関東学生春季リーグ(春季リーグ)も第3週を迎えた。1勝2敗と負け越し、優勝戦線に加わるにはこれ以上負けられないワセダは、3連勝中と勢いに乗る明大と対戦。去年明大と対戦した2試合では、共に1点差で惜敗していた。加えて、先週までの良くない流れを断ち切るためにどうしても勝ちたい一戦。選手たちはスタートからエンジン全開で、チーム一丸となって戦い、うれしい、そして大きな1勝を手にした。
前半、ワセダの1点目は2試合ぶりに先発出場した長谷川大耀(政経4=東京・早実)だった。いきなり大きな盛り上がりを見せると、ディフェンス陣が奮起し守り切る。山﨑純平(社3=岩手・不来方)が強烈なステップシュートで2点目を奪うと、次の攻撃でミスをして逆速攻を食らいかかるが、しっかりディフェンスが戻って得点を阻止。完全に流れをつかんだとも思われたが、しばらく一進一退の攻防が続く。今季、このような状況から点差を離されてしまうことが多かったが、この日のワセダは一味違った。三輪颯馬(スポ3=愛知)が一気に3得点すると、再び逆速攻をしっかりディフェンスに戻った伊舎堂博武(社3=沖縄・興南)がシャットアウト。前半20分時点で点数こそは8-8の同点であったが、チーム全員が声を出して守り、相手に主導権を握らせない。そんなディフェンス陣の奮闘に加えて、GK羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)が随所で素晴らしいキーピングを披露。守りからリズムを作ったワセダは、先週の試合であまり得点の取れていなかったポストの松本光也副将(社4=神奈川・法政二)ともしっかり連携が取れて得点を重ねていく。残り2秒でステップシュートを決められ1点ビハインドとなったものの、いい内容で前半を終えた。
西山は主将としてチームを引っ張った
後半開始後、西山尚希主将(社4=香川中央)のゴールで同点に追いつくが、こちらのミスもあり、2点差をつけられる。しかし、ここで粘り切れるのがきょうのワセダだ。後半から入った小畠夕輝(スポ3=岡山・総社)がゴールを決め、羽諸が相手の速攻をセーブすると、小畠のスピンシュート、三輪のループシュートなどで4連続得点を奪い、一気にムードも盛り上がった。オフェンスで作ったリズムはディフェンスにも好影響を及ぼし、相手になかなか簡単にシュートを打たせない。西山に2分間退場が与えられ、一時は逆転を許す場面もあったが、狭い角度からのサイドシュートを三輪が決め、相手の流れを断ち切ると、ここでチームに流れを引き寄せるビッグプレーが飛び出す。小畠が退場し、相手に7mスローが与えられてしまうが、ここで登場したGK永田奈音(スポ3=宮崎・小林秀峰)がファインセーブ。嫌な流れが来るかと思ったその矢先にこのビッグプレーが飛び出し、チームの勢いに火が付いた。退場者がいながらも相手に10分間得点を許さず、後半27分には再び永田が7mスローをセーブし、ワセダの勝利を確信させた。先週の中大戦(●28-38)の悔しさをバネに、気持ちで圧倒したワセダが接戦をものにした。
永田のビッグセーブはチームに流れを引き寄せた
「チームが一つになっていた」と西山主将が語るように、気持ちが乗らずに勢いがなかった中大戦とはうって変わって、この日の一戦は一つ一つのプレーでチーム全員が声を出し、いい雰囲気を作り続けた。それらが再びワセダらしいハンドボールを復活させる要因となったのだ。こうやって手にした1勝は、春季リーグだけでなく、今後のワセダの戦いの上でも非常に大きなものであった。先週早大を破った中大が、3連敗中だった立大に敗れるなど混戦模様の春季リーグ。勝利パターンを確立させ、優勝戦線に食らい付くワセダセブンから目が離せない。
(記事 佐藤慎太郎、写真 篠原希沙)
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関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 24 | 11―12 13―9 |
21 | 明大 |
GK 羽諸大雅(スポ2=千葉・市川) LW 三輪颯馬(スポ3=愛知) LB 山﨑純平(社3=岩手・不来方) CB 西山尚希(社4=香川中央) PV 松本光也(社4=神奈川・法政二) RB 伊舎堂博武(社3=沖縄・興南) RW 長谷川大耀(政経4=東京・早実) |
コメント
CB西山尚希主将(社4=香川中央)
――中大戦の敗戦から一週間、どのような気持ちで臨んできましたか
先週は気持ちの面で、完全に戦う集団でなくなっていたので、そこをどうやって上げていくか、一つになるかといった時に、僕がチームをまとめないといけないと思っていました。戦術的なことは特に変わったことはやっていなくて、相手にどう合わせて戦っていくか、というのを説明したりして、あとは雰囲気であったり盛り上げを意識して一週間この試合に合わせてやってきました。
