NHK杯。体操界の猛者たちがしのぎを削る、国内最高峰の大会だ。村上茉愛(日体大)や寺本明日香(ミキハウス)らが頂点を争う中、早大からは内山由綺(スポ2=東京・帝京)が出場した。今大会では、4月に行われた全日本個人総合選手権(個人総合)の点数と、今大会の点数の合計点で順位が決まる。内山は個人総合を終えて7位。6位までが獲得できる世界選手権代表候補の座を目指し逆転を狙ったが、惜しくも7位に終わった。
6位と0.833差で7位からの巻き返しを図る内山は、得意種目である段違い平行棒からのスタートとなった。つま先までそろった美しい演技を見せたが、バーに足が当たったことで大きな減点が入り、13.766。個人総合で14点台をたたき出しているだけに、少し物足りない点数となった。続く平均台では落下こそなかったものの、ところどころのふらつきが響き、12.233と点数を伸ばせず。2種目を終えて依然7位と、厳しい状況は続いた。
段違い平行棒を披露する内山
3種目目のゆかは、姉に振り付けてもらったというプログラムで演技を行った。ゆかでの表現力に定評のある内山は、今回もその表現力を遺憾なく発揮。しかし2本目の着地で大きく跳ねてしまうなど、11点台に留まる。「振り付けを担当してくれたお姉ちゃんに申し訳ない」(内山)と、悔しさをにじませた。続く最終種目の跳馬を前に、6位の宮川紗江(株式会社Rainbow)が最終種目のゆかを終え、内山が13.635以上を出せば逆転6位が決まることに。しかし、しっかりミスなくまとめ切ったものの、点数は13.166。逆転することはかなわなかった。
ゆかの演技を披露する内山
「全然逆転できるって思ってた」と声を震わせた内山。0.468という僅差での7位だっただけに、要所での細かいミスがこの結果につながってしまったことは否めない。しかし今回の結果により、今年7月に行われるアジア競技大会の代表入りが決定。そして、「東京オリンピックでのメダルが一番の目標」と、内山は力強く語った。最大の目標に向けて、再び鍛錬の日々が始まる。涙をぬぐい、次を見据えてまい進せよ。
(記事 村田華乃、写真 脇田真悠子)
女子個人総合 | ||||||||
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選手名 | 跳馬 | 段違い | 平均台 | ゆか | 合計 | 持ち点 | 総合計 | 順位 |
内山由綺(スポ2) | 13.166 | 13.766 | 12.233 | 11.866 | 51.031 | 103.064 | 154.095 | 7位 |
コメント
内山由綺(スポ2=東京・帝京)
――7位という結果についていかがですか
演技全てが思ったようにいかなくて。全然逆転できるって思ってたし・・・。力不足だったかなと思います。自分ではすごい練習したって自信持って言えるんですけど、それでもまだ足りなかったかなという感じです。
――今後のことについて教えてください
いつもオリンピックに焦点を当ててるので、まだオリンピックじゃないし、まだあと2年あるので。東京オリンピックでのメダルが一番の目標なので、まだまだ伸びしろはあると思いますし、アジア大会でしっかり金メダルを取れるように。
――この大会をどう生かしていきたいですか
世界選手権に出場するメンバーと一緒に練習しているので、その子たちに「一緒に(世界選手権に)行った方がいい」って言われるくらい練習したいと思います。
※以上囲み取材より抜粋
――きょうのコンディションは
きょうになってちょっと調子が悪くて。でも試合になったら調子は関係なくなるので、そこのせいではないかなと。
――腰のマッサージを受けられていましたが、痛みなどがあったのでしょうか
痛みというか、下半身に力が入らなくなってしまって。ただ力入らないなって思ってたんですけど、まあその中でもそこそこの・・・。でもそういう日がたまにあったんですけど、その日よりもあんまりいい演技ができなかったので、結構悔しいです。
――世界選手権代表候補に入れるかぎりぎりの戦いでしたが、プレッシャーなどはありましたか
いや、世界選手権を絶対に取るっていうふうには演技中は思ってなくて。構成をずっとマックスで練習してきて、でもやっぱり本番になるとびびってしまったというか、1個落とした構成にっていうふうに走ってしまって、安定性を求めたばかりにこういう結果になってしまったかなという感じです。
――段違い平行棒は全日本個人総合選手権のときより点数が出ませんでしたが、演技を振り返っていかがですか
バーに足が当たってしまって、そこで結構大きい減点をされてしまったので、そこさえなければ代表に入れたって言うのはあれですけど・・・そういう部分が代表に入れなかったポイントかなって思います。
――平均台は落下なく終えましたが
落ちなかったっていうことに関してはああよかったなっていう感じですけど、点数が伸びないのは減点されるポイントがいくつかあると思うので、そこがちょっと詰め切れなかったかなっていうふうに思います。
――ゆかは着地での失敗がありました
ゆかは振り付けを見てほしくてずっとやってきて、でもああいうふうに失敗が出てしまうとそっちばかりに注目が集まってしまって。振り付けはお姉ちゃんにやってもらったんですけど、ああいう失敗が出てしまって技がどうのっていう感じになってしまうのが、振り付けを担当してくれたお姉ちゃんに申し訳ないなっていう気持ちです。
――7位ということで、アジア競技大会の代表に決まりました
アジア大会ではしっかり金メダルを狙って、今回はDスコア(技術点)も全然詰め切れなくて不安定だったので、まだ時間もあるので、そこでメダルを狙っていけるようにしたいです。