関学大との接戦の末、準々決勝を制す

男子ハンドボール

 全日本学生選手権(インカレ)3日目。準々決勝となったこの日、早大は関学大と対戦した。序盤は両者譲らぬ展開を見せ、膠着(こうちゃく)状態となる。接戦の末に、同点で前半終了。だが、この閉塞した状況を打破したのは早大だった。後半が始まると、早大がリズムをつかみ始める。内海祐輔(スポ3=香川中央)の得点を境に、徐々に点差を広げていくことに成功。最後は岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)の好セーブも功を奏し、29-22で試合終了。歴史的快挙に向け、白星を更新した。

ペナルティースローを打つ内海

 前半開始直後、動き出したのは早大だった。相手ディフェンス陣を切り抜けた東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)がシュートに成功。先制点を獲得したが、ここから一進一退の状況となる。両者共に速攻を仕掛け、点を積み重ね合う。一時、逆転を許してしまうが、川島悠太郎(スポ1=福井商)がパスを受けて技ありのサイドシュートを放つ。その後再び、同点になってはリードするという展開が続いていく。苦しい時間が経過していく中で、着実に点を加えていく早大と関学大。前半を12-12で終え、勝負は後半に託された。

 後半、先制点を得たのは関学大だった。連続2失点を奪われると、山田隼也(スポ4=沖縄・興南)と内海が巻き返しを図る。閉塞感の打破に成功した早大にさらなるチャンスが訪れた。相手にペナルティーが下されると2人の選手が退場し、早大が有利な状態となる。すると、東江が速攻からゴール左からのサイドシュートを決め、山田も気迫のこもったシュートを決め込んだ。中盤のタイムアウト直後、サイドに構えていた内海から山田へとパスが回され、さらに森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)へとボールが託されるとそのままゴール。関学大も速攻を仕掛けるも、岩下の柔軟かつ堅いキーピングには敵わなかった。最後は着実に点差を広げていった早大に勝利の軍配が上がり、29-22で試合終了。準々決勝を制し、ベスト4入りを果たした。

1年生ながらスタメンに名を連ねた川島

 立ち上がりこそは緊張状態が続いたものの、後半に連れて早大が主導権を握った。今季の課題でもあったディフェンスからの速攻を機能させ、勝利を獲得できた早大。これでインカレ4強入りを果たしたが、戦いはまだまだ終わらない。目指すべきものはただ一つ、インカレ制覇だ。創部以来初の三冠達成に向け、負けられない戦いが続く。

(記事 久良佳菜子、写真 藤巻晴帆、松下優)

全日本学生選手権
早大 29 12−12
17−10
22 関学大
スタメン
GK 岩下祐太(スポ4=熊本・千原台)
CP 山田隼也(スポ4=沖縄・興南)
CP 内海祐輔(スポ3=香川中央)
CP 玉城慶也(スポ3=沖縄・興南)
CP 森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)
CP 川島悠太郎(スポ1=福井商)
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コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします

前半は見ての通り、ディフェンスが機能していなくて。うちはディフェンスからしっかりやろうっていうチームなんですけど、あんまり機能していなかったですね。ただディフェンスが機能していなかった中で前半粘れたところは非常に大きく評価しましたし、オフェンスに関しても自分たちで意図的にここを攻めようというかたちでシュートまではいけていました。ただシュートを外していたものですから「攻めのイメージはオッケーで、ディフェンスでもよく粘ったね」という話をして、後半はディフェンスシステムを1人上げて変えましたよね。そこからはリズム良く守れて、そこからオフェンスで加点できたというような試合でした。前半は厳しかったですね。

――相手のポストプレーヤーを使った攻撃にうまく対応できていなかった場面が前半は特に見られました

1人で守ろうとする意識が強かったのかな、というのはありますね。低い横一線のディフェンスで、2人でポストを見る動きをしなければいけないところで1人が前に出ちゃって、その裏を走られる、走られることでディフェンスが大きく崩されるという…。なかなか的を絞り切れなかったですよね。ポストがあそこまで動くと。なので後半は「(ディフェンスは)1人ではなく固まりで動こうよ」という話をしました。

