一勝一敗で迎えた第三戦。迎え撃つはきょねん全日本学生選手権(インカレ)の決勝で敗北した相手、日体大だ。ワセダは序盤から日体大の強みである速攻を強固なディフェンスで抑え、流れを相手に与えない。攻めては2年生の伊舎堂博武(社2=沖縄・興南)をはじめとした堅実な攻めで1点1点を確実に奪い、点差を広げた。後半には日体大の反撃を止められない時間帯もあったが、前半でつけた点差で逃げ切った。
きょうも相手DFを圧倒した伊舎堂
ワセダが点を決め、リスタートの速攻で日体大に追いつかれる――。出だしはお互い点を取り合うシーソーゲームになった。そんな流れを断ち切り、ワセダがリズムに乗ったのは前半10分過ぎ。速攻に対する守備が光り、日体大に点を取るスキを与えない。するとオフェンスの調子も上がり、西山尚希(社3=香川中央)が中心となって得点を連取した。一気に流れを手繰り寄せたワセダは19-14で前半を終えた。
チーム一丸となって戦う選手たち
松本光也(社3=神奈川・法政二)の見事なポストシュートで後半は幕を開けた。しかし、パスやシュートのミスで前半のようにはリズムよく点が入らない。得意の素早いパスと体力を兼ねそろえる日体大に徐々に流れを引き渡し、一気に試合は接戦となった。このままではきょねんのインカレ同様逆転負けを喫してしまう。そんな中、驚異的な粘りが目立ったのは2年生の選手たちだ。つらい時間帯に三輪颯馬(スポ2=愛知)や山﨑純平(社2=岩手・不来方)がゴールネットを揺らすと、ベンチからは大きな歓声が上がった。また、日体大オフェンスを体を張って止めた伊舎堂はオフェンスでも活躍し、一対一を交わしてのシュートなど4連続得点。さらに試合終盤には永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)のファインセーブで、迫りくる日体大を振り切った。
好セーブを連発した守護神・永田奈音
「リードできていたのはよかったのですが、後半もあれよりもっと差をつけて勝てる試合だった」(西山)、と選手たちはリベンジマッチの勝利におごってはいない。優勝を目標に挙げる選手たちには、きょうの試合でも後半に課題が見つかった。しかし、きょねんのインカレ覇者を相手に点差を付け勝利できたのは事実だ。この流れに乗り、ディフェンスから攻撃につなげるワセダらしいハンドボールで手堅く3勝目を挙げたい。
(記事 中村朋子、写真 田中一光)
関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 30 | 19−14 11−14 |
28 | 日体大 |
GK 永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰) LW 三輪颯馬(スポ2=愛知) LB 山崎純平(社2=岩手・不来方) CB 西山尚希(社3=香川中央) PB 松本光也(社3=神奈川・法政二) RB 伊舎堂博武(社2=沖縄・興南) RW 齊藤凌(スポ4=岩手・不来方) |
LW岩本岳主将(スポ4=東京・早実)
――対戦相手の日体大はきょねんの全日本学生選手権(インカレ)決勝で敗れた相手でしたが、どのような意識で臨みましたか
実は僕らが入学してから公式戦で7回対戦しているんですけど、一回しか勝ったことなかったので勝ちたいと思っていて、きょう勝てたので嬉しかったです。修正することもいっぱいあるんですけど、きょうの勝ちはデカいなと思います。
――きょうの勝因は
オフェンスも結構崩せたけど、結局セットディフェンスが安定していたのでそこだと思います。もちろんきょうも修正点はあるんですけど。
――修正点とはどのような部分ですか
オフェンスでミスして走られるっていうのはきょうもあったし、オフェンスで攻め手がなくなるということがあったのでそこは修正点かなと。
――日体大は速攻主体のチームですが抑え切れたのではないでしょうか
いや、まだまだでしょう(笑)。28点取られているので。
――試合終盤は点差を詰められてしまいました
焦ったりしていたけど勝ち切れたのはデカいです。後から出場した選手ももうちょっとチームにポジティブな影響を与えられたらと思います。
――選手層の厚い日体大は選手交代を積極的に行ってきましたがやりづらい部分はありましたか
自分たちがやることは変わらないという感じでしたね。
――次戦は東海大戦です
やっぱり自分たちのハンドボールをやれば勝てると思うので、しっかり準備していきたいと思います。
PB松本光也(社3=神奈川・法政二)
――試合を振り返っていかがですか
前半の入りが結構良く自分たちのペースでやれて、後半の10分で試合を決めようってハーフタイムでも話していたんですが、自分たちのオフェンスでリズムを崩してしまって。そこから後半追われる展開になってしまったので、そういう部分を修正したいなと思いました。
――開幕3戦目できょねんのインカレの決勝で戦った日体大との試合となりました。意気込みなどはありましたか
あんまり深くは意識してなくて。きょねんのチームとことしのチームは全然別物と考えて、一戦一戦戦っていくだけなので特別な意気込みとかはなかったですね。
――きょうは前半の滑り出しに加えてディフェンスが機能しているように見えましたが
オフェンスでミスをしてもディフェンスでしっかり守って失点だけ無くせれば自分たちのペースができるので、ディフェンスをしっかりやろうと試合中に話しました。
――ディフェンス中、上級生が下級生に向けて頻繁に「喋れ」と声をかけていたのですが、その意図はなんだったのでしょうか
