5日間にわたって熱き戦いが繰り広げられた全日本学生大会(全日本学生)。その最後を締めくくるのは全日本学生賞典総合競技大会(総合)だ。大沢暁音(スポ1=茨城・真壁)の加入もあり、関東学生賞典総合競技大会(関東学生)では3位入賞を果たしたこの種目。上位を目指したい早大は関東学生同様石山晴茄(スポ3=茨城・つくば秀英)、山下大輝(スポ2=宮城・東北)、大沢の3人で団体を組んで挑んだ。多くの出場校がクロスカントリー競技(クロスカントリー)や障害飛越競技(障害)で失権者を出す中、早大は3人馬とも失権せずに大会を終え団体3位に。5年ぶりとなる表彰台入りを果たした。
最初に行われたのは調教審査である馬場馬術競技(馬場)。総合の3種目の中で馬場を最も苦手としており、この日のために特訓を重ねてきたという石山は、ベストの演技ではなかったものの60パーセント超えの得点率をマーク。大沢と山下は60パーセントの大台には届かなかったが、共に関東学生よりは成績を伸ばした。続く耐久審査であるクロスカントリーは、前日の雨の影響でコースの足場が悪くなり、いつも以上にアクシデントが起きやすい環境になってしまう。しかし、そんな中早大勢は全員が失権することなく帰還し、野外減点は3人馬合わせてもわずか27.6。特に石山は「本当に良かった」と語るように、減点0で会心の走行となった。
水濠障害をクリアする石山とアイシングラー
そして迎えた余力を審査する障害。最初に走行した大沢はタイム減点こそ付いたが、障害は1つも落とさずフィニッシュラインを通過。稲帥の疲労がたまっている中でのこの結果に確かな手応えを得た。一方個人で上位を狙える位置にいた石山は得意とするこの種目で満点走行を目指していたが、惜しくも1つの障害の落下があり減点4。8位入賞を果たしたものの、「悔いの残る試合にはなってしまった」と肩を落とした。来年大学ラストイヤーを迎える石山。次こそはリベンジを果たし、笑顔で大会を終えたい。そして最後に登場した山下も減点4で完走。この結果、早大の団体順位は3位となり、5年ぶりに表彰台へ上がった。
障害を飛び越える大沢と稲帥
3人とも決して個人成績が飛び抜けているわけではない。しかし、失権者を出さなかったという点で多くのライバル校を上回った。個人個人としては課題も残っているが、総合の出場者は全員3年生以下。来年にはさらにステップアップした姿を見せてくれるはずだ。そして1カ月後には全慶応義塾対全早稲田定期戦(早慶戦)が控えている。2年連続で苦杯をなめさせられているライバルに勝利し、この試合をもって引退する4年生の花道を飾りたい。
(記事、写真 宇根加菜葉)
★下が馬場に個人で出場!
早大勢で唯一馬場に出場した下とエーデル・シュタイン
5日に行われた全日本学生賞典馬場競技大会(馬場)には下愛理彩(社3=東京・早実)が個人で出場。10位以内に入り、翌日の個人決勝に進出することを目標に演技に臨んだ。ミスがいくつか出たものの、停止やハーフパス(※)では高得点を獲得。結果は59.500パーセントの23位で個人決勝進出は逃したが、「やり切った」と語った表情からは充足感をうかがわせた。次に照準を定めるのは早慶戦。伝統の一戦で「60のカベ」を打ち破り、3年ぶりの宿敵撃破に貢献したい。
※斜線上を斜め前方に向かって歩く運動
結果
全日本学生賞典馬場競技大会
▽個人
23位 下・エーデル・シュタイン 59.500パーセント
全日本学生賞典総合競技大会
▽馬場馬術競技
石山・アイシングラー 馬場減点36.2
大沢・稲帥 馬場減点42.3
山下・稲太郎 馬場減点45.8
▽クロスカントリー競技
石山・アイシングラー 総減点0
大沢・稲帥 総減点5.2
山下・稲太郎 総減点22.4
▽障害飛越競技
大沢・稲帥 総減点2
石山・アイシングラー 総減点4
山下・稲太郎 総減点4
▽個人
8位 石山・アイシングラー
14位 大沢・稲帥
24位 山下・稲太郎
▽団体
優勝 日大
2位 専大
3位 早大
全日本学生大会
▽三種目総合
優勝 日大
2位 専大
3位 立命大
5位 早大
