佐々、全日本ヤング2連覇を達成!

馬術

 馬場馬術競技(馬場)、クロスカントリー競技(クロスカントリー)、障害飛越競技(障害)の3つを指す総合馬術競技(総合)を減点方式で争う今大会。16~22歳まで若い選手のみの出場となり、次世代の馬術競技の担い手が占われる。全日本総合馬術ヤングライダー選手権には佐々紫苑(スポ3=神奈川・日女大付)・瑞龍が出場した。初日に行われた馬場では5位と出遅れるも、残り二つの競技では減点なしの走行で見事優勝。昨年に引き続き2連覇を果たし、女王の力を見せつけた。

 決して順調な道のりではなかった。雨が降ったり止んだりと不安定な天候で迎えた1日目。馬場の状態が非常に悪く、それも影響したのか、史上最悪の得点率となる64.37パーセントという記録を出してしまう。初日は5位と苦しいスタートを切り、2日目のクロスカントリーに進んだ。現時点で1位の選手は減点54.2点。減点53.5点の佐々が首位を目指すには1点の減点も許されない。「切り替えて、絶対にゼロで来よう」(佐々)と決意し臨む。結果、見事に減点ゼロの素晴らしい走行を見せ、佐々は1位へと駆け上がる。「ヤングの野外はいつもタイム減点がついてしまって、ゼロできたことがなかったので、とても嬉しかった」(佐々)と語った。

クロスカントリーで障害を飛越える佐々と瑞龍

 だが、まだ油断は出来ない。2位の選手との点差は1点も無く、1つのミスも許されない状況は続いた。最終競技である障害は順位の低い選手から走行することになっており、上位選手へプレッシャーをかける形となっている。2位の選手が減点ゼロの走行を見せた後、佐々の出番が来た。しかし、緊張に硬くなることなく、「いけるなと思えて挑めた」(佐々)と語るように落ち着いて臨んだ佐々。高い障害も丁寧な走りで越えていき、落下もタイム減点も無しの文句なしの走行を披露する。最終障害を飛越えると、涙をにじませながら場内を瑞龍と共に駆け抜け、喜びを全身で表した。大会2連覇達成が決まった瞬間だった。

喜びを全身で表しながら場内を一周する佐々と瑞龍

 「気持ちのもちようでこんなにも乗り方が変わるということ。それをはっきりと学びました。」(佐々)。決して順風満帆とは言えなかったこの状況を乗り越えることが出来たことは、佐々の今後の糧となったに違いない。2020年には東京オリンピックも控えている。大きな目標に向かって突き進む佐々の姿から、これからも目が離せない。

(記事 吉田安祐香、写真 吉田安祐香)

表彰される佐々と瑞龍

結果

▽全日本総合馬術ヤングライダー選手権
優勝 佐々・瑞龍

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佐々紫苑(スポ3=神奈川・日女大付)

――昨年も優勝された大会でしたが、どのようなお気持ちで臨まれましたか

今年でコンビを組んで四年目となる瑞龍と、後味よく試合を終えたいという思いが強かったです。いつも瑞龍とのヤングは、私が瑞龍の能力を殺してしまって後味の悪い思いばかりだったので…。

――昨年優勝したトイボーイIIIではなく瑞龍での出場でした。理由などあればお聞かせください

トイは、コーチの馬で、去年は勉強のために乗せていただいた馬でした。瑞龍は私の馬なので、今年は瑞龍だけで挑みました。

――試合に臨む上で何か意識されたことはありますか

馬とのコミュニケーションを大切に、ケアに気を配り、練習の成果を存分に発揮できるようにと思い挑みました。

――初日は不安定な天候でしたが、そのなかでの馬場を振り返っていかがですか

初めてドローをして順番を決めて、まさかのラストになったので、びっくりしていました。笑 天候は、雨こそ止んでいましたが馬場のコンディションが悪く、動きが悪くなってしまったところがありましたが、瑞龍はよく頑張ってくれました。

< p>――惜しくも馬場では出遅れたかたちとなりましたが、クロスカントリーでは減点なしの走行でした。振り返っていかがですか

.馬場で全然点が伸びず、史上最悪の%だったので、けっこう落ち込んでいました(笑)ですが逆に切り替えて、絶対にゼロでこようと強く思えました。ヤングの野外はいつもタイム減点がついてしまって、ゼロできたことがなかったので、とても嬉しかったです。

――最後の障害では、1落下も許されない状況となりましたが、プレッシャーなどはありましたか。何か意識したこと等ありましたら教えてください

自分でも意外でしたが、そんなに緊張しなかったです。いやもちろん、緊張はしたのですが、適度な緊張で、ガチガチになることはありませんでした。コースを下見して、あ、いけるなと思い、練習馬場での瑞龍の調子も最高で、自信がありました。ヤングの余力を、いけるなと思えて挑めたのは初でした。この一年間たくさんの方に支えていただいて積み重ねることができた経験と練習のおかげだと思います。ひたすらリズムのことだけ考えていました。

< p>――障害を減点なしで走り終えた後、涙ぐむ姿が印象的でした。どのようなお気持ちだったのでしょうか

どちらかというと、去年はゴールしてすぐ泣いてしまっていましたが、今年はまずガッツポーズが出ました(笑)初日5位スタートで、まさか勝てるとは思わなかったので、諦めなくてよかった、本当に勝ったのかな?とフワフワした気持ちです。とにかく減点0が嬉しくて、瑞龍が助けてくれたことが嬉しくて、周りの方々への感謝の気持ちが溢れ出てきていました。

< p>――東京オリンピックを目指されていると伺いましたが、今大会での収穫や見つかった課題などあれば教えてください

気持ちのもちようでこんなにも乗り方が変わるということ。それをはっきりと学びました。今までもわかっていたつもりでしたが、まだまだわかっていなかった。私が緊張して思考が狭くなるせいでダメになることがほとんどなので、もっと余裕のある人間になりたいです。

――最後に、今後への抱負をお願いします

今後も、瑞龍とともにステップアップして、ワンスターなどにも挑戦していけたらと思っています。頑張ります。応援して頂いた皆さま、本当にありがとうございました。