――シュートを決め切れなかったところも前半を厳しい展開にしてしまった要因だったのでしょうか

相手あってのスポーツなんですけど、リズムに乗れている時はしっかりとシュートを決めていて、逆にリズムに乗れない時は決め切れなくて、そのボールを拾われての逆速攻やその次で守れなくて失点してしまうというのが悪循環になってしまうと思うんですけど、前半はまさにそれでしたよね。前半でリズムがなかなか取れなかったですよね。ただそれは相手があることなんですけど、あす以降ですね。こんなことが起これば、シュートミスが多ければ勝ちはないと思います。

――きょうの試合では川島選手(悠太郎、スポ1=福井商)をスタメンで起用したり、リーグ戦では出番の少なかった福岡選手(佑哉、スポ2=北海道・札幌月寒)を早い時間から入れていました。日体大戦を見据えて、ということでしょうか

日体大を見据えてというよりは関学大のディフェンスシステムを見て、サイドと45度のプレーヤーのカットインからの攻めを多くしようという話をミーティングでしたので、サイドからの得点を増やしたいなという意図で川島を先発で使いました。福岡に関しては夏以降本人がディフェンスを一生懸命練習していて、ディフェンスでは頼りになる存在に成長したというのが起用した理由ですね。夏から成長した選手ということで福岡は一番に挙げられると思うので、そういう面ではすごく信頼して使っています。

――今大会で復帰しました玉城選手(慶也、スポ3=沖縄・興南)のプレーに関してはどう見ていますか

独特の間合いだとかリーダーシップですね。彼が入ることで一番大きいのはプレーよりも安心感というところで、彼が入る意味は大きいのかなという感じです。膝の調子というのは5割6割の話だと思うのでまだまだ本調子とは言えないんですけど、居るだけで場が締まるというか安定感があるというか。居るだけでもいまのチームにとっては大きなプラス要素だなと感じています。

――ここまでの3試合を振り返って、チームの出来をどのように見ていますか

まだまだですよね。しっかり守れない、シュートもイメージ通りのフィニッシュがいけない。ただインカレは一発勝負なので、勝てているというのは大きいです。勝てなければその反省を生かすことはないですし、インカレでは勝てればオッケーです。

――あすの大体大戦は山場となる試合だと思います。その辺はいかがですか

大体大だから、日体大だからどうしようということはないです。後半みたいにしっかりと守れて、自分たちのイメージ通りというか意図したことがプレーに出ること。それが大きいと思います。相手がどうこうではなくて、自分たちがやってきたこと、夏以降でしたらオフェンスから戻りまでですね。僕が指導するようになってから、ディフェンスでしっかり守ること。そういうところをキチッとやっていくことがあす以降良い試合をやれるポイントかなと思います。もうベスト4でどこが勝ってもおかしくないと思うのでね。しっかり守ること。しっかりとオフェンスをすること。そして攻守の切り替えをしっかりすること。これだけです。

岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)

――きょうの試合を終えての率直な感想を

前半はミスとかが続いて波に乗れずに同点になってしまいました。自分たちの調子が良くないときに雰囲気が悪くなってしまうという課題があります。あす以降もそういうふうになってしまうと相手に流れがいくと負けてしまうかもしれないので、どこかで雰囲気とかを変え、ミスからの流れを変えなきゃいけないと思いました。

――きょうの相手は定期戦をしてきた関学大でしたが

早関戦のときは(関学大から)いい選手が出てきていなかったので、きょうは出てくるだろうと思っていました。いい選手が出てくると分かった上での対策ができていたので、後半に早大がいい流れに持っていけました。定期戦とかで手の内を知り合った中でも、早大が上手だったのかなと思います。

――悪い流れを断ち切れたのは、どういったプレーがあったからだと思われますか

どういうプレーというよりかは、ディフェンスをしっかり守ってから速攻で後ろから走り込むプレーが早大の持ち味なので、その持ち味を後半に出せたというのが大きなポイントだったと思います。