――先週の課題であった気持ちの面は、きょうはどうでしたか
全体的に雰囲気が、落ちる部分はあったんですけどそこはキャプテンである僕が落とさないように周りに声掛けであったりをして、いい時はみんなが盛り上がってくれたので、雰囲気という部分はいい形で終われたかなと思います。
――序盤からディフェンスが機能していたと思います。振り返っていかがですか
ディフェンスが足が動いていて機能してて、それは練習で自分たちがアタックして、アタックなりっぱなしにならずにちゃんと下がろうとか、基本的なことを言っていたのが運動量につながって、コートで表現できたのはすごい良かったです。でも、ディフェンスで守っていい形を作ったにもかかわらず、オフェンスでイージーミスが要所で目立ってしまって、接戦になってしまったのかなとは思います。
――オフェンスも中大戦よりもしっかり攻めることができていました
今週一週間でオフェンスの継続っていう部分を課題にして取り組んできたので、そこが簡単にシュートまでいかずに、相手を崩してシュートっていう部分を作り出せたのが良かったのかなと思います。
――きょうは全員が一体となって戦っていました
まずはコートに立っている7人だけではなくて、メンバーに入っている16人、そしてワセダは34人の部員全員で戦おうって試合前にも言っていたので、ベンチの人間だったり、ベンチの外で見ている部員たちもみんな声出して盛り上げてくれたりいろんな声掛けをしてくれたりして、チームが一つになっていたのかなと思います。
――よく声が出ていたり、西山選手もミスをした人に声をしっかり掛けていました
たいてい人はミスして落ち込んじゃうので、その時にどういう風に声を掛けて次に切り替えさせるのかであったり、どこを褒めて次切り替えさせるとかっていうのを意識した時に、自分自身が負けている展開の時にもできないといけないと思います。きょうは同点であったり、1点勝ちの場面では、自分たちのまだいけるっていう気持ちの余裕があったのでそういう声掛けができたんですけど、先週の中大戦であったり、ビハインドの展開の時にチームにどれだけ声を掛けて、奮起させるのかっていうのは大切なのかなと思います。
――きょう勝てた要因というのはどこにあると思いますか
オフェンスだったら、コートを広く使ってポストだったり確率の高いところで勝負ができたというのは一つの要因かなと思います。ディフェンスは今週一週間頑張って、最後までコンタクトをし続けて相手の嫌がるディフェンスができたのが要因かなと思います。
――気持ちの面では何かありますか
試合の入りの10分で同点だったんですけど、いつもだったらその時に僕が声を出すんですけど、きょうは颯馬であったり、他の選手たちがしゃべってくれていたので、そこは成長していたのかなと思いますね。
――次の立大戦に向けて一言お願いします
去年立大に春季リーグ負けちゃっているので、1年越しで2回も同じ相手に負けるわけにはいかないので、3日空いて連戦になりますけど、まずは目の前の試合に集中して、相手がどうとかじゃなくワセダのハンドボールをして、チーム全員で勝ちにいきたいと思います。
PV松本光也副将(社4=神奈川・法政二)
――中大戦の敗戦からどのように気持ちを切り替えてきましたか
きょうは落とせなかったので、勝ちにこだわって、という気持ちでやってきました。
――試合を通してずっと声が出ていましたが、その部分で気を付けていたことはありますか
(雰囲気が)落ちたら、落ちるところまでいっちゃうので、そうならないようにチーム全員が気持ち切らさないようにというのを気にかけてやっていました。全体的にも一人一人切らさないという気持ちを持てていたのでその気持ちの面では試合を通して切れるところはなかったのかなと思います。
――ディフェンスもしっかり機能していました、振り返っていかがですか
結構守れていたところもあるんですけど、キーパーがいいところで止めていたっていう印象があって、やられるところが試合を通して一緒だったので、それが左利きのロングと自分のところから崩されてエースのカットインっていう展開が、先週からずっとやられているのでそこは課題として克服して、守れたところは成果としていきたいと思います。
――先週あまり取れていなかったポストでの得点がきょうは取れていました
今週の練習でそこに対して厳しくやってきたので、きょうそこでそういうシーンが増えたのは良かったと思います。
――相手がところどころディフェンス隊形を変えたりしていましたが、どのように対応していましたか
(相手が)高めに出たときに、自分が起点となってできるようにと思って、ブロックしたり、裏に動いたり、もらった時には前を狙うという風にしたんですけど、そこで最後若干ミスが出てしまったので、そこは課題として克服していきたいと思います。
――チームに退場者が出た時も相手に流れを渡しませんでした