ことしのチームは上級生が少なく下級生主体のチームで、黙っている時間が長くなってしまうことがあるので。常に真ん中から声をかけて皆で喋って守ることを心掛けています。
――松本選手自身、追われる展開の後半でポストシュートで一点を決めたとき、吹っ切れたものなどありましたか
後半はやはり上の位置の選手が抑えられてきて、ポストが絡まなきゃいけないなと思ったときに一点取れたのは大きいんですけど、もっとできたかなという印象ですね。
――後半相手がマンツーマンディフェンスを敷いてきた時も冷静に対処していましたが、想定内でしたか
あの時間帯で相手ディフェンスが高くなるということは想定していたんですけど、伊舎堂(博武、スポ2=沖縄・興南)などの個人技に頼った部分があったので、そこはチームでもう一回修正して、連携して全員で点を取れるように改善していきたいですね。
――ではきょうの試合で得た反省点というのは
苦しい時間帯にオフェンスで個人技に頼らないで全体で連携して一本取れるようにしたいですね。
―― 川島選手(悠太郎副将、スポ3=福井商)が不在の中でのこの一勝はチームに弾みをつけますか
悠太郎さんがチームにいないというのは大きなマイナスなんですが、逆に今のチームでこれだけ戦えているというのは、満足はしていません。ただ、チームの底上げができてるのかなと思っていて、それはプラスに捉えてまた次の試合に備えていきたいと思います。
――最後に次戦の東海大戦に対する意気込みをよろしくお願いします
一戦一戦勝つしかないので余計なことは考えずできることをやっていきたいと思います。
CB西山尚希(社3=香川中央)
――素晴らしいゲームでした。振り返っていかがですか
僕たちの中では素晴らしいとは言えなかったです(笑)。後半の最後ドタバタしてしまって追い上げられたのが課題というか、最後の詰めの甘さだと思いました。
――きょうは日体大が相手でしたがどのような準備をして試合に臨みましたか
毎年、得点したあとの速攻が速いチームなので、一週間の間で相手の速いリスタートに対してバックチェックで守って、どう次のオフェンスにつなげるかという対策をしてきました。
――前半はご自身の得点が目立ちましたが
前半は自分でいけると思ったのでいって、後半は少しマークが厳しくなったのでパスをさばいたのですが、それを受け身に取り過ぎたので前半が目立つように見えたのかなと思います。
――前半のリードを生かして試合を優位に進められたように見えましたが
そうですね。前半のあのリードがあったから最後勝ち切れたというのがあると思います。リードできていたのはよかったのですが、後半もあれよりもっと差をつけて勝てる試合だったと思うので、次からは前半のリードをさらに伸ばして試合を優位に進めていきたいと思います。
――後半、追い上げられた原因はどういったところにありますか
自分たちのミスから雰囲気が悪くなってディフェンスができなくなったという状態だったので、雰囲気が悪くなった時にしっかりディフェンスで守って一本取れるチームにこれからしていきたいと思います。
――きょうは周りを生かすプレーも印象的でしたが
何本かいいパスもできたのではないかと自分では思っていますが、一試合通して試合を組み立てる能力はまだまだだなと実感してます。
――今季センターでの出場が多いですが、その点を意識する部分はありますか
フローターの二人が下級生で、その下級生を引っ張っていかなければいけないなという気持ちがあるので、しっかり自分で組み立てるようにしています。
――最後に今後に向けての抱負をお願いします
まだ3戦なので残り6戦しっかり勝ちきって、目標である優勝に向かって全力で頑張りたいと思います。
GK永田奈音(スポ2=宮崎・小林秀峰)
――きょうの試合を振り返って
僕自身、初戦でスタートで出してもらっていたのに結果を残せていなくて、この前の試合もあまりいいところが見せれずにいたんで、この試合はインカレの時のリベンジマッチでもあって、どうしても勝ちたいという気持ちも強くて、そういう気持ちで試合に臨んでいました。
――試合終盤の勝負どころでスーパーセーブを連発していまし
たが、そのことに関してはどう感じていますか
インカレの時と同じ展開で、その時は最後逆転されて負けているので、僕
がどうにかしてやらないとっていう気持ちと、コートプレイヤーの人が得点を
量産してくれていたので、その分足が止まってしまうのは仕方がないと思って
いたし、キーパーで止めて、逃げ切れるようにというような、前に前にと
いう気持ちでやっていました。そこがあのようなキーピングにつながったんじ
ゃないかと思います。
――これまで1勝1敗できょうを迎えましたが、チームの雰囲
気はどうでしたか
みんなモチベーション高くできていましたし、日体大には今年は絶対勝て
ると言っていたので、負ける気は無かったですけど、試合が始まって、前
半でこれはいけるなと思ったところが仇となってしまって、後半あんな感じの
競った試合になってしまったのかなと思うので、そこは反省するべきだなと感
じました。
――今3人のキーパーがワセダにはいますが、ポジション争
いについては
正直、きょう7メートルスローで使われていた齊藤くん(孝佳、人2=城北埼玉)も練習ではいい当たりしてますし、羽諸くん(大雅、スポ1=千葉・市川)もでかくて安定感があって、結果も2試合通して出していて、自分自身が安定しているとは言えない状況なので、使ってもらっていることにまず感謝してます。その上で、試合に出してもらった時に自分にできることは何かということをしっかり考えて、硬くならずにやることを意識しているので、キーパー争いということについては負ける気はないです!
