快晴のもと、新緑がまぶしい競技場で関東学生選手権(選手権)および関東学生女子選手権が開催された。早大からは選手権に2人、女子選手権に4人が出場し、期待のルーキーと経験を積んだベテランがそれぞれに全国の舞台を見据えて挑んだ。石山晴茄副将(スポ4=茨城・つくば秀英)が5位、吉田光佑(スポ1=東福岡)が9位に入賞し、早大の選手としては2年ぶりに全国への切符を手にした。
今大会はトーナメント式であり、男子は11位まで、女子は12位までの入賞者が全日本学生選手権・全日本学生女子選手権(全日本)の出場権利を有することになる。準々決勝に進出すれば権利が確定し、3回戦で敗退しても1・2回戦の結果次第では上位に残る可能性があった。早大の選手らは、まずは1・2回戦を突破することを目標に、互いを鼓舞して試合に臨む。10日午前に行われた1回戦、障害競技。先立ってメインアリーナに現れたのはスポーツ推薦入学者の吉田とゾビオンだ。幼いころから馬術に親しんでおり、日本ジュニア障害大会への出場経験もある吉田は得意の障害競技(障害)において65.76秒で走り抜け、1位で通過する。今回で3度目の出場である山下大輝(スポ3=宮城・東北)は79.28秒で2回戦に進出した。続く女子選手権では、下愛理彩(社4=東京・早実)、高田雅(人1=大阪女学院)、木村澪(国教4=神奈川・サンモールインターナショナルスクール)が2反抗により失権する中、石山とアイシングラーが2位につけ好発進だ。
1回戦、障害を飛び越える吉田・ゾビオン
実は石山は、数週間前に大会で乗る予定の馬が故障するというアクシデントに見舞われていたが、思い描くシナリオの通りに2回戦の部班競技(号令に従い複数の人馬が同時に運動する競技)も順調に勝ち進み、この時点で3位に。選手権のグループDの吉田と山下は明暗が分かれた。1・2回戦合同結果の上位16人が3回戦に進めるが、実績のある山下が18位で敗退。吉田は4位で3回戦進出を決めた。2日目は抽選で決められた相手と同じ貸与馬に騎乗し対決する。他大の選手と情報を交換し、限られた時間でその馬の特徴をつかまなければならない。3回戦、吉田は苦手とする馬場競技(馬場)で敗れた一方、石山は1年時に乗ったことのある馬に当たり、運も味方につけ相手選手を圧倒して全国への切符を手にした。
準々決勝で稲彩にまたがる石山
準々決勝に駒を進めた石山は早大の馬である稲彩を乗りこなし馬場で優位に立つも、障害で2反抗。同じく失権した相手選手との得点の比較によりベスト4には届かなかったが、全日本への出場が確定したことに安堵(あんど)の表情を見せた。1年時に準優勝して以来の全日本で2位以上を目指すことを誓う。4年間の努力を結実させることができるのか。一方、吉田の全日本出場が決まったのは大会3日目だった。「うまくいったところはない」と言い切り、「練習したい」と繰り返す。意気込みを尋ねると、全日本学生三大大会優勝と他の部員のサポートができるようになることを目標に掲げる頼もしさを見せた。高校時代と異なり、チーム内で協力し合って戦うことを意識しているという吉田。今年も部には未経験の1年生が入部している。新入部員には早大に根をはり、花を咲かせてほしい。草木が青々と茂り生長を予感させる季節である。
(記事、写真 日野遙)
結果
関東学生選手権
▽1回戦
1位 吉田・ゾビオン 総タイム65.76 13位 山下・稲帥 総タイム79.28
▽2回戦
10位 吉田・ゾビオン 平均得点41.4 21位 山下・稲彩 平均得点34.8
▽3回戦
●吉田58.508―59.122鵜飼
▽最終結果
9位 吉田
関東学生女子選手権
▽1回戦
2位 石山・アイシングラー 総タイム64.61 下・稲蓮 2反E 高田・稲純 2反E 木村・稲蓮 2反E
▽2回戦
7位 石山・アイシングラー 平均得点42.45
▽3回戦
○石山64.298―52.280松本
▽準々決勝
●石山152.0―161.5井佐
▽最終結果
5位 石山
コメント
石山晴茄副将(スポ4=茨城・つくば秀英)
――今回の3回戦や準決勝のような、その場で抽選で決められた馬に乗るというのはやはり難しいですか
やっぱり知らない馬なので、その大学の人に情報を聞いてどういう馬かっていうのを知ったうえで、そこから自分が乗った感覚とかで、決められた時間で乗りこなして試合に出なきゃいけない。そういうことを考えると、たった4分間とか3分間でその馬の特徴をつかんでどうやって乗るかっていうのを決めるっていうのは難しいです。今回は、4回戦目の馬場馬は自分の大学の馬だったので全然わかっている馬で。3回戦目も1年生の時に一度乗ったことのある馬だったので、ちょっとそこはくじ運が良かったかなとは思うんですけど。最後の障害は苦戦したかなっていうのはあります。
