エース鮮やかに復活!価値ある1勝

男子ハンドボール

 日体大に敗れ優勝が遠のいた早大。この日は関東学生春季リーグ(春季リーグ)現在2位と、勢いのある国士舘大と対戦した。故障により離脱していた東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)の復帰戦でもあるこの試合。東江副将は前半、後半ともに約10分間ずつの出場となった。前半は両チーム点を取り合う白熱した展開が続く。しかし後半、期待のルーキー伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)が躍動。国士舘大を突き離し、効果的に得点を重ねた早大が快勝した。

 試合開始後、まずは早大が順調に得点を挙げていった。西山尚希(社2=香川中央)のゴールで先制すると、その後も積極的にシュートを放ち国士舘大ゴールを脅かす。9分には藤井豪之(教4=東京・早実)に復帰後初ゴールが飛び出すなど、得点を連取していく。そして6-4とリードして迎えた11分。背番号3を背負ったエース東江が、ついにコートに帰ってきた。誰もが待ち望む東江のゴール。それは20分、同点に追い付かれた直後に飛び出した。湧き上がる歓声、それに応え手を挙げる。「出られなかった悔しさを今までためていた分思いっきり発揮しようと意気込みました」(東江)。しかし前半終盤はなかなか攻め切れず、逆に相手の長身を生かしたプレーに苦しめられる展開に。結局、11-12と1点ビハインドの状態で前半を終えた。

会場でも注目の的となった東江の復活

 自分たちのペースに持っていきたい早大は、後半開始後も果敢に攻め続ける。その中で際立つ活躍を見せたのが伊舎堂だ。前半こそ無得点で終わったものの、後半はゴール前のゾーンを完全に支配。東江との息も合い、互いに競い合うように得点を重ねていく。国士舘大も負けじと攻め上がるが、そこに立ちふさがったのが中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)だ。春季リーグこれまで好セーブが光っていた早大の守護神は、この日も健在。相手のシュートをことごとく弾き、時には体を張ってまで止めた。そして20分、早大の4連続得点などで一気に国士舘大を突き放す。伊舎堂は後半だけで7得点を挙げ勝利に貢献。27-24と、東江の復帰戦を白星で飾った。

後半他を圧倒した伊舎堂

 「雄斗はやはりワセダのエース」(桐生正崇副将、人4=群馬・富岡)。コートにいるだけで流れを変えられる東江が、ここへ来て戦線に復帰したことはとても大きいだろう。次に対戦するのは、春季リーグここまで全勝と単独1位に君臨している東海大。「自分たちのハンドボールをやっていけば勝てる」(東江)と選手たちの意気込みは十分だ。昨季覇者の名に懸けて、ここで負けるわけにはいかない。

(記事 中丸卓己、写真 藤巻晴帆)

関東学生春季リーグ
早大 27 11−12
16−12
24 国士舘大
スタメン
GK 中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
CP 桐生正崇(人4=群馬・富岡)
CP 藤井豪之(教4=東京・早実)
CP 川島悠太郎(スポ3=福井商)
CP 齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)
CP 西山尚希(社2=香川中央)
CP 田中佑星(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
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コメント

東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)

――復帰戦となりましたがどのような意気込みで臨まれましたか

完全復帰ではないですが、ケガをして出られなかった悔しさをいままでためていた分思いっきり発揮しようと意気込みました。

――ケガをされていたということですが、ご自身の調子の方はいかがでしたか

リハビリなどをしながら痛みが無くなってきた段階ですけれど、プレーは徐々に感覚も取り戻しつつあるので、焦らず徐々に徐々にできればいいかなと思います。

――オフェンスでの試合参加というかたちになりましたが、センターでプレーして意識されたことは

相手が1トップを置いて下も背の高い選手が多かったのですが、横の動きはフェイントとかにあまり付いていけていない印象があったので、かわして間を強く割っていければ何かしら点や次につながるプレーになると思っていました。そこのところで縦を強くいくというのを意識してやりました。

――中盤苦しい時間帯もありましたが、オフェンスでの課題は

オフェンスはシュートまでいっているので、その最後のシュートをキーパーに簡単に当ててしまったり、自分から小さくなって外してしまったりしているので、課題はシュートです。

――自らシュートを決められているシーンも見られましたがその点についてはいかがですか

苦しい時間帯に自分がいくというか、自然と体がゴールに向かっていたので決められて本当に良かったです。

――同じ興南出身の後輩の活躍も見られますが、一緒にプレーをしていていかがでしたか

かわいい後輩も入ってきて一緒にプレーしているのがすごく楽しい時間で、これからもっとその楽しい時間が長くできたらいいなと思います。

――次戦は首位の東海大との対戦ですが

いま1位で勢いに乗っているチームですが、攻守ともに相手のウィークポイントをしっかり試合を見て研究して皆で話し合って自分たちのハンドボールをやっていけば勝てる相手だと思うのでチーム一丸となってやっていきたいと思います。

桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)

