東日本学生選手権(東インカレ)1日目。この日は、個人出場の男女両選手による試合が行われた。特に女子にとっては、全日本学生選手権(インカレ)出場権獲得に直結する大一番であるこの大会。早大からは長沼園佳(スポ3=群馬・中央中教校)がエントリーした。ゆかのミスが響き一時出場が危ぶまれたが、総合力でカバーし東インカレを見事通過。一方、男子は勢いのある演技で、翌日行われる男子団体へと弾みをつけた。
男子個人総合には岸本邦秀副将(スポ4=兵庫・市尼崎)、八木暁己(政経3=京都・洛南)、南亜蘭(スポ1=大阪・太成学院大高)の関西勢が登場。今シーズンの初試合となった岸本にとっては、着地に課題が残る内容となった。1種目目のつり輪では、最後の降りで大過失を出してしまう。得意の鉄棒でも着地が乱れたが、ダイナミックな離れ技と美しい車輪を披露した。80点を取ることを目指して臨んだ八木は、練習から不安があったという鉄棒とあん馬で落下のミスに苦しんだ。しかしつり輪では、難度を上げた構成をしっかり通し切る。今回出たミスを今後修正し、インカレの舞台で成功させる姿に期待したい。ミスのない演技でチームに勢いをつけたのは新入生の南だ。特に平行棒では納得の実施後、大きなガッツポーズを見せる。それでも「もっとEスコア(出来栄え点)を上げていかないと勝負できない」と語り、さらなる向上心をのぞかせた。
ダイナミックな離れ技を披露する岸本
4月に行われた東日本学生グループ選手権(東グループ)では、けがの影響で技の難度を下げていた長沼。インカレの出場権が懸っている今大会は、元の難度に戻して挑んだ。1種目目の跳馬では安定感のある跳躍を披露し、上々な滑り出しを見せる。平均台では、不安があった技をきちんと通し、演技後には笑顔を見せた。最終種目のゆかでは、1節目で手を着いてしまうミスを出してしまうが、その後は何とか演技を通し切る。3年連続でインカレへの切符を手にした。
不安がありながらも見事通し切った長沼の平均台
再び、あの大舞台へ――。1年時からインカレに出場しており、早大のエースとして活躍している長沼。昨年は出場権こそ得ていたものの、けがによりやむを得ず棄権となってしまった。その分、ことしのインカレに懸ける思いは人一倍強い。「着地が弱いので、確認して自分から着地をとりに行く練習をしたい」(長沼)。今大会で得た反省点を生かし、インカレで躍動する姿が今から楽しみだ。
(記事 中村ちひろ、写真 中村ちひろ、大浦帆乃佳)
結果
男子個人総合 | ||||||||
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選手名 | ゆか | あん馬 | つり輪 | 跳馬 | 平行棒 | 鉄棒 | 合計点 | 順位 |
岸本邦秀(スポ4) | 13.750 | 14.100 | 12.300 | 14.100 | 13.850 | 14.000 | 82.100 | 34位 |
八木暁己(政経3) | 13.600 | 12.000 | 12.900 | 13.100 | 12.950 | 12.900 | 77.450 | 81位 |
南亜蘭(スポ1) | 14.000 | 12.700 | 13.550 | 14.550 | 14.400 | 13.550 | 82.750 | 32位 |
女子個人総合 | ||||||
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選手名 | 跳馬 | 段違い | 平均台 | ゆか | 合計点 | 順位 |
長沼園佳(スポ3) | 12.100 | 10.800 | 11.350 | 9.300 | 43.550 | 85位 |
コメント
※5月21日終了時
岸本邦秀副将(スポ4=兵庫・市尼崎)
――先月の全日本種目別選手権トライアルはけがで欠場されていましたが、回復の度合いはいかがでしょうか
指がまだ治り切ってはいないんですけど、6種目できるレベルには戻ってきているので大丈夫です。
――きょうの演技を振り返っていかがですか
個人での出場になったんですけど、あすの団体戦につなげるためにもノーミスで(試合を)回るということを目標にしていたました。けど、1種目目のつり輪で早速大過失を出しちゃって。そこが1番の反省点です。
――個人での出場でしたが、モチベーションに影響はありましたか
いや、そこはもう割り切れていました。個人で回るけど、自分のやることは一緒なので。6種目しっかり揃えて、っていうふうに考えていました。
――得意の鉄棒の演技を振り返って
内容自体はよかったんですけど、これも降りですね。着地の際に膝が入ってしまって、詰めが甘いな、と思いました。
――あん馬は滞りのない旋回がよかったと感じました
あまり喜べなかったのは、最後の降り技で倒立に上げてからひねる予定だったんですけど、ひねれなくてDスコア(難易度)が0.3下がってしまったからです。そこが残念でした。あん馬は腰と指をけがしている間にずっと取り組んできたので、それだけ周りの人も期待してくれていたと思うし、自分でも期待していたので、素直に喜べなかったです。
