宿敵撃破!大舞台で東海大を圧倒

男子ハンドボール

 攻めと守り、すべてで上回った。全日本学生選手権(インカレ)2回戦。前日快勝した早大は東海大とのマッチアップ。序盤は一進一退の攻防も、徐々に差を広げ、気が付けば大差で試合を折り返す。後半も食い下がる東海大の反撃をはじき続ける。34-24の大勝を納め、優勝を目指す早大にとって大きな一勝となった。

 早大のオフェンスは安定していた。「ノーマ-クシュートを確実に決められた」と桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)が振り返るように、伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)のカットインで先制すると、桐生のフェイント、東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)のステップシュートと多彩な攻撃で攻め続ける。また「いかに自分たちが足を動かして守れるかが大事」(太田翔主将、スポ4=北海道・札幌月寒)という言葉の通り、東海大のオフェンスには当たりの強いディフェンスで対応し、相手のミスを誘発させる。そして前半終了間際、東海大のペナルティースローでゴールを託されたのは1年生GK永田奈音(スポ1=宮崎・小林秀峰)。見事なキーピングが決まると、会場の熱気は最高潮に達する。興奮そのままに19-10で前半を終える。

相手を翻弄(ほんろう)した東江

 後半に入っても足が止まることはなかった。早大のオフェンスは手をゆるめることなく得点を重ねる。齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)がロングシュートを決めれば、川島悠太郎(スポ3=福井商)がスピンシュートを冷静に決めた。しかし中盤ディフェンスに疲れが見え始める頃、東海大が連続得点で反撃を見せる。ここで気を吐いたのはGK中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)。試合を通して再三の好セーブを連発していた守護神は相手のシュートにしっかり反応し、ゴールを死守する。中野のセーブで再び勢いを取り戻す早大ディフェンス。残り10分を切ると1年生の小畠夕輝(スポ1=岡山・総社)や三輪颯馬(スポ1=愛知)を投入し、彼らも得点で結果を残す。東海大を総合力で圧倒した早大が10点差をつけると、試合終了のホイッスルが吹かれた。

果敢にゴールを狙った齊藤

 インカレという大舞台で、春秋2度も苦戦を強いられた宿敵に大勝した早大。持てる力を十二分発揮したようにも見えるが、「最高のパフォーマンスをした次の日にゆるんでしまう」(太田)、「2回戦を勝っただけで、決勝はまだまだ先」(桐生)と選手たちは答える。慢心することなく、『ダントツ優勝』を目指し早大は次の相手に挑む

(記事 比留田孟徳、写真 寒竹咲月)

全日本学生選手権
早大 34 19−10
15−14
24 東海大
GK 中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
CP 桐生正崇(人4=群馬・富岡)
CP 福岡佑哉(スポ4=北海道・札幌月寒)
CP 東江雄斗(スポ4=沖縄・興南)
CP 川島悠太郎(スポ3=福井商)
CP 伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)
CP 松本光也(社2=神奈川・法政二)
コメント

太田翔主将(スポ4=北海道・札幌月寒)

――東海大に勝って、いまの率直な感想をお願いします

インカレ前の練習もほぼ東海大を倒すためだけにモチベーションをおいてやってきたので、結果が圧倒できたというのは素直に本当にうれしかったです。

――春は負けてしまい、秋は勝っている展開から引き分けでした。やはり大きなモチベーションでしたか

いまだから言えるというのもあるのですが、負けたことと秋季リーグ(関東学生秋季リーグ)のように前半勝ってて追い付かれたことを経験できたからこそ、いま前半リードしててもなおみんなで粘りながら最後離せることができたと思います。本当に良かったなと思います。

――きょうは前半を9点差で折り返し、10点差で試合を終えました。「5点差をつける」ことの目標は達成できましたか

自分たちがやってきた練習は5点差まで粘ってキープするというものだったんですが、その5点がキープできていればそれをさらに6点、7点と増やしていくことで自分たちのペースにもっていこうという話はしました。朝、コーチ(大城章コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)からも「10点差で圧倒して勝つぞ」というふうに言われていたので、最終目標は達成できたなと思います。