――関学大のオフェンスの印象はいかがでしたか

関学大はうまい選手が何人もいるし、攻撃力の高いチームでした。そういった中で、相手の強いところを守って弱いところで勝負を仕掛けることができました。あす以降もディフェンスをしっかりと守れれば勝てると思うので、相手の調子とかに合わせてディフェンスのシステムとかを変えたいと思います。

――あすに向けてチームで再確認したい点とは

大体大は独特の雰囲気を持っていて、波に乗ってくるとどんどん調子が良くなっていくチームです。きょうみたいな立ち上がりだと負けてしまうかもしれないくらいの強い相手なので、立ち上がりから自分たちの持ち味というか、すべての力を出せれば勝てる試合だと思うので頑張りたいです。

桐生和紀(人4=群馬・富岡)

――きょうの試合はどのような気持ちで迎えましたか

関学大とはこの前の早関定期戦で試合をしていたんですけど、インカレとなるとワセダに食ってかかろうとして勢いをもってくると思ったので、気を引き締めて試合に臨みたいと思っていました。

――定期戦と比べて具体的にどのような違いがありましたか

定期戦のときはキャプテンの選手がケガで出場していなかったので、そこが大きく変わるというのは試合前には分かっていて。キャプテンのマークをどうするかという話し合いをしていました。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

相手のインカレに懸ける思いが強くて。前半はうまくリズムが取れず、苦しい展開だったんですけど、後半で粘ってから気持ちを切り替えて点差を離すことができたのは大きかったのかなと思います。

――桐生和選手が大きな声を出している場面が多かったように思いますが

前半のチームが沈んでいるときに出場機会を与えられて、自分ができることは声を出してチームを鼓舞することだったので、なんとかチームに元気を与えたいと思ってコートに立っていました。

――きのうの反省として挙げていたポストプレーに関してはいかがでしたか

きょうは出場時間も短かったんですけど、1本ペナルティー取ったときなどでは位置を張れていたので、きのうよりは良くなったかなと思います。

――では、あすの準決勝に向けて一言お願いします

やっぱりチームが勝ってくれたらそれで良いので、きょうみたいにチームが沈んだときでもチームが盛り上がったときでもムードメーカーとしてチームの勢いをもっと大きなものにしていきたいという気持ちがあるので、気持ちを全面に出して戦っていきたいと思います。

内海祐輔(スポ3=香川中央)

――きょうの試合を振り返って率直な感想を

僕がちょっと足を引っ張ってしまったな、というのが正直な感想です。

――定期戦で戦っている相手でしたが、インカレで対戦してみていかがでしたか

インカレという一発勝負の場で相手も気合いが入っていて、前半に(早大が)のまれて自分たちのペースがつかめなかったんですけど、後半に巻き返しましたね。

――途中までオフェンスが上手く機能しにくかったという印象でしたか

自分たちが雰囲気的に(相手に)のまれているという印象でした。

――後半に入る前にチームで再確認した点とは

自分たちのやってきたことをすべて出す、ということだけです。

――相手のディフェンスの印象はいかがでしたか

ボールに対する寄りがすごく良くて、キーパーにもやられたなという印象でした。

――後半のタイムアウト後、パスプレーがうまく展開されたという印象でしたが

速いパスから攻撃するというのがテーマになっていたので、そういう部分ではワセダらしいプレーができたと思います。

――あすに向けてチームで再確認したいことはありますか

きょうの後半みたいな雰囲気を前半からつくって、終始ワセダの雰囲気で試合ができたらいいなと思います。

森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)

――試合を振り返って

前半でリズムをつかめなかったところは課題として受け止めたいです。

――序盤は一進一退の攻防でしたが

相手も必死でやってくることは分かっていたので、そこで慌てないで自分たちのプレーをすることを心掛けました。点差が前半であまり広がらなかったのは良かったです。

――関学大は定期戦での対戦経験がある相手ということでしたが、それによって事前に練った作戦はありましたか

定期戦でやられた部分として、真ん中の2対2で上から打ち込まれる場面があったので相手にどちらが付くのかということは徹底するように話し合いました。実際にそれを防ぐことができた場面があったのは良かったです。

