筑波大に快勝、優勝を決める

男子ハンドボール

 ここまで関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)を無敗で突き進んできた早大は優勝を懸け筑波大と対戦した。前半は先制ゴールを決め、流れをつかむ。堅固な守りから攻撃を展開する得意のかたちで相手を翻弄(ほんろう)し17−12で前半を終えた。後半もそのまま早大ペースで進むかと思いきや中盤まで相手の追い上げに苦しむ。しかし最後はディフェンスで粘り、32−27で勝利し見事優勝を収めた。

 前半は東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)が先制ゴールを決めると着実にセットオフェンスで点を重ねていった。リーグ戦序盤の試合では立ち上がりで苦しんでいたチームとは思えないほど、危なげなく開始直後からペースを完全につかむ。この試合で内海祐輔(スポ3=香川中央)がケガから復帰し、チームの勢いをさらに後押しする。「ディフェンスをしっかり守ってセットで点を取るという基礎的なかたちができていた」と内海がいうように早大が得意とする展開で終始ゲームが進んだ。そして岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)のスーパーセーブも光り、攻守一歩も相手に譲らない試合展開で前半を17−12で終える。

鋭いシュートを放つ山田

 このままの流れで進むかと思われたが、後半開始40秒に相手の速攻で失点し勢いを削がれてしまう。その後も速攻で点を許すなど筑波大の追撃にあい、攻撃でもなかなかうまく決め切れない場面が続いた。しかしディフェンスで苦しい時間を耐え抜き、中盤から反旗を翻したように一気にペースを取り戻す。上級生が次々とボールを放つ中、その中でルーキーの川島悠太郎(スポ1=福井商業)も後半6得点とシュートを決め存在感を放った。途中相手の追い上げに遭うも結果としては前半のリードを保ち、32−27と早大の粘り強さを見せつけた試合だった。

守備でチームに貢献した稲垣

 勝てば優勝が決まるという試合の中でもいつものペースを崩さず、ディフェンスからの攻撃というかたちを徹底できたのが今回の勝因だろう。相手に押されていたとしても自分たちのディフェンスで堅固に守り切る力は今後に向けても大きな武器となるのは間違いない。最終戦の相手はスピードで走り込んでくる日体大だが、その相手にどれだけ対応できるかが重要なポイントになるはずだ。「あしたは絶対に勝ちたいと思います」(岩下)と春で苦汁を飲まされた相手だけに選手の気合も十分である。今季リーグの最終目標である全勝優勝に王手をかける早大がどのような試合を見せるのかに期待したい。

(記事 藤巻晴帆、写真 八木和基、松田萌花)

関東学生秋季リーグ
早大 32 17−12
15−15
27 筑波大
スタメン
GK 岩下祐太(スポ4=熊本・千原台)
CP 山田隼也(スポ4=沖縄・興南)
CP 桐生和紀(人4=群馬・富岡)
CP 内海祐輔(スポ3=香川中央)
CP 森田啓亮(スポ3=岩手・不来方)
CP 東江雄斗(スポ2=沖縄・興南)
CP 桐生正崇(人2=群馬・富岡)
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コメント

大城章コーチ(平18人卒=沖縄・那覇西)

——きょうの試合を振り返っての感想をお願いします

ディフェンスが機能したと思います。あとは先週の2試合と同様、後半の立ち上がりに相手のリズムになりかけた時、そこでの重要な場面でしっかり守れたかなという印象がありますね。きょうの勝因はディフェンスです。

——ディフェンスからリズムを作る理想的な展開となった前半でした

作戦としては「走り勝負をしない」というのがありました。先週の筑波大対日体大の試合を見たんですけどお互いに走り合っていて、攻撃回数が我々の平均攻撃回数よりも多かったんですね。そこで相手に合わせて走り勝負をしてしまうと相手のリズムになってしまうので、点を取られた後に無理して走らなくていいよ、という指示は出していました。しっかりと守って、しっかりとセットオフェンスで点を取れたので前半は予定通りでした。

