この経験を生かし、次こそは表彰台へ

馬術

 今季の集大成ともいえる全日本学生大会。まずは第63回全日本学生賞典障害飛越競技大会(障害)が行われた。早大からは五十嵐裕哉(創理3=新潟南)、畠山聖(スポ3=茨城・常総学院)、大澤佳純(教2=神奈川・桐蔭学園)の3選手が出場。それぞれが2回ずつ走行し、その減点の合計で争われ、団体8位という結果となった。

 ことしの障害は団体としての出場が危ぶまれていた。なんとか出場権は獲得したものの、満足のいく戦力が整っていたとはいえない。そのため畠山は一度引退していた稲斗に騎乗した。稲斗はその期待に応える。6つの障害を落としてしまったが、失権することなく最後まで走りぬいた。次に登場したのは五十嵐。序盤から安定した走行を見せる。そのまま減点なしで走行を終えるかと思われる中、迎えた11番の3連続障害。高さに変化のついた最後のC障害を落下させてしまう。それでも減点4にまとめ、「第2回走行に向けていい流れは作れたかな」(五十嵐)と自身も納得の走行であった。大澤も減点16とまずまずの走行を披露。第1回走行を終えて団体9位につけた。

最後の力を振り絞った畠山と稲斗

 一つでも順位を上げたい第2回走行。これが本当に最後の走行となる稲斗は力を振り絞り、前日よりも減点を4点減らす。22歳という高齢ながら、最後まで持てる力を発揮し続けた稲斗に対して畠山は「十分です」と声をかけた。大澤は「馬がなんとか跳んでくれた」と、反抗のあとも馬の力にも助けられてなんとか完走。課題は残したが、失権せずに走行を終えられたことはチームにとっては大きかった。五十嵐は途中6番障害を「人間の簡単なミス」で落下させてしまったが、第1回走行では落下させていた11番障害はうまく飛越することに成功。2日連続の減点4とし、個人としては全体9位と好成績を収めた。

個人9位と健闘した五十嵐と稲隆

 さまざまな不安があった中での団体8位という結果は一定の評価はできるであろう。最も重要なのはこの経験を今後にどのようにして生かしていくのかということだ。今大会に出場した3選手は間違いなく来季も主力として戦うことになる。全国の舞台で戦った経験を生かし、次こそは表彰台を狙う。

(記事、写真 井上雄太)

コメント

五十嵐裕哉(創理3=新潟南)

――まずは第1回走行を振り返ってみていかがでしたか

1日目、2日目を通して減点8、減点8の16くらいでいけたらなと思っていたんですけど、なんとか減点4に収めることができたので、第2回走行に向けていい流れは作れたかなと思います。

――11番の3連続障害まではミスもなく、減点なしでいけるという感覚もあったのでは

そこはやっぱり難しいラインで、オクサー障害は跳ぶのが苦手なので無理かなとも思っていたので、あれは仕方ない1落下かなと思います。

――では第2回走行を振り返ってみていかがですか

第1回走行よりも少しだけボリュームがついたので2落下くらいかなと思ったのですが、その難しいポイントは馬が頑張って跳んでくれたんですけど、人間の簡単なミスで1落下してしまったので、そこは反省点です。

――団体8位という結果についてはどのように捉えていますか

本当はもう少し上にいきたかったですけど、ことしは団体が組めるということがラッキーだったので、この結果はしょうがないかなと思います。らいねんにつなげていければと思います。

――あす以降に行われる第56回全日本学生賞典馬場馬術競技大会(馬場)、第56回全日本学生賞典総合馬術競技大会(総合)に向けての目標と意気込みをお願いします

馬場は難しいですけど、頑張ってうまく調整して、ベストパフォーマンスができるようにしたいと思います。総合はいまから馬を休ませて、うまく回復させながら臨みたいと思います。

大澤佳純(教2=神奈川・桐蔭学園)

――まずは第1回走行を振り返ってみていかがでしたか

1回目の結果は悪くも良くもなく普通の結果で、馬の調子は良かったので、人間の踏み切りが見えないミスなどを修正すれば、もう少しいい結果につながるかなと思っています。

――では第2回走行はいかがでしたか

馬がすごく落ち着いていていい状態だったんですけど、それで人間もぼーっとしてしまって、もっと動かさなければいけないところを動かせなかったりだとか、3連続障害のところで踏み切りを思いっきり外して届かなくなってしまったりだとか、人間のミスが重なってしまって、きょうはいい結果ではなかったです。

――11番の3連続障害で1度反抗があってから、どうにか立て直すことができたことは良かった点ではないですか

3連続障害では本当は1歩でいかなければいけないところを3歩でいってしまったりして、馬がなんとか跳んでくれたというだけなので、もうちょっと人間が中で押したりとか、馬にしっかりついていったりできるようにならないといけないと思いました。

――総合に向けての目標と意気込みをお願いします

総合に向けてはかなり不安なところがたくさんあって、特に野外とスタジアムは失権するかもしれないという状況なので、しっかりと自分がやるべきことを考えながら、帰ってこられるようにしたいと思います。