昨年の関東学生馬術三大大会(関東学生)では関東学生障害馬術競技大会(障害馬術)で13年ぶりの優勝を果たし、総合3位と好成績を収めた早大。今年度は新たに入部した1年生を加えた4人のメンバーで大会に臨んだ。
全日本学生馬術三大大会(全日本学生)の選考も兼ねた今大会は障害馬術、関東学生賞典馬場馬術競技大会(馬場馬術)、関東学生賞典総合馬術競技大会(総合馬術)の3種目の合計ポイントにより順位が決定される団体戦。それぞれの競技の出場者の順位に応じて各大学の上位3名にポイントが与えられる。早大は障害馬術で3位、馬場馬術で5位、総合馬術で2位に入り、3種目総合で昨年に続く3位に入賞。出場した4人全員が表彰台に上がる活躍ぶりを見せ、全日本学生への出場権を獲得した。また3種目とは別に行われた関東学生MD障害馬術競技(MD障害)では糸山大樹副将(政経3=熊本・済々黌)が1位に輝いた。
MD障害で優勝した糸山とレクレール
初日に行われた障害馬術は、2回走行し総減点の少なさで競う。初めに走行したのは鶴見汐花副将(スポ4=栃木・佐野日大中教校)とエオウィンの組。これまで何度も組んできたペアだが、1回目の走行前、待機馬場で落馬。「不安な気持ちが乗りに全て出てしまい、馬にも伝わってしまった」と鶴見が振り返ったように、珍しく障害を落とし12点の減点を受けた。しかしその後臨んだ2回目ではパーフェクトな走行を見せ、12位に入る。鶴見と共に出場した細野光(スポ1=東京・桐朋)と中島妃香留(スポ1=茨城・水戸葵)はそれぞれ18位と11位に入り、最終的に団体3位に入賞した。また同日に行われたMD障害には糸山とレクレールが出場。総減点0の完璧な走行で、2位と6秒以上の差をつけ見事1位を獲得した。
4年生として最後の関東学生になった鶴見とエオウィン
翌日の馬場馬術にはメンバーの4名全員が出場。中島は「入部当時あまりいい印象を持たれていない馬だった」と振り返る如月と臨んだが、安定感のある演技でチームで最も高い7位に入賞した。馬場馬術は団体5位に終わり、種目合計の団体順位は3位から4位に後退した。
2日間にかけて、最後の競技である総合馬術が行われた。ここで活躍が光ったのは細野とココドロのペア。はじめの馬場で2位につけると、その後のクロスカントリーでも順調に障害をクリアしていき、総減点を4.4点に収める。4位で迎えた障害では勢いそのままに総減点0点の走行。しかし上位3人も完璧な走行を見せ順位を譲らず、最終順位4位で競技を終えた。鶴見副将も7位に入賞し、早大は総合馬術で団体2位。試合後、鶴見副将は「今のチームで1番勝負できるのが総合競技」と語り「全日本学生では優勝を狙う」と意気込んだ。3種目全てを終え、団体順位は再びに3位に。中島がチームで最も多くのポイントを集め、関東学生女子選手権優勝に続き、その実力を示した。
総合馬術で好成績を収めた細野とココドロ
今回の大会では出場した全員が表彰台に上がった。それぞれが役割を果たした上でつかんだ3位だったと言える。またメンバーの半分が1年生となったが、その2人の活躍も光った。しかし中島は「3種目とも納得のいく走行・演技ではなかった」とし、全日本学生に向けて更なるレベルアップを誓った。これから全日本学生に向けてはまだ時間が残っている。今回以上に素晴らしい姿を見せてくれるであろう早大馬術部に期待したい。
最も高いポイントを獲得し、チームに大きく貢献した中島とデクスター
※掲載が遅れてしまい、申し訳ございません。
(記事 梶谷里桜、写真 関東学生馬術協会、早大馬術部提供)
ポイント表
順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 | 12位 | 13位 | 14位 | 15位 | 16位 | 17位 | 18位 | 19位 | 20位 |
ポイント | 100 | 90 | 85 | 81 | 78 | 75 | 72 | 69 | 66 | 63 | 60 | 57 | 54 | 51 | 48 | 45 | 42 | 39 | 36 | 34 |
順位 | 21位 | 22位 | 23位 | 24位 | 25位 | 26位 | 27位 | 28位 | 29位 | 30位 | 31位 | 32位 | 33位 | 34位 | 35位 | 36位 | 37位 | 38位 | 39位 | |
ポイント | 32 | 30 | 28 | 26 | 24 | 23 | 22 | 21 | 20 | 19 | 18 | 17 | 16 | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 |
※障害馬術:完走5点 参加点2点、総合馬術:完走10点 参加点2点、馬場馬術:45%未満または40位以下は参加点として2点
結果
▽団体成績
優勝 日本大学 1032ポイント
2位 明治大学 572ポイント
3位 早稲田大学 530ポイント
▽関東学生賞典障害飛越競技大会(障害馬術)
3位 早稲田大学 総減点32 総走行時間199.69
個人11位 中島、アルボア 2回走行合計減点10 2回走行合計タイム139.54 60ポイント
個人12位 鶴見、エオウィン 2回走行合計減点12 2回走行合計タイム130.44 57ポイント
個人18位 細野、ジョルジオ・アルマーニ 2回走行合計減点28 2回走行合計タイム136.91 39ポイント
棄権 栗田、デクスター
▽関東学生賞典馬場馬術競技大会(馬場馬術)
5位 早稲田大学 団体合計(上位3名)183.222
個人7位 中島、如月 総得点率63.296 72ポイント
個人20位 鶴見、ロッキーロイヤル 総得点率60.111 34ポイント
