主に各大学の下級生がしのぎを削る、関東学生馬術新人競技大会がことしも開催された。この大会は障害飛越競技(障害)のみで順位が決定する。早大からはただ一人、石山晴茄(スポ1=茨城・つくば秀英)が出場。1走目、ジャンプオフ共に減点なしで走り切り、他を寄せ付けない圧巻の優勝を果たした。
全日本学生女子選手権で2位に輝いた実績を持つ石山。しかし、新体制になってから乗馬しているゾビオンとの試合では思うような結果を残せておらず、今大会も直前まで相性を合わせるための試行錯誤を続けた。まずは、29名がエントリーした1回目の走行。最後から2番目に登場した石山は、「元気がよかった」というゾビオンと共に軽快なスタートを切る。抜群の安定感で次々と障害を越えていき、減点0でフィニッシュ。ジャンプオフへの進出を決めた。
快調に障害を越える石山とゾビオン
順位決定戦となるジャンプオフには、10名が進んだ。1走目で鬼門となっていた障害が最初に設置されるなど、難度の高いコースに変更され試合は荒れ模様となる。落馬や反抗による失権も散見され、8名が走行を終えた時点で減点なしの選手は一人もおらず。独特な緊張感の中、石山は「落とさないかなという自信はあった」と落ち着いた表情でスタート位置についた。1走目同様余裕を持って前半の障害をクリアすると、多くの選手が苦しんだ中盤のダブル障害と最終障害もミスなくこなす。最後までゾビオンを信じ抜き、最終的に全出場選手の中で唯一、2本そろっての減点0を達成した。日々の基礎練習が実を結び、実戦で花を咲かせた今大会。石山にとって自信につながる価値ある勝利となった。
ジャンプオフも減点なしでフィニッシュした
早大馬術部の次なる舞台は、東京六大学大会。3位に沈んだ昨季の雪辱を果たすため、全種目に出場する石山には団体戦でも大きな期待がかかる。昨季の早大はこの大会を皮切りに団体戦で伸び悩んだだけに、今後を占う重要な一戦となるはずだ。チーム一丸となって、まずは新体制での初めての栄光をつかみたい。
(記事 川浪康太郎、写真 吉村早莉)
コメント
石山晴茄(スポ1=茨城・つくば秀英)
――優勝を決めて、今のお気持ちを聞かせてください
ゾビオンは小さい試合を2カ月前ぐらいに出させていただいて、その時にものすごく調子が悪かったので、不安が大きかったです。今回はいい感じで帰ってくることができてほっとしています。――きょうまで調子が悪くて、練習でも調子は悪かったのですか
練習では障害練習をせずに、基本を練習してきて、ちょっとずつ相性があってきたかなという実感はあったんですけど、試合に出てみないとわからない部分があるので、よかったです。
――走行中は危なげないように見えたのですが、走行はいかがでしたか
すごくいいことなんですけど、馬が元気がよかったので、自分がその元気の良さについていってあげられて、なおかつフォローしないと、馬だけ走っていっちゃって落下が多くなってしまうのでそのへんの調整がうまくできるかが、難しかったなということがありました。
――ジャンプオフに進まれましたが、前に走行した選手の中に減点なしの選手がいらっしゃいませんでした。プレッシャーなど感じられましたか
ゾビオンはそれまでの障害や待機馬場でも調子よく飛んでいたので、落とさないかなという自信はあったのですが、安全策としてインラインを入ったりとかはしました。
――ジャンプオフを振り返っていかがでしたか
馬がコントロールしやすくて、小さめの回転もしやすかったので、内容的には悪くないものだったと思います。ただ、ビデオで確認しないと最後の方のラインとかはバタバタしてしまったところがあったので。――次の試合に向けて意気込みをお願いします
次の六大学では全部の種目に出させていただきます。高さも上がるので、その高さに対応できるだけの能力と基本をもう一回身につけ直して、成績を残せるようにしたいと思います。
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