個人総合6位も、河崎、種目別決勝フープでは自己ベスト更新に笑顔

体操

 4連覇をかけて挑んだ昨年の全日本選手権からはや1年。「結果は後からついてくる」、と河崎羽珠愛(スポ3=千葉・植草学園)は今大会の目標を『自分の演技をきちんと決める』と据え、3連覇を逃した雪辱の大会に気持ちを新たに今年も挑んだ。

 1日目、前半種目ではフープとボールの演技を披露した。1種目目のフープでは演技冒頭、天井に着くかと思うほどの高い投げ技に応援席から驚きの声が上がった。演技中盤の小技ではフープを落とすミスがあり河崎は演技後悔しい表情も見せたが、Dスコア(技術点)では全体2位となる9.3の高得点をマークし、高い技術力を見せつけた。2種目目のボールは15.000の全体17位。小さなミスが連発してしまう結果となった。少々慌てたようにも見えるその演技に河崎は「練習ではしないミスをしてしまって悔しい」(河崎)と振り返る。このボールの得点が響き前半2種目を終えての合計順位は9位と、『優勝』への巻き返しには少し厳しさも見え始める苦しいスタートとなった。

フープの演技をする河崎

 2日目、後半種目ではクラブとリボンの演技を披露した。最初の演技者として会場から大きな声援と拍手を受けながら、河崎は前日のミスから気持ちを新たに演技に臨んだ。はじめのクラブの演技では、「ちょっと気持ちが高ぶっていて緊張もしていた」(河崎)と本人も振り返るように、序盤はやや緊張した面持ちではあったものの、ひとつひとつ丁寧に難度を実施していく。ミスなく踊りきり「しっかり一本決められた」(河崎)と納得の演技を見せた河崎は、Eスコアで高い評価を受け、合計16.600とこの種目を3位につけた。4種目目のリボンでは、高さのあるダイナミックなジャンプターンや大ジャンプを披露し、溌剌とした舞を見せる。しかし終盤、手具の投げでリボンに結び目が出来る痛いミスが出てしまった。咄嗟の判断で予備手具に持ち替えその後のフェッテ・ピボットに繋げたが、得点は伸びず、合計14.400点で全体9位と悔しい結果になってしまった。

リボンの演技を披露する河崎

 今年の全日本選手権はまさかの個人総合6位。河崎の今シーズンは少し苦い思い出で終わりを迎えた。「今回のミスは全部とれるはずのミスだった」(河崎)と河崎は、来シーズンに向けて悔しさを胸に早くも動き出す。来シーズンが始まる4月までの長いオフシーズンには今後の伸びしろとなる、『プログラムに小技をより多く取り入れること』を具体的な課題に据え、来年の全日本選手権こそ女王奪還、「笑顔で終われる」(河崎)1年へーー。

(記事 脇田真悠子、青柳香穂 写真 脇田真悠子、村田華乃)

フープで渾身のガッツポーズ!種目別決勝は2種目に出場

 大会3日目の28日には種目別選手権決勝が行われた。河崎は予選(個人総合)の結果より、フープ、クラブの種目に出場。初めに演技をしたフープでは自己ベストを更新する17.450の高得点をたたき出し、全体2位の結果となった。予選同様演技冒頭では圧倒的な高さの投げ技に観客から歓声が起こる。最初から波に乗っていた河崎は、予選中盤での『いつも通りではない』ミスを今度は着実に成功させていく。軽やかでアップテンポな曲調に乗せた表情豊かな河崎の演技は、見ている観客を自然とウキウキした気分にさせるよう。フィニッシュを迎えた河崎は嬉しさがこらえきれず大きなガッツポーズを見せた。続く2種目目のクラブでは演技前半に取りこぼしも見られたが、大きなミスなく演技をまとめ15.300をマーク。全体3位でこちらも表彰台を獲得した。大会最終日を振り返り、「演技を楽しめた」と笑顔で答えた河崎は、来年も皆を楽しませる演技を披露してくれるに違いない。

フープで自己ベスト更新の河崎

(記事 脇田真悠子、写真 脇田真悠子)

表彰式後笑顔で集まるイオン勢(河崎右から2番目)
結果

個人総合決勝兼種目別予選
選手名 フープ ボール クラブ リボン 合計点 順位
河崎羽珠愛(スポ3) 16.650 15.000 16.600 14.400 62.650 6位
種目別決勝フープ
選手名 結果(順位)
河崎羽珠愛(スポ3) 17.450(2位)
種目別決勝クラブ
選手名 結果
河崎羽珠愛(スポ3) 15.300(3位)
コメント

河崎羽珠愛(スポ3=千葉・植草学園大付)

※以下1日目前半種目終了後、囲み取材より

――今日の演技を振り返っていかがですか

そうですね、普段の練習でミスをしないところでミスをしてしまっているので少し悔しいんですけど、2種目終わってしまったので明日の2種目に気持ちを切り替えていきたいと思います。

