国士舘大戦の惜敗から一夜明け、関東学生春季リーグ(春季リーグ)2日目は法大を相手に迎えた。序盤は点を取り合う展開となり、伊舎堂博武(社2=沖縄・興南)を中心に粘り強く攻め続けて得点を重ねた。後半に入ると一転、西山尚希(社3=香川中央)の力強いシュートで波に乗ると、三輪颯馬(スポ2=愛知)の速攻などで連続得点に成功。終盤には大逆転を狙う法大が変則的な2-4DFを敷いたが、落ち着いて対処し、勝ち星を手に入れた。
前半、試合の流れは目まぐるしく変化する。齊藤凌副将(スポ4=岩手・不来方)のサイドシュートで幸先よく先制すると、三輪も速攻で続くなど前半の主導権は早大が握ると思われた。しかしそれもつかの間、法大もステップシュートで早大DFの間を突くなど食い下がる。「序盤は自分たちで苦しめている部分があった」と荒木進監督(平5人卒=熊本商)が振り返ったように、シュートミスから逆速攻を許すシーンが多かった。相手に流れが傾きつつある中、「落ち着いていこう、一本ずつ」。下級生主体のチームに声掛けをしたのは岩本岳主将(スポ4=東京・早実)や西山ら上級生だ。12分には戸部大悟(教4=大阪・桃山学院)も目の覚めるようなカットインを決めてチームを盛り上げた。その後も一進一退の攻防をチーム全員で乗り切り、14-13と1点リードで前半30分を終えた。
攻守の要として活躍し10得点を挙げた西山
後半の立役者は間違いなく西山だろう。司令塔としてコートを広く使ったオフェンスを展開し、自分でもアウトカットインを連発。4分のロングシュートには相手GKは反応すらできなかった。前半にシュートミスを続けた三輪も名誉挽回の活躍を見せた。「ハーフタイムに先輩や同期が励ましてくれてリラックスできた」と語ったように、相手GKの顔横に股下とシュートを決め、後半だけで6得点と『らしさ』を取り戻した。そのまま早大ペースで試合は進み、23分時点で29-22と早大7点リードの場面で法大がタイムを要求する。1分間のタイムアウト終了後、法大が敷いたディフェンス隊形は変則的な2-4DF。早大の動揺を誘い逆転を狙う策だったが、「予想はしていたので落ち着いてできた」(伊舎堂)と冷静な対応で相手をかわす。最後まで隙を見せることなく32-25で勝利を収めた。
1年生ながらゴールを守り抜いたGK羽諸
早大が所属する関東1部リーグは全国的にもレベルが高く、毎試合接戦が繰り広げられる。その中で勝ち抜いていくためには技術以外にもチーム力や気持ちの強さが重要となるだろう。きょうの法大戦では上級生が後輩を引っ張る姿、ルーズボールに走り込んで死守する選手の姿が随所に見られた。また、伊舎堂が「セットディフェンスもまだまだ」と語ったように理想は高い。『日本一奪回』に向け、春季リーグを通じてチームとしての成長が期待される。次戦の相手はきょねんの全日本学生選手権(インカレ)決勝の舞台で早大を破った王者・日体大。手強い相手だが、自分たちのハンドボールを貫きリベンジを果たしたい。
(記事 田中一光、写真 尾澤琴美)
関東学生春季リーグ | ||||
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早大 | 32 | 14−13 18−12 | 25 | 法大 |
GK 羽諸大雅(スポ1=千葉・市川) LW 三輪颯馬(スポ2=愛知) LB 山﨑純平(社2=岩手・不来方) CB 西山尚希(社3=香川中央) PB 松本光也(社3=神奈川・法政二) RB 伊舎堂博武(社2=沖縄・興南) RW 戸部大悟(教4=大阪・桃山学院) |
荒木進監督(平5人卒=熊本商)
――きょうの感想を聞かせて下さい
苦しかったかなって感じですかね。きのうの1戦目からディフェンスは機能していたけど、オフェンス面は緊張からか固さがありました。それが1戦目終えて2戦目を迎えて自由にのびのびとやれたかなとは思います。
――途中までは流れが何度も入れ替わる接戦でした
それはもう織り込み済みというか、考えた上ではやっているけれど、まだまだ突き放すチャンスは何度でもあったし、自分たちで苦しくしている部分もありましたね。ノーマークシュートを外したりだとか。ただ、こうした競った試合を勝ちに結びつけられたっていうのは今後につながっていくと思います。
――ボールへの飛び込みなど勝利への執念が見えるシーンがきのう以上に多かったように感じました
それは常々言っていることで、技術的なことをリーグ(関東学生春季リーグ)期間中に飛躍的にアップできるかと言うと難しい。やっぱりルーズボールへの集中力など基本的なことをアップした方がいいと話をしていて、それを実践した選手たちはよかったと思います。
――スタメン出場の1年生GK羽諸大雅選手(スポ1=千葉・市川)について
