攻守共に機能せず、強敵・筑波大に完敗

男子ハンドボール

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 2週目を迎えた関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)、大会第3日目は筑波大を相手に迎えた。先週は2連勝で開幕ダッシュに成功した早大だったが、この日はいきなり5連続失点を喫する。自分たちのミスから不利な状況をつくり出すと、その後は相手の戦術のしたたかさや選手層の厚さに苦しんだ。川島悠太郎副将(スポ4=福井商)を中心にチーム全員が状況を打開しようと奮闘するも最後まで点差を詰めることはできなかった。

 日本代表がズラリと顔をそろえる筑波大との一戦。「ロースコアの試合になるが我慢して勝ちたい」(川島)と気合いを入れて臨んだ試合だったが、立ち上がりから相手に5連続得点を許してしまう。試合後、選手やコーチがそろって口にしたように、この5分間の流れの悪さを最後まで引きずる展開となった。早大待望の1点目は前半7分、齊藤凌副将(スポ4=岩手・不来方)が巻き上がりからのシュートを叩き込んだ。そこから三輪颯馬(スポ2=愛知)、再び齊藤と連続で速攻を決め、徐々に流れを引き戻す。西山尚希(社3=香川中央)の調子も上向き攻撃でリズムをつくり始めると、GK永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)も好セーブを連発して応えた。しかし、相手もポストを使った2対2や決定率の高いサイドシュートで得点を重ねたため、10-17と大きなビハインドを背負ったまま前半を終えた。

さらなる活躍が期待される永田

 後半に入っても苦しい展開は続く。早大もポストにサイド、ロングシュートにカットインと様々な角度から攻め入ったが、「流れを変えるプレーが1本も出なかった」と西山が振り返るように悪い流れを断ち切ることができない。一方の筑波大は関東学生春季リーグ(春季リーグ)を欠場していた司令塔・田中圭(4年)が巧みにボールをさばき、バランス良く得点を挙げていく。そして後半13分、ついに点差は10点に到達した。川島がパスカットからの速攻やロングシュートで9得点と孤軍奮闘したが、逆転の流れに持っていくには遠く及ばず。19-30で秋季リーグ初黒星を喫した。

最後まで相手を苦しめた川島

 「精神的にも肉体的にもきつかった」(川島)。「自分たちの甘い部分が出た試合」(西山)。選手たちが険しい顔で振り返った筑波大との一戦。早大を研究し尽くした攻撃と固い守備にほとんど対応できなかったのは事実だ。しかし、自分たちの課題が浮き彫りになったことは『日本一』を狙う全日本学生選手権(インカレ)に向けて大きな意味を持つ。この日の悔しさがより万全な状態でインカレを迎えるための糧となるだろう。そして、秋季リーグもまだ始まったばかり。次戦の相手は今季から1部に昇格した中大。春季リーグ2位の国士舘大を倒すなど勢いに乗るチームだが、自分たちのハンドボールを貫いて白星を挙げ、再浮上の足掛かりとしたい。

(記事 田中一光、写真 篠原希沙、栗村智弘)

関東学生秋季リーグ
早大 19 10−17
9−13

30 筑波大
GK 永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)
LW 三輪颯馬(スポ2=愛知)
LB 西山尚希(社3=香川中央)
CB 川島悠太郎(スポ4=福井商)
PB 松本光也(社3=神奈川・法政二)
RB 小畠夕輝(スポ2=岡山・総社)
RW 齊藤凌(スポ4=岩手・不来方)
コメント

三津英士コーチ(平8人卒=福岡・久留米工大付)

――きょうの試合を振り返って感想をお願いします

立ち上がりで5連取されて、その流れを最後まで止められなかったというのが結果的に響いたという感じでした。後はディフェンスもそうだし、オフェンスも簡単なミスが多かったです。筑波大もワセダの攻め方を徹底的に研究してきたんだなというのが見て分かりました。

――どういったプレーがあれば相手のディフェンスを破っていけたのでしょうか

1対1もそうですし、個人技にずっと頼っていたのでもっと連携して大きく視野を持って大きい展開で狙っていくということを継続してやればいいと思います。今回はみんなが不調という感じのまま終わってしまったんですけど、そこを修正してやっていけば大丈夫だと思います。

――ディフェンス面で良くなかった点はどういったことでしょうか

弱いところを徹底的に狙われたということと2人が出っぱなしになってしまう状態が多かったことです。後はポストの受け渡しですね。チェンジミスなど単純なミスが多かったですね。

――DF陣とキーパーの連携はどのように見ていますか

いいときと悪いときの差がはっきりしていますね。今回は上から打たれても入っちゃうしサイドにも入れられてしまうということが続いていて。それぞれのケースでどっちが悪いのかということをはっきりさせていく必要があると思います。