――日体大の攻撃は速攻という特徴がありましたが、どういう対策をして臨みましたか
ここ一週間バックチェックをずっと練習していて、特に得点を入れた後すぐ点を入れられてしまうと0点になってしまって点差が開かないので、クイックスタートに対していかに早く戻れるかということを練習していたんですけど、結局前半それでやられてしまっていたので、後半そこをしっかり修正しようという話をして挑むことができたのはよかったなと思います。
――次戦、東海大戦に向けての意気込みの方をお願いします
東海大もいろんなチームに勝ったり負けたりというチームなので油断はできないと思います。でも自分たちのプレーができれば絶対に勝てる思います。法大戦のように圧倒的に勝てるかもしれないし、きょうのように粘って粘ってとなるかもしれないし、どのような展開になるかはわかりませんが、どっちも想定していきたいです。後は自分の仕事をきっちりこなせるように、チームを後ろから支えられるようにしたいと思います。
RB伊舎堂博武(社2=沖縄・興南)
――逃げ切り勝利を収めました。心境はいかがですか
疲れました。
――前半流れに乗れましたが、ベンチの雰囲気は
チーム一丸となって試合に挑めていたので、よかったかなと思います。
――日体大は昨年のインカレで負けた相手でしたが、対策などは
やっぱり相手のリスタートは警戒をするところだったので、練習ではリスタートの周りを中心に取り組んでいました。
――きょうはよく声を出しているのが印象的でした
たぶん無意識ですね。競っている試合の時は、無意識に声が出てしまいますね。
――同じ2年生の活躍も目立ちました
そうですね。やはり先輩方が活躍するよりも同期が活躍してくれた方が正直うれしいですし、僕たちの代の時にも強い力になってくれるかなという期待もしています。
――リードして折り返した後半、日体大に流れを渡したというかたちでしたが、相手チームのメンバーが変わったことによるやりにくさなどはありましたか
メンバーが変わったからといってやりづらくなったかと言われたらそうでもないんですけど、やはり相手は走り込んでプレーしていたので、その走り込んだプレーに対して少し引いているという時間帯があって。それで点数をバンバン決められてしまいました。
――体を張ったディフェンスも目立ちました
無意識ですね。
――後半、日体大のマンツーマンディフェンスに対して強い一対一とカットインが決まっていました
僕の持ち味は強い一対一とスピードなので、相手がマンツーマンでついてきたときに、それをうまくかわしたりするのは得意分野ですし、そこでしっかり得点にもつなげられてよかったかなと思います。
――次戦に向けての意気込みを
次の東海戦は、見る感じそこまで力の差はないと思うので、しっかりと自分たちのプレーをやってまた勝利を収めたいです。
LB山﨑純平(社2=岩手・不来方)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
まず勝ててよかったということですね。あともうちょっと点差を離していれば、楽に勝てたかなと思います
――追いかけられる展開はいかがでしたか
残り5分とか10分で勝っている状態で逃げ切る練習というのは、たくさんやってきたので、うまくその練習の成果が出たかなと思います。
――先週1勝1敗からのきょうの試合でしたが、この一週間はどのように練習されてきましたか
相手が日体大ということで、リスタートの早さとかそういうところで、主にバックチェックとか、防ぐ練習を多くやってきました 。
――前半は山﨑選手自身、調子が良さそうでしたがいかがでしたか
相手のビデオを見てて、あまり当たってこないというのはわかっていたので、思い切ってロングシュートとかを狙いにいきました。
――日体大の速攻にはどのように対応されていましたか
クロスクロスで攻めてくるので、マークだけずれないようにしたことと、フィジカル的にはこちらの方が強いので、思い切り当たるということを意識してやっていました 。
――リーグ3節を終えて2勝1敗という結果はいかがですか
まずまずだと思います。優勝を狙えるので頑張りたいと思います。
――次戦に向けて
次戦も勝って、3勝1敗になるように勝ちたいと思います。