インカレ開幕!個人戦は収穫も課題も多き試合に

体操

 第70回全日本学生選手権(インカレ)が真夏のサンドーム福井で開催された。初日に行われた女子個人戦には長沼園佳女子主将(スポ3=群馬・中央中教校)、2日目の男子個人戦には八木暁己(政経3=京都・洛南)、佐藤崇太(スポ2=福井・鯖江)、柏木寅治(スポ1=千葉・市船橋)が出場。選手たちは仲間の声援に後押しされ、全国から集う強豪に挑んだ。ライバルのカベは厚く悔しさは残るも、確実に次につながる実施となった。

「自分らしい演技ができた」と振り返る長沼は、ゆかと段違い平行棒の難易度を前大会の東日本学生選手権(東インカレ)より上げてインカレに臨んだ。1種目目のゆかでは、序盤着地に乱れがあったものの、その後は躍動感のある演技を次々と披露する。続く跳馬、段違い平行棒でも、際どい場面をしっかりと耐え、大きく崩れることなくまとめた。そして迎えた最終種目の平均台。入りから不安要素の大技を危なげなく決めると、重要視していたポイントだっただけに、演技後大きなガッツポーズを見せた。しかし、中盤に技と技のタイミングがずれたことで予定していた難度が取れず、点数は11.750に留まる。目標としていた種目別での決勝進出には届かなかったが、大一番での強さは本物だ。

ポイントに挙げていた平均台最初の技を成功させた長沼

 男子の個人戦には八木、佐藤、柏木が出場。八木はあん馬では大きなミスが出たものの、得意種目の鉄棒をはじめとする他の種目では「いつも通りの良い演技ができた」と本人も納得の演技を披露する。一方、前半種目で好調な滑り出しをみせていた佐藤は、後半の跳馬、平行棒でリズムを狂わせ、「練習の成果を表せなかった」と悔しさをにじませた。インカレ初出場となる柏木も、3種目目のあん馬で落下した後、悪い流れを断ち切ることができずにミスが続く。「練習でうまくいかないことは試合でもうまくいかない」(柏木)と振り返るなど、それぞれにとって収穫や課題の多い試合となった。

見せ場で会心の演技を披露した八木

 ひとりひとりが課題と収穫を得た今大会。「挑戦できたことは良かった」と長沼が言うように、選手たちは高みを目指し日々奔走している。経験を成長の糧に、らいねんのインカレでは雪辱を果たしてくれるだろう。今後の躍進に期待したい。

(記事 田々楽智理、村田華乃 写真 中村ちひろ、榎本透子)

結果
女子個人総合兼種目別予選
選手名 跳馬 段違い 平均台 ゆか 合計点 順位
長沼園佳(スポ3) 12.450 10.300 11.750 11.150 45.650 40位

        

          

          

          

          

          

          

          

          

          

          

          

          

男子個人総合兼種目別予選
選手名 ゆか あん馬 つり輪 跳馬 平行棒 鉄棒 合計点 順位
八木暁己(政経3) 13.550 11.050 12.800 13.200 14.250 14.050 78.900 91位
佐藤崇太(スポ2) 14.100 13.400 13.150 12.350 13.650 13.500 80.150 82位
柏木寅冶(スポ1) 14.300 12.300 12.900 13.300 12.700 13.400 78.900 91位
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コメント

長沼園佳女子主将(スポ3=群馬・中央中教校)

――大会にはどのような意気込みで臨みましたか

去年のインカレに出れなかったので、その分まで大きく伸び伸びした演技をしようと思っていました。なので、点数は気にせず、自分らしい演技をしようと思い大会に臨みました。

――自分らしい演技はできましたか

ゆかは少し危なかったのですが、その他は失敗をしそうなところも十分に耐えて、課題も見つかったけれど、よかったです。自分らしくできたと思います。

――ゆかでは危ない場面から、持ち直していましたが

演技に入ると、何も考えず体が動くままにという感じなので、いつも通り考えたり、気にすることなくできました。

――跳馬は、助走を少し変えたということでしたがどうでしたか

今までが合わせる助走で、スピードをつける感じではなかったのですが、助走でスピードをちゃんともらって、その後跳馬に手を着いて高さに変えるというのを意識しました。よかったかなと思います。

――最終種目の平均台ではガッツポーズも見られました

良いところは本当に良かったです。1つ目の上がりと2つ目のバク転スワンは、こんなに良く出来るのかと自分でも驚きました。ですが、(頭が)真っ白になってしまいジャンプ系のシリーズと技が1つ抜けてしまったので、Dスコア(技術点)が1点近く落ちてしまいました。落下と同じぐらい(点数を)捨てたような形になってしまったのですが、不安がある大きいアクロバティック系の技で力いっぱい演技ができ、それを成功させられたのでよかったなと思いました。よかったというのと、ほっとした気持ちと、応援に来てくれた仲間に感謝の気持ちを込めてガッツポーズをしました。

――ご自身ではミスはありましたが、納得のいく演技ができましたか

これが今の実力かなと思いました。

――段違い平行棒とゆかでは、前回大会より難易度を上げての実施だったと思うのですが、今大会全体を振り返っていかがですか

点数をもらいに行くという大会ではないと思ったので挑戦しました。挑戦できたことはよかったのですが、減点なしでできるようにする、ゆかもただダブルをやるのではなく、しっかり着地まで取りに行けるようにする、というのが課題だなと思いました。