まだまだ、ディフェンスとの連携はこれからどんどん築いていかなきゃいけない部分があると思うんだけど、まあ1年生にしたら頑張っていると思います。
――二連戦を一勝一敗で終えました
これから長丁場になるので自分たちの基本的な精度のアップ、対策や試合に対するイメージを持ち続けて、しっかり戦っていければと思います。
伊舎堂博武(社2=沖縄・興南)
――きょうの感想を聞かせて下さい
とりあえず新チームになって一勝できたのは大きいかな、これを自信に変えて来週の日体大戦も順調に勝っていけたらいいと思います。
――試合序盤は接戦でした
最初で離そうという話はしていたんですけどそう簡単には離せないなと思いました。タイムアウトの時は相手がどうじゃなくて、自分たちのミスから逆速攻につながっていたので、ミスをなくしてそこから立て直していこうという話はしました。
――きのうに引き続きセットディフェンスは安定している印象を受けました。
周りから見たら良いと感じると思うんですけど、僕たちはまだまだだと思っています。しっかり取りたいところで取れなくてそこがもったいなかったです。きのうとは違って相手が小さかったので前に出る意識が少し薄れて、ステップシュートを打たれるシーンもありました。まあ、それも途中で修正して対応できたことはよかったのかなと思います。
――伊舎堂選手自身はオフェンスで積極的にカットインを仕掛けていました
僕はロングシュートをあまり打たないようにしていて、確率の高いカットインとポストのプレーを意識しながらゲームも取り組んでいました。ワセダにもロングシュートが強い人はいるし、打てるところでは当然自分も打つんですけど、ディフェンスが対応できないようなオフェンスを選んでできたかな、きょうは。
――ポストの松本光也選手(社3=神奈川・法政二)とのコンビがいい印象があります
そうですね、普段から2対2の練習は一緒にやるようにしています。僕のところで完結できるプレーもあるんですけど、そうじゃなくて、もっと上を目指す時に、それが通じなくなったらどうするかということで、センターやポストを使うプレーを選んでいます。
――終盤の相手の変則ディフェンスについて
一応予想はしていたのでそんなに焦ることもなく落ち着いてできたと思います。
――次戦の日体大戦に向けての意気込みをお願いします
日体大はきょねんインカレ(全日本学生選手権)の決勝で負けた相手なのでちょっと意識する部分もあるんですけど、しっかり自分たちのプレーをやって勝っていけたらと思います。
三輪颯馬(スポ2=愛知)
――きのうの敗戦からどのような意気込みで試合に臨みましたか
とにかく切り替えが大事だったので、きのうの敗戦は考えずにきょうの一戦だけに集中して取り組みました。
――きょうのプレーを振り返っていかがでしたか
前半がふがいなかったですが、後半では少し役に立てたかなと思います。
――前半と後半の切り替えについてはどのようにされましたか
先輩や同期たちがすごく励ましてくれたので、リラックスできました。
――後半からチームの雰囲気も変わったように見えました
前半が終わって皆で話していた時に、とにかく楽しもうという話がありました。試合の中でも笑顔が増えたし、盛り上がったと思います。
――今季の早大はどんなチームですか
やっぱり仲が良いので、その勢いがあると思います。この先もそれに乗っていけたらと思います。
――ご自身はチームの中でどのような役割だと考えていますか
やっぱり僕はサイドで走って点を取って。あとはサイドから声を出して、チームを盛り上げるというのが役割だと思っています。その役割を後のリーグ戦でも果たしていきたいです。
――次戦への意気込みをお願いします
きょうは前半がダメで後半からスイッチが入ったので、日体大戦では最初から勢い良く、自分のプレーを出したいと思います。
羽諸大雅(スポ1=千葉・市川)
――初めての関東学生春季リーグですが、緊張などありましたか
きょうはスタメンということもあって、とても緊張しました。
――きょうのプレーを振り返っていかがでしたか
前半もっとやれたかなとは思います。前半もっと止めていれば苦しい時間帯もなく、すんなり試合に勝てていたと思います。
――後半はいかがでしたか
試合を決めるセーブが欲しいと思っていて、後半は何回か取れたのでその点はよかったと思います。
――ことしからチームに入って、早大の印象はいかがですか
シュート力が強い選手が揃っているので、シュートまでにいく過程とかを練習すればもっと強くなると思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
勝利を引き寄せるようなキーピングをして、連勝したいと思います。