個人22位 糸山、ココドロ 総得点率59.815 30ポイント
個人24位 細野、稲彩 総得点率58.444 26ポイント
▽関東学生賞典障害飛越競技大会馬場馬術(総合馬場)
6番 糸山、稲珀 総得点率54.35
15番 中島、デクスター 総得点率64.78
24番 鶴見、エオウィン 総得点率59.28
31番 細野、ココドロ 総得点率71.02
▽関東学生賞典総合馬術競技大会クロスカントリー(クロスカントリー)
13番 中島、デクスター タイム4:49 タイム減点0 障害減点20 総減点20
22番 鶴見、エオウィン タイム4:50 タイム減点0 障害減点0 総減点0
29番 細野、ココドロ タイム5:11 タイム減点4.4 障害減点0 総減点4.4
棄権 糸山、稲珀
▽関東学生賞典総合馬術競技大会障害馬術(総合障害)
10番 中島、デクスター タイム61.96 タイム減点0 障害減点0 総減点0
17番 鶴見、エオウィン タイム62.16 タイム減点0 障害減点0 総減点0
21番 細野、ココドロ タイム64.13 タイム減点0 障害減点0 総減点0
棄権 糸山、稲珀
▽関東学生賞典総合馬術競技大会(総合馬術、最終結果)
2位 早稲田大学 団体合計(上位3名)129.3
個人4位 細野、ココドロ 81ポイント
個人7位 鶴見、エオウィン 72ポイント
個人12位 中島、デクスター 57ポイント
棄権 糸山、稲珀 2ポイント
▽関東学生MD障害馬術競技(MD障害)
優勝 糸山、レクレール タイム57.05 障害減点0 タイム減点0 総減点0
コメント
鶴見汐花副将(スポ4=栃木・佐野日大中教校)
――去年に続いて団体総合3位でした
メンバーが4月からガラリと変わり、期待のできる1年生が戦力として加わりましたが、まだコンビを組んでから日も浅く、絶対的な確証はありませんでした。その中で昨年から順位を落とすことなく3位を維持できたのはひとまず安心できました。
――関東学生賞典障害馬術競技のご自身の走行を振り返って
2回走行の1走行目の待機馬場で私が落馬してしまい、不安な気持ちのまま競技を迎えてしまいました。その気持ちが乗りに全て出てしまい、馬にも伝わってしまったと思います。普段は障害をあまり落とさない馬ですが、3つも落下してしまい、これは完全に私のせいでした。2走行目は気持ちを切り替えていつも通りに走行することができ、満点で帰ってくることができたので良かったです。団体としては昨年の勢いは衰え、3人3頭がそれぞれ課題だらけだと思います。それらをしっかりと来る全日本学生までに調整していこうと思います。
――総合競技を振り返って
総合では3種目あるうち、初日に行われる馬場馬術が私自身とても苦手です。しかしながらそこから巻き返せるのが総合の魅力です。初日の馬場は上手くいかなかったものの、残る2種目はどちらも減点を0に抑えて個人入賞することができました。団体でも2位になり、今のチームで1番勝負できるのが総合競技だと思っています。全日本では優勝を狙っていきます。
――今後に向けた意気込みを
今後はそれぞれのコンビ力を上げて、安定感のある走行をし、良い結果に繋げたいです。全日本学生までまだたくさん試合があるので、ひとつひとつ丁寧に、全力で取り組めたらいいなと思います。
中島妃香留(スポ1=茨城・水戸葵)
――チームで最も高いポイントを獲得されました。それについては
1番の合計点を獲得できたことは、少なからず早稲田の総合成績に貢献することができたのかなと安心しています。ですが、個人としては3競技とも納得のいくものではなかったので悔しさが大きいです。
――早大の馬術部に入学してからの生活はいかがですか
この関東学生馬術三大大会にむけ、毎週のように競技会に参加する日々が続いていました。去年までと比べてとても忙しく、色々なことに追われる日々だと感じています。そんな中でも、新たな経験や出会いが楽しく、部活動、学業共に前向きに取り組むことが出来ています。
――関東学生賞典馬場馬術競技でのご自身の演技を振り返って
今回馬場馬術でコンビを組んだ如月は入部当時あまりいい印象を持たれていない馬だったので、この馬の良さを引き出せるように、如月の印象を変えられるようにと日々練習に取り組みした。まだコンビを組んでからの経験が少ないので、競技前日の運動量など当日に最前の状態に持っていく方法が見つかっていませんでした。そのため、本番ベストな状態で挑むことはできませんでしたが、その中でも大きなミスなく演技を終えることができました。次回からの競技会では、前日の運動量や内容を工夫してより良い演技をできるよう努力します。
――総合馬術を振り返って
大学馬術部に入部してから初めて総合馬術に挑戦し、今回は3度目の挑戦でした。先輩や同期は総合馬術の経験が豊富で、団体の成績に悪影響を及ぼさないよう、ベストを尽くす思いでした。馬場馬術では過去2回に比べてとても良い演技をすることができましたが、クロスカントリーで油断した1つの障害で反抗されてしまいました。最後の障害は減点なく、クロスカントリーの反抗がなければ入賞していたという事実がとても悔しいです。
――今後に向けての意気込みを
今回、3競技とも納得のいく走行、演技をする事ができませんでした。特に、幼い頃から重点的に取り組んできた障害馬術で悲惨な結果を残してしまったことがとても恥ですし、申し訳なさと悔しさでいっぱいです。全日本学生では3種目とも今回の失敗をカバーし、よりより成績を残せるよう日々練習に取り組みます。また、私がコンビを組んでいる3頭の内の2頭はもう若くなく、高い障害を飛んだりレベルの高い技をする上で余裕があるわけではないので、体調管理や体力トレーニングなど、より馬の体に気をかけ、全日本学生に向けて調整していきたいです。