福岡大に勝利、課題も得る

男子ハンドボール

 全日本学生選手権(インカレ)2回戦の対戦相手は福岡大。立ち上がりに苦しめられるとシーソーゲームを強いられ、11-13で前半終了。2点ビハインドで後半を迎えることとなった早大は、ディフェンスシステムを変える。その後、徐々に勢いを取り戻し、主導権を握る。その結果、24-20で試合終了。危なげなく突破した初戦に比べ、2戦目は課題の残る試合となった。

 前年度の覇者に果敢に攻め入る福岡大。前半開始間もなく、早大はディフェンスの隙を突かれ、先制点を奪われてしまう。序盤はパスカットをされるなど、守備で苦しむこととなる。しかし、「前半15分は同点でも構わない、点取り合戦でも構わないという話をしました。」と、冷静に語った大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)。さまざまなシチュエーションのもとで練習を重ねてきた早大は、その後、着実に得点を奪いに行く。点取り合戦で気の抜けない雰囲気が続いたが、最後のとりでであるGK中野裕通(スポ3=兵庫・神戸国際大付)のセーブが光る。終盤には同点に追いついくことができたが、すぐさま巻き返され、相手を突き放すことはできなかった。11-13で前半を終え、後半に望みを託すこととなる。

内海副将も力強いシュートで勢いをもたらした

 「後半2点差から入る練習もしてきたので、そんなに焦らずに入ることができました。」と語ったように、落ちついてチームを率いる玉城慶也主将(スポ4=沖縄・興南)。前半を踏まえ、後半からはディフェンスシステムを変更。強固な守りで『ディフェンスからの速攻』への態勢を整える。守備を固めた早大は、内海祐輔副将(スポ4=香川中央)、森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)らが得点を決め、主導権をつかむことに成功。キーパーも増田翔(スポ4=神奈川・生田)を投入し、4年生がチームを率いる。勢いを取り戻した早大。数々のサイドシュートを決めた川島悠太郎(スポ2=福井商)、技ありのシュートも放ったエース東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)らが安定感のあるプレーを見せつけ、貢献。前半とは打って変わって試合を優位に運んだ結果、24-20で試合終了。あすの3回戦へと駒を進めた。

ケガを抱えながらも強気のプレーで勝利に大きく貢献した森田

 各地区の強豪がひしめき合うインカレという舞台は、1分1秒を争う負けられない戦いが続く。前年度の王者として、関東学生春季リーグ(春季リーグ)、関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)の関東王者として、勝利をつかみ続けなければならない。いかなる練習をも経て、さまざまな場面をも想定してきた早大に怖いものはない。すべては『三冠連覇』のために――。真の覇者になるべく、歩みを止めるわけにはいかない。

(記事 久良佳菜子、写真 細川香衣 松田萌花)

全日本学生選手権
早大 24 11−13
13−7
20 福岡大
GK 中野裕通(スポ3=兵庫・神戸国際大付)
CP 玉城慶也(スポ4=沖縄・興南)
CP 内海祐輔(スポ4=香川中央)
CP 田中佑星(スポ3=兵庫・神戸国際大付)
CP 東江雄斗(スポ3=沖縄・興南)
CP 桐生正崇(人3=群馬・富岡)
CP 川島悠太郎(スポ2=福井商)
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コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――きょうはとりあえず勝ち切れて一安心といったところでしょうか

後半はわれわれのペースで試合を制することができたので、後半のオフェンス、ディフェンスに関しては満足しています。特にディフェンスは7失点ですので、上出来です。

――後半は、ディフェンス体系を低めの3-2-1に変更したことがカギとなったと思いますが、いかがですか

前半は0-6で(マークを)チェンジをしながら守ろうか、と話をしていたのですが相手にうまくポストを使われまして、チェンジするのかそのまま付いていくのかっていう部分が中途半端になっていました。なので、チェンジミスが起こらないように、という意味も含めてディフェンスシステムを変えました。

