2名が本選へ!スペシャリストに挑む

体操

 種目ごとのスペシャリストたちが集う全日本種目別選手権(種目別)への出場を懸け、高校生から社会人までがしのぎを削る全日本種目別選手権トライアル(トライアル)。先日行われた全日本個人総合選手権の予選とトライアルの結果を合わせて、各種目の上位24名のみが種目別の舞台に立つことができる。早大からは6名が挑み、浅野佑樹主将(スポ4=東京・明星)が鉄棒、柏木寅冶(スポ1=千葉・市船橋)が跳馬で、本選への出場権を自ら手繰り寄せた。

 主将として臨む今季初試合で、浅野は出場した全ての種目において観客を魅了した。跳馬は本来予定していた技よりも難度を落とした分、高さを出して余裕のある跳躍を披露。また、オフシーズンに特に注力してきたというゆかは昨季より難しい構成にしながらも、最後まで演技の勢いは衰えなかった。「実力の120パーセントを出せたんじゃないか」(浅野)と振り返る鉄棒では離れ技をテンポ良く成功させる。ゆかに引き続きこの種目でもいい流れのまま着地を決め、14.500をマーク。鉄棒で種目別へと駒を進めた。

高さのある跳躍を見せた浅野

 八木暁己(政経3=京都・洛南)と近藤宏紀(スポ3=福井・鯖江)は平行棒と鉄棒に登場。八木は鉄棒で大技コールマンに挑むも、バーをつかむ際に体勢が崩れ得点を伸ばすことができず。近藤もそれぞれの種目で出たミスがEスコア(出来栄え点)に影響し、悔しい結果となった。冬の間取り組んできた新技を成功させることを目標にしていた佐藤崇太(スポ2=福井・鯖江)は、平行棒で難しい組み合わせの技を鮮やかに決める。演技後には「不安でいっぱいだったが、失敗なく終えることができて安心した」(佐藤)とガッツポーズ。種目別の権利は得られなかったが、手応えは十分に感じただろう。

丁寧さが際立つ佐藤の平行棒

 入学したばかりの柏木と南亜蘭(スポ1=大阪・太成学院大高)は、1年生ながらも堂々とした姿を披露。柏木はゆかと跳馬を落ち着いた演技でまとめ、跳馬で2年連続の種目別出場を果たした。一方の南は鉄棒で落下というアクシデントに見舞われる。しかし、得意のゆかと平行棒ではダイナミックな実施で存在感を示した。

得意のゆかで雄大な実施を披露した南

 シーズンが本格的に幕を開けた。ほとんどの選手が冬に練習してきた新しい構成に挑み、次に控える東日本学生選手権(東インカレ)に向けて感覚をつかんだ大会になったであろう。頼もしい新入生を迎え入れ、ことしの早大体操部はどんな活躍を見せてくれるのか。

(記事 大浦帆乃佳、写真 大浦帆乃佳、中村ちひろ、田中佑茉)

結果

ゆか
選手名 結果(順位)
浅野佑樹(スポ4) 14.300(48位)
南亜蘭(スポ1) 14.300(48位)
柏木寅冶(スポ1) 14.250(54位)
跳馬
選手名 結果(順位)
柏木寅冶(スポ1) 14.850(20位)
浅野佑樹(スポ4) 14.700(29位)
平行棒
選手名 結果(順位)
佐藤崇太(スポ2) 14.450(39位)
南亜蘭(スポ1) 13.700(71位)
近藤宏紀(スポ3) 12.850(91位)
八木暁己(政経3) 12.600(98位)
鉄棒
選手名 結果(順位)
浅野佑樹(スポ4) 14.500(18位)
八木暁己(政経3) 13.800(61位)
近藤宏紀(スポ3) 13.500(70位)
南亜蘭(スポ1) 11.050(98位)
コメント

※4月2日終了時

浅野佑樹主将(スポ4=東京・明星)

――きょうはどのような意気込みで試合に臨みましたか

きょうはたくさん技を入れてきたので、それらの技をなんとか成功させようと思いました。その中で自分の持ち味である丁寧さとか、きれいな体操というのを突き詰めていけたらいいなと思って頑張ってきました。

――会場練習や試合当日のコンディションは

きょうはすごく良かったです。練習以上に良かったです。自分の120パーセントが出たかなっていう感じです。

――きょうの演技を振り返って

試合独特の緊張感が自分を後押しして、いつもは重たい演技をしているんですけど、きょうは楽にできました。勢いもそこそこあった試合だったので、自分の中ではいいスタートを切れたかなと思います。