——32点と久しぶりに30点の大台に乗りました

もともと相手を20数点に抑えて30点取って勝つというのがチームの理想としてあったんですけど、相手あってのハンドボールですのでなかなか点数が取れていませんでした。ただ、うちはディフェンスに重きを置いてるチームですので、オフェンスで点が取れないというのはそんなに気にしていないですね。

——ことしは東江選手、桐生選手といった下級生の活躍が目立ったように見えます

東江に関しては昨年の経験がありますし、その経験があったからこそ自分が何をしなければならないということを考えてプレーできた、桐生に関しては春から玉城が居ないという状況で、自分がセンタープレーヤーとしてしっかりとやらなきゃいけないということを頭に入れてシーズンに入ったと思うので成長できたのかなと思います。お互いに境遇は違いますけど、2年生なりにしっかりと考えた結果、チームの軸となりつつあるのかなという気はします。

——インカレ(全日本学生選手権)制覇を目標とするなかで、現時点での課題はどこにあると思いますか

チーム状態に波がありますよね。きょうは良い波を捉えられましたが、先週の2試合は最後の方が終わり方としては次につながる内容ではなかったと思います。その悪い波のときの下がりをいかに最小限に食い止められるか。それはどこのチームも課題だとは思うんですが、そこかなと。あとはリーダーシップを取れるかどうかですね。今週は熱い気持ちを全面に出すことをテーマにやっているんですけど、そういったものが常に出せるか。そういったメンタルの部分の成長も必要かなと思います。

——春季リーグ(関東学生春季リーグ)と同様、あすは全勝優勝をかけての日体大戦になります

日体大に勝つというよりもずっと言ってきているように、自分たちが何をやってきているのかをしっかりと理解して、それを表現できるかというところが自分のなかでは彼らの大きな課題だと思っているので、それができれば結果はついてくると思います。日体大に勝ちたいではなくて、自分たちがやってきたことをいかに出せるか。そこにかかっていると思います。

岩下祐太主将(スポ4=熊本・千原台)

——優勝おめでとうございます。4年生として、春秋連覇で関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)を締めくくることができましたが、こみ上げる思いなどはありますか

うれしいという気持ちはあるんですけど、あしたもまだ試合が残っているので、ここで気持ちが切れてしまったら、あすの試合の流れが悪くなってしまうと思います。次のインカレに向けてつながらない試合をしてしまうと駄目なので、嬉しい中にも気持ちを引き締めてあしたの試合に臨もうという気持ちです。

——きょうの試合展開について、どのような印象を受けましたか

試合開始からこっちのペースで、途中に少し相手のペースになりかける場面もあったんですけど、そういう時にディフェンスで粘って、相手にペースを渡さなかったというのが勝因になったのかなと思います。

——前半から積極的でスピーディーな展開でしたが

相手は立ち上がりからどんどん走ってくるので、それに対して受け身になると、こっちの足が止まっちゃうため、積極的にディフェンスから足を動かして速攻で点を取ろうというふうに心掛け、その成果が出たのではないかと思います。

——好セーブも目立っていましたが、ディフェンスについてチームで話し合われていたことなどはありましたか

基本的に遠い位置からのロングシュートに対してキーパー勝負で守ろうという決め事を作っていて、そういうディフェンスに(相手が)はまってくれてロングシュートを打ってきたので、それをセーブしてから速攻という展開へ運べたので、その点でいうとディフェンスが機能していたのかなと思います。

——あすの最終戦、日体大戦に向けての意気込みをお願いします

そうですね、やっぱり日体大にはインカレでもずっと勝っていないし、リーグ戦でもなかなか勝っていないので、そういう部分で苦手意識というのがあると思うんですけど、インカレで当たる相手だと思うので、そういうのを払拭(ふっしょく)するためにも、あしたは絶対に勝ちたいと思います。