オフェンスに課題を残すも連勝

男子ハンドボール

 関東学生春季リーグ初勝利から1週間。このまま勝ちを積み重ねたい早大は3戦目、中大と対戦した。前半はこれまでと同様チームを二分化して臨んだが、相手サイドシューターに翻弄(ほんろう)され自分たちのペースで試合を運ぶことができない。わずか1点リードで迎えた後半、チームを一つにまとめ巻き返しを図った。順調に点を重ねていき、終盤には差を詰められたものの26-24で勝利を収め連勝を飾った。

 初戦を落としている早大にとって負けは許されない。しかし先制点こそ決めたものの、序盤から互いに点を奪い合う激しい攻防戦が続く。試合の主導権をにぎることができないまま、前半16分にはメンバーを総入れ替え。終盤には相手がマンツーマンディフェンスに変更したことでオフェンスの勢いが失速してしまう。そのまま逆転を許すも、早大は西東匡寛(文構4=東京・早実)が相手サイドシューターにマンツーマンディフェンスにつくことで対抗。すぐさまリードを奪い返す。最後はペナルティスローを初出場となる永田奈音(スポ1=宮崎・小林秀峰)が見事セーブし、前半を16-15で折り返した。

先制点を奪った桐生

 このままリードを守りきりたい早大。前半終了直前の退場により1人欠いてのスタートとなったが、チームを一つにまとめて後半に臨んだ。後半1分、桐生が豪快なシュートを決めると、ベンチから大きな歓声が沸く。その後も順調に得点を重ねていき、GK中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)の好セーブも光った。しばらく拮抗(きっこう)状態が続いていたが、後半27分には連続失点。早大がタイムアウトを取るもまたもやマンツーマンディフェンスの前に攻撃の機会を失った。相手の勢いは止まらず、スカイプレーを決められ試合終了。それでも一度もリードは奪われることなく、26-24で勝利した。

好セーブを決め、ガッツポーズをする中野

 今回苦戦を強いられる要因となったマンツーマンディフェンス。次の対戦相手である日大も高い位置でのディフェンスを得意としているチームだ。「浮いてくるディフェンスに対して攻めきれないというのは前から出ていた課題」(桐生)と選手も語るように、この課題をあと1週間でどれだけ克服できるかが勝負のカギだろう。戦いはまだ始まったばかり。これからの成長に目が離せない。

(記事 藤巻晴帆、写真 尾澤琴美)

関東学生春季リーグ
早大 26 16―15
10―9
24 中大
スタメン
GK 中野裕通(スポ4=兵庫・神戸国際大付)
CP 太田翔(スポ4=北海道・札幌月寒)
CP 桐生正崇(人4=群馬・富岡)
CP 齊藤凌(スポ3=岩手・不来方)
CP 岩本岳(スポ3=東京・早実)
CP 萩原侑(文3=東京・早実)
CP 三輪颯馬(スポ1=愛知)

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コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――きょうの試合の後半には総入れ替えがありませんでした

簡単には勝てない相手になってきているというのが正直なところです。ですから15分でも役割というのがあるので、その15分で自分がチームのために何ができるのか考えてプレーしてほしいと思っています。先週とイメージは一緒で、ただプレー時間が短くなっているというだけです。彼らの目標は関東学生春季リーグ(春季リーグ)優勝することです。僕の役目としてはそう導かなければいけない。そのためにただ相手が強くなってきたので、時間が減ったというただそれだけのことです。

――勝ちを意識されてということですか

本来前半から主導権をにぎらなければいけないというのが通例ですけれど、勝ちにいきながらも前半はあのメンバーでやったというのは、スタートの入り方だったり、途中メンバーチェンジした時の入り方だったりというのを学べるからです。

――1年生の新たなメンバーにはどのようなことを期待されていましたか

誰が出てもチームのために貢献してくれる選手を選出するというのは決めていますので、たまたま彼らが非常に日々の練習中からチームに大きい影響をもたらすと思ったので、入れただけです。

――相手サイドシューターについて何か意識されていましたか

僕としては彼に何点取られても早大が勝てばいいと思っていました。もちろん彼が得意とする速攻やサイドのシュートを防ぐために、角度や寄る、寄らないといった問題では戦術を練ってきました。でもチームプレーなので、トータルで早大が1点でも勝てればそれでいいと思っています。

