わずか0.1点差。今大会、個人総合で3連覇が懸かっていた河崎羽珠愛(スポ2=千葉・植草学園大付)は前半種目を高得点でまとめる。しかし後半はミスの影響で点が伸びず、僅差で同じクラブチームの後輩に優勝を譲る結果に。今までで一番リラックスして臨めた試合だったというが、惜しくも3連覇とはならなかった。
最初はボール。4種目の中で最もテンポの遅い曲を用いているだけに、より表現力やバランス、間の取り方が求められる。河崎はそれを軸の決まったバランスや滑らかな動きで演じ切り、種目別トップの15.000点をマーク。続くフープでは、はつらつとした笑顔で観客を魅了する。優勝へ向けて、スタートは上々だった。しかし、後半2種目の演技に乱れが出てしまう。手具を遠くに投げてしまい、その間に行う予定だった回転ができなかったのだ。失敗を引きずることはなかったが、こうした難度の取り損ねが響き優勝を逃してしまった。
種目別トップの点数を獲得したボール
同時に行われたクラブ対抗戦では、河崎擁するイオンが8連覇を達成。しかし、試合後の河崎の表情はさえなかった。個人で優勝できなかったということもあるだろうが、自分の力を出し切れなかったことが何より悔しかったに違いない。そこで、まず取り組むべき課題は「後半の集中力」。5月の東日本学生選手権でも、前半と後半の出来に差が出てしまったことを自身で分析していた。また、バランスや開脚度の甘さなどで、取れるはずの難度を取りこぼしていることも点数が伸び悩む原因の一つだという。8月には全日本学生選手権とユニバ―シアードを控えている河崎。重要な大会に臨む前に、これらの課題は克服しておきたいところだ。
ミスの出た後半種目のクラブ
今大会で、河崎の課題は明確になった。そして課題の数だけ、成長の可能性を秘めている。高校時代から日本の第一線で活躍し続けている全日本女王にも、まだまだ伸びしろはあるのだ。この夏でどこまで克服できるか――。大事な1カ月が幕を開ける。
(記事 大浦帆乃佳、写真 宇根加菜葉、村田華乃)
結果
※個人総合の結果のみ掲載
女子シニア個人総合決勝 | ||||||||
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選手名 | フープ | ボール | クラブ | リボン | 合計点 | 総合順位 | ||
河崎羽珠愛(スポ2) | 14.600 | 15.000 | 13.600 | 13.300 | 56.500 | 2位 |
コメント
河崎羽珠愛(スポ2=千葉・植草学園大付)
――この大会の目標は何でしたか
4種目をノーミスでまとめることだったんですけど、後半2種目で崩れてしまって。悔いが残ってしまいました。
――前半と後半で出来に差ができてしまった理由は何だと思いますか
最後まで集中し切れなかったこととか、我慢ですね。
――東日本学生選手権(東インカレ)から今まで、どんな練習を積んできましたか
今大会に向けては、1日で4種目やるので、全種目まとめる練習をしていました。
――全体的に難度を落として臨まれたのでしょうか
いや、難度が見えにくかったんだと思います。開脚度だったり、(バランスの)止まりが甘かったり。(点数は)ちょっと伸びなかったなと思います。そこは自分でも甘かったなという自覚はあります。
――表情が柔らかくてリラックスしているように見えました
リラックスはできていましたが緊張もひていました(笑)。でも演技しているうちに慣れて、楽しめました。
――最初の種目のボールはいかがでしたか
よかったと思います。でもまだ取り切れていないところもあるので、インカレ(全日本学生選手権)に向けて調整していかなきゃなと思います。
――クラブとリボンでは、投げた手具が遠くにいってしまう場面がありました
走っちゃいましたね。練習でもうまくいっていなかったので悔しいです。
――リボンの出だしはミスがでてしまいました
足でリボンの棒の部分を挟んで前転するんですけど、(足を)離してしまって。
――演技の出だしということで、動揺はありませんでしたか
やってしまった、と思いました。その後は気持ちを切り替えてできました。
――うまくいったなと感じた種目は
ボール、だけですね。あとの種目はやり切れていないので、インカレではやり切りたいと思います。
――1位とはわずか0.1点差でした
すごく悔しいです。
――この大会は個人総合で2連覇中でしたが意識はしていましたか
特に意識はしていなかったんですけど、リボンで失敗した時に、「ああ、もうだめだ」って(笑)。
――では、この大会で収穫したものはありましたか
久しぶりの試合だったので、1週間前とか緊張して、気持ちの持っていきかたとか戸惑ってしまって。そわそわしてたんですけど(笑)、会場に来ると落ち着けたし、一番落ち着いてできた試合だったと思います。
――次に控えるのはインカレですが、何を狙いますか
もちろん優勝を狙いますが、自分の技をやり切ることと、楽しむことを第一にしていきたいです。
――インカレとユニバーシアードという大きな大会が続きますが、どんな試合にしたいですか
インカレは、ユニバーシアード前の最後の調整だと思ってしっかり挑んでいきたいです。ユニバーシアードは大学生の世界大会ですし、自分のいいところを全部見せられたらいいなと思います。
――インカレに向けた意気込みをお願いします
今回の反省を生かして、インカレでは優勝目指して日々の練習を大切にしていきたいです。