――今回の試合で印象に残っている部分はありますか
今回は3回戦目に通って8位以内に入れば、全日本に進めるっていう権利が確定だったので、しっかり8位以内に入れたことがまず大きかったかなと。けど、やっぱり最後の障害で失敗してしまったのはちょっと自分の技量のなさだと思うので、しっかり全日本までに練習してやっていかなきゃいけないなっていうふうには思いました。
――どのようなところが課題だと感じられましたか
まだやっぱり自分がいつも乗っている馬とタイプの違う馬になると、借りている馬なので気を使って、強く乗る、馬に対して自分の気持ちを強く主張するっていうのができないので。そういうところは自分の気持ちの問題なので、クリアしていかないといけないかなって思いました。
――逆にうまくいった部分はありましたか
うーん(苦笑)。それこそ1回戦め、2回戦目はすごい思い通りにいったかなっていう。もし3回戦目が通れなくても、その1・2回戦目のトータルの順位が上の方にいたら全日本に行ける可能性がつかめるので、1・2回戦で上位に食い込むっていう作戦でした。2~3週間前くらいに急遽、出るはずだった馬が故障して馬を変えることにしたんですけど、そこはイメージ通りにできたのでよかったです。
――個人戦なのでそれぞれに目標を持たれていたとは思いますが、今回早稲田全体で共有されていたことはありますか
この試合に出るのが初の選手も2人(3人、本当はもう一人いたんですけど)いて。全員で1回戦目、2回戦目をまず確実にクリアしていかないとそこから先がないっていうのはわかっていたのでそこはもう、一生懸命、全員力を合わせてやっていこう、って始まる前に気合を入れていました。
――今回出場された新人についていかがですか
まだ1年生なので、あと3年間で活躍してくれるだろうなっていう感じが今回でつかめたので、本当に楽しみだなっていう感じです。
――最後に、1年のとき以来の全日本への出場権を手にされましたが、意気込みをお願いします
1年の時は運もよく(笑)2位に入れたので、それ以上の順位が4年生として(目指せるように)、4年間の結果と今回の関東での反省点を振り返ってしっかり成長できたところを見せられるようにしていきたいなっていうふうに思っています。
吉田光佑(スポ1=東福岡)
――早稲田の馬術部に入部してしばらくたっていると思うんですけれども、これまでとの違いはありますか
高校生までは乗馬クラブで乗っていたんですけど、馬術部になると部員の皆さんと力を合わせなきゃいけないので。個人競技と団体競技で変わるようになりました。
――いつごろから馬術を始められたんですか
もう本当に小さいときからです(手を地面に向けて上下させる)。4歳から?
――チームの雰囲気はいかがですか
チームの雰囲気はとてもいいと思います! みんななごんでいて、ギスギスしていないです。
――馬術で得意なところと苦手なところを教えて下さい
僕は障害馬術が得意なんですけど、馬場馬術がちょっと苦手で。そこが全然苦手でできなくて。今回もそう、苦手な方でトーナメント戦で負けちゃったので、まあ自分の欠点かなと思います。
――今大会を振り返ってご自身のよかった点と課題をそれぞれお願いします
うまくいったところはないですね。課題ばっかりなので。馬とのコミュニケーションとか障害に対してのアプローチとかはまだできないんで、帰って練習したい。
――1回戦では1位でしたが
1回戦はたまたま(笑)とれただけなんでなんともいえないです。内容はあまりよくなかったので。そこも課題が残っているので、またしっかり練習したい。
――内容がよくないというのは
結果は1位だったんですけど。自分が納得するような内容じゃなかったです。
――ゾビオンとの相性はいかがでしたか
ゾビオンは、とっても気は弱いんですけど自分からどんどんいってくれるんで乗りやすい。けどちょっとハートは弱いんで、ちょっと失敗するとすぐ自信をなくしちゃう馬なんで気をつけて…(乗っていた)。
――この大会の目標は何でしたか
やっぱり勝ちたかったですね。ですけど3回戦で負けちゃったんで、まあ自分のせいだなって。全日本へは上の人たちの結果次第なのでどうなるかわからないです。
――今後の意気込みや目標があれば教えてください
これ終わっても毎週試合があるので、ここで気を抜かずに練習して11月の全日本学生を優勝できる(ようになる)のと、自分が皆さんのサポート側にも回れたらいいなと思います。