――ミスというのは投げのところでしょうか

 そうですね。フープは小技の部分で後ろに行ってしまって落下してしまって、ボールは大きな得点源となる投げ技だったので悔しいです。 

――去年3連覇で記録が止まってしまったと思うんですけど、今大会の意気込みや位置づけはどういったものだったんですか

もちろん優勝は目指しているんですけど結果は後からついてくると思っているのでまずはしっかり自分の演技を決められるようにしていきたいなと思っています。

――先日はアジア大会がありましたが、それを経て学んだことや伸ばしていきたいと思ったことはなんですか

アジア大会ではあまりミスはしなかったんですけど、難度の部分ではすごく弱くなってしまったので、今大会では『バランス』だったらしっかり止まる、とか『回転数』とかだったらしっかり回り切って終わるっていうのをしっかり練習してきました。

――その点に関しては今日の出来はいかがでしたか

少しずつは良くなってきていると思うので、後半の2種目で生かしていけたらいいなと思います。

――アジア大会から演技の構成は変えたのですか

演技の構成は変えてないんですけど実施を見直しました。

――シーズン序盤からDスコアが大きく伸びているように思いますが

やっぱりジャンプの開脚度とかバランスのしっかり止まることとかそういったところがシーズンの初めは弱かったと思うんですけど、しっかりトレーニングをしてきて大分力はついてきたかなと思います。

――明日はどういう演技をしていきたいですか

自分の強みでもある演技力を観客の皆さんにも楽しんでいただけるようなダイナミックな演技をして気持ちよく終われたらいいなと思います。

※以下2日目後半種目終了後、囲み取材より

河崎羽珠愛(スポ3=千葉・植草学園大付)

――昨日の結果を踏まえて、今日はどういう気持ちで臨みましたか

昨日は昨日で全て割り切って、今日はまた新たな気持ちを持って試合に臨みました。できた種目もあったしやりきれなかった種目もあったので少し悔いの残る試合になってしまいました。

――今日のクラブとリボンの演技を振り返ってみていかがですか

リボンの結び目がちょっと大きいミスに繋がってしまったんですけど、身体の状態や心の状態はすごく良い出来だったと思うので、明日種目別が残っているのであればまた気持ちを切り替えていきたいと思います。

――明日の目標は

楽しんで踊れるようにしっかり身体と心を整えて最後までやりきりたいなと思います。

――今は怪我などはない状態ですか

そうですね、特にはないです。

――リボンの結び目というのは意識すれば防ぐことのできるミスなのでしょうか

練習の時から絡まりやすい場所ではあったんですけど、手の動かし方やリボンの持ち方でも絡まってしまうのでそこが良くなかったのかなと思います。

――クラブの方はミスのない演技に見えましたが振り返ってみていかがですか

クラブの本番前はちょっと気持ちが高ぶっていて緊張もしていたんですけどしっかり一本決められたというのはすごく良かったのかなと思います。

――動きをしっかり意識するということを課題にあげていましたがその点では納得のいく演技ができましたか

昨日は最後まで手元まで見れてなかったっていう感じのミスだったんですが、今日はそこはクリアできたと思うので明日のフープは昨日のミスをしないようにしっかり立て直して行きたいなと思います。

――リボンに関しても結び目以外の部分に関しては満足のいく演技だったのでしょうか

そうですね。

※以下、3日目種目別選手権決勝、試合後のインタビュー

――まずは個人総合6位という結果を受けていかがですか

今回のミスは全て取れる範囲のミスだったのでもったいないミスをしてしまったなと思います。

――今日の結果を踏まえて今日の種目別決勝へはどんな意気込み臨んだのですか

2種目しかないのでメダルと取りに行く気持ちをもって最後まで楽しんで踊りたいなと思いました。

――フープではガッツポーズも見られましたが演技を振り返っていかがですか

予選でミスしたところもクリアできたし、自分の納得のいく演技が出来たので、すごい良かったし、楽しくできました。

――フープ17.450は自己ベスト更新ですよね

そうですね!(笑)

――クラブの演技を振り返っていかがですか

クラブはサブで練習してた時はい感じの調子だったんですけど、メインに入ったときにちょっとしたことが気になってしまってそれが本番に出てしまったのでもっと練習したいなと思います。

――今シーズンはこの大会で終わりですが、これからオフシーズンで身に着けたい課題などはありますか

今の演技だとADっていう小技が私はまだまだ少ないのでどんどん入れていって難度もしっかり審判の方に取ってもらえるようにオフシーズンしっかり練習して言いたいと思います。

――最後に来シーズンはどんな1年にしたいか目標をお聞かせください

まずはユニバーシアード大会があると思うので、それを取りに行くことと来年の全日本選手権でも気持ちよく終われるようなシーズンにしていきたいです。