退場してしまったというミスに対して、そこで落ちるんじゃなくて、次に何をやっていくのかというのを考えてチームでできたので、そこは良かったです。
――きょうはキーパーが当たっていましたが、ディフェンスと連携が取れていたのでしょうか
取れているところもあって、そこに対しては良かったと思います。
――きょうは相手に離されずについていき、最終的には勝利という形になりましたがそれができた要因は何だと思いますか
ミスが多かったんですけど、ミスした時に次に切り替えてディフェンスでしっかり守ってという形ができていたのでそこで点差が離れなかったかなと思っています。逆に相手のミスを誘って、こっちが点を取るという形で逆転できたので、きょうは良かったと思います。でも次やる相手でミスした時に点差が離れてしまうという展開もあると思うので、さらにミスが多いという課題はずっとあるので、オフェンスのミスを減らしていくというのを今後練習で詰めていきたいと思います。
――次戦に向けて一言お願いします
相手がどうこうとかではなくて、優勝に向けて一戦一戦落とせないので、きょうみたいにチーム一丸となって戦っていこうと思います。勝ちます。
LW三輪颯馬(スポ3=愛知)
――今の率直な感想をお願いします
2敗していたので、粘り勝つことができてよかったです。
――角度のないところからのループシュートが多く決まっていましたね
運が良かったっていうのが多いと思うんですけど(笑)。でも自分的にも決められる自信があったので思いっきりやりました。
――ゴールパフォーマンスなどでチームを盛り上げていた印象です
ワセダは盛り上げてどんどん強くなっていくチームだと思っているので、自分から盛り上げていけたらなと思ってやっていました。
――先週からの切り替えはどのようにしましたか
中大戦は課題の多く残る試合だったのですが、きょうまでの1週間で修正しつつ、チームの雰囲気も良く練習に取り組めていたと思うので、切り替えはうまくできたんじゃないかなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
しっかり休んで、立大はワセダが苦手とする変則的なディフェンスなので、練習できる期間は短いですが、詰めていけたらいいなと思います。
GK永田奈音(スポ3=宮崎・小林秀峰)
――今の率直な感想をお願いします
楽しかったです(笑)。
――7mスローを止めた時の気持ちは
周りからおどされていたので(笑)。本当に止めた時はうれしかったです。
――シュートの研究をしているとお聞きしました
自分なりのスコアシートを作っていて。このシューターはここのパーセンテージが多いとか、それをキーパー陣みんなで共有していて。7mスローもそれをやっているので、きょうそれが結果につながって良かったです。
――キーパーから見てきょうのディフェンス陣はいかがでしたか
粘ってやってくれてたなと思うんですが、まだまだ詰められるところもあるなと。そこはもっとGKからも声出していかないとだと思いますし、日々の練習から頑張らないといけないなと思いました。
――先週からの切り替えに関して何か話し合いなどは
チーム全体で、とかはなかったんですけど、学年で自分たちが主力になっているんだからもっとチームを盛り上げたり、引っ張っていかないといけないという話し合いをしました。その結果、みんな力を出しきれていたので良かったなと思っています。
GK羽諸大雅(スポ2=千葉・市川)
――今の率直な感想をお願いします
本当にうれしいです。
――キーパーから見たきょうのディフェンス陣はどうでしたか
最初からもともと狭い角度で勝負しようって言っていたので、それがうまくはまって僕も止めることができたのでよかったです。
――今週の練習で明大対策という感じでやっていたのですか
そうですね。日頃の練習の時から意識していたところですね。
――先週の敗戦からの切り替えはどのようにしましたか
2年目に入ってちょっと変わりました。1年目は訳分からないままやってましたし(笑)。リーグ戦というものがつかめなくて。でも2年目に入って、トーナメントと違って一回負けても終わりじゃないから切り替えが大事なんだとわかったので、うまく切り替えができたかなと思います。
――今週、重点的にやった練習は
明大はクロスに対してのディフェンスができないというのをわかっていたので、オフェンスはクロスしてポストに回すっていう練習を重点的にやっていました。ディフェンスでは狭い角度のところに持っていって僕はしっかりと止めるというところでした。
――キーパー陣でシュートコースについてのデータの共有をしているとお聞きしました
奈音さんは本当によく研究をしていて、役立っている部分が大きいです。奈音さんの存在は本当に大きいです(笑)。
――次戦への意気込みをお願いします
狭い角度をきっちり止めることができるキーパーって少ないと思うのでそうなりたいなと思います。ここから立大、筑波大と続くのでそこをきっちり勝ってつなげたいなと思います。