――あす以降もリーグは続いていきます。やはり切り替えが重要になるでしょうか

そうですね。次が2部から上がってきた中大ということで、きょうもすごくいい試合をしていたんですが、その勢いに負けないように気持ちを切り替えたいです。まだ優勝戦線にも全然残っているわけですし、諦めずに一勝一勝頑張っていきたいと思います。

CB川島悠太郎副将(スポ4=福井商)

――今季初の敗戦となってしまいました。振り返っていかがですか

前半いきなり差を広げられてしまって、正直ああいう展開になると相手は選手層もそうですし、戦術もしっかりしてるので、率直に自分たちの力が足りなかったなと思います。

――春季リーグでは勝利した相手でしたが、そのときと比べてきょうの筑波大の印象は

筑波が手ごわい相手だということは分かっていたのですが、実際やってみてなかなか攻めれなかったですし、(相手の)オフェンスもしっかり戦術を組み立ててきていたので、オフェンスもディフェンスもどちらも苦しかったなと、終わってそう思います。

――セットディフェンスに関しては振り返っていかがでしょうか

バランス良く点を取られてしまって、ポストもサイドもうまく使われていたので、ああなってしまうとやっぱり苦しいですし、守れた場面でも最後にやられてしまうという感じで、きょうはあまり守れなかったなという印象です。

――オフェンスも相手の堅い守りに苦戦する展開となってしまいました

そうですね。途中で僕自身の集中も切れてしまって…。精神的にも肉体的にも正直きつかったですね。でもインカレ(全日本学生選手権)は一発勝負なので、次は勝ちたいです。あす以降もリーグ戦は続くので、またしっかりと立て直して、勝てるようにしていきたいと思います。

LB西山尚希(社3=香川中央)

――試合を終えての率直な感想をお願いします

自分たちの弱さというか、甘い部分が出た試合だなと思います。

――具体的にその弱さとは

自分たちのリズムに乗れなくなったときに、ディフェンスが修正できなくてぐだぐだと相手のペースに乗せられて、立て直しができなくなるところですね。

――きょうは終始追う展開でしたが気持ちの面としてはいかがでしたか

みんなで「集中」とか気持ちを切らさないように声掛けはしてたんですけど、いまひとつ流れを変えるプレーが出なかったというのは事実なので、駄目だったのかなと。

――代表選手の多い相手の攻撃はどうでしたか

相手もフィジカルを生かしたプレーを中心にしてきて、サイドを切っての2対2からのオフェンスが多くて。2対2のポストであったりボールを持ってる人の動きであったり質が違うなという感じがしました。

――逆に早大のオフェンスはどうでしたか

最後まで悠太郎さん(川島副将、スポ4=福井商)しか点取れてなかったですね。僕自身前半は打っていったんですけど、相手のキーパーも当たってて、悠太郎さんと「ロング単発になっちゃ駄目だな」と話して、利き手側を強く割っていこうとしました。何本か割れたんですけど、シュートにいけたときにシュートを決め切れないところが出たなと思います。

――最後に中大戦に向けて一言お願いします

中大も2対2を得意としているチームなので、2対2できょうできなかったところをコミュニケーションを密にして、相手の得意なプレーを封じて自分たちが優位な展開で戦えるようにしていきたいと思います。

GK永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

最初に5連続失点したのが痛かったです。あそこでうちが1点でも取れたり、何失点かで抑えられていたら、また流れも違ったかなと思います。立ち上がりの悪さがこの試合を物語ってるなって感じでした。

――ディフェンスとの連携はいかがでしたか

前の2試合は僕自身が調子悪くて全然駄目で、1週間かけて先輩に個人指導してもらったりして万全の状態で臨んだつもりでした。相手の攻撃の仕方が想定していた感じと違って、ディフェンスとの連携が悪かったというよりは約束事が徹底できていなかったという感じです。

――中盤に好セーブが何度もありました

このままだと前の2試合と同じだと。先輩とかコートプレーヤーに助けてもらっていたので、この試合だけは自分の力でやりたいという気持ちがあのキーピングにつながったと思います。

――きょうの試合で見つかった課題は

約束事の徹底ですね。僕自身も徹底できていないところもありましたし、ディフェンスもポストでやられてしまっていたりしたので、そこをもっと詰めていくべきだなと思います。

――あす、次戦となります。意気込みをお願いします

中大は春リーグ2位の国士舘大にも勝っていますし、勢いのあるチームなんですけど、その勢いに負けないで自分たちのハンドボールをして、ディフェンスからリズムをつくっていけたらなと思います。