――跳馬ではEスコアが9.1という高評価の実施でした

Eスコアだけを見たらいいかもしれませんが、本来は(今大会で実施したドリックスよりも難度が高い)ロペスを跳ぶ予定だったので、調整が間に合わなかったことは後悔しています。冬の間はずっとロペスで調整してきて、試合直前の1週間でもう一回ドリックスに戻して練習していました。跳馬の調子が狂い気味だったので不安はありましたが、きょうは体が軽く感じられたので、結果的にはよかったと思います。

――ロペスは失敗する可能性があったから回避したということでしょうか

まだ技術的にひねり不足なので、試合でやっても認定されないだろうということで技を落として実施しました。

――ゆかのDスコア(技術点)が昨年よりも上がっていました

きょねんの5月に足首をケガしてから、本来予定していたDスコアでできなくて、全日本団体選手権でもできなくて。すごく悔しかったので、ゆかは本当に冬場に詰めて練習していました。いつもは6.0だったのを6.5に上げました。

――鉄棒は危なげのない、落ち着いた演技でした

鉄棒は本当に実力の120パーセントを出せたんじゃないかと思います。普段の練習でもこのくらいやれよって感じなんですけど(笑)。普段はあまり安定した演技ではないので、本番でできるっていうのは強みなんですけど、やっぱり練習から安定させていけたらなと思います。練習に裏切られることはあるんですけど、きょうの出来は自分でもびっくりしました(笑)。会場の雰囲気とか、鉄棒のしなりが自分に合っていたので、自信を持って演技できました。

――オフシーズンに強化してきたことは

ゆか・跳馬・鉄棒のDスコアを上げることですね。あとは、脚力が落ちていたので着地がしっかり狙って止められるように、トレーニングしていました。それと上半身のトレーニングですね。地道にこつこつ積み重ねていって、体力で負けないようにと思って練習してきました。

――次の試合に向けての意気込みをお願いします

個人的にはまず6種目全部通して、早大体操部内で誰よりもEスコアが高い演技を目指していきたいと思います。また、主将として、最上級生として、チームをまとめていかなければならないので、いろんな意味でリードしていけたらいいなと思います。あいさつや礼儀も含めて、細かいところをしっかり直していきたいと思います。

――主将として過ごす今シーズンの抱負は

自由奔放なメンバーなので、まとめようと思っても無理だと思っていて(笑)。それぞれの個性をしっかり生かせるような環境を作っていけたらいいなと思っています。

近藤宏紀(スポ3=福井・鯖江)

――今大会はどのようなことを目標に臨みましたか

失敗しないように臨みました。2種目だけだったので気持ちも楽だったし、失敗しなければいいなと思っていました。

――平行棒の演技を振り返って

前半はよかったんですけど後半でちょっと焦ってしまい、失敗してしまいました。

――点数に関してはどのように捉えていますか

あんなもんじゃないですかね。

――鉄棒の演技を振り返って

最初の技が全然合わなくて、そこがひどかったですね。あとは普通だったんですけど、最初の技をよくしていけばもっと点も伸びてくると思うので、頑張りたいです。そこだけですかね。

――前の人が落下した影響については

全然ないです。見てなかったので。

――オフシーズンはどのようなことに取り組んできましたか

自分はつり輪の力技を補強したので、つり輪がすごく強くなったんですけど、今回つり輪は出てないので(笑)。本当は出たかったんですけど。

――今シーズンの目標を聞かせてください

86点を取って、Uー21の日本代表に入りたいです。

――最後に次の試合への意気込みをお願いします

東インカレでは失敗せず、チームに貢献できるように頑張りたいと思います。

八木暁己(政経3=京都・洛南)

――どのような目標を持ってこの試合に臨みましたか

平行棒と鉄棒で昨年からDスコアを上げてきたので、しっかり通し切ることを目標に試合に臨みました。

――全体的にこの試合を振り返ってみていかがですか

練習で出ているミスが本番でも出ていて、うまくまとめきれなかったなという印象です。

――悔しさが強い印象でしょうか

そうですね。

――それぞれの得点の印象は

あまり上手くいかなかったので、こんなもんかなっていう感じです。

――冬の間に他に強化したことはありますか

つり輪も難度を上げてきました。昨年よりも全体的にDスコアは上がっていると思います。

――新チームの雰囲気はいかがですか

卒業された4年生が結構チームに入っていて、強くて大きかった存在がいなくなったので、ことしはしっかり一人一人がまとまっていこうとしている感じがあります。

――ことし一年間の目標は

ケガをせずに、東インカレ、インカレ(全日本学生選手権)に出場して、11月の全日本団体(全日本団体選手権)にしっかり出れるように頑張りたいと思います。

――次の試合の意気込みを教えてください

きょう出た失敗を出さないように、しっかりミスのない演技をしたいと思います。

佐藤崇太(スポ2=福井・鯖江)