――次戦の日大についての印象はいかがですか

日大のプレースタイルは高めにアグレッシブに敷いてくるイメージなので、それに対して特にオフェンスでリズムに乗れるかというのが重要です。キーは確実にオフェンスです。そこで我々がリズムよく得点できるか、シュートまでいけるか。やはり行き当たりばったりだとプレーの再現性が低いと思うので、意図を持ってしっかりプレーできているかというのが鍵ですね。

――どのような点を修正していきたいですか

相手に合わせることもそうですが、我々が日々の練習でやっているのはボールをもらう前の動きやポジショニングの動きというハンドボールの基本です。それをもう一度再確認することが一番重点を置くことです。もう一つはやはり相手がどういったプレーをしてくるかにアジャストしなければいけないかということで、そこはもう一度選手が考える部分と、僕が考える部分をミックスさせてやっていかなければいけません。まずは、自分たちがやってきたことを確認する、次の段階として相手がどのようなプレーをしてくるのかということで策を練るという2段階になると思います。

桐生正崇副将(人4=群馬・富岡)

――きょうの試合への意気込みは

もう負けられない状態だったので勝つということだけ意識してやりました。

――きょうの試合を振り返ってはいかがでしたか

前半少しディフェンスが点を取られすぎていた部分もあって、その点後半にはしっかり集中してメンバーが変わっていく中でもしっかり勝ち切れたというのは大きかったかなと思っています。

――前半は自分たちのペースでの試合運びができていなかったように思われますが、その原因として挙げられるものは

相手に1人キーマンとなる得点を多く取る選手がいて、その人に自由に点を取られてたられていたのが、自分たちのペースで試合運べなかった要因なのかなと思っています。

――相手のディフェンスシステムがマンツーマンになったことによってかなり苦戦されている印象を受けましたが

浮いてくるディフェンスに対して攻めきれないというのは前から出ていた課題なので、そこを焦らず出ているプレイヤーたちでしっかり崩していかなければいけないし、来週の日大も高いディフェンスを敷いてくるので、これから1週間で詰めたいと思っています。

――後半のメンバー構成についてはいかがですか

前半は2つに分かれて、後半は一つにまとまるという風に章さん(大城章コーチ、平18人卒=沖縄・那覇西)から言われていたので、一つにまとまりました。来週から多分1つにまとまるのでそういう意味で今回一つにまとめたのかなと思っています。

――最後相手に追い上げられてしまった要因は

試合の中でチームとしての好不調がある中で、その不調の時間帯が長くてその部分に相手の好調な時間帯が重なって点差が詰められてしまったのかなと思います。その不調の時間帯というのは絶対にあると思うのですが、そこをいかに少なくできるかというのはこれから気をつけていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

いままでの3戦より少しレベルが上がるチームが相手なので、この1週間で相手の分析をしてまたしっかり勝ちにつなげられるよう頑張っていきたいと思っています。

西東匡寛(文構4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうは相手チームに得点力の高いプレーヤーがいたので、それをいかに抑えるかというのが課題でした。上がり下がりができていればある程度の失点は防げると思っていたので、それだけしっかりやろうと考えていてできたのはよかったと思います。

――実際に相手プレーヤーのマークについてみてどういった印象を受けましたか

まずボールを持たせてはいけないというのがありました。あと彼に一対一をさせたらどこかでズレが生じてしまうので、そこに気を付けようと思いました。

――これまでチームを二分化した体制でやってこられましたが、それによって何か変化はありましたか

一番は各個人の責任が大きくなって、みんなが自覚を持つようになったということですね。あと個人的に経験を積めるというのが大きいです。

――ご自身の調子はいかがですか

リーグ前は良かったんですけど、始まってからは少し落としています。これから後半に向けてチームのためにも頑張っていきたいと思います。

――次戦の相手・日大の印象は

毎年高い3―3ディフェンスで相手を惑わせてくるので、しっかり間を狙ってシュートに持ち込めるか、パスをさばくか、というのをやっていけばいいと思います。でもそれがことしあまりできていないので、注意してやっていきたいと思います。

――個人的に修正していきたい点はありますか

早大はポストとサイドをずっと課題にしているので、僕はサイドプレーヤーとして、8割以上決めるということをしっかり練習の中でやっていきたいと思います。