八木暁己(政経3=京都・洛南)

――試合を振り返ってみていかがですか

あん馬で大きなミスが出てしまいましたが、思ったように演技できなかったのはそこだけですかね。他の種目はいつも通りの良い演技ができました。

――山場である最初の種目の鉄棒、見事通し切った後の感想は

終わった後はほっとしましたね。思ったほど緊張はしなかったんですけど、コールマンを持った後のほうが緊張して。そこからは丁寧に丁寧に、ということを心がけていました。着地まで止め切れなかったんですけど、大きなミスなく最初の山場を乗り越えたのはよかったです。

――あん馬の失敗の後は気持ちを切り替えて演技に臨めましたか

つり輪はミスが出やすい種目じゃなかったので、そこは切り替えできました。

――きょうの試合での良かった点は

東インカレで失敗した平行棒、鉄棒で同じ失敗をせずに良い演技ができてよかったです。あん馬は、東インカレとは違うミスの仕方だったので、しっかり修正はできたんじゃないかと思います。

――6種目合計で78.9という得点についてどう感じていますか

きょうの演技だとそれくらいかな、という感じですね。80点を最低限の目標にしていたので、それをクリアできなかったのは悔しいです。

――この試合で得た収穫はありますか

いままでの試合より落ち着いてできました。不安な部分は多かったんですけど、それをしっかり受け入れて、割り切ってできました。変に緊張することもなくやれたのはよかったです。東インカレのときよりもちゃんとした練習ができているという気持ちもあったので、思い切り自信を持って演技につなげられたと思います。

佐藤崇太(スポ2=福井・鯖江)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

前半途中までは良かったんですけど、後半跳馬あたりからミスが出てしまって、そのまま平行棒もあまりいい出来ではなくて、ちょっと悔いが残るような試合でした。

――きょうのコンディションはいかがでしたか

福井に入る前から調子自体はすごく上がっていて、最後にやった試技会もベストな点数を取れていたので調子自体はよかったんですけど、ちょっと身体が2日前の会場練習で頑張りすぎて筋肉痛になってしまって。それがちょっとつらかったかなという感じです。

――跳馬で尻もちをついてしまいましたが、原因はどこにあるとお考えですか

後半の種目ということで体の疲れもあったと思うんですけど、待ってる時間が思いのほか長くて、それで体が冷えてしまったのが原因かな、と思います。

――続く平行棒でも流れがうまくいっていない部分が見られました

平行棒に関しても体力的な問題があるんですけど、いまいち器具の感触っていうのがしっかりつかめていなかったというのが原因かなと思います。

――良かったと思う種目と悪かったと思う種目を教えてください

鉄棒・ゆか・あん馬あたりの前半の3つくらいは今まで練習してきたことをしっかりと出せたかなという感じがあるんですけど、跳馬・平行棒、特に平行棒はどの種目よりも時間をかけてやってきた分、その成果がこの試合で表れなかったというのがすごく悔いが残る感じですね。

――最後に、今後に向けた収穫や課題があれば教えてください

まず課題としては全体的にDスコア、技の難しさっていうのがまだまだ難しいので、それをもう少しあげていって、そのDスコアをあげた構成でどんどん質の高いものにしていきたいっていうことですね。今回収穫としてはいつもより大きい体育館でインカレっていう試合の雰囲気に飲まれることもなく、縮こまることもなく演技し切れたというのがすごく自信になったので、この経験を大事にして今後はインカレの団体メンバーとして試合に出れるようになりたいなと思います。

柏木寅冶(スポ1=千葉・市船橋)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最初の2種目は自分の演技ができたんですけど、あん馬でミスが出て(演技が)小さくなってしまう部分があって。そこから流れが悪くなってしまいました。つり輪も予想通りの得点が出なくて。跳馬は最近調子良かったので不安はなかったんですけど、試合になるとうまくいかなかったです。

――会場練習や直前のコンディションは

前日の会場練習では(跳馬の着地が)立てていたので、あまり不安じゃなかったんですけど、試合ではうまく合わせられませんでした。

――跳馬で失敗してしまった原因は考えられますか

試合になって、先を急いじゃった部分があって。ロイター板もいい位置で踏みこめなくて、手のつきも入らなかったです。

――あん馬では落下がありました

最初の動きから縮こまっちゃって、普通に動けば楽に動けたんですけど力入れたまま演技しちゃって。さらに落下があったので体力的にきつくなって。あまり緊張はなかったんですけど、最初のDフロップっていう技が安定してなくて不安がそこにあったから動きが小さくなっちゃったなと思います。

――きょうの試合で良かったと思うところは

良かったのはゆかですね。練習以上に着地が止まったし。点数は思ったより伸びなかったんですけど、出来としてはよかったかなと思います。平行棒ではミスがあったんですけど、最初に入れた棒下ひねりという技が成功できたのが良かったです。

――合計で78.9という得点について

恥ずかしいですね。84点くらいを目標にしていたので。

――きょうの試合で見えた反省点はありますか

平行棒のチッペルトとかは、練習から安定してなくて。きょうは練習通りの結果が出たなと思います。練習でうまくいかないことは試合でもうまくいかないんだと感じました。技のやり方がまだ明確じゃない部分もあって、一か八かみたいなところもあったので、そこを100パーセント自分のものにしなきゃだめだなと思いました。