――前半は苦戦の要因はどういったところだったのでしょうか

相手もきのう国士舘大を倒していましたので、苦戦することは目に見えていました。ただ、これまで負けたチーム、国士舘大も日体大も筑波大も前半の立ち上がり15分で相手に先手を許し後追いになって簡単にシュートを打って逆速攻と、リズムが悪かったので自分たちも前半15分は同点でも構わない、点取り合戦でも構わないという話をしました。10分過ぎで3-5ということで、負けてはいましたが大崩れはしていなかったので選手たちには予定通りだよ、っていう話をして。一番の要因は、ディフェンスでリズムを取れなかったことですよね。リズム取れない分オフェンスで単発のシュートがあったり、その逆もあるかもしれないですね。オフェンスでなかなかリズムが取れない分、ディフェンスでなかなか切り替えができなかったっていう。表裏一体なのでどっちが良いか、悪いかっていうことじゃなくて、やはり切り替えがうまくいかなかったっていうのが大きかったと思います。

――増田選手や森田選手など、4年生がよくチームを支えていたなという印象ですが

4年生だけでなく試合に出ていた選手、ベンチ、スタンドにいる選手も含めチーム全員で勝利をもぎ取ろうと話をしていたので、4年生が活躍してくれたのは大きいですし、増田(翔、スポ4=神奈川・生田)に関して言えば、日頃の練習の成果が出たのかなと。練習している分、大事な場面で起用してもそれに応えてくれる。練習で自信を付けているから、初めての全国大会でもああいった良いパフォーマンスができるのかなっていう。日頃の彼の努力の成果ですね。

――後半、増田選手を起用したのもそういった部分での評価がやはり大きいですか

キーパーコーチの宇野(譲、平19人卒=熊本・済々黌)からも、後半はリズムを変えたいですねと。ハーフタイムにGK中野(裕通、スポ3=兵庫・神戸国際大付)に相手の雰囲気を聞いたら、ちょっと(自分と)リズムが合わないですと話をしていて。なので、思い切って代えました。トータルとしてチームで勝てれば良いので、調子の良い悪いはあるし、そこで増田に代えたらうまく応えてくれたって感じですかね。

――やはりこう競った試合でのメンバーチェンジは厳しいですか

代えられないですね。途中で西山(尚希、社1=香川中央)出ましたけど、なにしたらいいのか分からないというか、それは出ているメンバーがサポートしなければいけないところではあるんですけれど。でも、まだまだ底上げはできていないっていうのが現状です。ずっと一試合を通して同じメンバーで戦っていますよね。

――あしたの試合で注意すべきことは

早く自分たちのリズムを取れるディフェンスを発揮するというか。早く相手に合った守り方を自分たちで確立するっていうのは重要ですね。相手にしっかりとフィットできるか。その時間が早ければ早いほど、きょうは時間が後半になってしまいましたけど、きのうは早かったですね。相手も次第に強くなってきますので、いかに集中を切らさずに早めに相手にフィットできるか、そこがポイントかな。あとは、チーム全員で戦いたいっていう気持ちは決勝まで変わらないので、あしたも総力で勝ちにいきます。

玉城慶也主将(スポ4=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返って

前半は自分たちのミスが多くて流れに乗れなかったんですけれど、後半はディフェンスシステムを変えて自分たちらしいプレーができました。それで流れに乗れて勝てたのではないかと思います。

――後半は追う展開でしたがチームに焦りはありましたか

前半終わって2点ビハインドで後半を迎えたんですけれど、まだ30分あるし後半2点差から入る練習もしてきたので、そんなに焦らずに入ることができました。大城コーチも「残り5分で追い付ければいい」とおっしゃっていて、そういう戦い方で入りました。結果としては最初の10分で追い付いて、そこから自分たちのプレーができていたので、落ち着いて1本1本いくことができました。

――要所では主将としてなにか声掛けをしましたか

ディフェンスに関しては何も言うことはなかったと思うんですけれど、オフェンスは一人一人が少し持ち過ぎた場面がありました。それと前半は本当にミスが多い場面があったので、そういうときにどう流れを変えるかが課題でもあります。上に上がっていくとそういった時間は短ければ短いほど良くて、長いほど自分たちの流れも悪くなってくるのでそういう経験も大切だと思います。

――きょうの試合でなにか課題はありましたか

いままでやってきたことをただ出しているだけで、ディフェンスに関しては監督も「言うことはない」と言っていたように、みんな自信を持っていると思います。あとはオフェンスのミスを無くせば望みはあると思います。