――きょうの勝利についていかがですか

日体大戦で負けましたが、きょう流れを断ち切れたので良かったと思います。

――きょうは東江雄斗副将(スポ4=沖縄・興南)の復帰戦でしたがそれについては

雄斗はやはりワセダのエースですし、きょう見て分かるように彼がいるだけで存在感もあって、そういう面でもチームには大きなプラス材料になったと思います。

――下級生の活躍も目立った試合でしたが、4年生から見てその活躍はいかがですか

西山(尚希、社2=香川中央)も博武(伊舎堂博武、社1=沖縄・興南)も下級生ですが、彼ららしいプレーが随所に出ていてとても良かったです。

――センターとしてプレーする中で意識されていることは

相手の体が大きかったので、攻撃は中・中にこだわりすぎないように、外・外で組み立てられるような意識をしていました。

――中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)選手の好セーブも光りました

そうですね。キーパーも良いところで当たってくれたと思います。

――次は東海大戦ですが気を付けたいことは何でしょうか

東海大はいま全勝中で勢いに乗っていますし、相手のセンターやエースなど個人能力の高い人たちにいかに好きにプレーさせないかが勝負を分けると思います。そこを固めて、全体的にディフェンスをしっかりやりたいなと思います。

――では最後に意気込みをお願いします

連勝中で勢いのある東海大ですが、ワセダも勢いに乗ってきたのでここでしっかり連勝を続けられるように頑張りたいと思います。

田中佑星(スポ4=兵庫・神戸国際大付)

――優勝から遠のき苦しい状況で迎えた今試合、どんな気持ちで臨みましたか

優勝は厳しくなってしまいましたが、勝つことに向けてやってきたことは変わりありません。残りを全部勝つ気で臨みました。

――きょうは勝つことができました。率直な感想をお願いします

勝てて良かったです。緊張することもありましたが、とりあえず嬉しいです。

――試合前にチームで話したことはありますか

相手に大きな選手がいたので、上からシュートを打たれないようにという話をしたのですが、やられてしまっていたのでそこは良くなかったと思います。

――大きな選手を相手に田中選手自身でもフィジカルを駆使したディフェンスも見えましたが

ただ自分の仕事をやることに集中したという感じです。

――攻撃においても積極的にゴールを狙っているように見えましたが

いつもキャプテン(太田翔、スポ4=北海道・札幌月寒)と半々で試合に出ていたのですが、きょうはキャプテンの方の調子が良くなかったので自分が出なきゃいけないという気持ちは強くありました。活躍できたか分からないですが、試合に長く出ることができて良かったです。

――相手ディフェンスを引き付けスペースをつくることに成功されていましたが

そうですね、それが自分の仕事であると思っています。もっと自分がもらってシュートを打てたら良かったなと思いましたが、相手との兼ね合いもあるので難しいところですね。

――今季は得点争いをする展開の試合が多くありますが

まずエースの東江(雄斗副将、スポ4=沖縄・興南)が欠けていた分、得点力が下がってしまっていたと思います。ディフェンスもワセダはまだまだ弱いのでそこで点を取られて点の取り合いになってしまうことが多かったです。ディフェンスで取られてしまったらその分自分たちオフェンスが取り返せれば良かったなとは思います。

――そのディフェンスを外から見ていることが多くあった中で、思ったことは

あまり偉そうなことは言えませんが、練習中からもポストを守ることがあまりできていませんでした。ポストを守ろうとしたら、そっちに気を取られて今度は上を守れないという場面もあるので、そこをしっかり守れるようにすれば失点を抑えることはできるのではないかなと思います。

――西山尚希(社2=香川商業)、伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)と下級生の活躍が目立っていますが

きのう自分含めその3人でご飯に行きました。その時は自分の奢りでお腹いっぱいになるまで食べさせました。その成果が出たのかなと思っています(笑)。

――下級生の活躍をみて4年生としての意見

自分自身引っ張れるような選手になりたいとは思っていますが、まだまだ甘いところがあると思います。キャプテンと前後半に分けて試合に出させてもらっているのが現状なので、もっと試合に出られるようになりたいとは思います。チーム全員が自分が引っ張るという気持ちを出していかないと強いチームにならないと思うので、1年生だから4年生に意見を言えないという雰囲気は作らないようにしています。

――次戦は現段階で全勝中の東海大が相手です。意気込みは

きょうの勢いはとても良かったので、次戦もこのまま勝ちたいと思います。

伊舎堂博武(社1=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半は少し硬さがあって、自分なりのプレーができていなかったのですが、後半先輩方と話し合って、自分のプレーができたので、満足しています。

――後半自分のプレーができたのは何かコツをつかんだのですか

前半は止まってプレーすることが多く、なかなか強くできなかったのですが、後半からスピードに乗ったプレーを意識するようにしました。なので、後半はそれなりのプレーができました。

――多くのシュートを放っていましたが、自分で決めに行こうと思ってやっていたのですか

はい。積極的に行って、ディフェンスが寄ったりしたら、周りを使っていこうと思ってやっていました。

――相手チームは高身長のプレーヤーが多かったですが、どのように対策しましたか

ロングシュートは相手の勝負所になるので、それは無くそうという話はしました。しかし、前半自分はロングシュートが多かったので、後半はそこを修正して、ロングシュートに走らないプレーに集中しました。

――東江選手がきょう復帰されて、興南高校の先輩後輩がそろいましたね

高校では学年がかぶらなく、一緒にプレーすることはありませんでしたが、大学に来て一緒にプレーすることができてうれしいです。残り少ない時間で少しでも力になれたらなと思います。

――次戦の東海大戦へ意気込みをお願いします

相手も走ってくると思いますが、僕自身もそれなりに走れるので、スピードでは負けないようにしたいと思います。消極的なプレーを無くして、自分が行けるところはしっかり行
って、チームに貢献できるようにまた頑張っていきたいと思います。