富士山を間近に眺めることのできる競技場・御殿場市馬術・スポーツセンターで、関東学生選手権(選手権)、関東学生女子選手権(女子選手権)が行われ、早大からは選手権に1人、女子選手権に5人の選手が出場した。この大会は、関東学生の頂点を争う大会であると同時に、選手権で11位以内、女子選手権で12位以内に入ればそれぞれ全日本学生選手権、全日本学生女子選手権(全日本)への出場権を獲得することができる。昨年は早大から全日本への出場者を出すことができず、今年こそはリベンジしたいところであった。しかし結果は、選手権では山下大輝(スポ2=宮城・東北)、女子選手権では福田かおり副将(スポ4=神奈川・公文国際学園)がベスト16まで駒を進めたものの、ともに3回戦で敗北。山下が12位、福田が14位に終わり、全日本への切符を手にすることはできなかった。
初日の午前中に行われた1回戦では障害馬術競技で競った。早大勢は、2反抗により失権となった下愛理彩(社3=東京・早実)以外の出場選手は障害の落下なく走行し切り、2回戦に進出。中でも山下と石山晴茄(スポ3=茨城・つくば秀英)は60秒台の好タイムでそれぞれ全体の2位につけ、上位進出に向け幸先のよいスタートを切った。しかし、2回戦の部班競技(部班)で波乱が起こる。早大勢の多くがこの部班で得点を伸ばすことができず、順位を落としてしまった。3回戦には1、2回戦の合計順位が16位以内であれば進めるが、1回戦2位の石山が2回戦では28位に沈み、合計順位が17位で惜しくもここで敗退。2年ぶりの全日本出場はかなわなかった。また、実績十分のルーキー大沢暁音(スポ1=茨城・真壁)も18位に終わり、1日目で姿を消すことに。そんな中、順位こそ下げたものの、11位に踏みとどまった山下と、唯一部班で順位を上げた福田が16強に入り、翌日の3回戦に残った。
障害を飛び越える山下と稲太郎
3回戦では貸与馬に騎乗し、馬場馬術競技(馬場)で抽選により決まった相手選手と対戦する。山下が戦うことになったのは、全国トップクラスの実力者の1人である磯野太(日大3年)。「自分は馬場(馬場馬術競技)が苦手で、相手の磯野さんがすごく馬場が上手な方っていうことは最初から分かっていた」と山下が述べるように、厳しい戦いとなることが予想された。ここで勝利すれば全日本出場を確実に決めることができたが、磯野には及ばず敗北。それでも1、2回戦の結果を考慮した最終順位で11位以上なら全日本に出場することができたが、結果は12位と、あと一歩が届かず。また、女子選手権の福田も、64パーセント以上の平均得点率をたたき出した相手選手を上回ることができず、14位でこの大会を終えた。
部班で9位だった福田と稲彩
残念ながら、全日本出場者を2年連続で出すことができなかった。この悔しさは、らいげつの関東学生大会にぶつけてくれるだろう。「(関東学生大会では)勝ちを狙っていきたいと思います」(山下)。チーム一丸となり、少しでも良い結果を残す。
(記事、写真 宇根加菜葉)
結果
関東学生選手権
▽1回戦
2位 山下・稲太郎 総タイム66.27
▽2回戦
19位 山下・稲太郎 平均得点37.8
▽3回戦
●山下57.807—63.947磯野
▽最終結果
12位 山下
関東学生女子選手権
▽1回戦
2位 石山・タニノマティーニ 総タイム64.65
15位 大沢・稲翼 総タイム70.34
19位 福田・タニノマティーニ 総タイム72.94
24位 山口ありさ主将(文構4=東京・恵泉女学園)・稲翼 総タイム79.08
下・稲純 2反E
▽2回戦
9位 福田・稲彩 平均得点40.50
16位 大沢・稲俊 平均得点39.13
28位 石山・稲彩 平均得点35.50
31位 山口・グランダーマ 平均得点20.38
▽3回戦
●福田58.333—64.122柿平紗枝(日大3年)
▽最終結果(16位以上)
14位 福田
コメント
福田かおり副将(スポ4=神奈川・公文国際学園)
――今大会ではどのような目標を立てていましたか
昨年度も出場させていただきましたが、1回戦で敗退してしまったので今回は全日本(全日本学生女子選手権)出場を目指しました。
――1回戦の障害馬術競技での調子はいかがでしたか
先に出場した3年の石山(晴茄、スポ3=茨城・つくば秀英)の下乗りもあり、馬はとても調子が良かったです。しかし、振り返るともっとできたことがたくさんあったと反省しています。
――部班競技(部班)では他のワセダの選手が苦戦する中で健闘されましたが、調子は良かったですか
高校の頃ずっと部班の試合に出ていたので慣れてました。
――稲彩との相性は良かったですか
馬の方が緊張していて逆に自分はほぐれました。馬を落ち着けることを考えました。
――3回戦の演技は納得のいくものでしたか
貸与馬での馬場(馬場馬術競技)ということでなかなかない経験をさせていただきました。自分としては60点くらいです。相手の方が完璧な演技をされていたのでかなわなかったです。
――関東学生大会(関東学生)への意気込みをお願いします
関東学生は貸与馬ではなく自馬での試合となるため、その馬の良さを十二分に発揮できるような演技をしたいと思います。
山下大輝(スポ2=宮城・東北)
――今大会ではどのような目標を立てていましたか
取りあえず全国(全日本学生選手権出場)というか、11位以内ですね。
――1回戦で2位に入りました
稲太郎と一緒にペアを組んで初めての試合だったので、予想がつかないような内容だったんですけど、結果としてすごく良くて、2位という、思っていたよりもだいぶん上の順位が取れて良かったなと思いました。
――2回戦の部班競技(部班)はあまり良い結果ではありませんでした
同じ馬(稲太郎)で部班も出たんですけど、部班だけだと19位で、それでだいぶん順位が落ちてしまったんですけど、そうなることは大体予想の範囲内でした。でもバタバタしていて点数がぐっと落ちたので、ばたつかない宥め方があったかな、と反省しています。
――3回戦の相手の磯野太選手(日大3年)は全国でもトップクラスの実力を持っていますが、どのような気持ちで臨まれましたか
自分は馬場(馬場馬術競技)が苦手で、相手の磯野さんがすごく馬場が上手な方っていうことは最初から分かっていたので、くじを引いた時点で(準々決勝に進めるか)怪しいな、と思っていたんですけど、自分のできることはやったので、相手が上手だったという感じですね。今回のミスとかではなくて、普段の人間のスペックだな、と感じました。
――3回戦の演技自体は納得のいくものでしたか
反省点はもちろんありますけど、自分(の演技)はこんなものだろうと思っています。
――関東学生大会への意気込みをお願いします
それのための調整を今はしているので、勝ちを狙っていきたいと思います。(勝ちに)いける馬と内容だと思っているので。今は稲嵐と稲太郎(で出場する予定)ですね。