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コメント
石山晴茄(スポ3=茨城・つくば秀英)※結果発表前
――総合馬術競技(総合)での団体の目標は
どの子も体調が万全ではないにしろ、私の馬以外は関東(関東学生大会)でしっかりと成績出してますし、私の馬も経験の豊富な馬なので、団体としては上にいける可能性はあったとは思います。
――個人としての目標は
馬の経験と今までの成績的には必ず上位にいける馬だったので、そのためにこの試合に向けて計画的に試合の練習内容もいく試合の内容も計画的に進めてきたので、全部(力を)出し切って、関東の失敗も生かしつつ上位3位以内には入れるようにとは思っていました。
――馬場馬術競技(馬場)を振り返っていかがですか
ベストをこの試合で出したかったんですけど。馬場は一番苦手だったので、馬場でいい成績を出そうと馬場ばかりを特訓してきたんですけど、ベストではないにしろ思っていた以上の点数が取れたのでそこは良かったなとは思います。
――クロスカントリー競技(クロスカントリー)は減点0でしたね
クロスカントリーは前日の雨の影響で足場が悪くて危ない状態だったので、人馬共に無事でなおかつ減点0で帰ってきたのは本当に良かったなと思います。
――障害飛越競技(障害)はいかがですか
障害は一番得意な種目で今まで出た障害の試合も一回も(障害を)落としたことがなくて。作戦不足かなというかたちではあると思います。馬自身は高さも上がってましたし、満点で帰ってこれる状態ではあったとは思います。
――総合全体を振り返って満足度はいかがですか
クロスカントリーは思ったよりできたんですけど、他の2種目に関しては詰めが甘かったというかたちにはなってしまったので、悔いの残る試合にはなってしまったかなと思います。
――今後に向けての意気込みは
アイシングラーとのコンビが来年も続くかは分からないんですけど、私自身は来年も総合に出るので、そこに関しては4年生で最後なので絶対リベンジしたいです。
下愛理彩(社3=東京・早実)
――どのような目標で臨まれましたか
目標は(個人)決勝に進んで、自由演技を組むというものでした。
――演技を振り返っていかがですか
演技の途中ですごく楽しくなってきて、馬も調子良かったし、自分の気持ち的にもやり切ったといういい感じで終われました。
――気を付けていた点はありますか
馬が得意なところで7、8点を取れるくらいまでやって、馬が苦手なところはせめて5.5ぐらいに抑えられるようにやろうと思ってました。
――実際はいかがでしたか
最初や最後の停止で結構点が取れていて、ハーフパスもちゃんと点を取れてたんですけど、他の普通にできるところでちょっとずつミスがあったりして点が取れなかったり、ピルーエットも5.5ぐらいに抑えられたはずなのに4ぐらいになってしまったり、もう少しできることがあったのかなと思います。
――今後に向けて意気込みをお願いします
早慶戦で63パーセントを取れるくらいになりたいです。もっと得意なところはもっと点を取って、苦手なところはもうちょっと人間がカバーしてせめて5.5に抑えられるぐらいにしないと60(パーセント)を超えるのは厳しいなと思ったので、次こそは60のカベを超えられるように頑張ります。
大沢暁音(スポ1=茨城・真壁)※結果発表前
――個人の目標は
関東(関東学生大会)の時よりも馬場(馬場馬術競技)を良くすることと、減点をクロスカントリー(クロスカントリー競技)と障害(障害飛越競技)で増やさないことです。
――馬場を振り返っていかがですか
そんなに良くはなかったんですけど、関東の時よりも良かったので、まだ頑張れるかなというところはあるけど良かったんじゃないかなと思います。
――クロスカントリーは反抗がなかったですが
滑りやすかったというのはあるんですけど、タイム減点が出てしまったので調整をもう少ししていきたいなと思います。
――障害を振り返って
馬の疲れもたまってきてたんですけど、(障害を)落とさなかったので良かったです。
――今後に向けての意気込みは
来年も出れたら出たいので、日々一年間頑張っていきたいなと思います。