OB小倉、全日本で跳馬4連覇ならず

体操

 3年連続で跳馬のトップに君臨していた小倉佳祐(平28スポ卒=現相好体操クラブ)。先月のNHK杯で自身3度目の大技ロペスハーフ(伸身カサマツ2回半ひねり、技術点6.4)を成功させ、全日本種目別選手権(全日本種目別)での4連覇も安泰かのように思われた。しかし、何が起こるか分からないのが全日本種目別という大会。着地時の減点が影響し、7位という悔しい幕切れとなった。

 予選はつり輪と跳馬にエントリー。リオ五輪代表候補へ名乗りを挙げるためには跳馬はもちろん、つり輪でも予選通過できるほどの高得点が必要だった。静止姿勢の正確さに磨きをかけた力技を披露し、着地までしっかりとまとめる。予選通過ラインにわずか0.1及ばなかったが、「もう少し強化すれば(決勝に)行ける」と確かな手応えを感じた。一方、満を持して臨んだ跳馬では力の調整がうまくいかず、着地用のマットから出る大きなミス。決勝へと駒を進めたものの、翌日の大一番に向けて不安が残る実施となった。

予選は5位で通過した

 そして迎えた決勝。予選で回避していたロペスハーフに挑む。力強く踏み切って跳馬を突き放すと、目にも止まらぬ速さでひねりを加える。ここまでは申し分のない実施だった。しかし、大きな弧を描いていた放物線はセンターラインから外れ、さらにひねりの勢いが余ってポディウム(演技がより見やすくなるように設置された台)の端まで飛んでいってしまう。誰もが予想しなかった展開に会場がどよめく。小倉は目を閉じて天を仰いだ。ロペスハーフの失敗は国内大会ではこれが初めて。4連覇を狙っていた小倉にとって、あまりにも受け入れ難いミスだった。続く2本目でも着地が大きく乱れる。演技が終わり、ポディウムを降りてからも悔しさは収まらず、何度も深いため息が漏れていた。

着地が大きく乱れてしまい、思わず天を仰ぐ

 着地で減点され、点数が伸び悩んだ今大会。しかし、勢い余って着地が乱れたのなら、そこにはまだひねれる可能性があるということだろう。見る人を圧倒する高い跳躍と、難度が高くなるにつれて鋭さが増すひねり――。小倉が誇るこれらの武器は、今回実施した技のクオリティ向上だけでなく、さらに難度の高い技にだって十分対応できる。跳馬に懸ける思いは誰にも負けない。この強い執念で、いつの日か日本代表への扉をこじ開ける。

(記事 大浦帆乃佳、写真 中村ちひろ)

結果
つり輪
選手名 結果(順位)
小倉佳祐(相好体操クラブ) 14.700(11位)
跳馬
選手名 1回目 2回目 平均(順位)
小倉佳祐(相好体操クラブ) 14.650 15.300 14.975(5位)
種目別決勝(跳馬)
選手名 1回目 2回目 平均(順位)
小倉佳祐(相好体操クラブ) 14.600 14.900 14.750(7位)
コメント

小倉佳祐(平28スポ卒=現相好体操クラブ)

――いまの率直なお気持ちは

しょうがないです(笑)。

――今大会に向けての調子はいかがでしたか

良くもなく悪くもなくって感じでした。予選は(ウォーム)アップが良かったので(着地を)狙いにいったら大きくラインオーバーしてしまい、決勝は思いっきりやるだけだから、力を抑えないようにして臨んだら調子が良すぎて回りすぎてしまいました。

――今大会での演技をそれぞれ振り返っていかがですか

つり輪は惜しいところまでいけたので、もう少し強化すれば(決勝に)行けるのかなって思いました。跳馬に関してはらいねん(難度を上げて)攻めるのか、いま取り組んでいる技の完成度を上げるのか、というところですかね。

――周りの選手も年々レベルアップしてきています。このことについてどうお考えですか

本当に、ことしはただ(着地で)立つだけでは優勝は厳しいと思っていたので、今後Dスコア(技術点)を上げて、着地まで狙えるようにしたいとは思っているんですけど。やっぱり2本目ですかね。らいねんのルールがどう変わるかによります。

――今後の目標を教えてください

シニア(全日本シニア選手権)に向けて個人総合で(競技力を)上げていかないと、らいねんの全日本個人総合(全日本個人総合選手権)の権利がもらえないので、失敗しないように頑張っていきたいです。シニアで団体メンバーに入って、チームに貢献できたらいいなと思います。