――今回、ご自身で納得した種目は
あまりないですね(笑)。全力を出し切れた、っていう種目はないです。でも、最終種目でのあん馬っていうのは初めてでしたし、あん馬の演技を試合で通し切ることが少なかったので、練習の成果が少しは出せたのかなと思います。成長したとは思うんですけど、まだまだ甘いな、とも思います。疲れていた中で通し切れたのはよかったです。
――今季は副将としてチームを引っ張っていかれると思いますが、去年までと心境の変化はありますか
相変わらずやってます(笑)。チームの結束力を強くするというか、みんなへの声かけとかは去年からやっていたので。
――今季の目標をお聞かせください
インカレは団体メンバーとして出場して、毎年言っているんですけど実現できていない団体3位に入ることを目標にしています。毎回自滅していってる試合になっているので、ことしはそんなことがないように、自分が副将として、雰囲気でも演技でも引っ張っていけるようにやっていきたいと思います。
八木暁己(政経3=京都・洛南)
――どのような意気込みできょうの試合に臨みましたか
練習してきたことをしっかり出して、失敗なく80点を取るということを目標に頑張ろうと思いました。
――全体的に振り返ってみていかがですか
ミスが多くなってしまい、不安な種目で失敗してしまったので、まだまだ力不足だなと思いました。
――不安な種目とはなんでしょうか
練習からあまり成功率が高くなかった平行棒と鉄棒とあん馬で失敗が多く出てしまいました。
――鉄棒とあん馬で落下が見られました。その理由は考えられますか
鉄棒はまだコールマンの完成度が低くて、あん馬は動きが硬くなりすぎたという部分です。
――納得のいく演技ができた種目は
つり輪はいつもやっているようにできて、難度も上げたのをしっかりできたので良かったと思います。
――ゆかも美しい実施だと感じました。ご自身的にはいかがでしたか
着地を狙いにいきましたが思ったより止まらなかったです。それでも思ったより点が出たので、結果的には良かったのだと思います。
――今後の目標を教えてください
今回目標の80点が取れなくて、失敗も多くなってしまったので、インカレにしっかり出場して今回出たミスを出さないようにして、最低でも80点以上は取れるようにしていきたいなと思います。
南亜蘭(スポ1=大阪・太成学院大高)
――個人での出場でしたが、どのような意気込みで試合に臨みましたか
チームがみんな関西なので、関西チームということでみんなで頑張って盛り上がっていこうと言ってやっていきました。
――盛り上がれましたか
そこそこ盛り上がれました。
――一番力を入れていた種目はありますか
特にはないです。
――全体的にという感じでしょうか
はい。
――きょうの演技を全体的に振り返ってみていかがですか
僕はDスコア(技術点)が低くて、通って当たり前の演技しかしていないので今回はノーミスだったのですが、もっとEスコアを上げていかないと勝負できないなと思いました。
――納得のいく演技ができた種目は
平行棒はいつも通りできたかなと思います。
――平行棒とあん馬ではガッツポーズも見られました
平行棒は良かったのでガッツポーズをしたのですが、あん馬は最後までやりきったという最後の締めという意味を込めてやりました。
――今大会で得た収穫はありますか
練習で最終チェックのときに、全てノーミスで終えることができて、その調子で試合に臨めたので、その結果が出せたことです。
――今後への目標を教えてください
次はインカレ団体メンバーとして、3位目指して頑張っていきたいと思います。
長沼園佳(スポ3=群馬・中央中教校)
――きょうの演技を振り返って
最終種目の1節目で大きなミスをしてしまって、それが原因でインカレに行けないかもしれないので、とても悔しいです。
――先月の東グループと比べて、全種目で難度を上げましたね
本当は東グループからこの構成でできるように調整してたんですけど、東グループの10日前に指を脱臼したので難度を下げました。今大会からルールがインカレ仕様になるので、東インカレでの通過を目指してそれなりに構成を変えて練習してきました。
――平均台の演技後に笑顔が見られました
ちょっと運なところもありましたね(笑)。練習から不安定な技があったので、それが無事に通って安心しました。できすぎかな?って(笑)。
――ゆかの1節目でのミスの後、どのような心境で演技されていたのですか
緊張してて覚えてないんですけど、気づいたら手がゆかについていて。でもとりあえず続けなきゃ、って思って演技していました。
――次戦に向けた反省点や課題はありますか
全種目共通して言えることなんですけど、着地が弱いので、確認して自分から着地をとりにいく練習をしたいです。あと試合を回るリズムとか、演技順を待たされたときの対処とか、試合の中でも自分のリズムをつくっていけるように練習していきます。