――ディフェンス時にはベンチから「足、足!」という指示が出ていました。

1対1がすごいプレーヤーがそろっていて、そこに対して自分たちが突っ立ったままだと抜かれてしまうということも分かっている中で、いかに自分たちが足を動かして守れるかが大事だったかなと思っています。

――ディフェンスはかなり守れている印象でした。早稲田の売りの『粘り』は見せられましたか

相手の選手のような1対1はできないですけど、相手の1対1を複数人で守れるところは早稲田の泥くささが見せられたなと思います。

――きょうは伊舎堂選手(社1=沖縄・興南)の得点で始まり、三輪選手(スポ1=愛知)の得点で試合を終えたように1年生も活躍しています

初戦の時は緊張感があったのか固さがあったんですけど、少しずつ空気に慣れてくれたのかなと。豪快にプレーしてくれれば、この後の試合も通用するかなと思います。

――頼もしい後輩ですね

本当にいい後輩です。

――次戦に勝つとベスト4となります。きょねんを超えるためにも重要な試合になりますね

目標は『ダントツ優勝』なので、きょねんの先輩方が達成できなかった分も、一つ一つ戦っていけば優勝につながると思います。

――あすへの意気込みを

チームメイト全員が思っていると思いますが、最高のパフォーマンスができた後の次の日ゆるんでしまうことが自分たちの弱みとしてありました。そこをもう一回引き締めて、さらにきょうよりもいいプレーで圧倒できればなと思います。そこを注意してあすに臨みます。

東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)

――相手が東海大ということでしたがどのようなモチベーションでこの試合に臨まれましたか

春と秋ともに今シーズン勝ち切れていないというのがあったのと、個人としては高校の同期と戦える最後の試合だったので、何が何でも勝ちたいという気持ちでした。

――試合を振り返っていかがですか

前半から練習でやってきたことをうまく表現できて、オフェンスミスが少なかったです。あとディフェンスでうまく組織として守れたというのが勝ちにつながったのかなと思います。

――前の試合ではうまく出せなかった部分を今回は出せたという感じですか

そうですね。気持ちが入りすぎて冷静さが欠けている部分もありました。気持ちでいく部分もあったのですが、後半少し冷静さを欠いていたので、周りを使ったプレーなどをしていきました。

――最後の1点についてなのですが、最初ご自身でシュートにいかれていたところを次は三輪颯馬選手(スポ1=愛知)にパスされたのは何か狙いがあったのですか

本当はエースにいた1年生の小畠(夕輝、スポ1=岡山・総社)を回りこませて打たそうとしたんですけど、相手のディフェンスがそれを先読みしてサイトがたまたま空いたので颯馬にパスしてどフリーでうまく決めてくれました。それがあしたの試合につながる大きな1点だったのかなと思います。

――ご自身の調子はいかがですか

ミスもあるのですが最後なので悔いの残らないように思い切りやっています。チームのためにも貢献できるようにやっていきたいなと思っています。

――次戦に向けて課題をあげるとするならばどういったところでしょうか

ディフェンスでのマークチェンジミスが試合を通して何本かあって同じやられ方だったのでそれを修正すること。あとはオフェンスでもシュートミスの連続などをできるだけ減らして、相手がいることなのでしっかり相手の研究もしながらやっていきたいなと思います。

――次戦への意気込みの方を一言お願いします

この勝ちを無駄にしないように、最後なのであしたも思い切りやっていきたいと思います。

桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)

――いまの気持ちを聞かせてください

うれしかったですね。春と秋勝ってない相手だったので、今までやってきた成果が出て結果を残せてよかったです。

――結果的な点差以上に緊迫した試合展開でした

うちのキーパーもよく当たってくれて、こっちの選手はノーマークシュートを確実に決められたのでこういう点差になったのかなとは思います。ワセダのオフェンスもディフェンスも、いままでの中では結構いい試合展開でした。