――今大会はどのようなことを目標に臨みましたか

冬の間ずっと新しい難しい技に取り組んできたんですけど、今回はその技を公式の試合でやる初めての試合だったので、その冬の間取り組んできた技を成功させることを目標にやってきました。

――平行棒では前の人が落下していましたが、影響はありましたか

前の人の演技のことは気にしないで、ずっと自分の演技のことを考えていたので、あまり気にならずにやれました。

――ご自身の演技を振り返っていかがですか

練習のほうが思い切ってやれた感じはあったんですけど、大きなミスなく、自分が持っていた課題というか、新しく取り組んできた難しい技を成功させることができたので、そこはすごくよかったと思います。

――最後にはガッツポーズも見られましたが

あれは、本当に不安でいっぱいだったんですけど、失敗なく終えることができて安心したという感じが出たんだと思います。

――今シーズンの目標を聞かせてください

夏場の東インカレとインカレ、その後に全日本団体とありますが、どれかの試合で団体メンバーとして試合に参加することを目標にやっていきたいと思っています。

――次の試合への意気込みをお願いします

いま調子はすごく上がってきているので、これを維持して、いい状態で次の試合に臨めたらいいなと思っています。

柏木寅冶(スポ1=千葉・市船橋)

――この大会の目標は

自分の全力を発揮して、種目別に出場することが目標でした。

――きょうの試合を全体的に振り返って

あまり練習が積めていなかったのですが、その割にはまとめられた演技ができたと思います。

――早大の練習に参加したのはいつ頃ですか

練習は12月くらいから結構行っていました。

――早大のユニフォームを着て臨む初めての公式戦でしたがいかがでしたか

思っていたより自分の力を発揮できて、気楽にできました。

――出場したゆかと跳馬の演技をそれぞれ振り返って

ゆかはまだ着地などで詰めが甘い印象があったので、そこをしっかり練習したいと思います。あと、跳馬はドリックスだったので次はロペスに挑戦していきたいです。

――ロペスはいつ頃試合で実施できそうですか

次の種目別でできたらいいと思います。

――それぞれの得点についての印象は

跳馬は結構満足のいく点数を出せました。ゆかはやっぱり着地をしっかり収めないと点数が伸びないなと思いました。

――早大体操部の雰囲気は

自分的に合っている感じがして、すごく楽しくできています。

――得意種目と苦手種目をそれぞれ教えてください

得意種目は跳馬で、苦手種目は平行棒です。

――ことし一年間の目標は

団体メンバーに入ることと、しっかりインカレに出場してUー21日本代表に入れたらいいなと思います。

――次の試合の意気込みをお願いします

次は全種目やることになるので、しっかり練習を積んで満足のいく演技がしたいです。

南亜蘭(スポ1=大阪・太成学院大高)

――きょうの試合への意気込みをお聞かせください

種目別の上位を狙おうとは考えずに、楽しく試合をしようと思っていました。

――大学デビュー戦となりましたが、いかがでしたか

調整ができてなかったのであまりいい出来ではなかったんですけど、次の試合ではユニフォームの『W』をしっかり背負って戦いたいと思います。

――試合前のコンディションは

緊張はなかったので、わりと自然体で臨めました。

――きょうの演技を振り返って

今回は団体じゃなくて個人の試合だったので、モチベーションがそんなに上がらないまま試合を迎えてしまいました。あまり納得はしてないです。

――鉄棒では全体のトップバッターでした

初めて試合で使う新しい技ばかりだったというのもあって、空回りしてしまいました。

――平行棒は前半でミスがありながらも、落ち着いて演技されていました

前半は練習でミスが出ていたので本番も安定しませんでした。後半は練習からほぼミスなくできていたので、これからは前半の完成度も高めていきたいです。

――ゆかの演技を振り返って

そのローテーションの中で最終演技者ということで、体が冷えてしまって、脚がうまく動きませんでした。でもゆかは失敗しない自信があるので、通し切れました。

――得意種目は何ですか

ゆかと平行棒です。

――冬場に強化してきたことは

大学生はDスコアが高いので、それに追いつけるように技練習ばかりやっていました。

――東インカレに向けての意気込みをお願いします

団体メンバーに入って演技したいです。

――この一年の目標は

U-21の日本代表に入ることです。