――ベンチなどチームの雰囲気はいかがでしたか

福岡大は人数も多くて応援団もいたので、うるさい中でオフェンスの指示ももしかしたら通っていなかったかもしれないです。そういう場面でもしっかりオフェンスの指示を通したいです。相手はベンチの盛り上げ方も良くて、ワセダは勝ったときから盛り上がってきたので、それを最初からできていればもっと勢いが付いたと思います。

――あすに向けて意気込みをお願いします

あすは名城大との対戦で、一度練習試合をしたことがあるのでお互いのやり方は分かっています。それでも初戦から自分たちのプレーをすれば勝てると思います。きょうの前半はセットのディフェンスは守れていたのに、オフェンスで乗れずにミスしてそこから速攻されて点を失う場面が多かったです。ディフェンスには自信を持っているのですが、もっとオフェンスのミスを無くしていかないとあすも厳しいと思います。きのうのようにディフェンスを守ってしっかり速攻だけで点を取れれば、後半のスタートから替えの選手も出られるので、きのうのかたちが一番良いとは思います。それでも相手によって変わってくるところもあるので、出だしをチームでしっかり意識して、どのチームが相手でも前半10分は自分たちのプレーができるようにしたいです。

森田啓亮(スポ4=岩手・不来方)

――きょうの試合を振り返って率直ないまのお気持ちは

立ち上がりがやはり悪く入っていってしまって、前半の結果だけを見ると負けてしまいました。今回のインカレでは立ち上がりで失敗しているチームが多いのであしたからの試合は入りからしっかり集中したいと思います。

――途中からの出場となりましたが、それまでのゲームの流れを見ていかがでしたか

ほとんど自分たちのミスからの逆速攻だったので、落ち着いてシュートまでいくことを意識して試合に臨みました。

――福岡大に対する対策はなにかあったのでしょうか

自分たちのプレーをするということはきのうの初戦もそうだったのですが、速攻が早いチームだったので、バックチェックをしっかりして自分たちのリズムにもっていこうという話をしていました。立ち上がりはうまくいかなかったですが、後半は修正できたのでよかったと思います。

――ご自身に与えられた役目はどんなことを意識しましたか

ケガしちゃっていて思うようなプレーができませんでしたが、4年生としてコートに立っている分、チームを引っ張ってプレーじゃない声などの部分でしっかり引っ張っていこうと思って試合に臨みました。

――実際プレーしてみてコンディションはいかがでしたか

膝の状態はあまりよくないですが、やるしかないので、痛みは気にせずしっかり1試合1試合頑張っていければと思います。

――あすの試合への意気込みをお願いします

トーナメントでどんどん強くなっていくと思いますが、自分たちのプレーがいかにできるかどうかだと思うので、自分たちがやってきたことを信じてやれたらいいと思います。

桐生正崇(人3=群馬・富岡)

――接戦となりましたが、きょうの試合を振り返って

前半はオフェンスでのミスが多くて、それでリズムが悪くて相手にリードされる展開が続いた試合だったと思います。

――2点ビハインドで前半を終えましたが

相手は1回戦で国士舘大を破っていて勢いがあるというチームだと聞いていたのですが、前半はその勢いにのまれてしまったのかなというのはありました。

――後半の立ち上がりは成功したように見えましたが、前半戦ってつかめた相手の特徴などはあったのでしょうか

相手の逆速攻を多く受けていたのでその戻りを徹底するということと、あと基本的には自分たちのミスで逆速攻を受けていたので、内海さん(祐輔、スポ4=香川中央)を上にあげて大きい展開を意識していったらオフェンスでのリズムが出てきて、あとは自分たちのミスだけなくすということを徹底しました。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

章さん(大城コーチ)から大きい展開でボールを回せと言われたのでそれを意識するというのと、何本かシュートミスもありましたが、前も狙えていたので悪くはなかったかなと思います。

――最後にあすへの意気込みをお願いします

あしたはおそらく名城大との試合で、また東海勢との対戦ということで、関東とは異なる部分があると思いますが、自分たちのプレーをすることだけを意識したいと思います。