――相手のエース選手を桐生選手中心に全員で抑えこみました

相手チームのキーマン2人に対して、真ん中のディフェンス中心にしっかり当たって苦しい態勢でシュートを打たせられたというのがよかったです。

――桐生選手自身もカットインなどで7得点を挙げました

やっぱり悔いを残さないように、試合に臨むにあたって自分の持ち味である間を強く割っていくというプレーをこの試合通して出すことができたのでよかったと思います。

――ルーズボールのキープや得点後のガッツポーズから、いつも以上に選手の皆さんの気迫が感じられました

感情を出すということはうちのキャプテン(太田翔主将、スポ4=北海道・札幌月寒)からずっと言われ続けていることなので、そういう意識で1年間やってきたことしはいままで以上に感情表現はよくできていると思います。

――ひとつ山場を越えましたがあす以降も厳しい戦いが続きます

章さん(大城コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)が試合後に言っていたんですけど、単純に見たら2回戦勝っただけということで、決勝までまだまだ先があるので、きょうはきょうでしっかり気持ちを切り替えてまた大同大学との戦いに備えたいと思います。勝ちます!

川島悠太郎(スポ3=福井商)

――関東学生リーグでは勝てなかった東海大にリベンジすることができました。振り返っていかがでしたか

きょうのインカレでも関東学生リーグと同じ展開で、前半は点を離すけど後半に追い付かれて勝ち切れないというような感じでした。一方でとてもよい雰囲気だったので後半も崩すことなく10点差で勝てたことはよかったです。

――試合展開はことしの中でもベストに入るような高いレベルでした

そうですね。監督も同じことをおっしゃっていて攻撃も守備もよく雰囲気もよかったので、ことし1の試合だったんじゃないかなと思います。

――ケガで離れていた時期を終えての全日本選手権(インカレ)でした。調子の方はいかがですか

肩の方はもう治っていて、問題なくプレーしているのでいままで通りだと思います。

――きょうの課題を挙げるとしたら

ディフェンスです。全体的にはよかったのですが、目標はダントツで優勝することなのでもっと差を開いて激しくいけたらよいなと思います。

――次節、大同大戦ですが

名古屋のチームなのであまり対戦したことがありませんが、きょうのような試合展開で勝ち切りたいです。

伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)

――本日の試合は春秋ともに勝ち星を挙げられていない東海大との試合でしたが、緊張などは

緊張はありました。春秋負けているのですが、インカレでの『ダントツ優勝』という目標の通過点に東海大がいて。簡単に倒せる相手ではないというのも分かっていました。

――緊張はどのようにほぐしていきましたか

声を出して、ごまかしていました。

――本日はきのうのミスが少なく見えました。きのうのミーティングではどのようなことを話されましたか

確率の高いファーストブレイク、6メートルラインで打つシュートを多くして、ディスタンスブレイク、遠いロングシュートはなくそうと話し合いました。そのミーティングでやったことがこの試合でできたからミスも少なくてこの点差で買ったのではないかなと思います。

――5点以上点差をつけることをインカレ前から目標としていたとお聞きしました。今日は前半開始10分から5点リードが続きましたがチームの雰囲気や調子などは

練習のなかで5点差まで開くゲームを練習しているのですけど、ここを守ったら5、6点差というところでしっかりシュートを決められたというのが今回は大きかったですね。

――クロスプレーで攻める攻撃がうまくいっていましたが、他のチームメイトとはどのようなコミュニケーションをとられていましたか

僕がとりあえず強く打たないと崩せないと僕が強気でいって、そうして4年生を頼りながらプレーしていました。そして自分でいけるところはいったりしました。

――明日への意気込みを

目標は『ダントツ優勝』なのでその通過点をしっかりと通過できるように、またきょうみたいな試合内容を意識して、またシュート一本一本に気合を込めていきたいと思います。