちを全力で取りにいきたいと思います。
羽諸大雅(スポ4=千葉・市川)
――きょうの試合を振り返ってみていかがでしょうか
まず勝てたことは嬉しいですし、次に繋げられたことは良かったかなと思います。まあ振り返って、シュートを外し過ぎてしまったことが課題として残ったので、そこは次に生かしたいと思います
――開幕戦でしたが、どのような気持ちで臨まれましたか
最後の春季リーグということで、ことしが終わったら自分の人生で試合をすることはもうないので、一戦一戦大事にしようと思って臨みました
――ゴールキーパーというポジションから見て、今日のディフェンスはいかがでしたか
足が動けてる時もあれば気が抜けている時もあったので点数をつけるとすると65点くらいかなと思います
――副キャプテンとして意識していることはありますか
自分はこのチームで唯一1年生の頃から試合に出ていたので、プレー面で引っ張ることを意識していて、ディフェンスをやっている人たちが、後ろには自分がいるから打たせていいと思えるような、安心感を提供したいなと思っています
――春季リーグへの意気込みをお願いします
毎試合勝ちにこだわることもすごく大事なんですけど、勝利を目指す過程で、チームの中で声を掛け合ったりコミュニケーションをとったりしてチームがまとまって、春季リーグ終わる頃にはいいチームになっていればなと思います