――大きなリードを奪われてしまう場面もありましたが、そこを乗り越えるためにどのような気持ちで臨みましたか

基本的に自分たちがやってきたことを信じることですね。速いボール回しからクロスで崩すという試合前に話し合ったことをやるということを考えました。前半にはそれができなかったのですが、後半になってからは足も動いてやりたいことができました。ディフェンスがしっかりするということも意識できていたと思います。

―次戦への意気込みをお願いします

また相手のレベルが上がるので、しっかりミーティングから対策をしていきたいと思います。

東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)

――きょうの試合を振り返っていまのお気持ちは

定期戦でもよくやる相手だったのですが、定期戦のときとは勢いが違って、前半は少し落ち着かない部分もありましたが、勝てたのは良かったです。

――接戦の前半でしたが

オフェンスもディフェンスもかみ合わない部分があったのですが、自分たちのペースにできなかったときに、ベンチから入った選手が盛り上げたりして、そこでコートにいる僕らも集中を切らさずにできたと思います。

――後半はどんな立ち上がりにしようと話し合われましたか

大城コーチ(章、平18人卒=沖縄・那覇西)も言っていましたが、前半15分でけりをつけようという話になって、後半はその気持ちでやっていったら、本来の自分たちのプレーができるようになったという感じですね。

――1試合通したご自身のプレーを振り返って

要所要所では決めていたのですが、シュートミスも多かったので、プラマイゼロという感じだと思います。

――きょうまで3試合ありましたがここまでを振り返っていかがですか

インカレは一発勝負なので、どの試合も全力でやってきた結果が今の現状なのですが、まだもっとやれると思うので、あした準決勝の相手は強いですが、ワセダらしさを見せて勝ちたいです。

――最後に、あすの準決勝へ意気込みを聞かせてください

4年生が最後なので、下級生の僕らから元気を出して、残りあと2試合勝って4年生を頂点に立たせたいです。

桐生正崇(人2=群馬・富岡)

――途中出場となりましたがきょうの試合を振り返って率直な感想は

前半は相手のリズムにのまれてしまって、ワセダらしいプレーができなかったのかなと思いました。

――ご自身、前半途中からの出場で、試合の流れを変えたかと思いますが

監督の采配なので、僕はいつでも出れる準備はしていますが、試合に出たら自分のできることを精いっぱいやるつもりで臨みました。

――1試合通してご自身のプレーを振り返っていかがですか

けっこう相手のディフェンスが、目を切らしていたので、大きな展開を意識してやるようにしていました。

――後半はどんな試合展開にしようと臨まれましたか

やはり前半に相手のリズムに乗っかってしまったので、ワセダらしいリズムで盛り上げていこうとしました。まあディフェンスが機能していたので、ワセダらしくいい速攻が出たんじゃないかと思います。

――あしたへの意気込みを聞かせてください

あしたは大体大との試合なのですが、走るチームだと思うので、ずっとやってきたバックチェックなどやってきたことをしっかりやって、あした勝って決勝に進めるように頑張ります。

川島悠太郎(スポ1=福井商)

――インカレで初のスタメンでしたが、監督から何か声はかけられましたか

インカレで初めての先発だったのですが、会場へ出発する前に言われて、そのときに「思いっ切りやってこい」と言われました。

――そのときの心境は

驚いたのですが、いつものプレーができるように意識していました。

――きょうの試合を振り返って率直なお気持ちは

自分自身だとちょっとミスが多かったり、プレッシャーがかかっている中で決めきれないところがあったので次からはしっかりと決めたいです。

――インカレでの初スタメン、緊張もありましたか

緊張しない方なのですが、プレッシャーがきょうはあったのかなとは思います。

――あしたはどんなプレーを見せたいですか

負けたら4年生とプレーするのもインカレでは最後になってしまうので、悔いの残らないように思い切ったプレーがしたいです。